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枚方フィルハーモニー管弦楽団 第66回定期演奏会

気持ちのいい秋晴れのような演奏会戻る


枚方フィルハーモニー管弦楽団 第66回定期演奏会
2007年10月21日(日) 14:00  枚方市民会館・大ホール

第1部 〜名曲いいとこどり〜

グリーグ: 組曲「ホルベアの時代から」より「プレリュード」
グリーグ: 劇音楽「ペールギュント」より「朝」
チャイコフスキー: 組曲「白鳥の湖」より「ワルツ」
ジョン・ウィリアムズ: 組曲「スター・ウォーズ」より「ダースベーダーのテーマ」
ドリーブ: 組曲「コッペリア」より「前奏曲」と「マズルカ」

第2部

ニールセン: 交響曲第1番ト短調

(アンコール)ブリテン: 「マチネミュージカル」より「行進曲」
(アンコール)L.アンダーソン: 舞踏会の美女

指揮: 生島 靖


今回もまた音楽を聴くことの原点に立ち戻った気分を味わいました。 とても気持ちのよい演奏会でした。

ずいぶん以前より、今回の演奏会ではニールセンの交響曲第1番という珍しい曲が演奏されることを知っていましたが、ちょっと前、団より演奏会のお知らせの葉書を受け取り、第1部の曲目を見て驚きました。 なにコレ? それが正直な思いでした。 そしてどんな演奏会になるのかな、と足を運んだわけですが、枚方フィルの皆さんの音楽を聴かせてもらっているうちに、音楽は虚心に楽しまなくては・・・と、当たり前のことに気づかされました。 自分の中に演奏を聴いてやろうという傲慢な気持ちが芽生えていたようです。 大いに反省したしだいです。

第1部は「名曲いいとこどり」と題して組曲などからの有名曲、しかも過去に演奏したことのある曲を中心に据えたラインナップ。 若者向けの「スター・ウォーズ」の「ダースベーダーのテーマ」なども加え、指揮者の生島さんの解説付きでの肩肘張らない名曲コンサート。 とは言うものの、生島さんいつもよりも気合入っていたのではないかな。 力の入った演奏が展開されていました。

第2部はニールセンの交響曲第1番、こちらは落ち着いた音色で丁寧に曲を進めて堂々としていました。 耳なじみの無い曲ながら、良い曲であることは十分客席に届いたと思います。 隣に座っていた若い男性が楽しそうに首でリズムを取って聴いていました。

枚方フィルは、アマオケでも珍しい団内指揮者による演奏を続けられていて、そして今回もまた無料公演。 未就学の子供さんも歓迎されています。 音楽には色々な楽しみ方があって、プロの演奏家による巧い演奏を聴くことも大切でしょうけれど、生のオーケストラの音楽を身近で楽しめることはもっと大切だとも気づかされました。 2階席におられたお子さんのうち、何人かは第1部で帰ってゆかれましたけれど、第1部に有名な曲を並べ、第2部には知名度は低いけれど佳曲を披露する。 このような試みっていいですね。 そして、もっともっと若いお客さんが増えれば、団そしてクラシック音楽の足腰を強くすることだと感じた演奏会でもありました。
清々しい秋の一日でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

前日とはうって変わっての秋晴れ、電車の中もポカポカとしています。 慌てて家を飛び出したので、携帯電話の電池は切れかけているし、メモリプレーヤの電池も切れかけてました。 おまけに自分の身体電池も切れかけていたのでしょうね。 電車の中で目をつぶっていたら、自分でも吃驚するほど熟睡してしまってて、よく1駅手前で目覚めたものだと感心したほどです。 そのおかげで演奏会には体調万全で臨めましたけれども・・・

開場時間ちょうどに枚方市駅に到着。 駅前の歩道橋からホールを見ると、長蛇の列が伸びています。 いつもながらの盛況のようですね。 でも、昨日の学生オケと比べるのは可哀相なのですが、服装がかなり地味、という自分自身もドブ鼠色なんですけどね、灰色っぽい列の後ろに並びました。

入り口でパンフレットを受け取り、顔見知りの団員さんと挨拶を交わしてから2階席へ。 今までは1階席の埋まり具合を見てから2階席が開放をされていましたが、今回は開場とともに2階席も開放するように方針変更されました。 有難いですね。 広々とした2階席、しかも足元の広い最前列 A-29 を確保。 開場当初から開放されてからでしょうね、トイレの電灯もちゃんと点いてます。 いえね、これまでのように後で2階席が開放されたとき、トイレの電灯が点いてないことも数度あったんですよね。

用も足して席に戻り、パンフレットを読みながら開演を待ちます。 今回もまた無料公演ですが、パンフレットによるとやはり台所事情も厳しいとのこと。 そこで今回初めての試みとして「ドネーション方式(寄付金方式)」を導入したと書かれてました。 それで顔見知りの団員さんのところに募金箱があったのですね。 納得。

