BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
韶フィルハーモニーオーケストラ 第2回演奏会

若々しくも堂々とした運命交響曲戻る


韶フィルハーモニーオーケストラ 第2回演奏会
2008年2月16日(土) 14:00 アクア文化ホール

ロッシーニ: 歌劇「セビリアの理髪師」序曲
チャイコフスキー: 弦楽セレナーデ op.48
ベートーヴェン: 交響曲第5番ハ短調「運命」op.67

指揮: 大塚佑馬


若々しくも堂々とした運命交響曲、奇をてらわず正攻法で攻めた演奏に熱い感動を覚えました。

韶フィルハーモニーオーケストラ、関西大学交響楽団と甲南大学交響楽団のメンバーで構成されているのでしょうか。 かなりの猛者を集めたようで、どの曲もしっかりとして整った演奏を繰り広げていました。 そして指揮者の大塚佑馬さん、関西大学交響楽団の学生指揮者として活躍されていた現役の4回生(この演奏会当時)。 これまでに何度か指揮された演奏会を聴かせていただいていますが、今回はその中でも出色の振りでした。 この両者ががっちりと組んだ演奏会、なかでも運命交響曲の素晴らしさが飛びぬけていました。

スポーツカーに乗ったような運命、軽快でぐいぐいと走ってゆく・・なんて演奏前に勝手に想像していましたが、確かにそんな要素もありましたけれど、スポーツセダンじゃなかったでしょうか。 若者らしいストレートさはそのままに、奇をてらわず、堂々と真正面から立ち向かった演奏に好感を持ちました。 タイトに強奏するホルン、太い響きのクラリネットやファゴットに彩られ、深い打音のティムパニと締まった低弦。 これらががっちりと曲の輪郭を描いていましたし、この曲に賭けた自信・信念、そのようなものもこの演奏から感じました。 そして全員一丸となってたっぷりと歌い上げたフィナーレ、爽やかで熱い感動が止め処なく湧き上がってきました。

これに先立って演奏された、ロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」序曲、学生らしく筋肉質で引き締まった演奏でした。 大塚さん、要所をタイトにかつスピード感を持って決め、きびきびとした音楽。 この要素はどの曲でも同じだったのですが、ここでは少々オケの響きがストレートに伝わってきた感じだったかな。 もうちょっとこなれた感じが欲しかったのは、練習量の差かもしれませんね。

ストレートな響きといえば、チャイコフスキーの弦楽セレナーデも同様。 真摯な演奏で、分奏がよく、若々しくスッキリと歌い上げていましたので、余計にスッキリと感じたように思います。 ま、当方のような草臥れた中年にとっては、この曲の中に人生の悲哀のようなちょっとドロっとした感情も求めてしまうので・・・ね。 でも、真正面から曲に立ち向かっている姿に若者らしい自信を感じましたし、音楽的な纏まりの良さは素晴らしいものがありました。 いい演奏だったと思います。

このころ仕事が佳境にさしかかっていて帰宅は24時前が定常化、この日もまた休日出勤してからの参戦。 正直、少々疲れが溜まっていましたけれど、若々しくもしっかりとした考えをもった演奏から元気を頂きました。 若いっていいですね。 ありがとうございました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

今回もまたまた休日出勤してからの演奏会への参戦。 この日も早朝からみっちりと仕事、会社で昼食をとって一息ついてから豊中の曽根へと移動しました。 ちょっと早めに到着したので、曽根のダイエーで時間をつぶして開演25分前に入場。 後ろから3列目 15列-22 を確保しました。 最初はパラパラとしていた客席も開演時間には6割程度の入りになったでしょうか。 前回の創立記念の演奏会は、池田のアゼリアホールが広く感じられましたけれど、このアクア文化ホールがちょうど良いキャパかもしれませんね。

定刻、ステージが照明で照らされると左右の楽屋より整列入場が始まります。 9-9-7-5-4 の通常配置で着席。 関西大学交響楽団と甲南大学交響楽団のメンバーで構成されているのでしょうか。 若々しいメンバー構成です。 コンマスが立ち上がってチューニングを行い、準備が整うと、燕尾服を着た指揮者の大塚さんが登場します。 関西大学交響楽団の指揮者時代、長髪だったり、髪の毛を金髪に染めたりと、奇を衒った印象が強かったのですが、髪の毛の色も普通で、ゆったりとした足取りで指揮台に向かいます。 オケのメンバーを立たせてから深々と礼。 堂々としていますね。 コンマスと握手して登壇、さぁ始まります。

ロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」序曲、学生らしく筋肉質で引き締まった演奏でした。 大塚さん、要所をタイトにかつスピード感を持って決め、きびきびとした音楽。 この要素はどの曲でも同じだったのですが、ここでは少々オケの響きがストレートに伝わってきた感じだったかな。 もうちょっとこなれた感じが欲しかったのは、他の曲との練習量の差かもしれませんね。

