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同志社交響楽団 第79回定期演奏会

清らかで熱く美しいラフマニノフの交響曲第2番戻る


同志社交響楽団 第79回定期演奏会
2007年11月13日(火) 19:00  ザ・シンフォニーホール

ウィルヘルム: 同志社カレッジソング
ベートーヴェン: 交響曲第1番ハ長調op.21
ラフマニノフ: 交響曲第2番ホ短調op.27

指揮: 現田茂夫


清らかで熱く美しいラフマニノフの交響曲第2番の演奏に酔わされました。
もっと聴いてきたい、終わらないでくれ、と思いつつ終わった演奏終了後、客席に振り返った指揮者の現田さんの精根尽きたような表情もまた印象的でした。

好きな音楽2曲がラインナップ、まずはベートーヴェン。 現田さんらしくスッキリとしていながらも要所をキリッと締めた交響曲第1番は、上質で美しい演奏でした。 ちょっと大きな編成のオーケストラから余裕のある響き。 田園交響楽とかロマン派に繋がるような演奏であるとの印象を持ちました。 聴いていてワクワクするというよりも、丁寧に鳴る音楽に、落ち着いて演奏を楽しんだ、そんな感じですね。 もちろん落ち着いているだけでなく躍動感もあって、聴いていると気持ちが軽くなるような感じも受けました。

そしてメインのラフマニノフの交響曲第2番、清らかで熱く美しい音楽に酔わされました。 耽美的な旋律が続く大曲ですが、青春の音楽、そんな若々しさも随所に感じた演奏でしたが、とくに第3楽章が素晴らしかったですね。 クラリネットの旋律が切々と歌っていたのに痺れましたし、フルートの音色もなんと綺麗なこと。 そしてこの楽章の後半でオーケストラ全体から醸し出される美しくも繊細な響きに、清らか、そんな言葉が頭をよぎりました。 ただただ美しい響きに身を任せました。 そして終楽章では、きちんと制御されていても溢れる熱気、これもまた見事であっという間に全曲が終わったという印象を持ちました。 素晴らしい演奏でした。

もう終わってしまう、もっと聴いてきたい、終わらないでくれ、と思って聴いていましたが、この演奏を限りに卒団される方々にとってもこのように感じて演奏していらしたかもしれませんね。 素晴らしい演奏会に同席させていただいたことに感謝しつつ会場を後にしました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

外出先の大阪本町、仕事が早く終わりました。 ここから中央線に乗れば自宅へ一直線、このまま電車に乗って帰宅しようか・・・とホームまで行きましたが、思いとどまって御堂筋線に戻りました。 同志社交響楽団、このオケのOBの方々が所属されるいくつかのオケにはお世話になっているのですが、現役生のオケはまだ聴いたことがないのですね。 好きなプログラムでもあり、興味もありましたので思いとどまったのでした。

時間がたっぷりとあったので、梅田のヨドバシカメラからシンフォニーホールまでブラブラと歩いて、久しぶりの運動です。 ゆっくりと歩いても開演50分前にホールに到着。 ホール前の階段のところで学生さんに促され、当日券売り場でA席を確保しました。 もちろん2階席を指定。 DD-23、早く到着したからでしょう、良い席が捕獲できました。 ホールに入って気付きましたが、シンフォニーホール、ここに入ったのは今年初めて。 あとで調べたら1年ぶりでした。 アマオケでソンフォニーホールを使うのは珍しいですものね。

開演50分前なので客席はまだチラホラ。 大量のチラシを眺めながら時間を潰します。 座席指定なので、やっぱり窮屈。 いつもの自由席のようにドカっと座って、靴も脱いでリラックスするのが憚られます。 しかも両脇に若い女性(大学OGでしょうか)が座っちゃいましたよ。 尚更窮屈に感じます(お隣の方もそう思ってらっしゃるでしょうけれど)。 開演を待つうちに眠くなってきたので目を閉じていましたが、都度人が通るので、眠るよりも目を休めているような感じで開演時間。 2階席のこのあたりも8割位入ってます。 1階席は3列目まで人が入っているのでほぼ満杯でしょう。 ステージでは左右の楽屋より整列入場が始まりました。

オーケストラの編成は 14-12-10-8-6 の通常配置。 コンミスが拍手とともに登場、チューニングを実施します。 この間に客席の照明が落ち、オーケストラも準備完了。 するとコンミスの方が立ち上がり、弓を振りはじめると柔らかな合奏が・・・ これがプログラムの最初に書いてあるウィルヘルムの同志社カレッジソングなのですね。
低弦のピチカートが心地よく響いて、さすがに全員の想いがよくのった演奏。 いいものですね、気持ちが一つになれる自分たちの曲があるなんて。 そんなことを感じながらこの演奏を楽しみました。

