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グリーン交響楽団 第19回定期演奏会

熱く渦巻くベートーヴェン戻る


グリーン交響楽団 第19回定期演奏会
2007年11月24日(土) 16:00  いたみホール

伊福部昭: 交響譚詩
ドヴォルザーク: 交響詩「水の精」(4つの交響詩より)
ベートーヴェン: 交響曲第7番イ長調

(アンコール)ベートーヴェン: トルコ行進曲

指揮: 今西正和


覇気ある響きによるベートーヴェンの交響曲第7番、決して勢い込まず、しっかりとした響きで最後まできちんと纏めた今西さん、そしてオーケストラに熱い拍手を贈りました。

超満員で熱気ある客席、補助席を出しても足りず、2階席の通路に座る人もいました。 そしていずれの演奏もまたそんな熱気を受けて熱く渦巻くようでした。

第1曲目の伊福部昭の交響譚詩、パワフルで機動力のあるオケの響きがストレートにぐいぐいと押し寄せてきた感じ。 個人的にはもっと土俗的な響きで演って欲しかったのですけれど、でもこの演奏はゴージャスな響きもして、ドラマティックに進む演奏が面白く、楽しみました。 蛇足ですが、ホールに入りきれなかったお客さんのためでしょう、2階席後方のドアが開いたままで演奏が始まり、最後までドアが開いたまま。 直接音が多くて少々疲れやすい響きがしたようにも感じました。

ドヴォルザークの交響詩「水の精」、活づいた演奏、艶やかに響く弦楽器による、磨き抜かれたインターナショナルなドヴォルザークといった感じ。 しみじみとさせる部分でも熱気を孕んでいたようです。 そしてパワフルで機動力のある響きはここでも健在。 馴染みやすい旋律をくり返しつつ、緻密に響かせては堂々と盛り上げる。 そんな繰り返しがちょっとワンパターンにも思えもしましたけれど、最後まで切れることのない高い集中力を持った演奏が見事でした。

そして休憩を挟んでメインのベートーヴェンの交響曲第7番、常に落ち着いたテンポで進めていた今西さん。 それを受けたオケが、熱気も十二分に醸し出した素晴らしい演奏でした。 しっかりとした構成感を持った堂々とした演奏に大きな拍手を贈りました。 機動力でぐいぐいと引っ張った感じの前2曲と違い、しっかりとした熱い響きが特徴的。 のだめブームですが、それとは全く無縁の堂々とした落ち着き、ハリのある響きに満ちていました。 終楽章でも決して勢い込むことのない丁寧な響きでの高揚感の素晴らしさが印象に残りました。

演奏終了後、木管楽器奏者の方々のこぼれるような笑顔、よく演ったぁ〜、そんな満足感を覗かせた表情もまた印象的な演奏会でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

暖かな日差し、郵便局と銀行経由で駅まで急いだこともあり、汗をびっしょりとかいて電車に乗りました。 もうちょっと余裕を持って家を出たら良かったですけどね。 とにかく大阪に出るポカポカ陽気の電車の中で睡眠補給をして体調を整えます。 今日はダブルヘッダーですしから。 梅田でJRに乗り換え、ホールには開演15分前に到着。

警備という物々しい腕章をつけたおじさん達がいっぱいいて、ちょっと怪訝に思いながらホールに入ると理由が分かりました。 15分前なのに、ほとんど満杯じゃないですか。 最初から2階席狙いなのですが、ここも既に7〜8割近くが埋まってます。 それでもまだ余裕のあった後ろから2列目の通路側 30-28 を確保したのはラッキーでした。 続々とお客さんが詰め掛けてきて、ここもすぐに満席。 腕章をつけたおじさん達が通路に補助イスを出しても間に合わず、空き席を見つけて誘導するも焼け石に水。 この状態のまま5分前のアナウンスがあり、整列入場が始まりました。

編成は 12-12-10-9-7 の通常配置で席に着きます。 ステージに照明がともされてコンマスによるチューニングを実施。 お客さん、まだ詰め掛けていて、2階席の後方やサイド出入り口付近にも大勢立っておられます。 燕尾服を着た指揮者の今西さんがにこやかに登場、コンマスと握手をして一礼、始まります。

伊福部昭の交響譚詩、パワフルで機動力のあるオケの響きがストレートにぐいぐいと押し寄せてきた感じ。 個人的にはもっと土俗的な響きで演って欲しかったのですけれど、でもこの演奏はゴージャスな響きもして、ドラマティックに進む演奏が面白く、楽しみました。 蛇足ですが、ホールに入りきれなかったお客さんのためでしょう、2階席後方のドアが開いたままで演奏が始まり、最後までドアが開いたまま。 直接音が多くて少々疲れやすい響きがしたようにも感じました。

