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かぶとやま交響楽団 第36回定期演奏会

火傷しそうなほどに熱いチャイコフスキー戻る


かぶとやま交響楽団 第36回定期演奏会
2007年11月24日(土) 18:30  伊丹アイフォニックホール

ロッシーニ: 歌劇「シンデレラ」序曲
ストラヴィンスキー: 交響曲 ハ調
チャイコフスキー: 交響曲第5番ホ短調op.64

指揮: 中村晃之


かぶとやま交響楽団らしい気鋭の演奏会、人数を刈り込んだオケらしい躍動感とキレの良さ、そして火傷しそうなほどに熱い演奏に疲れを忘れて聴き入りました。

まずはロッシーニの歌劇「シンデレラ」序曲、引き締まった響きに覇気があります。 落ち着いた響きから軽快に進めてゆき、ぐるぐると腕を回した2回のロッシーニ・クレッシェンド。 ここでの推進力が素晴らしい。 思わず身を前に乗り出すようにして聴いていました。 そしてこれまで意識したことはなかった洒脱な旋律も見え隠れ。 何となくモーツァルトを思い起こさせたりもして面白く聴かせてもらいました。

ストラヴィンスキーの交響曲ハ調、普段使わない脳ミソを刺激してくれるような躍動感のある演奏。 中村さんの指揮を見、オーケストラの奏者の方々の動きも眺めながら、無理に音楽を分かろうなんてせず、ただリズムに乗って楽しめればそれで良し、そんな風に思い、見て聴いていました。 小編成のオケなので、時に雑音が聞こえたりもしましたけれど、でもやはり実演が面白い曲ではないでしょうか。 活きた音楽を楽しみました。

そして休憩のあとのチャイコフスキーの交響曲第5番、学生オケの定番ナンバーで全力投球で盛り上がる曲ですが、パンフレットには小編成オケによる少し「大人」の演奏をするのだとか。 でもやはり中村さんのダイナミックな動作、キレが良くて熱い演奏は期待どおり。 確かにパンフレットに書かれたように、小編成のオケ独特の洗練された響き、見晴らしの良さ、特に弦楽器の分奏に素晴らしさを感じましたし、随所に聴かれた管楽器の響きも新鮮でしたけれど、火傷しそうなほどに熱く突き刺さってきた演奏は予想を遥かに超えていて、ノックアウトされました。 やっぱり大人の全力投球だったと思います。 入魂、気合入ってました。

ダブルヘッダーの2試合目でしたが、疲れも何もかも忘れて楽しませていただきました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

いたみホールのグリーン交響楽団の演奏会が終わってから、本日2つ目の演奏会となります。 いわゆるダブルヘッダーの2試合目。 1試合目のいたみホールのロビーで、知り合いのアマオケ奏者さんより、元気やなぁ、などと言われたりもしましたが、実はいろいろとあってあまり元気沸かないのですけどね、かぶ響の演奏を聴かずに帰ることは出来ません。 一人別れて同じ道路沿いにあるアイフィニックホールへと移動。 ホールに到着したらちょうど開場されたばかりでした。

階段を登って客席に中に入ってから思い出し、またロビーに出て左サイドの2階席へと向かいました。 ここの最上段 L1-11 が楽ちんでお気に入り。 足元が広く、さっそく靴を脱いでリラックスさせていただきます。 時間もあるのでパンフレットを読みながら開演を待ちます。 年齢とともに横着になっているので、眼鏡をかけて読む気力が沸かないことも多いのですけれど、このオケのパンフレットには演奏上のヒントも書いてあったりして勉強になりますね。 今回のチャイコフスキーは少し「大人」の演奏なのだとか、期待が膨らみます。

予鈴が鳴って1階席を見ると、7割程度の入りでしょうか。 両サイドはパラパラっと入っている感じ。 ステージが照らされて整列入場となりました。 7-6-6-4-4 の編成による対抗配置。 コンマスによる入念なチューニングを行い、準備完了です。 指揮者の中村さんが引き締まった表情でゆっくりと歩いて登場。 ポーカーフェイスのままコンマスと握手をして一礼、指揮台に登って始まります。