軽いハナ息とともに両腕ですくい上げ、勢いよく開始。 引き締まった響きを丁寧に重ねて進めます。 オーボエの凜とした響き、ホルンの響きも上々、そして何より底鳴りがする弦楽器がしっかりとしていますね。 大塚さん、要所をスピード感を持って決めて進めますが、ちょっと直接音が多いのような感じかな、ホールのせいかもしれませんが、もうちょっとこなれた感じが欲しい感じ。
ぐっいと決めると、ヴァイオリンの旋律。 覇気のある音楽で、学生らしく筋肉質でよく引き締まっています。 管楽器のソロもまた端正で、徐々にスピードアップ。 よく制御されていますね。 今度は左手でなでるように、背をかがめたりしてコントロール。 今度は背筋を伸ばして音量を上げ、足を踏み込み、両腕を広げて更に力を込めてゆきます。 オケもこれに見事に応えて、きびきびとした演奏でのフィナーレ。 最後は大塚さんが左手をぐいっと握って止めました。

ステージは暗転、仕切り直しでいったん全員が退場。 弦楽器奏者のみ登場します。 9-9-6-5-4 の編成ですね。 コンマスがチューニングを行って準備完了。 大塚さんが出てくると、今度はコンマス始めオケの皆が立って指揮者をお出迎え。 一礼をし、始まります。

チャイコフスキーの弦楽セレナーデ。 真摯な演奏で、分奏がよく、若々しくスッキリと歌い上げていました。 ここでも少々オケの響きがストレートに伝わってきた感じだったので、余計にスッキリと感じたように思います。 当方のような草臥れた中年にとっては、この曲の中に人生の悲哀のようなちょっとドロっとした感情も求めてしまうので・・・ でも、真正面から曲に立ち向かっている姿に若者らしい自信を感じましたし、音楽的な纏まりの良さは素晴らしいものがありました。 いい演奏だったと思います。

第1楽章「ソナティナ形式の小品」、軽いハナ息とともに引き締まった弦の響きがちょっと硬いかな。 大塚さん、中低弦に力を込めてタイトに進めます。 分奏がよく纏まっていて見事です。 すっと止め、今度は大きくうねるように進めますが、若々しい真面目さがよく出ている感じでしょうか。 エッジの立った響き、ピチカートも強靭な感じ、音楽的な纏まりの良さは見事。 でも当方は草臥れた中年、この曲の中に悲哀のようなものも感じたいところですが、一所懸命に曲を進めていらっしゃるので、当方は演奏を追いかけてゆく感じだったかな。 でも若者らしい一所懸命さは良いことです。 したり顔で中途半端な感情をつけられるほうが辟易としますからね。 これはこれで正解です。

第2楽章「ワルツ」、ヴァイオリンのほうを向いた大塚さん、大きく丸ぁるく振り始め、暖かな響きを導き出します。 艶やかさもあって、ここでの分奏も素晴らしいですね。 ここでも低弦がうまく絡んでいて、弦楽器の織り成す響きに耳を奪われました。 大塚さん、左手をうまく使ってますね、響きをうまくコントロールしてらっしゃる。 もちろんオケの技量が高いこともありますし、たっぷりとさせつつ、すっきりとした響き。 軽やかに走って、静かなピチカートで終了。

第3楽章「エレジー」、すっと振り、深く落ち着いた響きが出てきました。 重々しく沈み込んだ感じはなく、張りのある若さ、低弦がしっかりと輪郭を描いて進みます。 しなやかで伸びやかなヴァイオリン、それにストレートに響くチェロが呼応、ステレオ効果を持って高まってゆきました。 素敵ですね。 大塚さん、関大オケ時代よりも遥かによくオケを纏めていて、落ち着いて真摯に曲を進めてゆきます。 ただここでは少々類型化してしまい単調に流れたような感じも受けましたが、要所をきちんと決めて、最後は小さく振ってしっかりと纏めて、次の楽章に繋ぎます。

第4楽章「フィナーレ(ロシアの主題による)」、アタッカで繋いだ柔らかなヴァイオリンの響き、暖かさの感じられた開始でした。 中低弦が落ち着いた響きで重なり、端正なアンサンブルで進みます。 ヴァイオリンに徐々に力が入ってきて明るく張りのある音楽に。 大塚さん、大きくたっぷりと振って音量を上げます。 何度も書きますが分奏がとてもよく、纏まったアンサンブルです。 ただしここでは細かなニュアンスもつけようとしているようですが、少々強弱の変化に止まっているみたいな感じだったかな。 フィナーレは大塚さんがたっぷりとした感じで振っていましたが、端正に纏まった感じ。 アンサンブルの纏まりの良いぶん、含みが少ない、そんな感じなのかな。 でも、真正面から立ち向かった演奏は立派、正統です。 大きく強い拍手を贈りました。

15分間の休憩。 席でアンケートを書いて過ごすうちに定刻、整列入場が始まりました。 今度は 9-9-6-5-4 の編成です。 コンマスによるチューニングを終えて準備完了。 大塚さんが出てくると、今度もオケの皆が立って指揮者をお出迎え。 いよいよメインの運命が始まります。