演奏が終わると、スラっとした詰襟の上着、颯爽と指揮者の現田さんが登場します。 客席に一礼したあとコンミスと握手をして登壇。 始まります。

ベートーヴェンの交響曲第1番。 現田さんらしくスッキリとしていながらも要所をキリッと締めた上質で美しい演奏でした。 ちょっと大きな編成のオーケストラから余裕のある響き。 先日のセントマーティンでの演奏が、ハイドン、モーツァルトの延長線上にあるとすれば、こちらは田園交響楽とかロマン派に繋がるような演奏であるとの印象を持ちました。 聴いていてワクワクするというよりも、丁寧に鳴る音楽に、落ち着いて演奏を楽しんだ、そんな感じですね。 もちろん落ち着いているだけでなく躍動感もあって、聴いていると気持ちが軽くなるような感じも受けました。

第1楽章、活きの良い和音、伸びやかにそして丁寧に繋いでゆき、要所をキリっと締めて進めます。 徐々に力を入れてゆくと、大きな編成のオケによる余裕のある響きとなりました。 木管アンサンブルも落ち着いた明るい響き。 上質な響きが素敵です。 余裕を感じさせる軽やかで落ち着いた音楽、この延長線上にはロマン派の音楽が見えるようでもあります。 現田さん、ほとんど立ち位置を変えず、上体を使っての指揮。 両腕を広げて力を要求すると底力を感じさせる響きを導き出したりもしますが、丁寧に進めてゆき堂々とこの楽章を閉じました。

第2楽章、第2ヴァイオリンの深みのある響きによる開始。 中音弦が豊かに絡んできて、しっとりとした弦楽アンサンブルに発展します。 木管もしっとりと絡み、弾力ある低弦の響きなど、すっきりと感じさせながらも深さがあって、ここでも余裕の響きといった面持ち。 各パートがゆったりと絡みあうのを楽しみました。 抑制のよくかかった金管・打楽器も心地よく、少し大きくした響きをすっと丁寧にすぼめての着地も見事でした。

第3楽章、まずは落ち着いた響きでヴァイオリンの旋律、そこに中低弦が巧く絡んで音楽を大きくし、金管がまた抑制をよくかけて加わった落ち着いたスケルツォ。 ほんと綺麗な響きを丁寧に重ねて進めてエキセントリックなることはありません。 木管アンサンブルが活躍する中間部、この木管の素敵な響きもさることながら濡れたような高音弦がしっとりと絡むのもまた素敵。 そして主題を戻し、響きを合わせて自然と音量を上げ、躍動感をもった余裕の響きでこの楽章も閉じました。

第4楽章、両腕を広げた現田さんがオケを見渡して集中力を高めてからサッと振って開始。 力強い和音、これまでよりももっと丁寧にヴァイオリンの響きを紡ぎ出し、息を飲みます。 そして次第に音量を上げていって覇気あるアンサンブル。 力があってもまろやかな響きは、美しい木目と光沢のある木の響きがしますね。 金管もまた綺麗な響きがアクセントになっています。 各パート、気合入ってますけど、とてもよく呼応しあってて、現田さんの手綱のもと一つに纏まった素晴らしい演奏。 ワクワクするよりも、巧いな、といった印象でフィナーレもきちんと纏めて着地。 上質な響きに躍動感もある素敵な演奏に拍手を贈りました。

20分間の休憩。 ステージでは次の曲の準備のためのイスを出して準備が進んでいます。 こちらはというと、素敵な音楽を聴いているときは元気なのですが、音楽が終わると少々ぐったりもして、席でじっとして目を閉じて休息を取ることにしました。 そして定刻、ステージが明るくなると左右計4つの入り口からメンバーの方が入場。 今度の編成は、16-16-12-10-8 となりました。 蛇足ですが、学生オケの演奏会の場合、プルト表が付いているのでステージの人間の数を数えなくていいから楽ちんです。 それにしても大勢の人がステージに乗っています。 客席もまた人が増えたようで2階席もほぼ満杯ですし、左右のギャラリーも7割程度の入りになっています。
コンミスによるチューニングを終えると現田さんが登場。 今度は第1、第2ヴァイオリンの間、2プルト目あたりで立ち止まってオケを立たせます。 そして指揮台に移動し一礼をしてから開始となりました。

ラフマニノフの交響曲第2番、清らかで熱く美しい音楽に酔わされました。 耽美的な旋律が続く大曲ですが、青春の音楽、そんな若々しさも随所に感じた演奏でしたが、とくに第3楽章が素晴らしかったですね。 クラリネットの旋律が切々と歌っていたのに痺れましたし、フルートの音色もなんと綺麗なこと。 そしてこの楽章の後半でオーケストラ全体から醸し出される美しくも繊細な響きに、清らか、そんな言葉が頭をよぎりました。 ただただ美しい響きに身を任せました。 そして終楽章では、きちんと制御されていても溢れる熱気、これもまた見事であっという間に全曲が終わったという印象を持ちました。 素晴らしい演奏でした。

