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奈良交響楽団 第50回記念定期演奏会

底光りのするシューマンのピアノ協奏曲戻る


奈良交響楽団 第50回記念定期演奏会
2008年2月17日(日) 13:30 奈良県文化会館国際ホール

イベール: バッカナール
シューマン: ピアノ協奏曲イ短調op.54
(アンコール)ベートーヴェン: ピアノソナタ「悲愴」第2楽章
ベルリオーズ: 幻想交響曲op.14
(アンコール)ベルリオーズ: ラコッツィ行進曲

独奏: 韓 伽揶(p)

指揮: 小崎雅弘

底光りのするシューマンのピアノ協奏曲、韓 伽揶 (ハン・カヤ)さんの圧倒的なピアニズムに酔いました。

思索的で、熱く、そして底光りのするシューマンのピアノ協奏曲、スナップの効いたパワフルな打鍵はクリアで、心の中にびんびんと響くピアノ演奏に思わず涙が出そうになりました。 冒頭こそちょっとこじんまりとしているかなぁ、なんて思いましたが、次第に深みを増してぞくぞくっときた第1楽章、重厚でありながらも柔らかくて暖かさを感じた第2楽章、そして大きなスケール感を持ったフィナーレ。 ストレートに盛り上げるオーケストラとがっちりと組み、圧倒的なピアニズムに酔い、感動しました。

そして奈良交響楽団第50回記念定期演奏会のメインとして演奏された幻想交響曲。 小崎さんの指揮のもと、若々しい感じで纏まりの良さが特徴的、端正でストレートに盛り上げた演奏でした。 個人的には終楽章の前で止まらないで欲しかったのですが、これも引き締まった演奏するための施策だったのかもしれません。 フィナーレのアッチェランドがかかっても、タイトで熱い響きは引き締まったまま。 熱い響きでホールが満たされていました。

なおこれに先立って演奏されたイベールのバッカナール。 始めて聴く曲ですが、こちらも引き締まったリズムがしっかりとしていて、ノリノリで駆け抜けていった、そんな感じでした。 どこかガーシュインのアメリカンミュージックのような印象も受けた演奏でした。

奈良交響楽団の第50回記念定期演奏会、オーケストラ演奏よりもピアニストに注目してしまった感があって申し訳ありませんでしたが、今回の演奏会では、奈良近郊のピアノ教室に通い、熱心に練習されている子供さんたちを招待されたようです。 地元に根付いた老舗アマチュアオーケストラ・奈良交響楽団、このような音楽を根付かせる活動にも期待したいと思っています。 いい演奏会をありがとうございました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

奈良交響楽団第50回定期演奏会に、なんと韓 伽揶さんが登場。 この情報を得て心踊りました。 今から10年程まえ、当時会員になっていた大阪シンフォニカーの演奏会で大いなる感銘を受けたピアニストなのです。 その韓さんによるシューマンのピアノ協奏曲をまた聴ける、失礼ながらオーケストラよりもピアニスト目当てになってしまいました(すみません)。

今年は寒い日が多く、家を出るとまた雪がチラチラと・・・ 近鉄奈良駅に着き、交差点での信号待ちをしていると、まるで吹雪のように真っ白な雪が降り注いでいましたね。 北海道で6年間を過ごしたので、懐かしい雪景色ですが、さすがに雪の中に立つ気にはなれません。 多くの人と一緒にアーケードの中で青信号を待ち、信号が変わるやいなやホールに向かって飛び出しました。

ホールに到着したのは開場して5分くらい経った頃でしょうか、すでに1階席は8割近く入っていたようです。 2階席も2割程度入ってました。 その2階席最前列の AA-35 を確保。 ロビーに出たら、ガラス越しの雪景色を背景にヴィヴァルディの四季から「春」が演奏されてまして、けっこう似合っていたかもしれません。 ロビーコンサートは華やかで活気ありますものね。

そうこうするうちに定刻。 1階席は満席でしょうか、2階席も6割以上が埋まっています。 整列入場が始まり、12-10-7-7-6 の通常配置で席につきます。 コンミスによるチューニングを終え、ゆったりと歩いて指揮者の小崎さんが登場しました。 2005年12月18日の第48回定期演奏会(大和郡山城ホール)以来の登場でしょうか。 いよいよ始まります。

イベールのバッカナール、始めて聴く曲ですが、引き締まったリズムがしっかりとしていて、ノリノリで駆け抜けていった、そんな感じでした。 どこかガーシュインのアメリカンミュージックのような印象も受けた演奏でした。

