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橿原交響楽団 第15回定期演奏会

暖かで熱い音楽が心に残った戻る


橿原交響楽団 第15回定期演奏会
2007年11月18日(日) 13:30  奈良県橿原文化会館・大ホール

ドビュッシー: 小組曲
シューベルト: 交響曲第8番ハ長調「ザ・グレート」

(アンコール)シューベルト: 劇音楽「ロザムンデ」舞踏音楽第2番

指揮: 小西 収


気鋭の指揮者、小西収さんのもと、躍動感のある音楽を楽しみました。 これまでの橿響には無かった響きを感じたようにも思いました。

ドビュッシーの小組曲、1曲目の「小舟にて」が始まり、美しく響くアンサンブルにハッとしました。 失礼ですが、橿響からこのような響きが醸し出されてくるとは、ちょっと吃驚。 しかも小西さんの独特の動き、テンポに導かれ、苦手なフランス音楽ながらも上品な昔のディズニー映画を観ているよう。 健康的な明るい響き、流れるアンサンブルがとても素敵でしたし、どの曲もとてもよく纏まって素晴らしく、たっぷりと楽ませてもらいました。 小西さんと橿響、いい組み合わせじゃないでしょうか。

そしてメインのシューベルトのグレート交響曲。 冒頭こそアンサンブルに隙間を感じましたけれど、尻上がりに調子に乗せてゆき、最後は躍動感を持ったダイナミズムの大きな音楽になりました。 小西さん、独特の動きが更に拍車がかかり、フレーズの最後を伸ばしたり、テンポを揺らしたり、緩急つけたりと、9月に聴いたアンサンブル・フロイントを指揮されたグレートも彷彿とさせました。 フロイントでは先鋭的でしたけれど、橿響は時に底力のある暖かな響きで応えて健闘。 堂々とした演奏は立派でした。 大きな拍手を贈りました。

そしてアンコールのロザムンデから舞踏音楽第2番。 この曲ではオーケストラの方々も緊張が取れたのでしょうか、音楽がもっと伸びやかになり、小西さんとともに演奏を楽しんでいらしたのではないでしょうか。 舞踏音楽らしく一緒に踊りたくなるようなワクワク感も受けました。

明るい響きを基調にした心弾む音楽。 今年初めての木枯らしが吹いた寒い1日でしたが、橿響の暖かで熱い音楽が心に残ったいい演奏会でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

晴れ渡って日差しは暖かなのに、外に出ると冷たい風が吹き抜けてゆきます。 家に戻ってから、ニュースで知りましたが、今年初めての木枯らしを観測したとのこと。 それでも大和八木に向かう電車の中は暖房も入っていて、ポカポカとしています。 うつらうつらとしながら駅に到着。
出口を間違えて、一瞬呆然としましたが(再開発されたのかな、なんて思ってしまいましたよ)、間違いに気付いて反対側の出口へと。 ここはお馴染みの町並みですが、バス乗り場が移動したとのことでちょっと閑散としているようにも感じます。 ここから長距離バスに乗って大塔村の星のくにに行ったのはもう10年近く前になるでしょうか。 懐かしい場所でもあります。

珍しく開場前にホールに到着。 ロビーの列に並ぶこと10分弱、ホールに入って と-22 を確保しました。 パンフレットの文字が大きくて簡潔。 詳細はパンフレットに挟み込まれた「Crescendo」なる冊子に書かれているのですね。 これを読みながら開演を待ちます。 半分ちょっと客席が埋まったところで開演5分前のブザー。 年配の方からお子さん連れまで、女子中学生(高校生かも)のグループもいたりして、けっこう幅広い年代の方が聴きにきておられます。 いい傾向ですね。

定刻、左右より整列入場。 編成は7-8-4-6-4 だったでしょうか(数えるのを忘れてしまいました)、通常配置です。 コンミスの方が出てこられてチューニングを実施。 準備が完了すると指揮者の小西さんがちょっと客席を窺うようにし、笑みを称えながらゆっくりと歩いて登場します。 客席へ深々と礼をしてから登壇。 いよいよ始まります。

ドビュッシーの小組曲、1曲目の「小舟にて」が始まり、美しく響くアンサンブルにハッとしました。 失礼ですが、橿響からこのような響きが醸し出されてくるとは、ちょっと吃驚。 しかも小西さんの独特の動き、テンポに導かれ、苦手なフランス音楽ながらも上品な昔のディズニー映画を観ているよう。 健康的な明るい響き、流れるアンサンブルがとても素敵でしたし、どの曲もとてもよく纏まって素晴らしく、たっぷりと楽ませてもらいました。 小西さんと橿響、いい組み合わせじゃないでしょうか。