第1譚詩、今西さんの鋭い動きから引き締まった響き。 弦の響きには深みもありますが、躍動感があって軽快に走ります。 元気の良い響きなのですが、いささか潤いが少ない・・と思っていたら、2階席後方のドアが開放されてます。 演奏もまたパワーと覇気のある響きがストレートに伝わってきて、機動力でぐいぐいと押してくるような感じ。 木管は端正でストレート、トランペットなども突き抜けてくる感じだったかな。 土俗的な感じではなくて、機能的な響きががっちりと組み合わされた迫力ある演奏。 トロンボーンとチューバが加わったパワーのある音楽は、まるで重戦車が進むかのよう。 ティムパニもカッコ良く打って止めました。

第2譚詩、オーボエが艶やかな音色で聴かせます。 落ち着いた低弦アンサンブルを支えていて、高音弦もまた落ち着いた雰囲気なのですが、どこか熱気を孕んでいる感じ。 フルート始め各ソロも深い輝きを持っているのですがやはり熱気あるかな。 しかも低弦がゴウゴウと鳴っていたりもするので、落ち着いていながらもゴージャスな響きが湧き上がってくるような感じでもあります。 そして力が漲ってくると鋼のような響き、機動力を感じさせます。 少々気合込めすぎじゃぁ、なんて思ったりもしましたが、巧い演奏には違いありません。 うん。 最後はコールアングレがしみじみとさせながらもドラマティック、静かに消え入りました。

後ろのドアが開いていたからでしょうか、全体的ストレートな感じの音が飛んできた感じ。 個人的にはもうちょっとドロドロした土俗的な感じが好みでしたけど、これは開放されたドアが影響していたのかもしれませんね。 でも機動的なゴージャスな響きもなかなか面白く、楽しみました。

管楽器メンバーがシフト、コントラバス奏者の方が楽屋にスコアを取りに戻っていたかな。 この間にも警備のおじさんが空席を見つけてはお客さんを誘導。 でも既に2階席の通路に座っている人もいたりして、消防法でお咎めが来ないかなぁ〜 なんて他人事ながら心配したりもしてました。 とにかくステージで 12-12-10-10-7 の編成で揃ったようです。 コンマスによるチューニングを実施して準備完了。 今西さんが出て来られて、堂々と会釈されて始まります。 2階席後方のドアはまだ少し開いているようですが、ほとんど締まったようです。

ドヴォルザークの交響詩「水の精」、活づいた演奏、艶やかに響く弦楽器による磨き抜かれたインターナショナルなドヴォルザークといった感じ。 しみじみとさせる部分でも熱気を孕んでいたようです。 そしてパワフルで機動力のある響きはここでも健在。 馴染みやすい旋律をくり返しつつ、緻密に響かせては堂々と盛り上げる。 そんな繰り返しがちょっとワンパターンにも思えもしましたけれど、最後まで切れることのない高い集中力を持った演奏が見事でした。

小さく振って暖かな響きの木管アンサンブル。 弦のトレモロも大きな響き、息づいた音楽で始まりました。 弦のアンサンブルは艶やかで先ほどの曲よりも潤った感じ。 いいですね。 金管は覇気があり、打楽器が加わってのゴージャスな響きで全奏。 これをすっと退いて、今度はやわらかくたっぷりとした響きとなりました。 磨き抜かれたインターナショナルなドヴォルザークといった感じかな。 そしてここでもドラマティックでストーリー性を感じさせる今西さん。 ミュージカルの指揮もされていた経験でしょうか。 盛り上がっては、収まって、また盛り上がっては、また収まって、と旋律が何度もくり返されますが、オケの集中力が全く切れません。 しみじみとさせる部分でも熱気を孕んだ演奏が見事です。 パーカッションも加わって、いっそうキレよくパワフルに。 ここでも重戦車のような機動力を感じました。 しかしこれもまた収まると、最後はトロンボーンの深い響きとともに静かに閉じました。

馴染みがない曲のせいか、繰り返しがちょっとワンパターンにも思えたりもしましたけど、曲を知らないということで許してください。

20分間の休み、席でじっとして開演を待ちます。 大勢の人なので動く気もしないのがホンネです。 ステージ上ではティムパニをバラしたり、ハープを運び出したりしています。 ところで2階席の壁面通路にも人が大勢立っていますね(演奏が始まる頃にはそこの階段に座られたようです)。 定刻となり、オケの方々が出てこられました。 今度は 14-10-10-10-7 の編成みたい。 コンマスが立ってチューニングを始めるとステージが明るくなりました。 準備完了。 今西さんが出てこられましたけど、客席の照明は落ちないみたいですね。 とにかく堂々とした今西さんの会釈が終わって登壇。 さぁ、始まります。

ベートーヴェンの交響曲第7番、常に落ち着いたテンポで進めていた今西さん。 それを受けたオケが、熱気も十二分に醸し出した素晴らしい演奏でした。 しっかりとした構成感を持った堂々とした演奏に大きな拍手を贈りました。 機動力でぐいぐいと引っ張った感じの前2曲と違い、しっかりとした熱い響きが特徴的。 のだめブームですが、それとは全く無縁の堂々とした落ち着き、ハリのある響きに満ちていました。 終楽章でも決して勢い込むことのない丁寧な響きでの高揚感の素晴らしさが印象に残りました。