第1楽章、現田さんがチェロとコントラバスの方を向き、ゆっくりと振り始めます。 しっとりとした低い響き、木管や高音弦も濡れたような響きを重ね、落ち着いた感じ。 現田さん、中音弦をたっぷりと歌わせながら進めます。 ホルンの響きはちょっと抑え目、ティムパニが強く打ってもすぐに弦楽アンサンブルの波が漂ってきます。 コールアングレの想いのよく乗った素敵な音色。 ロマンティックな弦の旋律もスマートで、金管が入って力が満ちても自然で爽やか。 青春のロマンス、そんな感じかしら。 中年の当方にとっては懐かしさが勝るところでしょうけれど。 コンミスのソロも清楚で可憐な響き、うつろうような青春の陽炎かしら。 次第に力が増し、金管の咆哮、打楽器がタイミングよく入ってきちんとした盛り上がり。 次第にヴァイオリンの響きにも熱気がのってきました。 現田さんもベートーヴェンの時とは違ってアクションも大きく熱く動いてます。 統制をきちんと取りつつも熱気を含んだ終結部、強靭な響きで盛り上げ、低弦の締まった響きで止めました。

第2楽章、艶やかな高音弦が駆け、タイトに吹くホルンがカッコよく吹いて力を増ます。 走る音楽にも余裕を感じます。 そして甘いメロディ、たっぷりとして伸びやかですが、ここでも爽やかな響きが印象的。 そして主題をまたタイトに戻します。 打楽器による場面転換もとても自然な展開です。 瑞々しい高音弦が綺麗ですが、中低弦もしっかりと絡んでブレンドされているのが素敵です。 スネア、弾力のある響き。 軽く吹くトランペットに導かれた行進曲、これまた上品で素敵に響きます。 ティムパニの一撃でまた力が漲ります。 このティムパニの硬い響き、いつもタイミング良く入ってきて実に気持ち良いですね。 カッコ良い音楽と、爽やかで懐かしさも感じさせる音楽を繰り返しながら、低音金管楽器のファンファーレ。 しっとりとさせて、現田さんの左手首がくるりと回って響きを切った着地。

第3楽章、ヴィオラによる序奏のあとヴァイオリンの旋律、ともに深くたっぷりとした開始でした。 クラリネットの優しい音色、切々と歌い綴ってゆくのに痺れました。 もちろん寄り添うファゴット、弦楽アンサンブルがビロードのような響きでサポートしているのも聴き逃しましていません。 ソロも見事ですが全員の気持ちがよく乗った音楽が続きます。 コールアングレ、オーボエなど柔らかな旋律が押し寄せて返してゆきました。 ヴァイオリンの響きも次第に熱がこもってきて、金管もごく自然に入ってきて掻き立てるようにした末のティムパニで頂点。 そしてまた自然に減衰してゆく、ほとんど夢見心地。 しかしここからまだまだ夢のような音楽が続きます。 ホルンの甘い響き、コンミスの可憐な響きに続いてフルートがまた絶品。 なんと綺麗なこと。 オーケストラ全体から醸し出される美しくも繊細な響きに、清らか、そんな言葉が頭をよぎりました。 気持ちのよく乗ったアンサンブルを現田さんが大きく振りかぶって昂めます。 ヴィオラの渋い響き、深い中低弦の響きが自然に減衰してこの楽章を閉じましたが、しばらく静寂がホールに流れたのもまた感動をより深くしてくれました。

第4楽章、力のこもった演奏による始まり、ホルンの斉奏、弦楽アンサンブルにも熱気が孕んでます。 パーカッションは抑制効かせた上質な響きのまま。 落ち着いて曲を進めす。 金管の纏まり感もよく、弾力を感じさせる盛り上がり、そしてシンバルの響きも柔らかでした。 熱っぽくもまたうっとりとさせる余裕のある弦楽アンサンブル、これを歌わせている現田さんもまた興に乗っているみたいでした。 パーカンションの人が立ち、弦パートが力のこもった旋律を奏でます。 弾力あるティムパニのロールを伴い、ホルンの斉奏、トランペットが柔らかな輝きを響きで彩りながら進める行進曲。 そしてまた旋律を戻し、めくるめくように曲が進むのに、こちらはただもう身を任せて聴くだけ。 はっと我に返ってもうすぐフィナーレか、と思っていたらぐいぐいと力がこもって駆けているのを現田さんが両腕を大きく横に広げ、タイトに止めました。

もう終わってしまう、もっと聴いてきたい、終わらないでくれ、と思いながら聴いていましたが、この演奏を限りに卒団される方々にとっても、そのように感じながら演奏していらしたかもしれませんね。 終了後、客席に振り返った指揮者の現田さんの精根尽きたような表情もまた印象的でした。
このような素晴らしい演奏会に同席させていただいたことに感謝しつつ会場を後にしました。
皆さんお疲れさまでした。 社会人になっても音楽を続けてください。