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京都フィロムジカ管弦楽団 第22回定期演奏会

各楽器が波を打つように響きあう戻る


京都フィロムジカ管弦楽団 第22回定期演奏会
2007年12月15日(土) 18:30 神戸国際会館こくさい大ホール

山田耕筰: 交響曲ヘ長調
ハチャトゥリアン: 組曲「仮面舞踏会」
シベリウス: 交響曲第7番ハ長調

(アンコール)シベリウス: 叙情的ワルツ

指揮: 清水史広


指揮者の清水史広さん、全曲を暗譜で振り通し、またオーケストラも共感溢れた演奏で応えていて、どの曲も大きく波打つような素晴らしい演奏の数々。 1年を締めくくるのに相応しい演奏会でした。

まずは、1912年、山田耕筰がドイツ留学中でまだ20歳台半ばで作曲した交響曲へ長調。 この「日本人が最初に書いた交響曲」を聴きたくて長岡天神まで足を伸ばしたのですが、才気溢れる若者らしく溌剌としていて、また山田耕筰らしい馴染みやすい旋律、心の襞をそっとすくうような郷愁も感じさせた交響曲に魅せられました。 演奏もまた、オーケストラの各楽器が波を打つように響きあい、想いのよく乗った素晴らしい演奏でもあって、大いに満足しました。

なおパンフレットによると、楽譜代金で大いに苦労されたとのこと。 もっと知られて良いこのような曲が、著作権料のために阻まれていると思うと、著作権にも関わっている者として複雑な心境になります。 が、それを乗り越えて今日ここで演奏されたこと、大きく評価されて良いと思ったことを付け加えておきます。

休憩を挟み、ハチャトゥリアンの組曲「仮面舞踏会」、重厚な響きがまろやかでもあって、妖艶でかつゴージャスな演奏に心躍らされました。 とても集中力が高かったのも印象的で、指揮者の清水史広さんのもと、音量のコントロールも見事。 全5曲、この組曲をこんなにも楽しく聴けたのは初めてではないかな。 とても素晴らしい演奏に大きな拍手を贈りました。

最後はシベリウスの交響曲第7番、厳かであり、時には暖かく悠然と響き、そしてまた時には熱くもなる、凝縮した響きで満たされた演奏。 パンフレットに書かれたガイドを頼りに聴き進めましたけれど、ここでもオケの響きが常に呼応しあい、よく纏まっていたのが印象的でした。 そして最後まで素晴らしい集中力、難解なこの曲をきちんと纏めあげた指揮者、それを演じたオケの勝利でしょう。 フィナーレ、地の底から湧き上がってくるような響きに金管が入って雄大となったのをすっと切って落としたのも見事ならば、その後の静寂もまた素晴らしい演奏となっていました。

ちょっと疲れ気味、喉の奥にも痛みを感じて風邪をひきそうな感じでしたが、長岡京まで足を伸ばして正解。 いい演奏会で1年を締めくくることができました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

どこで貰ったのかな、喉の奥に違和感がありますが、手洗いとウガイの励行によりなんとか持ちこたえています。 あとは睡眠なのですが、これは大阪まで出る電車の中で補給しました。 さすがに梅田から長岡天神の間は目をつぶっていても、眠ると大変です。 それはともかく、開演15分前にホールに到着。 ホールに入ると、24列-24 を確保しました。 後ろから5列目、このホールでよく座るあたりですね。

楽屋より練習音が盛大に聞こえてきますが、予鈴のブザーとともに収まります。 だいたい7割程度の入りでしょうか。 マニアックな選曲なのでマニアックな人が多いような感じですね。 他人のことは言えませんが・・・ 定刻を告げるブザーとともにステージが照明で照らされ、オケの方が左右の楽屋より整列入場。 12-12-9-8-7 の編成でしょうか、対抗配置で席につきました。 コンミスが立ち、チューニングを実施して準備を終えると、指揮者の清水史広さんの登場。 初めて聴く方じゃないでしょうか、期待に胸が膨らみます。 オケもまた自ら立ち上がって指揮者を出迎え、清水さんがコンミスと握手をしてから客席に向かって礼をし、始まります。

山田耕筰の交響曲ヘ長調。 山田耕筰がドイツ留学中、まだ20歳台半ばで作曲した交響曲、日本人が最初に書いた交響曲」ですが、才気溢れる若者らしく溌剌としていて、また山田耕筰らしい馴染みやすい旋律、心の襞をそっとすくうような郷愁も感じさせた交響曲に魅せられました。 演奏もまた、オーケストラの各楽器が波を打つように響きあい、想いのよく乗った素晴らしい演奏でもあって、大いに満足しました。