小崎さん、集中力を高めて小さく振り、引き締まったリズムで駆け出します。 タイトなパーカッション、トランペットが艶やかな響きを聴かせて、あれよあれよといった感じ。 弦楽器のアサンブルもよく、迫力がありますね。 トロンボーンやトランペット、ホルンは落ち着いた音色。 ノリノリのリズムでまた駆け出したかと思ったら、急ブレーキ。 なまめかしい音楽になりました。 トランペットの艶やかな響きがよかったな。 あと、パーカッションの活躍、これも面白かった。 するとまた音楽が駆け出して、ホルンの斉奏、トランペットやトロンボーンも呼応。 パーカンションのリズムに乗って進み、そして力強い金管の響きで大団円。 とても引き締まったリズムが印象的な熱い音楽でした。

暗転、管楽器奏者の一部とパーカションのメンバー、そしてピアノを出すためにヴァイオリンの人たちが退場。 ピアノを中央に持ってきてから、ヴァイオリンの人たちが戻ってきました。 今回は 12-10-7-6-5 の編成のようです。 コンミスがピアノを叩いてチューニングの合図。 準備が整うと、薄いゴールドといった色合いのドレスを着た韓 伽揶さんが登場。 たおやかにお辞儀をしてピアノに向かいます。 さぁ始まります。

シューマンのピアノ協奏曲、韓 伽揶さんの圧倒的なピアニズムに酔いました。 思索的で、熱く、そして底光りのした演奏。 スナップの効いたパワフルな打鍵はクリアで、心の中にびんびんと響くピアノ演奏に思わず涙が出そうになりました。 冒頭こそちょっとこじんまりとしているかなぁ、なんて思いましたが、次第に深みを増してぞくぞくっときた第1楽章、重厚でありながらも柔らかくて暖かさを感じた第2楽章、そして大きなスケール感を持ったフィナーレ。 ストレートに盛り上げるオーケストラとがっちりと組み、圧倒的なピアニズムに酔い、感動しました。

第1楽章、小崎さんの素早い動作から引き締まったオケの響き、ピアノも強いタッチで開始。 木管の落ち着いた響き、クリアなタッチのピアノ。 ややくぐもった音色ですね。 慎重に進めているような感じでしょうか。 韓 伽揶さん、振り絞るような強いタッチもあれば、柔らかな音色での響きもあって、でも一つ一つの音がとても明快でクリア。 そして曲を進めるごとに深さを増してゆきました。 滾々(こんこん)と音楽が湧き出てくるようにも感じられ、カデンツァもまた圧倒的で、ゾクゾクっときました。 オケもクラリネットの好演もあり、しっかりとしたオケの深い響き、見事なサポートをし、力強くタイトにこの楽章をまとめました。

第2楽章、やわらかで暖かみのあるピアノの響きに魅了されました。 チェロの響きもたっぷりとしていて素敵。 ピアノ、オケともに深みのある音色、よく鳴ってもいて、落ち着いた演奏は底光りがしていました。 惹き込まれて、しばし聞き惚れてしまいました、よかったことしか覚えていません。 
第3楽章、深くタイトなピアノの響きによる開始、スナップの強い響き、パッションも感じさせて、魅了されっぱなし。 韓 伽揶さんのリサイタルのチラシに「大道」と書かれていましたが、まさにそのとおり、奔流のように流れる音楽に身を任せるしかない、そんな感じでした。 オケも凜としたサポートで盛りたてて進めます。 そして圧倒的なテクニックでバリバリっと弾いたかと思うと、内側から絞り出すように弾いてもいて、変幻自在。 テンペラメントに燃え、心の中にびんびんと響いてきた音楽、聴いているうちに涙が出そうになりました。 この時間が永遠に続いて欲しい。 そんな思いもむなしくパワフルで圧倒的なフィナーレ、全曲を閉じました。 素晴らしい演奏に感動しっぱなしでした。

演奏終了後にフレンドリーな笑顔でオケを盛んに称えていた韓 伽揶さん、花束をもって出てきた振袖姿の可愛らしい少女に見せた優しい表情もまた素敵でした。
そしてアンコールは、ベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」の第2楽章、これもまた思いのよくこもった深みのある演奏。 心の中に響いてきました。 5月、京都でのリサイタルでは全曲が聴けるとのこと、行きたいのですが・・川崎勤務になってしまっては叶いません。 残念です。

15分間の休憩、席でアンケート書き、奈良響だよりEtudeを読んで開演を待ちます。
定刻、整列入場が始まりました。 ちょっと遅れて入ってきた人もいたようですが 12-10-7-8-6 の編成が揃いました。 コンミスによるチューニングを終えると、いよいよメインの曲。 小崎さんが出てこられると、まずオケを立たせてから礼をして始まりました。

