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アンサンブル・フロイント 第8回演奏会

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アンサンブル・フロイント 第8回演奏会
2007年9月16日(日) 14:00  豊中・ローズ文化ホール

シューベルト: 交響曲第7番 ロ短調 D.759 「未完成」
シューベルト: 交響曲第8番 ハ長調 D.944 「グレート」

(アンコール)シューベルト: 交響曲第8番「グレート」第3楽章(後半)

指揮: 小西 収


初めての指揮者、初めてのオケ、初めてのホール・・と、初めてづくしでしたが、この感動もまた初めて、躍動感のある演奏、ちょっと病みつきになりそうな感じになった演奏会でした。

指揮者の小西収さんは1965年生まれで高等学校の数学の先生とのこと。 大阪市立大学オケの学生指揮者だったそうですが、市立大オケOBらしい気鋭の指揮者。 音楽好きがそのままに指揮をしている、そんな感じがダイレクトに伝わってくるシューベルトの交響曲を楽しみました。

まずは未完成、重厚ながらも躍動的、歌わせながらもインパクトを与える演奏。 テンポもよく動いて、一筋縄ではいかない演奏でしたね。 とても面白く聴かせてもらいました。 個人的な趣味ですが、トランペットが突き抜けるように聴こえてきたところは、ちょっと合いませんでしたけれど、小西さんのやりたいことがよく伝わってきましたし、そのやりたいことも納得でき共感できました。 大きな拍手を贈りました。

グレート、こちらも同様に一筋縄ではいかない演奏でしたけれど、より大きくテンポを動かしていましたね。 指揮者が楽しくないと聴いている人間も楽しくない、やりたいことを思いっきりやっている感じ。 曲に対する想いがビンビンと伝わってくる演奏でした。 そしてこの演奏ではトランペットの抑制もよく効いていましたし、木管ソロも見事、ティムパニの強打もインパクトありました。 そして何より全奏ではオケ全体の響きが渦巻くようでもあって、素晴らしい演奏でした。 パンフレットにも書いてあるとおり「生きた音楽」、まさにそのとおり。 今年聴いた中でも強く印象に残る(もちろん良い意味で)演奏のひとつになりました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

またもやバタバタと家を出ましたが、暑い・・駅までたっぷりと汗をかきました。 そして冷房の効いた車内でパンをかじって、仮眠をとって準備完了(?)。 梅田で阪急宝塚線に乗り換えて庄内へ。 豊中・ローズ文化ホールって初めですが、事前に調べていたので迷わずに到着できました。

到着時間がちょうど開場時間。 さっそくパンフレットを受け取ってホールに入り き-17 を確保しました。 いつもは後方に陣取ることが多いのですけれど、今回は初めてのオケ、ちょっと小ぶりなので室内楽風かなと思って中央付近にしたのですが、けっこう直接音が強く飛んでくるみたいですね。

オケ団員の方が自由入場でステージに現れて練習を始めると、いやもう大きな音にびっくり。 後ろの席に変わろうかな、とちょっと思ってみたものの、久しぶりに近くでの観戦もいいかな、と思い直して開演を待つことにしました。 オケの編成は、通常配置で 7-5-5-6-4 ですね。

定刻、全員が揃ったあとコンマスが登場。 ところでオケの皆さん、一応黒のズボンに白シャツが基本みたいですが、ストライプのシャツやら、カラーシャツの方もいらして、一人だけ黒の上着を着てらっしゃる男性もいたようです。 服装自由、って感じですね。 コンマスの方も薄いグレーのシャツに濃いグレーのズボンでした。
コンマスがチューニングを行うと着席。 すぐに照明が落ち、燕尾服を着た指揮者の小西さんがゆっくりと歩いて登場。 ちょっと緊張気味? 数学科の先生、確かにそんな感じも受けました(どんな感じかはご想像にお任せします)。 深々と礼をし、さあ始まります。

シューベルトの未完成交響曲、重厚ながらも躍動的、歌わせながらもインパクトを与える演奏。 テンポもよく動いて、一筋縄ではいかない演奏でしたね。 とても面白く聴かせてもらいました。 個人的な趣味ですが、トランペットが突き抜けるように聴こえてきたところは、ちょっと合いませんでしたけれど、小西さんのやりたいことがよく伝わってきましたし、そのやりたいことも納得でき共感できました。 大きな拍手を贈りました