第1楽章、弾力のある響きからゆっくりと丁寧に主題を呈示。 次第に力を増し、キレよく進めます。 低弦がゴウゴウと鳴ってます。 引き締まった音楽。 オーボエの響きが明るく、爽やかな高音弦、さらに低弦が絡んで、ゆっくりと響き合わせて進めます。 とてもいい感じ。 木管のアンサンブルが軽やかに絡みあい、そしてまた重厚な弦のアンサンブル。 先ほどまでの機動力も健在ですが、それとは一味違った落ち着きを感じます。 もちろんパワフルさも健在。 でも今西さん、立ち位置をほとんど変えず、上体だけでオケをリード。 インテンポで、キリっと引き締まった覇気ある響きを繰り出してきます。 金管が彷徨するクライマックス、リズムに乗せて音楽が奔流のように出てきますが、ここもまた堂々とした落ち着きさえ感じます。 素晴らしい。 終結もまたしっかりとした構成感を保って進め、力強い着地としました。

第2楽章、中低弦の響き、ハリと重量感のある響きが特徴的です。 ゆったりとしたヴィオラとチェロの旋律が艶を感じさせて、とてもいい感じ。 とにかく弦の分奏が素晴らしい。 対抗配置で聴いてみたかった、というのは蛇足ですね(すみません)。 低弦が絡んで徐々に音量を上げ、ホルンも巧く絡んで素敵。 とにかくこの後も弦と管がよく纏まっていて、たとえばトランペットがまるで打楽器のように木管の裏打ちしていたり、じつに緻密に絡んでいます。 集中力の高い演奏です。 今西さん、ここでも立ち位置を変えず、常に小さく振って集中力の高さを切らさないようにしているよう。 そして終結部の盛り上がりも勢いに乗せることなく、ごく自然にピークを形成して纏まりよく進めています。 丁寧にピチカートを回してそっと止めました。

オケの集中力の高さが客席にも緊張感として伝わったのでしょうね、楽章が終わると咳払いがあちらこちらより飛び出しました。

第3楽章、小気味良く駆け出したスケルツォ。 木管の明るい音色、軽やかなティムパニ、伸びやかで自然に盛り上がるオケの纏まり感が素晴らしい。 トリオ、ここも丁寧に進める今西さん、伸びやかなホルン、そしてトランペットの響きも全体の響きに溶けた自然な盛り上がりで素敵。 そして旋律を戻し、また軽やかに駆け出しますが、弦楽アンサンブル、とくに中低弦の響きが芯になっていて、しかも柔らかさを感じさせます。 だから上品で、全奏になっても素敵な響きを醸し出すのでしょう。 これはトリオが戻ってきても同じ。 とにかく中低弦がしっかりとしているから躍動感と充足感をともにもった音楽になっていると感じました。 躍動感を持って駆けていた音楽が、集中力を高めて制動をかけて停止。 今西さん、オケと呼吸を合わせてアタッカで繋ぎます。

第4楽章、弾力のある響きにトランペットの輝き、覇気を感じさせながらも落ち着いた開始となりました。 弦楽器が歌う舞曲で進め、ホルンの斉奏、これもパワーを感じさせますが、やはり落ち着いた感じの盛り上がり。 ティムパニは常に冷静な打音を聴かせています。 今西さん、沈着冷静に曲を進めてゆきます。 オケも集中力高く、今西さんにしっかりと付いてゆき、決して勢い込むことはありません。 熱気を孕んでしっかりとした演奏を展開。 弦の分奏、ここもまた素晴らしかったですね。 低弦が底力のある響きでうねるようなら、高音弦が旋律を巻き込むように絡み、怒涛の盛り上がりへと導きます。 そして咆哮するホルン、高らかに鳴るトランペット、これらの響きすべてが渾然一体となった盛り上がり。 前2曲では少々イケイケドンドンに思えたりもしましたが、ここではしっかりとした構成感を保った熱い音楽。 整然と進む迫力が素晴らしい。 フィナーレ、更に輝かしさを増した熱い響き、これが引き締まっていて身体が熱くなりました。 最後は今西さんの腕が右下から左上に大きく振り上げて開放。 全曲をまとめました。

気迫のこもったブラボーの声とともに熱い拍手がホールに満ちました。 ステージ上の団員さん達には笑顔も覗き、中でも木管楽器奏者の方々のこぼれるような笑顔、よく演ったぁ〜、そんな満足感でしょうね。 世間では「のだめブーム」、あちらこちらでこの曲が演奏されています。 正直なところ、そんなブームに乗って、イケイケドンドンの演奏じゃないか、そんな風に少々後ろ向きに考えていたのですが、しっかりとした構成感と高揚感を持った素晴らしい演奏に満足しました。
来年は20周年、常任指揮者の高谷さんの指揮でマーラーの交響曲第5番だそうです。 今から楽しみです。 とにかく皆さんお疲れさまでした。