定刻、オーケストラの弦楽器メンバーの方が整列入場。 10-9-7-7-4 の編成による通常配置で席につきます。 1階席は7割程の入りでしょうか、2階席は開演間近にお子さん連れのお客さんが増えてきて、それでも2割くらいの入りかな、まだ広々としています。 さて、長身の生島さんが登場されて始まります。

グリーグの組曲「ホルベアの時代から」より「プレリュード」、生島さんのハナ息とともに生き生きととして弾む音楽が飛び出します。 生島さん、今回限りで指揮者を引退されるとのこと、そのせいかいつもよりも気合が入っているようです。 一つ一つの動きに力が入っているようにお見受けしました。 潔く音楽を前に前にと進めてゆき、左手を大きくぐるりと回して止めました。

生島さん、指揮台の脇に置いたマイクを取って選曲の趣旨説明や曲目紹介などのMCも行います。 この間に管楽器メンバーが入場。 指揮者によるMC、吹田市交響楽団のサマーコンサートも同じような感じですね。 準備が完了しました。

グリーグの 劇音楽「ペールギュント」より「朝」、ゆっくりと落ち着いた雰囲気、誠実に響きを重ねて進みます。 ホルンの素朴な響き、飾らないフルートの響き、そしてオケの皆さんの丁寧に演奏しようという気持ちが届いてきました。

MCの間に金管や打楽器などのメンバーも加わってフル編成。 MCと関係なくチューニングが始まると、生島さんが慌ててこれがチューニングでAの音で・・との説明が入ったり、手作りの演奏会の雰囲気が空気を和らげます。

チャイコフスキーの組曲「白鳥の湖」より「ワルツ」、生島さんのハナ息からピチカートに続いてパーカション、明るくハリのある響きで進みます。 力入ってます。 そして頑張って演奏している気持ちがストレートに伝わってきて、硬いこと言わずに楽しみたい、そんな気分にさせる演奏でした。 もっと弦楽器が渦巻くようにとか、思ったりもするのですけどね。 そして、トランペットのソロ、この後ろで爽やかな響きを聞かせる高音弦。 楽しければいいじゃん、ここでもそんな原点に戻ったような気持ちになりました。 もっと楽しまなくては。 湧き上がるような響きとして纏めたフィナーレを一緒に楽しみました。

MCの中で、お客さんに中高年の方が多いので(確かに、かくいう自分も中年、いやそろそろ高年か)、若い人向けの選曲を加えたとのこと。

ジョン・ウィリアムズによる 組曲「スター・ウォーズ」から「ダースベーダーのテーマ」、「スター・ウォーズ」最初の3作はリアルタイムで映画館で観た世代だったりもします。 ということで若者向きじゃなかったかな??、とにかく音楽は重量感のある響き、落ち着いて底鳴りのする金管の心地よさを楽しみました。 フルート、不気味さもよく出ていたと思います。 中音弦も頑張っていたようで、オケの皆さんも共感ある人が多いのかな、とにかく活き活きとしてましたね。 そして最後はキレ良く音楽を止めました。

前半最後、枚方市の新しい市長さんもお見えとのこと、紹介がありました。 ちなみに奈良市のオケでは以前の市長さんはよく来られてましたけれど、新しい人に2度替わられましたが演奏会の回数は減る一方で残念な思いをしています。 そんなことはともかく前半最後の曲となりました。

ドリーブの 組曲「コッペリア」より「前奏曲」と「マズルカ」を続けて演奏、ティムパニの低いトレモロから、ホルンの斉奏、ファゴットも、ともにのどかな響きが素敵でした。 弦のアンサンブルが爽やかで伸びやかな感じ。 ティムパニのトレモロからぐっと力が漲ってきて、生島さん、やはりいつもよりも力入っている感じですね。 ズンチャッチャズンチャッチャと折り目正しく軽快に進め、当方も首でリズムを取りながら聞かせていただきました。 フィナーレでもぐいっとオケを乗せて、ティムパニの強打で止めました。

15分間の休憩。 席でゆったりと開演を待ちます。 右隣のブロック最前列で聞いてらした3人のお子さん連れのご一家は帰られたようです。 小学校低学年かな、お譲ちゃんが階段を降りて戻ってきて、座席をきちんと折りたたんで、また階段を駆け上がってゆきました。 大人も見習わなくてはダメですね。 そして左隣では、若いお兄さんが一人でパンフレットを読んでらっしゃいます。 マニアな雰囲気が漂ってますねぇ。 ニールセンの交響曲第1番なんていう珍しい曲がかかるのでやってきたのでは、と勝手に推測していました(自分もこの一人だったわけですが)。

とろろで、2階席から眺めていると、パンフレットが黄緑色で目立つこともあるでしょうが、大勢のお客さんがパンフレットを広げて読んでいるのが分かりました。 マンガが入ってユーモアもある記述内容もさることながら、何より文字が大きくてハッキリしていることも要因としてあると思いますね。 実際、この年齢になって分かりましたけど、学生オケや社会人オケでも若い人たちが多い団では小さな文字でびっしりと書いてあったりして・・もうそれだけで読む気を逸してしまうことも多々あったりしますものね・・・歳はとりたくないけど、とってしまってますから許してください。