第1楽章、重厚な響きでゆったりとした開始。 抑揚をつけて進めて、急激な盛り上がり。 オケの直接音が飛んできてましたが、またもやたっぷりとした音楽とします。 型にはまらない指揮ですが、想いのよくのった動きですね、やりたいことがよく伝わってくる動きです。 急激な盛り上がりにはインパクトがあって、ぐいぐいと打ち付けるような感じ。 トランペットが突き抜けるように聴こえてきました。 重厚ながらも躍動感があります。 主題を戻してまたもや熱い音楽。 チェロの旋律をたっぷりと歌わせて、高音弦もゆったりとやわらかく歌ったあと、またインパクトのある盛り上がり。 音楽がとても熱いですね。 この曲、ステレオタイプ的に繰り返しをされると退屈してしまうのですが、そんなところ全く無いですね。 どの部分も生きています。 終結部も重厚に響かせたのをふわりと開放するように終えて、いい感じでした。

第2楽章、低弦のピチカートに柔らかなホルンが絡んで上々の滑り出し。 想いをたっぷりとこめる小西さん。 ゆったりと歌う弦楽器のスピードをしだいに上げてゆき、活気付けたのをまたそっと退いて、ここも一筋縄ではいきません。 クラリネット、そしてオーボエがちょっと明るめの響きで吹き、弦のトレモロも活気を秘めた感じ。 さっと振って激しく盛り上げます。 主題を戻して、透明感の中にも活力のある音楽。 木管が明快な感じで吹いたあと、またもや激しい盛り上がり。 左手を上げてトランペットに指示して強奏、直接音が刺激的です。 そして力をぐいぐいと溜め込んだあと、ぐっとスピードを落としてたっぷりとさせた終結は、クレッシェンドさせて一旦膨らませた音楽をすっと退いて開放させた響きで終了。
なんだかたっぷりと音楽を味わった、そんな感じですね。 お腹いっぱい。 大きな拍手を贈りました。

15分間の休憩。 受付からいったん外に出て1階に降り、飲み物をいただいて、トイレ休憩も済ませました。 このホール、体育館と併設されていて、ちょっと面白い感じですね。 2階のホールに戻って着席。 お客さん、けっこう入ってますねぇ。 8割以上の入りではないかしら。
定刻、全員が揃ったのを確かめてコンマスが立ち上がってチューニングを開始。 自分の音を歩いてメンバーに伝えてから着席します。 照明が落ち、小西さんがさっきよりもにこやかな表情で登場。 やはり深々と礼をされてから始まります。

グレート交響曲、こちらも同様に一筋縄ではいかない演奏でしたけれど、より大きくテンポを動かしていましたね。 指揮者が楽しくないと聴いている人間も楽しくない、やりたいことを思いっきりやっている感じ。 曲に対する想いがビンビンと伝わってくる演奏でした。 そしてこの演奏ではトランペットの抑制もよく効いていましたし、木管ソロも見事、ティムパニの強打もインパクトありました。 そして何より全奏ではオケ全体の響きが渦巻くようでもあって、素晴らしい演奏でした。 パンフレットにも書いてあるとおり「生きた音楽」、まさにそのとおり。 今年聴いた中でも強く印象に残る(もちろん良い意味で)演奏のひとつになりました。

第1楽章、安定したホルン、たっぷりと吹いて素晴らしい開始になりました。 そしてテンポをかなり落として進みます。 チェロの旋律もくっきりと浮びますが、かなり遅いテンポ。 しかし急激な盛り上がり、ティムパニの強打、トロンボーンの重厚な響きと振幅の大きな演奏に耳が惹きつけられます。 そしてスピードを上げてゆくと、今度は速い速い。 しかも先の演奏とは違って全奏になっても横に広がった響きで包み込まれるような感じが素晴らしい。 あれよあれよという感じで聴き進んでゆきますが、無駄な音符はひとつもない、といった感じの想いのよく乗った演奏に感動を覚えました。 終結部はやや足早に進めて次第に力をぐいぐいと溜めたあと、テンポを落としてたっぷりと歌って開放させておしまい。