ロッシーニの歌劇「シンデレラ」序曲、引き締まった響きに覇気があります。 落ち着いた響きから軽快に進めてゆき、ぐるぐると腕を回した2回のロッシーニ・クレッシェンド。 ここでの推進力が素晴らしい。 思わず身を前に乗り出すようにして聴いていました。 そしてこれまで意識したことはなかった洒脱な旋律も見え隠れ。 何となくモーツァルトを思い起こさせたりもして面白く聴かせてもらいました。

左手に指揮棒、右手を添えて目の前で水平に構え、中村さんのハナ息とともに和音が流れ、そして勢いのある弦楽アンサンブルへと続きます。 落ち着いた響きながらも軽快に駆けてゆき、中村さんのハナ息で手綱な引き締められて休止となります。 そしてまた軽快に走って、またハナ息で止まる。 そんな明るく潔い音楽が心地良く、まさにロッシーニ風かしら。 でも垣間見える洒脱な響きはモーツァルト? そんな風に思って聴いていると徐々に楽器を増やしてゆくクレッシェンドとなりました。 中村さんの右手がぐるぐると回り、左手で手綱を握ったまま盛り上げてゆきます。 小編成らしい締まった響き。 身を乗り出すようにして聴いていました。 ここを越えると綺麗なフルートの響き、ファゴットもまた素敵な音色です。 そして2回目のクレッシェンドは、左手の指揮棒を小さく回して助走。 助走がつけたらまたもや右手をまたぐるぐるっと回します。 軽やかなトランペット、そして全奏による覇気のある楽しい響き。 最後は畳み掛けるようなティムパニの打音、それとともに潔い終結としていました。

ホルンが2名から5名体制となり、トロンボーン3名にチューバ奏者、いわゆる2管編成となって入念なチューニングを実施。 準備が整うと、中村さんが先ほどと同じく引き締まった表情でゆっくりと歩いて登場して始まります。

ストラヴィンスキーの交響曲ハ調、普段使わない脳ミソを刺激してくれるような躍動感のある演奏。 中村さんの指揮を見、オーケストラの奏者の方々の動きも眺めながら、無理に音楽を分かろうなんてせず、ただリズムに乗って楽しめればそれで良し、そんな風に思い、見て聴いていました。 小編成のオケなので、時に雑音が聞こえたりもしましたけれど、でもやはり実演が面白い曲ではないでしょうか。 活きた音楽を楽しみました。

第1楽章、目の前に構えた指揮棒がサッと動き、いきなり畳み掛けるような開始。 キレ良く進めてゆきます。 オーボエが凜とした響きで歌い、弦のトレモロが不協和音を覗かせます。 そして今度はフルートと、管と弦が呼応して進み、指揮者の中村さんがオケの中央でまるで交通整理をしているおまわりさんみたいにキビキビとした動き。 こちらもリズムに乗って曲の運びに身を任せます。 フルートのアンサンブルなども面白く、色々な仕掛けもあって、普段使わない脳ミソの刺激にもなっています。 そんな心地良い刺激を受けながら、何度も打ち付けるようにした終結も楽しみました。

第2楽章、オーボエが歌い、チェロのピチカート、ヴィオラそしてヴァイオリンの旋律、叙情的に進みます。 そしてまたオーボエ、フルート、各楽器が印象的に出てきますが、なんとなく取り留めも無く、一筋縄ではいかない美しさを感じます。 次に何が出てくるのかなと、中村さんの指揮とオケを見ながら聴き進めてゆきましたが、これがなかなか面白い。 最上段からの高見の見物みたいです。 そう決め込んで聴いていたら、弦楽四重奏になりました。 そして今度はヴィオラを始めとした不協和音でしょうか。 トランペットの低く断続的な響き、緻密な弦楽アンサンブルが流れていたかと思っていたら、いきなりトランペットの楽しい旋律。 ホント一筋縄ではいかない面白さを満喫しながらオーボエが歌う旋律を聴いていたら、この楽章が終わりました。 ほんの少しのインターヴァルを取り、アタッカで続きます。

