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関西大学交響楽団 第59回定期演奏会

関大オケらしい熱気に満ちた演奏会戻る


関西大学交響楽団 第59回定期演奏会
2007年12月8日(土) 19:00 吹田市文化会館メイシアター・大ホール

ウェーバー: 歌劇《魔弾の射手》序曲(*1)
チャイコフスキー: 組曲《白鳥の湖》(*2)
チャイコフスキー: 交響曲第4番ヘ短調op.36

指揮: 竹本泰蔵、松本裕太(学生,*1)、平尾真江(学生,*2)


関大オケらしい熱気に満ちた演奏会を楽しみました。 なかでもチャイコフスキーの交響曲第4番のフィナーレ、指揮者の竹本さんがアッチェランドをかけると、物凄い勢いで弾くヴァイオリンに目を見張りました。

冒頭のファンファーレから、落ち着きと迫力、きりっと纏まった弦楽器、十分に熱い演奏でありながらもしっかりと纏まっていて、これは素晴らしい演奏だ、と思いながら聴き進めていたのですけれど、このフィナーレで完全にノックアウト。 金管ファンファーレの纏まりの良さは最後まで全く崩れることなく、打楽器の迫力、それに負けない弦楽器の熱い演奏を目の当りにして興奮しました。 言葉がありません。 あの場所、あの時間に居た者だけが共有できた素晴らしい時間でした。 演奏終了後に見せた奏者方々の屈託のない笑顔、関大オケらしい熱い演奏に大きな拍手を贈りました。

学生指揮による演奏もいつも楽しみにしていますが、こちらもいつもながらの学生とは思えない見事な演奏。 どちらも超有名曲なのに、堂々とした演奏で会場を魅了していました。

まずは正指揮者の松本裕太さんによるウェーバーの「魔弾の射手」序曲、いつもながらのスムーズな動きには迷いを感じさせません。 ちょっと不安定な響きが出た楽器もありましたけれど、全く動じることのない指揮で最後まで纏め上げた手腕。 せめぎあいの表現も見事なら、フィナーレの柔らかな全奏も素晴らしかった。 知らない人が見たらプロの指揮者だと思えるカッコの良い動きは、いつ見ても納得させるものがあります。

そして副指揮者の平尾真江さんによるチャイコフスキーの組曲「白鳥の湖」、小気味良い振りにオケの好サポートも得て聴き応え十分。 こちらもとても納得度の高い演奏でした。 平尾さん、立ち位置を全く変えずに右腕をきちっと上下に振ってリードするのが基本ですが、一見この単調な動きから、驚くほどの表現の豊かさが聴こえてきて、おおっ、と唸らせられました。 弦と管楽器のブレンドも見事、落ち着きのなかにも活気ある音楽には自信も漲っていたように感じました。 そして演奏後に振り返ると、初々しくこぼれるような笑顔も可愛らしくて、このギャップも不思議な魅力でしょうか。

会場は立ち見も出る超満員で、関大オケらしい熱気に満ちた演奏を楽しませていただきました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

朝9時前、湯河原を出発、熱海で新幹線こだまに乗り、浜松でひかりに乗り換えて13時半に奈良の自宅に到着。 前夜は湯河原で忘年会だったので、二次会も当然のごとくありましたけど、このところの睡眠不足を補うべく不参加を決め込んで早々に就寝。 おまけに、早朝は6時から1時間近く温泉にも浸かって体調の回復に努めました。 忘年会で体調回復とは珍しいパターンでしょう。 自宅でまた休息をとってから吹田に移動となりました。 夜の演奏会って、最近少々しんどいことが多いのですけど、珍しく体調万全での参戦となりました。

開演25分前、ホールに到着。 2階席の中央通路後の席を目指して階段を上り そ-35 を確保しました。 中央ブロックながら右端、いつもながら大勢のお客さんが詰め掛けていて、最終的には立ち見も出る盛況ぶり。 若者が多いのも特徴ではないでしょうか。 ホール内にはすでに熱気が渦巻いている雰囲気です。