若々しくも堂々とした運命交響曲、奇をてらわず正攻法で攻めた演奏に熱い感動を覚えました。
スポーツカーに乗ったような運命、軽快でぐいぐいと走ってゆく・・なんて演奏前には勝手に想像していましたが、確かにそんな要素もありましたけれど、スポーツセダンじゃなかったでしょうか。 若者らしいストレートさはそのままに、奇をてらわず、堂々と真正面から立ち向かった演奏に好感を持ちました。 タイトに強奏するホルン、太い響きのクラリネットやファゴットに彩られ、深い打音のティムパニと締まった低弦。 これらががっちりと曲の輪郭を描いていましたし、この曲に賭けた自信・信念、そのようなものもこの演奏から感じました。 そして全員一丸となってたっぷりと歌い上げたフィナーレ、爽やかで熱い感動が止め処なく湧き上がってきました。

第1楽章、勢いよく開始しますが、弦のまろやかな響きにハッとしました。 フェルマータもちょっと長めでしょうか。 管楽器は変わらずタイトで、実にオーソドックス。 低弦が引き締まっていて、ティムパが重量感のある響き、ホルンの強奏、ぐいぐいと引き込まれてゆきました。 大塚さん、足を踏み込み、タイトに盛り上げてます。 凜としたオーボエ、すっきりとして立派。 これまでの演奏とはオケの響きの質が違いますね。 相当練習されたのかな。 響きに奥行きがあります。 太いファゴットの音色なども雰囲気充分。 大塚さん、気合入ってますね、フィナーレの前にはジャンプも飛び出しましたが、堂々とした音楽はそのまま。 更に力を込めて運命の主題を響かせていました。 そしてこれをすっと退いてタイトな終結。 残響がホールに残りました。 素晴らしい演奏に耳を奪われていました。

第2楽章、大塚さん、汗を拭って一息ついてから始めます。 ヴィオラとチェロのたっぷりとした響きが素敵な開始。 もちろん高音弦も柔らかい。 金管は真摯で熱い演奏、ティムパニの太い打音、若々しくも堂々としていて立派な演奏です。 ここでも要所をきりっと引き締めながら流してゆく大塚さん。 たっぷりとした美しさも感じられますし、何よりオケ全体がよく纏まっているので安定しています。 タイトなホルンでぐぃっと盛り上げますが、きっちりと制御し、ゆったりと進めてゆきます。 クラリネットやファゴットの太い響きがここでも良かったなぁ。 少しも緩むことなく堂々とこの楽章を終えました。

第3楽章、ここでも大塚さん、また汗を拭ってからのスタートです。 低弦のほうを向き、柔らかでたっぷりとした響きを導き出します。 押し出しの良いタイトな響きのホルン。 素晴らしい開始でした。 艶やかなヴァイオリンの合奏、低弦がしっかりとしているし、堂々として覇気ある演奏の進め方はまさに正攻法。 マレットを交換したのかな、ここでは硬い打音を聞かせたティムパニにも好感を持ちました。 中低弦が頑張ってますね。 いい感じでしたが、コーダになったあたりかな、少々バラけた感じになったかも、でもまた深い響きのティムパニの打音、緊張感を感じさせるヴァイオリンの響きにより凝縮した音楽としてゆっくりと進めて、次の楽章に繋ぎます。

第4楽章、トロンボーンが加わった底力のある響きで堂々と突入。 大塚さん、下を向き、渾身の力を込めています。 ここでのホルンのタイトな強奏もまた見事。 スポーツカーの乗って進むような感じではなく、スポーツセダンかな、ぐぃぐぃと進んでゆきますが、落ち着きがあり、乗り心地もいいんです。 全員一丸となり、力を出しているのがびんびんと伝わってきます。 正攻法で堂々と攻めていて、自信に満ちた演奏が素晴らしい。 輝かしいファンファーレもまた落ち着いて聞こえます。 左手で力を込めた大塚さん、ノリの良い演奏なのですが、きちっと纏まっていてたっぷりとした響きが感じられます。 演奏前は、勢いで進むんじゃないか、なんて想像していただけに(良い意味で)大きく裏切られた格好です。 煌びやかなフルートが絡んだ終結、ここもまたたっぷりとしていて堂々としたフィナーレを形成。 頂点に達して全曲が締められたあと、残響がホールに残っていました。 感動的でした。

失礼ながらこのような素晴らしい演奏に出会えるとは予想だにしていませんでした。 二十歳そこそこの若者達による運命!?と軽んじられる方もいらっしゃると思いますが、よく考えられていて、正攻法で全力で立ち向かった演奏は素晴らしいですね。 爽やかで熱い感動が止め処なく湧き上がってきました。 本年まだ始まったばかりですが、今年の出色の演奏会の一つになりました。

このころ仕事が佳境にさしかかっていて帰宅は24時前が定常化、この日もまた休日出勤してからの参戦。 正直、少々疲れが溜まっていましたけれど、若々しくもしっかりとした考えをもった演奏から元気を頂きました。 若いっていいですね。 ありがとうございました。