第1楽章、序奏、雄大さを感じさせる開始、そこに金管が加わって夜明けの雰囲気を漂わせます。 日本人が最初に書いた交響曲、その夜明けともいえる感じでしょうか。 爽やかな木管を挟み、波打つような弦のアンサンブルが素敵です。 金管が加わって頂点に達すると、また波打つような弦のアンサンブル。 若者らしい才気を感じますが、心地よいテンポ、明るい雰囲気で親しみやすくもあって、いい曲ですね。 指揮者の清水さん、暗譜で振ってらっしゃいます。 たっぷりとした序奏の旋律が戻ってきて、弦と管が呼応し、想いのよくのった演奏です。 清水さんが両腕をぐいっと上に挙げて、しっかりとした着地でこの楽章を締めました。

第2楽章、ホルンと弦楽器、ゆったりと進めて、これまた爽やかな音楽が始まりました。 アダージョながら、明るい響きです。 オーボエ、クラリネットも暖かくて、どこか懐かしい旋律。 パンフレットにも書かれているように、野山を散策するようでもあり、最近流行のヒーリング、そんな感じもしました。 ゆったりとした弦のアンサンブルにフルートなどの木管が絡み、悠揚として爽やかな音楽が戻ります。 ゆったりと音楽を楽しみ、ティムパニのトレモロも静かに、そっとこの楽章を終了。

第3楽章、推進力のある弦楽アンサンブルに管楽器が加わって、力の満ちたスケルツォとなりました。 パンフレットによれば野生的な迫力と書かれてありますが、力感はありますが、角の取れた上質な響きです。 木管の暖かなアンサンブルを挟んでから弦楽アンサンブルとなりますが、各パートの分奏がしっかりと決まっています。 全体の流れがとてもスムーズ、これまたパンフレットによるとトリオを2つ持った5部形式だそうですが、とにかく聴き応え充分な演奏です。 これをさっと止め、ティムパニの静かな打音、厳かに吹く木管のあと、力強く旋律を戻して終わりました。

第4楽章、ホルンとファゴットと弦楽器、重々しい雰囲気を感じさせる序奏。 引き締まっていながらも奥行きをきちんと感じさせる演奏が素晴らしいですね。 徐々に明るさが射してきて、明るく堂々とした音楽になりました。 軽快さもあって、若い血潮が漲っているようにも感じます。 新しい日本の夜明け、そんな感じかな。 軽快に走るヴァイオリン、金管楽器が力強く加わって進みます。 才気が漲っていて、このオケの特質にもよく合っているのではないでしょうか。 スピ、ードアップしていったあと、柔らかに吹く木管でゆったりとさせてから、全奏で軽やかに締めくくりました。

なおパンフレットによると、楽譜代金で大いに苦労されたとのこと。 もっと知られて良いこのような曲が、著作権料のために阻まれていると思うと、著作権にも関わっている者として複雑な心境になります。 が、それを乗り越えて今日ここで演奏されたこと、大きく評価されて良いと思ったことを付け加えておきます。

20分間の休憩、席でじっとし、パンフレットを読んだり、チラシを眺めて開演を待ちます。 定刻となり、左右の楽屋より整列入場。 12-12-9-8-4 の編成の対抗配置で着席。 コンミスによるチューニングを行って準備完了です。 指揮者の清水さん、楽屋よりちょっと小走りで出てきて登壇、客席に向かって一礼したあと、踵を返してすぐに始まります。

ハチャトゥリアンの組曲「仮面舞踏会」、重厚な響きがまろやかでもあって、妖艶でかつゴージャスな演奏に心躍らされました。 とても集中力が高かったのも印象的で、指揮者の清水史広さんのもと、音量のコントロールも見事。 全5曲、この組曲をこんなにも楽しく聴けたのは初めてではないかな。 とても素晴らしい演奏に大きな拍手を贈りました。

ワルツ、重厚な響きが迸り出てきて、しかも波打つようにも聴こえるオケの響き。 もう一気に惹きこまれました。 流麗で、粘りつくような弦のアンサンブル、やわらかなシンバルも素敵ですね。 清水さん、ここでも暗譜。 大きく丸ぁるく振っています。 オケも底光りする響きを聴かせ、ぐいぐいと進みます。 集中力の高さ、音量コントロールも行き届いていて、低音金管楽器のゴージャスとも言える艶のある響きがまた素晴らしい・・などと思っていたら、清水さん、左腕を高く挙げて止めました。 いきなり凄い演奏に驚きました。

ノクターン、コンミスがソリストとして立ちます。 清水さんがホルンのほうを向いて振ると、ピチカートともに妖艶な響きが流れ出ました。 そしてヴァイオリンのソロがしっとりとした響きで歌います。 クラリネットも絡み、粘りつくようなヴァイオリンの響き。 秘められた殺意でしょうか。 艶やかな響きにはロマンスの香りもさせて酔わせます。 そして最後もピチカートとホルンの響きで終了。 妖艶な雰囲気満載でした。