定刻、席を探して2階席でもウロウロとしているお客さんがいて気付きませんでしたが、パンフレットを読んでいた目を上げてステージを見ると、すでに団員の方が座っていたのには驚きました。 慌ててパンフレットを片付け、こちらも聴く体勢を整えます。 コンミスが登場してチューニングを開始。 まだ目の前をお客さんが行き来してて落ち着きませんが、階段にも座る人も出てきて、チューニングが終わる頃にはようやく落ち着いたかな。 オケは 14-14-11-10-8 の通常配置です。 さて準備万端整いました。 長身でスラリとした学生指揮者、今回が正指揮者として最後のステージになる松本裕太さんが登場して始まります。

ウェーバーの「魔弾の射手」序曲、いつもながらの松本裕太さんのスムーズな動きには迷いを感じさせません。 ちょっと不安定な響きが出た楽器もありましたけれど、全く動じることのない指揮で最後まで纏め上げた手腕。 せめぎあいの表現も見事なら、フィナーレの柔らかな全奏も素晴らしかった。 知らない人が見たらプロの指揮者だと思えるカッコの良い動きは、いつ見ても納得させるものがあります。

小さく身体の前で振り、湧き上がってくるような自然な響きの増幅。 高い集中力が必要でしょうが、見た目は実にリラックスした動き。 でも続くホルンは緊張を隠せなかったようですが、弦楽器のゆらめくようなトレモロが息づいています。 キレよく力を入れて場面転換、ティムパニの重い響きが効果的、ここでのホルンには重量感があって挽回して余りありますね。 そして艶やかな音色の高音弦、張りのある低音弦の響きでぐいぐいと進め、しかも押さえ込むような感じでのパワフルさもよく出ています。 そしてせめぎあう場面も見事に表現した堂々たる演奏。 これを止め、ぐっと前に踏み込んで、全奏。 パワフルだけど角の取れた柔らかさがあって素晴らしい。 重いティムパニの打音、艶やかな弦楽器の響きに管楽器の華やかさをブレンドした演奏に納得させられました。 そして伸ばした左腕、手首をくるっと返しての着地もカッコ良く決ってました。 堪能させてもらいました。

いったん全員が退場。 しばらくして左右より整列入場して 13-12-10-9-7 の編成となりました。 コンマスによるチューニングを実施して準備完了。 続いて小柄な副指揮者の平尾真江さんが登場して始まります。

チャイコフスキーの組曲「白鳥の湖」、小気味良い振りにオケの好サポートも得て聴き応え十分。 こちらもとても納得度の高い演奏でした。 平尾さん、立ち位置を全く変えずに右腕をきちっと上下に振ってリードするのが基本ですが、一見この単調な動きから、驚くほどの表現の豊かさが聴こえてきて、おおっ、と唸らせられました。 弦と管楽器のブレンドも見事、落ち着きのなかにも活気ある音楽には自信も漲っていたように感じました。 そして演奏後に振り返ると、初々しくこぼれるような笑顔も可愛らしくて、このギャップも不思議な魅力でしょうか。

情景、両腕ですくうようにして活きの良い響きを導き出します。 オーボエの端正な響きにハープが絡み合って綺麗。 落ち着いた盛り上がり、耳慣れた曲なのでかえって難しいと思いますが、堂々と進めてゆきます。 振りを見ていると単調な上下動に見えるのですが、自然と減衰する音量、迫力をもったサウンドに耳を奪われました。

ワルツ、よく揃った弾力あるピチカートによる開始。 柔らかなコントラバスに乗り、暖かさを醸し出すヴァイオリン、しなやかな上下動とちょっとかしげる首でリズムをとって丁寧に進めます。 オケのメンバーも好演で演奏をしっかりと支えています。 軽やかで柔らかなフルート、クラリネット、そしてトランペットも甘い響きが素敵でした。 熱がこもっているけど、角の取れた響きで歌わせ、最後は左腕をぐるりと大きく回して止めました。

