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第20回 グリーンコンサート(みどり会CSR活動)

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第20回 グリーンコンサート(みどり会CSR活動)
2008年3月22日(土) 14:30 森ノ宮ピロティホール

第1部 グリーンブラスオルケスタ (指揮:井上 学)
   ■音楽でつづる平成の歴史
    美空ひばりメドレー
    おどるポンポコリン
    ラブストーリーは突然に
    ジャズアップKOBE
    男はつらいよ
    タイタニック
    夜空ノムコウ
   (アンコール)千の風になって

第2部 男声合唱団「ネクスト」 (指揮:阿部良行、伴奏:松浦亜季)
    草野心平作詞、多田武彦作曲:男性合唱組曲「富士山」
    河島英五作詞・作曲:「酒と泪と男と女」

第3部 グリーン交響楽団 (指揮:高谷光信)
    チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」


2004年以来、4年ぶりのグリーンコンサートはほぼ満員、熱気のあるコンサートでした。 それぞれに面白かったのですが、個人的にはブラス・オケによる歌謡曲に痺れちゃいました。

最近、歌謡曲というジャンルは無くなってしまったようで、まるで懐メロみたく感じてしまいますが、お客さんのノリはこれが一番良かったのではないでしょうか。 特に「美空ひばりメドレー」、リンゴ追分 → お祭りマンボ → 愛燦燦 → 川の流れのように の順番だったと思います。 前2曲は1952年の作品なので、生まれる前なんですけれどね、この程度は分かります。 トロンボーンのグリッサンドがまるで歌うようで、よかったなぁ。 グッと来るものを感じました。 ブラス・オケ、あまり聴く機会はありませんが、今回も堪能しました。

あまり聴く機会が無いといえば、男声合唱団。
音楽を聴き始めた頃など、ドン・コサック合唱団などが活躍していましたけれど、現在、男声合唱団は珍しい存在になってしまったのではないでしょうか。 そして今回、採り上げられたのは男性合唱曲の大曲・組曲「富士山」。 平均年齢が60歳を超えるとのことで、押し出しの強さなど素人っぽさを感じた部分もありましたけれど、柔らかなハーモニーは年輪を感じさせ、歌の奥行きの深さなどなかなかのものでした。 こちらもまた堪能しました。

そしてお目当ての高谷光信さん指揮によるグリーン交響楽団、今回の演奏は「くるみ割り人形」。
「くるみ割り人形」は、バレエで唯一観たことのあるプログラムですが(マリインスキー劇場の公演だったはず)、今回は組曲版ではなく、全15曲のうち「雪片のワルツ」を除いた全14曲がナレーションにそっての演奏。 高谷さんらしく華を感じさせるゴージャスで熱い演奏を繰り広げていました。 スタイリッシュで要所をカッコ良く決め、スキッとさせつつも熱気を孕んでいます。 超有名曲以外はすっかり忘れていましたが、ナレーションとともに聴き進むと場面を思い出したりもし、新鮮な気持ちで楽しませていただきました。 ロシアで勉強された高谷さん、その聴かせ上手もあったと思いますが、そんな高谷さんとがっぷりと組み、素晴らしい演奏を繰り広げたオケに大きな拍手を贈りました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

旧三和銀行系のメセナ組織みどり会によるグリーン・コンサート。 昨秋、グリーン交響楽団の演奏会では、みどり会会員各社からの動員が凄くて超満員でした。 この春のグリーン・コンサートもまた満員かも・・と思いつつもちょっと出遅れ、開演15分前に到着。 すでにほぼ満席状態で、わずかに残っていたホール後方より3列目、Y-41をなんとか確保しました。 大盛況ですね。 そしてここもすぐに人で埋まってしまいました。

5分前のブザー、そしてアナウンスのあとブラス・オケの面々が整列入場。 なんだか楽しそうな表情で席についてゆかれます。 オーケストラとの違いでしょうか、どこか陽性な雰囲気が漂っていますね。 全員が揃ったところでクラリネットの男性(コンマス?、バンドマスター?)が立ち上がってチューニングを行い、準備完了です。

司会のお姉さんが登場。 この方も例年司会をされてますね。 さて、今年は20年目にあたるとのことで、平成の年数と同じ。 そこで「音楽でつづる平成の歴史」というテーマを設け、今回はその前半部分を採り上げるとのことでした。 指揮者の井上学さんが登場し、まずは平成になった亡くなった美空ひばりのメドレーで幕が開きます。