第3楽章、先の細い緑色のマレットで打つティムパニのリズム、そして覇気ある弦楽アンサンブル、軽快さと緻密さを持ち合わせていて、心地よく脳天をかき乱すような感じ。 ここでも流れに身を任せ、時には中村さんのハナ息に合わせたりしながら、リズムを取りながら聴き進めます。 見晴らしの良い演奏は小編成オケ特有。 トロンボーンのうきうきするような響きに乗り、今度はチューバもまた楽しい。 思わず膝で軽くリズムを取ってました。 トランペットとホルンのアンサンブル、弦楽器と木管も入って、響きを纏めてこの楽章を終えました。 音楽を分かろうなんて既に放棄していて、ひたすら楽しもう、って感じでしたね。

第4楽章、あえぐようなトロンボーン、ホルン、ファゴットの響きによる開始。 ハナ息とともに重厚な全奏となりました。 キレ良く響かせながら軽やかに走ります。 中村さんの動きが激しくて、右に左に、そしてハナ息。 すっくと立ち、両腕を上下にバタバタさせてぐいぐいと進める。 オケも引き締まった響きで応えています。 気持ちいいなぁ。 これが収まってホルンのまろやかな響き、そしてまた駆け出してぐいぐいと進みます。 トランペット、クラリネットも明るい響きを聞かせながら駆けていて、ティムパニが重く張りのある打音でアクセント。 今度は中村さんのハナ息が合図になって休止。 管楽器のアンサンブルがゆっくりと奏でるなか、トロンボーンの厳かな吹奏、そして弦楽器がまたしめやかな響きを奏でて、静かに全曲を終えました。

かぶ響きらしい気鋭の演奏を堪能しました。 少々事故っぽい場面はありましたが、実演の楽しさ・面白さはまた格別ですね。 大きな拍手を贈りました。

15分間の休憩。 音楽を聴いているときは元気なんだけれど、さすがにダブルヘッダーも終盤とあって、席でぐったり。 アンケートを書いたり、パンフレット読み直したりして開演を待ちます。
定刻、左右の楽屋よりメンバーの方が出てこられました。 7-7-7-5-4 の編成、もちろん対抗配置となっています。 コンマスによるチューニング。 これが終わってコンマスが席につくとしばらくして中村さんが登場します。 1階席のお客さんは8割程度の入りでしょうか。 いよいよメインの曲が始まります。

チャイコフスキーの交響曲第5番、学生オケの定番ナンバーで全力投球で盛り上がる曲ですが、パンフレットには小編成オケによる少し「大人」の演奏をするのだとか。 でもやはり中村さんのダイナミックな動作、キレが良くて熱い演奏は期待どおり。 確かにパンフレットに書かれたように、小編成のオケ独特の洗練された響き、見晴らしの良さ、特に弦楽器の分奏に素晴らしさを感じましたし、随所に聴かれた管楽器の響きも新鮮でしたけれど、火傷しそうなほどに熱く突き刺さってきた演奏は予想を遥かに超えていて、ノックアウトされました。 やっぱり大人の全力投球だったと思います。 入魂、気合入っていました。

第1楽章、重い響きのクラリネット、弦楽アンサンブルも暗澹とした表情での上々の滑り出し。 引き締まった響きであるのはこれまでと同じ、少し休止をとってタメを作り、低弦の底力のある響きも導き出します。 クラリネットとファゴットによる主題が呈示され、弦楽器が加わっても見晴らしの良い、覇気ある演奏ですが、次第に渦巻くように盛り上がってゆきました。 そしてハガネのような強靭な響き。 中村さん、全身を使ってオケから響きを搾り出すようにして進めます。 普通ならば弦楽器群の影に隠れているような管楽器の響きにも気付きます。 そしてコンパクトに打つティムパニ、引き締まって迫力ある金管を伴ったピーク。 迫力あります。 しかもソリッドに畳み掛けてきて、いきなりノックアウト。 大人数で押すのとは違って、精鋭が少人数で迫ってくる方がかえって迫力あるかもしれません。 ピチカートも強靭な響き、オケ全体が打ちつけるような感じでぐいぐいと力を込めて進んで、圧倒。 ようやく最後は歩くように減衰して、低弦の呻くような響きで止まりました。