4羽の白鳥の踊り、ファゴットのコミカルなリズム、オーボエのチャーミングな響きがとても素敵なのですが、弦楽器も艶やかな響きによるアンサンブルで好サポート。 平尾さん、オケの皆に好かれているんだろうなぁ、そんな風に思えた演奏でした。

情景、落ち着いた木管楽器の響きにハープのカデンツァが綺麗。 しばし聞き惚れました。 ヴァイオリンのソロ、甘く切なく響きます。 そして木管の柔らかな響き、チェロやヴィオラのピチカートが優しい響きで絡みあって進みます。 ほんと木管楽器の響きが素敵やなぁ〜と思っていたらヴァイオリン・ソロが甘い響きで戻ってきて、チェロがもっと柔らかな響きを聴かせてくれました。

ハンガリーの踊り(チャルダッシュ)、華やかなトランペットの響きですが、落ち着いた曲運びは変わりません。 弦楽器がしっとりとしています。 緩やかなテンポからしだいにスピードを上げ、力もこもってきました。 コンパクトに打つティムパニ、パーカッションが素敵に響き。 落ち着いていて、とてもよく纏まった音楽が優美に舞っていたのを、平尾さんの左腕が大きく回って止まりました。

情景、弦楽アンサンブルの艶やかな響きに、フルートなど木管が呼応。 平尾さん、右腕を使って力を込めます。 しかし、すっと退いてまたチャーミングな木管、弦楽器の分奏もまた見事で、また力を込めると更に引き締まった盛り上がり。 ホルンの力強い斉奏、トロンボーンも呼応、勘所良く入るパーカションと畳み掛けます。 雄大なホルンの響きが弦楽アンサンブルにもよくマッチしていて素晴らしい。 そしてこの雄大な響きのまま着地、全曲をきりっと纏めました。

平尾さん、ヴァイオリンとチェロのトップ奏者と握手をして嬉しそうです。 誰もが知る有名曲を指揮してのけたのに、初々しくこぼれるような笑顔が可愛らしくてギャップを感じてしまいました。 じつはなかなかの豪腕の持ち主なのかも。

15分間の休憩。 席でじっとして開演を待ちます。 お目当ての友人の出番が過ぎたからでしょうね、客席にもちょっと入れ替わりがありましたけど、それでもまだ立ち見の方もいらっしゃいます。 定刻、整列入場となります。 今度は 14-14-12-9-8 の編成ですが、先ほどまで客席に近い位置にいたチェロが内側へと移り、ヴィオラが客席側に変更されました。 コンミスが登場し、入念なチューニングを行って準備完了です。 指揮者の竹本さん、ちょっと小走りで飛び出してきて、まずオケの全員を立たせてから中央へと進みます。 コンミスと握手。 にこやかな笑顔をたたえてらっしゃいます。 さぁ、始まります。

チャイコフスキーの交響曲第4番、このフィナーレで竹本さんがアッチェランドをかけると、物凄い勢いで弾いたヴァイオリンに目を見張りました。 冒頭のファンファーレから、落ち着きと迫力、きりっと纏まった弦楽器、十分に熱い演奏でありながらもしっかりと纏まっていて、これは素晴らしい演奏だ、と思いながら聴き進めていたのですけれど、このフィナーレで完全にノックアウト。 金管ファンファーレの纏まりの良さは最後まで全く崩れることなく、打楽器の迫力、それに負けない弦楽器の熱い演奏を目の当りにして興奮しました。 言葉がありません。 あの場所、あの時間に居た者だけが共有できた素晴らしい時間でした。 演奏終了後に見せた奏者方々の屈託のない笑顔、関大オケらしい熱い演奏に大きな拍手を贈りました。