第1曲「小舟にて」、柔らかで美しいフルートの音色、そしてオーケストラ全体から醸し出されるアンサンブルの響きもとても美しく流れてきて耳を奪われました。 小西さん、独特の動きでオーケストラを纏め、ストレートに盛り上げてゆきます。 指揮棒を立てて止め、また柔らかなアンサンブルに。 柔らかいといっても、ただ弱く弾いているのではなく、小西さんの意思がオケの中に1本ピンと通っています。 素晴らしいですね、このような演奏が聴けるとは、失礼ながら予想だにしていませんでした。 透明感のある高音弦、クラリネットの響きも甘いけれど、長閑な暖かさを感じさせて、すっと消えるような着地も見事でした。

第2曲「行列」、軽やかな響きによる開始。 ここでもまろやかな演奏が素敵で、そのまま自然と盛り上がってゆきます。 トランペットが柔らかく吹き、軽く頂点を決めると、また軽やかな響きに戻ります。 心地よく弾むような演奏、曖昧さがないのにも好感が持てます。 そして弾力を持った響きとしてクライマックス、この頂点を築いて、丸ぁるく弾いての着地もまた素敵でした。

第3曲「メヌエット」、オーボエ、クラリネット、コールアングレによる活き活きとした導入、そして透明感の高いヴァイオリンへと移ります。 音楽がうまく伸び縮みしていて、しみじみとさせるヴィオラ、ファゴットの長閑な響きへと続きます。 小西さん、身体全体を使って表現していらして、それが客席から見ていても分かり易く、指揮を見ていると、それに合わせて客席にいても音楽に乗ってゆけるような感じがします。 もちろんオケがそれを実現しているからなので、オケも見事です。 そして懐かしさを含んだ音楽が柔らかく弾かれてこの曲を終えました。

第4曲「バレエ」、小西さんが集中力を高めて振ると、上質な弦楽アンサンブルが流れ出しました。 管楽器が加わり、柔らかな響きのまま軽快に進みます。 小西さんの動きが鋭くなって、覇気のある音楽に。 でも楽しい響きが満載です。 耳に馴染み易い音楽は古き良きディズニー映画の音楽みたいな感じ。 小西さんの動き、ほんと見ているだけで音楽を楽しんでいるのがよく伝わってきます。 そしてオケもまたとてもよく纏まった演奏で応えていて、上品で落ち着いた雰囲気があります。 そんな軽やかな響きを小西さんが右手を高く上げ、全曲を閉じました。

失礼ながら橿響からこのような響きが醸し出されてくるとは、ちょっと吃驚。 小西さんと橿響、とても良い組み合わせじゃないかと思ったしだいです。

20分間の休憩、席でアンケートを書きながら開演を待ちます。 途中コントラバス奏者の方々が出てこられてチューニングをされていたみたい。 準備が整ったらまた楽屋へと戻ってゆかれました。 定刻、金管奏者の方を先頭に整列入場。 7-8-4-8-4 の通常配置で席につきます。 先ほどとはまた別のコンミスが登場。 チューニングを行い、席に着きます。 指揮者の小西さん、ほほに笑みをたたえてゆっくりと歩いて登場。 深々とした礼も先ほど同じです。 始まります。

シューベルトのグレート交響曲。 冒頭こそアンサンブルに隙間を感じましたけれど、尻上がりに調子に乗せてゆき、最後は躍動感を持ったダイナミズムの大きな音楽になりました。 小西さん、独特の動きが更に拍車がかかり、フレーズの最後を伸ばしたり、テンポを揺らしたり、緩急つけたりと、9月に聴いたアンサンブル・フロイントを指揮されたグレートも彷彿とさせました。 フロイントでは先鋭的でしたけれど、橿響は時に底力のある暖かな響きで応えて健闘。 堂々とした演奏は立派でした。 大きな拍手を贈りました。

第1楽章、ホルンの方を向いた小西さん、ゆっくりと丁寧に振り始めます。 長閑なホルンの響きですが、少々緊張気味な様子での始まり。 弦楽アンサンブルが、これまたゆっくりとなぞるように続きます。 この遅さは小西さんの解釈ですね。 たっぷりとした響きなのですが、アンサンブルに少々隙間を感じたりもします。 オケ全体がまだ緊張しているようにも感じましたが、金管が入って堂々とした音楽となりました。 しかしここでも小西さん、丁寧に響かせていて、時にはフレーズの最後を歌わせながら進ませます。 そしてまた金管が入って今度はもっと堂々とした感じ。 小西さん動きが次第に大きくなって、オケも熱気を孕んできたみたい。 遅くなる部分はより遅く、速くする部分は堂々とさせたメリハリの良くついた演奏となりました。 ようやく本調子かしら。 流れに乗って進み、終結部では更にオケの響きに弾力と伸びが出てきました。 ぐいぐいと力が入って畳み掛ける小西さん、オケも堂々とこれに応えています。 最後はスピードをぐっと落とし、ふわっと流すようにしてこの楽章を終えました。