第2楽章、ヴィオラの渋く張りのある響き、弦楽アンサンブルがうごめくようでもあります。 ホルンによる主題の呈示は抑制かけそこなってしまったのかたどたどしく進んだのが意外。 クラリネットの凜とした響き、オーボエが可憐な響きで絡みます。 低弦、そして中音弦の絡みが素敵。 とにかく弦の分奏が素晴らしくて、更にオケの響きも渾然一体となった集中力の高い演奏です。 哀しみが駆り立てられるように、クラリネット、ファゴットと次々と絡み合い、渦巻くように盛り上がります。 そして打楽器、金管の強奏によるピーク。 ここも迫力満点。 これを越えるとまた想いのこもった響き、そしてピチカートもたっぷりとしています。 燃えるように熱い弦のアンサンブルですが、解剖図を見るかのように、曖昧な部分はなく、怒涛のようなピークでさえも分離がはっきりとして落ち着きを感じます。 最後はクラリネットのゆったりとした静かな音色で着地。 ちょっと長めに伸ばしていたかもしれません。

第3楽章、中村さんが第1ヴァイオリンの方を向いて振り、甘いメロディを導き出します。 ここも弦の分奏が素晴らしかった。 オーボエ、クラリネット、ファゴットが旋律を受け継いでゆく後ろの弦のアンサンブルを堪能。 音楽が駆け出しても、各楽器がよく聞こえて見晴らしが良く、これをまた上から見ているので、旋律が回るのを目でも追いかけながら聴き進みます。 ヴィオラの奮闘ぶりが目立っていたようです。 そしてまた駆け出し、どんどんとスピードを上げてフィナーレへ。 ここではファゴットの音色にうっとり。 そして思いっきり力を込めたハガネのような強靭な響きでこの楽章を閉じました。

第4楽章、大きく腕を広げた中村さんがたっぷりとした序奏を導き出します。 小編成とは思えない響きの広さと深さ。 威厳を持って進めます。 トランペット、トロンボーンが入り、弦楽器が渦巻くようになった小さな盛り上がり。 更に進んでティムパニのロールからぐいぐいと力が篭もります。 タイトな響きが整然と進み、金管が加わって更にヒートアップ。 中村さん左手を激しく上下に振って盛り上げて、グーにした右手を高々と挙げてホルン、そしてクラリネットの強奏。 指揮台の上を所狭しと動く中村さん、たっぷりとさせるところでは大きく速度を落とし、盛り上がる場面ではスピードアップ。 大きな緩急と強弱をつけているようです。 オケはどんなに強奏になっても見晴らしの良さが衰えることなどなく見事。 火傷しそうなほど熱い偽休止の盛り上がり。 その頂点を極めたあと、止まらずに雪崩込みました。 堂々とした旋律が歌い、たっぷりとした響きに満ちた音楽。 これに熱気と迫力がこみ上げてくると、中村さん、カクカクッとしたロボットのような動きで盛り上げます。 うずくまる様にしたかと思うと今度は伸び上がり、バタバタを両腕を上下に振って壮大なコーダを形成。 失礼ながら、ロボコップみたい、そんな風に思ってしまいましたが、とにかく力強くも輝かしいフィナーレとして全曲を閉じました。

パンフレットには小編成オケによる少し「大人」の演奏なんて書かれていましたが、結局はかぶとやま交響楽団らしい熱い演奏で、人数を刈り込んだ躍動感、キレの良さ、そして今回は火傷しそうなほどに熱い演奏に疲れを忘れて聴き入りました。 これほどの熱い演奏のあとにはアンコールは不要でしょう。 こちらも熱く大きな拍手を贈って会場を後にしました。 皆さんお疲れさまでした。