ベルリオーズの幻想交響曲、小崎さんの指揮のもと、若々しい感じで纏まりの良さが特徴的、端正でストレートに盛り上げた演奏でした。 個人的には終楽章の前で止まらないで欲しかったのですが、これも引き締まった演奏するための施策だったのかもしれません。 フィナーレのアッチェランドがかかっても、タイトで熱い響きは引き締まったまま。 熱い響きでホールが満たされていました。

第1楽章「夢と情熱」、柔らかな木管の響き、ヴァイオリンもまた柔らかく響かせた開始。 低弦の締まった響きから快活になり、弦と管の呼応もバッチリ、いい感じで進みます。 最初のクライマックス、タイトな感じながらも落ち着いた響きで越えました。 この後もまた端正に纏めていて、ストイックに曲を進めていった感じ。 次のクライマックス、ここもよく締まっていて、纏まった金管ファンファーレ、ティムパニの深い響きもまた落ち着いた印象。 前曲での燃えるような感じからすると、ちょっと淡々と進めているかな、といった感じでしょうか。 小崎さん、手のひらをクルリと返してこの楽章を止めました。

第2楽章「舞踏会」、落ち着いた音色のヴァイオリンによる開始。 でも低弦は元気があって覇気のある響きを聴かせながら進みます。 ハープもまた虚飾を廃したというような端正な響き。 小崎さん、とても丁寧にこの曲を進めているようです。 相変わらず弦と管のバランスもよく、まとまりの良さを感じます。 指揮棒はゆったりとした上下動が中心で、恣意的な感じはまるでなし。 ぐいぐいと力を増してゆくのも上下動で、オケをしっかりと纏めて進んでゆきます。 低弦をちょっと強調させたりもしましたが、すっと退いてから、ふんわりとした着地でこの楽章を決めました。

第3楽章「野の風景」、艶やかなオーボエ(コールアングレ?)、バンダともバッチリと合っていて、この楽章もまた落ち着いた演奏ですね。 ヴィオラのトレモロがいい感じで、弦楽器のアンサンブルがとても素敵でした。 分奏もよくてステレオ効果もありましたしね。 ここでは次第に熱さも感じてきました。 ティムパニ2台、先の細いマレットで打ってたかな。 そしてまた落ち着くと、今度は木管が好演。 クラリネットの艶やかな響きがよかったなぁ。 そしてまた盛り上がってきて、ティムパニ奏者4人のロールは落ち着いた響き、静かな迫力といった感じ。 そっと弦を響かせてこの楽章を閉じて、いい感じの終わり方でした。

第4楽章「断頭台への行進曲」、深く張りのあるティムパニの打音、金管、低弦の落ち着いた響きで始まります。 ファゴットの響きが素敵でした。 そのようなじっくりとした開始より、小崎さん、さっと棒を横に振って金管をタイトに咆哮させます。 明るく輝かしくもまたよく纏まった響き。 きちんと制御されているって感じですね。 ティムパニの打音に、大太鼓、シンバルも入って引き締まった筋肉質の盛り上がり。 力がこもっています。 そして、楽章を終えて、止まった・・・思わず客席から拍手が飛び出しました。 う〜、ここはアタッカで行ってほしかったところです。 引き締まった演奏するための施策だったのでしょうか。

第5楽章「魔女の夜宴の夢」、透明感の高いヴァイオリンのトレモロ、低弦のハリのある響き、落ち着きと端正さはここでも感じました。 金管ファンファーレが覇気を持ち、木管も引き締まった響き、ぐいぐいと進めます。 バンダで鐘が鳴り、底力を感じさせるトロンボーン、チューバを伴い、低弦も絡んで堂々とした音楽ですね。 ドコドコと鳴る大太鼓、ちょっと控えめだったかな。 常に冷静で落ち着いた指揮で全体をコントロールする小崎さん。 オケもそれにきちっと応えながら進んでゆきます。 フィナーレ、ここもまたよく整った端正な盛り上がり。 小崎さん、アッチェランドをかけたようですが、オケの音量が上がっていますが、きちっとした演奏は微動だにしません。 最後の最後まできちんとし、とても纏まりのよい演奏で全曲を閉じました。

奈良交響楽団の第50回記念定期演奏会、オーケストラ演奏よりもピアニストに注目してしまった感があって申し訳ありませんでしたが、今回の演奏会では、奈良近郊のピアノ教室に通い、熱心に練習されている子供さんたちを招待されたようです。 地元に根付いた老舗アマチュアオーケストラ・奈良交響楽団、このような音楽を根付かせる活動にも期待したいと思っています。 いい演奏会をありがとうございました。