第1楽章、竹本さん両腕ですくうようにして6本のホルンが勇壮に吹き、トロンボーン、トランペットと、落着きと迫力を備えた素晴らしい序奏が開始。 張り詰めた緊張感を孕んだ弦楽アンサンブルが波打つよう。 クラリネットにより呈示される第2主題、優美さと深みを持った響き、この旋律が各木管をまわり、弦楽器も波打つように引き継ぎます。 きちっとしていて、あざといようなところなど皆無。 ああぁいい音楽だなぁ、と純粋を思えました。 そして全奏、これもまたきちんと制御された迫力があって、野放図ではありません。 勇壮なホルン、重い打音のティムパニ、低弦が筋肉質で引き締まっていて、落ち着きながらも高揚してゆく音楽に身を任せました。 第2主題がもどってファゴットの素敵な音色、ホルンも味わいのある響き、しなやかさは竹本さんの持ち味でしょう。 次第にまた力を増してのクライマックス。 堂々と落ち着いた響きながらもティムパニが打音をクレッシェンドさせて畳み掛けた終了。
あまりの熱気に固唾を飲んでいたせいか、客席のあちらこちらより咳払いが聞こえてきました。

第2楽章、オーボエの素敵な音色が流れます。 指揮棒を置いて手で振る竹本さん、端正なピチカートを添えて進めます。 チェロの柔らかな旋律、そしてヴァイオリンを波打たせるような抑揚を付けていたでしょうか。 ヴィオラもしみじみとした深みをにじみ出ていて、コントラバスのピチカートがよく届いてきました。 ドラマティックだけれども、深く落ち着いた演奏ですね。
曲調が変わって木管楽器が素敵に絡みます。 クラリネットなど語りかけるようでもあり、ファゴットの暖かな音色も素敵です。 やわらかな合奏による落ち着いた演奏のまま、そっとこの楽章を閉じました。

第3楽章、弾力のあるピチカートが湧き上がってくるようです。 リズムに乗せた息づいた音楽がとても心地よく響いてきます。 柔らかさもあって極上。 オーボエの清楚な響き、ファゴットの落ち着いた響き、そして木管アンサンブルがここでも心地よく絡みあってます。 ピッコロの愛らしく歌っていたのが素敵でした。 トランペットも柔らかな吹奏、おどけたクラリネット・・などと挙げたらキリがありませんね。 ピチカートがまた湧き上がってくるような響きを奏で、木管と素敵に絡んで力を増すと、今度は金管楽器がとろけるような柔らかさで囁きかける上品な演奏。 竹本さんが左腕を挙げて、そっと置きました。

第4楽章、アタッカで始まりますが、竹本さんが両腕を挙げて息を合わせ、集中力を高めて一撃。 熱い響きが飛び出しました。 しかしながら覇気はあっても落ち着いた響きはこれまでどおり。 竹本さん、コントラバスの方を向いて力を更に込めます。 きりっと引き締まって迫力ある演奏で、トロンボーンとチューバがまたリズムに乗ってコクのある響きだったのも印象的。 全奏になっても絶叫なんかしてなくて、ブレンドされた響きが醸し出されています。 竹本さん、大きく歌うように抑揚つけたり、強弱のメリハリをつけているようですが、そんな纏まったオケの響きが落ち着いて聴こえることもあってとても自然な盛り上がりのように感じます。 フィナーレ、ホルンの軽やかなファンファーレ、そして引き締まったティムパニのロール、徐々に音量を上げてゆきます。 ぐいぐいと乗せてゆく竹本さん、ワクワクしてきました。 ヴァイオリンの人たち、同じように揺れながら凄い速さで弾いてますね。 そんなヴァイリンを左手でさらに煽った竹本さん、アッチェランドがかかると怒涛のような動きでの演奏ですがこれまた凝縮した響きで圧倒。 華やかな金管、打楽器の引き締まった打音とも相俟ったエンディングを形成して全曲を終了。

この弦楽器の熱い演奏を目の当りにして興奮しました。 だらだらと書き綴ってきましたけど、うまく表現できた言葉などありませんね。 あの場所、あの時間に居た者だけが共有できた素晴らしい時間だったと思います。 演奏終了後に見せた奏者皆さんの屈託のない笑顔、関大オケらしい自由な空気も感じさせた熱い演奏に大きな拍手を贈りました。