第2楽章、明るく響く中低弦の響きによる開始、これに乗ってオーボエが凜とした響きで旋律を奏でます。 寄り添うクラリネットも明るい響き。 弾くような弦アンサンブル、叩き付けるようにしながらも堂々としてキレの良いアンサンブルが魅力的。 第2ヴァイオリンがゆったりとした旋律、たっぷりとしています。 でもどこか風情を感じさせる味わいのある演奏、これが橿響の魅力でしょう。 オーボエに導かれた主題、軽やかにゆっくりと戻し、小西さんがこれをスパっと切って落として弾力ある響き。 タイトに吹く金管、ぐいぐいと力を入れてティムパニの重い響きのロールで頂点、今度はテンポをぐっと落とし、まるで軟体動物のような感じで進めて面白いなぁ。 そしてエンディングもまたぐいぃぃっと力をこめた起伏の大きな音楽として盛り上げ、これをすぅっと退いて止めました。

小西さん、汗を拭いながらいったん指揮台から降り、客席から見えないように台の向こう側に置いたペットボトルで水分補給。 フロイントの時と同じですね。

第3楽章、集中力を高め、小西さんのハナ息とともに底力のある弦楽アンサンブルが流れます。 さっと翻した軽やかな木管、そしてタイトな金管をアクセントにして歌います。 弦楽アンサンブル、各パートが歌いあって絡みあい、とてもいい感じです。 木管の活き活きとした響きとのつながりもスムーズで心躍らされます。 小西さん、アクションつけてぐぃぐぃと力を込めてゆきます。 中間部の前の休止はほとんど止めずにつなぎます。 ここではテンポをぐっと落とし、じっくりと音楽を慈しむよう。 端正な響きの木管もまたゆったりと歌っていました。 主題を戻してまたぐいっと力が篭りますが、ここでも弦の分奏よろしく、木管も爽やか。 小西さん、緻密に響かせながらも、全体を大きなうねりに乗せた音楽として歌わせています。 ここでの終結は畳み掛けるようし、堂々と止めました。 素晴らしい演奏でした。

第4楽章、さっと振ってハリのあるトロンボーン、トランペットの輝くような響きを伴ってパワフルに始まりました。 小西さん、身体を左右に大きくゆすり、躍動感を出しながら進めます。 そしてキレよく止め、オーボエの清楚な響きを覗かせたアンサンブルをまた徐々にスピードアップ。 ぐいぐいと進めて、金管、そして重い響きの打楽器も加わえて頂点を築いたあと自然な減衰。 今度はゆったりと木管を歌わせたあと次第にまた高めて、堂々としたトロンボーン。 起伏が大きく、緩急をつけた音楽、小西さんってロマン嗜好なのでしょうね(想像ですが)。 好きですこのような音楽。 そして今度はタイトに盛り上げるとタテ乗りのリズム。 集中力を高めて駆け出し、躍動感を持ったダイナミズムのある演奏が畳み掛けてきます。 小西さん、音楽大好きのやんちゃ坊主のように動きみたい。 でもしっかりとオケから堂々とした重量感ある響きが返ってきて熱演です。 フィナーレもまた堂々とし、ゆったりとした響きが伸びやかでもあります。 タイトな金管を挟み、でもとても落ち着いた底力のある響きでの着地。 全曲を閉じました。 大きな拍手を贈りました。

この演奏でもまたこれまでの橿響の響きとはちょっと違う種類の熱い響きが聴かれたように思いました。

そしてアンコールはロザムンデから舞踏音楽第2番。 ちょっと緊張感のあった前2曲とは少々趣が違い、オーケストラの方々も緊張が取れたようですね、音楽がもっと伸びやかになっていたようです。 小西さんとともに演奏を楽しんでいらしたのではないでしょうか。 舞踏音楽らしく一緒に踊りたくなるようなワクワク感が素敵。 そしてその余韻を持っての家路となりました。 外は寒い風が吹いていましたけど、橿響の暖かで熱い音楽が心に残ったいい演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。