「リンゴ追分」いつもながら音圧を感じるブラスですがテンポが遅いぶん余計にずしりと感じます。 そして「お祭りマンボ」ドラムを叩くおじさんのキレの良いリズムが心地良くって一気にひばりワールドに突入。 「愛燦燦」ではテナーサックスのソロにうっとり、会場内にはそっと口ずさんでいる方もいましたね。 聴いているうちに何故かこみあげてくるものを感じちゃいました。 そしてトランペットのソロで始まった「川の流れのように」はクラリネットの深い中音もまた魅力的でしたが、トロンボーンのグリッサンドがまるで歌うよう。 歌謡曲っていいですねぇ。 とっても気持ちの和む演奏にどっぷりと浸かり、大満足でした。

次は「踊るポンポコリン」BBクィーンズで流行った曲ですね、これも平成だったんですね。 アタックの強いリズムで始まり、小気味良く進みます。 余計なことは考えず、リズムに乗って楽しめる曲。 音楽っていいな、素直にそう思いました。

「ラブストーリーは突然に」TVドラマは基本的に見ない人なんでよく知らない曲だったりします。 ミドルテンポ、なめらかに各パートに旋律を廻してゆき、女性のトランペット奏者のソロが切なく感じたのはドラマにあわせていたのでしょうね。

平成7年1月17日、阪神淡路大震災。 ジャズアップとは、盛り上がる、元気を出して、との意味だそうで「ジャズアップKOBE」はそんな震災から立ち上がる神戸を主題にした曲とのこと。 港町神戸の波の音から始まり、スイングジャズで港の風景を描写したあと低音楽器と打楽器による大震災。 大音響でホールが満たされると、前に座っていた年配の女性は耳を覆ってしまいました。 真迫力のある表現。 そして最後はまた海のシーンとなって終わった音のドラマでした。 なんか言葉がありませんね。 ただ、波の音を出していた楽器が珍しかったのが目に焼きつきました。 行李に小豆を入れてゆっくりと動かして音を出すものだと思っていたんですが、タンバリンを2つ合わせた感じかな、平たく丸いクッキー缶のようなものを持ち上げて動かすと波の音が出ていたのが印象に残りました。こんな楽器があるのですね。

懐かしい音楽に戻って「男はつらいよ」、渥美清さんが亡くなられたのが平成8年ですか。 映画の冒頭シーンの音楽から歌の部分を少しトランペットのソロで。 ソロなんですが、皆さんとても慎ましやかな演奏なんですね。 ここ一番、見栄を切るなんてなくて、誠実そのもの。 全員でゆったりとたっぷりと演奏されました。

映画音楽が続いて「タイタニック」、こちらもアルトサックスの女性奏者のソロ、枯れた音色で落ち着きのある響きでした。 この映画も実は見たことなくてよく知りません。 曲は次第に熱さをともなってきて、そっと着地。

ノッてきた感じでしょうか、スマップの「夜空のムコウ」、この曲はリラックスムードも漂い、トランペットやトロンボーンが歌うように進んでゆきますす。 映画音楽もいいけれど、やはり歌詞のある歌謡曲を聴いているのが気持ちいいですね。 フルートをやわらかく響かせて終了。

アンコールも用意されていて「千の風になって」、大震災の犠牲者の方に捧げられました。 柔らかなトランペットのソロから音量を増し、力強くゆったりと大きく演奏されました。 ブラスオケの演奏、魅力、大いに堪能させてもらいました。

照明が落ち、舞台では奏者の方自らによる片付けに着手。 ゆっくりと緞帳が降ります。 幕間を利用し、このコンサートに20年間皆勤された方々のインタビューが行われました。
さて、準備が整い、緞帳が上がりますと、2列の横並びの合唱団員。 メンバー表を見ると33名となっています。 舞台左奥にはピアノが1台置かれたのみの簡素なステージです。
司会者が合唱の大曲「富士山」に挑戦すると告げ、指揮者の阿部良行さんが紹介されて始まります。

草野心平作詞、多田武彦作曲による男性合唱組曲「富士山」、平均年齢が60歳を超えるとのことで、押し出しの強さなど素人っぽさを感じた部分もありましたけれど、柔らかなハーモニーは年輪を感じさせ、歌の奥行きの深さなどなかなかのものでした。