小西さん、いったん指揮台から降り、演奏が始まる前、床に置いておいたペットボトルで水分補給をしてから第2楽章に入ります。

第2楽章、やや大きめの音でハッキリとリズムを刻んで始まります。 オーボエが艶の乗った素晴らしい響きで旋律を歌います。 クラリネットもまた素敵に絡んで魅了。 さっと振ってインパクトのある弦楽器、はっきりと抑揚つけたアンサンブルで盛り上がります。 ここでは各声部をよく歌わせていたようです。 そしてこのあとの弦アンサンブルは止まりそうなほどテンポを落としてゆったりと歌わせていました。 面白いなぁ。 オーボエの旋律が戻り、またキレよく打ち付けるように弦を入れます。 ぐいぐいとスピードを上げて力を込めてゆき、ティムパニの強打。 この後、今度は止まりそうな感じにまでテンポを落としたチェロの旋律、もう生演奏の醍醐味ですね。 しかも音楽がとても息づいているのも魅力です。 小西さんの動きはとても独特だけれども、やりたいことが本当によく分かる指揮ですね。 またその動きによる音楽が聞き手としても共有できるので、聴いていて楽しいんでしょう。 この楽章の終結も、ちょっと力を込めたあとすっと退いて終わりました。 いいですね。

この楽章が終わった後もまた指揮台から降り、ペットボトルで水分補給をして第3楽章に入ります。

第3楽章、揃った弦楽アンサンブルによる躍動感のある開始。 巻き込むように畳み掛けて、さらりと流す。 振幅を大きくとり、抑揚つけて歌わせて、この楽章もまた楽しいですね。 中間部はちょっとテンポは遅めかしら、木管アンサンブルの歌に力強い弦楽アンサンブル、たっぷりとさせて雄大な感じもよく出しています。 さっと止め、主題を戻します。 力のこもった動きで、思わず指揮棒を手から滑らせて落とすアクシデントもありましたが、何事もなく音楽は流れます。 落ちた指揮棒はチェロのトップの方がすぐに拾って手渡してました。 とにかく音楽がとうとうと流れていますが、どこをとっても惰性で流しているような部分はありません。 皆無。 気持ちいいですね。 最後はぐいぐいと盛り上げ、打ち付けるようにして終了。

第4楽章、弾けるような開始、勢いに乗せてゆきますが、反面落ち着きも感じます。 オケの響きがよくブレンドされているからでしょう。 トランペットもオケの響きマッチしていて素敵です。 休止、そしてまた活力のある演奏、歌っていて、ノリノリ。 これをティムパニが轟音ともいえるような打音、トロンボーンの強奏もまた音圧があって楽しいなぁ。 好きな曲の世界にどっぷりと浸かった気分です。 すっと退いてテンポを落としていたかと思うと、また中腰になってぐいぐいと力を込めていってスピードアップ。 縦ノリのリズム、渦巻くような旋律、何度も書きますが、聴いているとわくわくしてくる演奏です。 小西さんも上下に振幅させたり左右に流してみたり、とても楽しそうに指揮されていて、小西さんがやはり一番楽しいのではないかな。 ま、指揮者が楽しくないと聴いているこちらも楽しくないですものね。 一緒に楽しませてもらっている感じかしら。 最後もティムパニの轟音、渦巻くような弦楽器、輝くようなトランペットの響きを織り交ぜ、力のこもったフィナーレ。 これで盛り上がったのを最後は開放的に響かせて全曲を閉じ、熱い拍手が客席から沸き起こりました。

素晴らしい演奏に感動しました。 パンフレットに書いてあったとおりのまさに「生きた音楽」。 今年聴いた演奏の中でも強く印象に残る(もちろん良い意味で)演奏のひとつになりました。 ちょっとクセになりそうです。 そんなクセになった人が多いのでしょうか。 アンコールでは手拍子まで出てましたね。

なお次回の演奏会はいつ開催されるのか未定のようですが、小西さんは橿原交響楽団とのグレートの再演が決まっています。 こちらではオケの精度がかなり違っているのでどうなるか・・なんてまた別の意味でも興味深くなりました。 ま、それはともかく、とにかく皆さんお疲れさまでした。 素晴らしい演奏をありがとうございました。