定刻、オケの方々が入場されて 10-9-7-7-4 の編成はさっきと同じですね。 メンバー内のシフトはあったようですけれど。 コンマスが立ちあがってチューニングを実施。 準備が整うと生島さんが出て来られて、さぁ始まります。

ニールセンの交響曲第1番、実演はもちろん初めて、CDの予習でも1種類しか聴いたことしかないので偉そうなことは言えませんが、落ち着いた音色で丁寧に曲を進め、堂々とこの曲を纏めていました。 耳馴染みの無い曲ながら、聴き応えのある佳い曲であることは客席に十分に届いたと思います。 隣に座っていたマニア風の(と勝手に思っている)若い男性も楽しそうに首でリズムを取りながら聴いてらっしゃいましたものね。

第1楽章、気合の入ったハリのある響きによる開始、湧き上がるようなパワーを感じさせて堂々と進めます。 そして木管楽器にタッチ。 綺麗に響きを纏めたアンサンブルのあと、また力強く主題を戻します。 ちょっとテンポ遅めかしら。 展開部の弦楽アンサンブルでも分奏がよく、中低弦の響きも引き締まって聴こえます。 そして低弦が底鳴りがするように盛り上がって主題を再現。 凜とした木管を挟み込み、またカッコよく盛り上げます。 ニールセンってシンフォニストだった、そんなことも耳にしましたが、まさしくそれをよく表すかのような演奏です。 コーダも迫力十分で、トロンボーンの低い響きが素敵でした。

第2楽章、今度は柔らかな弦のアンサンブルで始まりました。 オーボエなどを絡めて、想いのよくのったアンサンブルがゆったりと、でも生島さんを中心に据えて纏まっているのが上から見ているとよく分かりますね。 生島さんが大きく振ってティムパニのトレモロを引き出し、自然な盛り上がりで連綿と続いた歌を高揚させます。 ホルンの響きがオケの響きによくマッチしていましたね。 今度はそっと減衰させて、落ち着いた木管の響き、遥かなホルンと穏やかな音楽がまた連綿と歌われてゆき、最後は生島さんが左手を小さく回して止めました。

第3楽章、明るく爽やかな弦のアンサンブル、木管、ホルンを絡ませた心優しい音楽の開始。 ゆっくりと力を入れてゆき、丁寧に盛り上げる誠実な音楽。 場面転換も自然体で、優しい音楽にまたなったかと思うと、活気つけて端正な盛り上げ。 噛んで含めるような感じがしないではありませんが、お隣の若い男性は楽しそうに首でリズムを取って聴いていました。 最後も徐々に音量を上げてピークを形成したのをすっ〜と減衰させて止めました。

第4楽章、生島さんのハナ息に続いて、力強いヴァイオリンの響きが導き出され、硬いティムパニの打音、ホルンのタイトな斉奏を絡めた主題が呈示。 パワフルな音楽ですが、丁寧に纏めていますね。 いったん静まって弦と管楽器による演奏、ここでも生島さんを要にしてオケがよく纏まっているのが分かりました。 そしてパワフルに主題を戻し、ここではティムパニの弾力ある打音がアクセントになっていたようです。 でも全体的には落ち着いた音色で丁寧に曲を進めてゆきます。 個人的にはもうちょっとアグレッシヴに音楽を進めて欲しい気はしましたけれどね。 誠実にきちんと纏めた演奏もまた堂々としています。 そして終結部、急激なスピードアップに少々面食らいながらも、低音金管楽器の力強い響きとトランペットのファンファーレでカッコよく全曲を纏め上げました。

パンフレットに書かれたとおりの「かっこいい」曲、ニールセンのこの曲の魅力、客席に十分に届いたと思います。 熱い拍手が沸きあがりました。 そしてカーテンコール、生島さんが立つようにと促しても団員の方は誰も立たず、チューバの後方に隠していた花束を女性奏者の方が贈呈。 客席からも大きな花束が渡されて、拍手もまた一段と大きくなりました。 団内指揮者、仲間内なのにダメ出しをしないといけない存在ですからね、その労は計り知れないものがあると思います。 本当にご苦労さまでした。

アンコールは、ブリテンのマチネ・ミュージカルより第1曲目の行進曲、軽やかなマーチです。 色々な楽器が明るい響きを出していて、これら全部がとても楽しいのですね。 虚心に音楽を楽しませていただきました。 そしてアンコール2曲目は、生島さんが一番演りたかったという曲、L.アンダーソンの舞踏会の美女。 こちらもまた優雅で明るい演奏。 指揮者も演奏者も聞き手もみんなひっくるめて、楽しい!! これが基本だと思いました。 すごく当たり前のことながら、なかなかこのような楽しい演奏会って無いのですよね。

今回もまた音楽を聴くことの原点に立ち戻った気分を味わいました。 清々しい秋の一日にぴったりのとても気持ちのよい演奏会でした。 楽しい演奏をありがとうございました。 そして皆さんお疲れさまでした。