マズルカ、金管ファンファーレと打楽器による開始、そして軽やかに進む弦楽器も素敵な響きです。 メリハリもつけていて、エキゾチックでもあり、ゴージャスな雰囲気も漂わせています。 しかもこれらの響きがきちんと抑制もかけられていて、とにかく巧い。 充分に音楽を楽しませてもらった、そんな感じでした。

ロマンス、ヴィオラと木管、ホルンも加わった深い響き。 高音弦がしっとりと絡んで進みます。 クラリネットとオーボエ、柔らかな音色が素敵で、これらに彩られた、たっぷりとした演奏。 トランペットのソロが物悲しく響いて、これは泣きのメロディですね。 これも巧いなぁ。 弦楽アンサンブルがこれを引き継いで終了。

ギャロップ、打楽器の響きに度肝を抜かれ、あれよあれよと進んでゆきます。 覇気もあるけど安定感も抜群。 トロンボーンのおどけたような響きがまた素晴らしい。 弦のアンサンブルで止め、クラリネット、そしてファゴットのソロも耳を惹きつけ、また駆け出します。 そして最後、ぐっと力を込めていったのを、清水さんが袈裟懸けのように切って全曲を止めました。
とにかく巧かったぁ〜 素晴らしい演奏に、大きな拍手を贈りました。

舞台は暗転、ヴァイオリンと打楽器奏者の方がいったん退場します。 木管とホルンのメンバーを増強し、ホルンは5名体制。 しばらくしてヴァイオリンの方が戻ってきました。 コンミスがチューニングを行うと、ステージに照明が照らされます。 準備完了。 指揮者の清水さんがゆっくりと歩いて登場し、オケを立たせて一礼、さあ始まります。

シベリウスの交響曲第7番、厳かであり、時には暖かく悠然と響き、そしてまた時には熱くもなる、凝縮した響きで満たされた演奏。 パンフレットに書かれたガイドを頼りに聴き進めましたけれど、ここでもオケの響きが常に呼応しあい、よく纏まっていたのが印象的でした。 そして最後まで素晴らしい集中力、難解なこの曲をきちんと纏めあげた指揮者、それを演じたオケの勝利でしょう。 フィナーレ、地の底から湧き上がってくるような響きに金管が入って雄大となったのをすっと切って落としたのも見事ならば、その後の静寂もまた素晴らしい演奏となっていました。

清水さん、暫しうつむいて精神を集中させているのでしょうか。 ようやく顔を上げ、腕を構え、意を決したように振り始めます。
ティムパニの響き、底力を感じさせる弦のアンサンブルによる開始。 ホルンも絡んで深くハリのある響きで満ちています。 木管が柔らかな響きが素敵。 しかし弦がそれをかき消すようにして進め、崇高さも感じさせます。 トロンボーンと弦楽器が厳かな響きで入ってきます。 静かな高揚感に満たされた演奏、しばしオケの響きに身を任せて聴くことにしました。
清水さん、ここでもまた暗譜で振ってらっしゃいます。 ここでもオケの各楽器の響きが呼応しあっていて、素晴らしい集中力。 よく纏った演奏で進んでゆきます。 柔らかなフルート、中音弦の明るい響き、長閑な雰囲気もまた小刻みな旋律が鋭く入ってきて徐々に力を増してゆきます。 クラリネットがベルアップしているみたいですね。 悠然とした音楽が高らかに鳴ります。 清水さん、大きく左右に腕を振って力を込めます。
クライマックス、金管も引き締まっていますが、透明感のある高音弦に耳がゆきます。 フルートが現れては消え、高音弦の響きも綺麗なまま。 混沌とした雰囲気を醸し出しながら徐々に音量を上げ、タイトなホルン、そしてピチカート。 地の底から湧き上がってくるようなオケの響きに金管が入って雄大としたのを、切り落としてかき消すようにした終了。
しばし静寂が流れたあと拍手が沸き起こりました。 いつもながら難解な曲ですが、とても聴き応えのある演奏となっていました。

アンコールは、同じくシベリウスの「叙情的ワルツ」、こちらも流麗で爽やかな弦楽アンサンブルが凜としていました。 決して大きくない編成ですが、響きの層の厚さを感じます。 物理的な音量ではなくて、想いのこもった響きによるものだと感じたしだいです。 そしてそれは今日のすべての曲に当てはまっていたのではないでしょうか。 若々しく才気あふれた演奏会でした。 ちょっと疲れ気味で、喉の奥にも痛みを感じ、風邪をひきそうな感じでしたけれど、長岡京まで足を伸ばして正解でした。 いい演奏会で1年を締めくくることができました。