やわらかな声が響く開始。 無伴奏で、指揮者の阿部さんが棒を持たずにアクションよろしくキレの良い動きで進めます。 地味な感じではあるけれど、心を合わせた合唱が真摯です。 そろって富士山への登山、そんな雰囲気でしょうか。 時折、力が漲らず押し出しの強さが充分に出ない素人っぽさを感じたりもするのですが、あえぎつつも一所懸命に登ってゆく、そんな感じの好演でした。 そして夕映えの富士の雄雄しい姿を歌い進め、指揮する阿部さんの右拳が高々と掲げられ、頂上を極めての幕切れ。 大きく暖かな拍手に包まれました。

ピアノを前に出し、アンコールは「酒と泪と男と女」、練習後の飲み会での定番曲だそうです。 歌い慣れているのでしょうね、たっぷりと感情を込めた暖かな人間の声、その響きの心地よさを味わいました。

10分間の休憩、席でじっと開演を待ちます。 多少はお客さん減ったでしょうか、お目当ての友人・知人の出番が終わったので帰られた方もいるようですが、それでもけっこう大勢の人が開演を待っていました。

いきなり緞帳が上がりますと、オーケストラの方がセッティングの準備中。 遅ればせのブザーが鳴って、まず管打楽器の方々から席につきます。 トランペットの方が練習音を出すと、他の楽器の方も練習を始めますが、なかなか弦の人が出てこない・・と思ったら、ようやく出てこられました。 通常配置の 12-12-8-8-7 の編成でしょうか(よく見えませんが)。 コンマスによるチューニングを終え、司会者による解説のあと高谷さんが登場されて始まります。

チャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」、全15曲のうち「雪片のワルツ」を除いた全14曲がナレーションにそって演奏されました。 いずれも指揮者の高谷さんらしく華を感じさせるゴージャスな熱い演奏。 スタイリッシュで要所をカッコ良く決め、スキッとさせつつも熱気を孕んでいました。 ナレーションとともに聴き進むうちに場面を思い出したりもし、新鮮な気持ちで楽しませていただきました。 ロシアで勉強された高谷さん、その聴かせ上手もあったと思いますが、そんな高谷さんとがっぷりと組み、素晴らしい演奏を繰り広げたオケに大きな拍手を贈りました。

第1幕よりまず5曲続けて演奏
情景・ジルベルハウ家のクリスマスツリー、艶やかなヴァオリンの響きで活気のある音楽が飛び出します。 クラリネットがまろやかな響きでしたね。 軽やかなティムパニの打音にのって子供たちが登場します。
行進曲、低弦のピチカートが心地よく響きます。 華やかさを伝えるトランペットが少々突き抜けるような感じだったかしら。 高谷さん、ぐいぐいと進めてゆきます。 まだこのあたり少々硬さがあったかもしれません。
小さなギャロップと新しいお客様の登場、滑るような高音弦を伴いゴージャスな感じのする音楽になりました。 高谷さん颯爽と振ってカッコ良いですね。
踊りの情景・子供たちへの贈り物、ヴィオラとトロンボーンの旋律でドロッセルマイヤーが登場。 芯のある引き締まった響きです。 木管も引き締まった感じ。
情景・グロースファーターの踊り、力を増してスピードアップ。 力強く進めたのをスパっと止め、緻密な感じのする音楽に。 落ち着きも感じられますが、やはりスタイリッシュですね。 オケの方も奮闘されていて、艶やかなソロを聴かせてくれました。

第1幕の残り3曲を続けて演奏
情景・クララとくるみ割り人形、柔らかくも艶のある響き、華やかさの感じられる演奏です。 トライアングルがいい音色で響きます。 落ち着いた演奏も次第に熱気がこもってきました。
情景・くるみ割り人形とネズミの王様、落ち着きながらも鋭く、覇気ある響きを聞かせるトロンボーン、そして次第にスペクタクル。 熱い演奏が展開し、スネアのキレの良い打音、ピストルの決まりました。 立ち上がりの良い集中力の高い演奏。 カッコよく振って盛り上げる高谷さん、オケも華やかな演奏で盛りたてます。
情景・冬の樅の木の森、一転して柔らかなホルンの旋律、コントラバスのピチカートも素敵でした。 雄大に吹くトランペット、落ち着いた演奏として最後は高谷さんが右腕を高く挙げて止めました。

第2幕より4曲続けて演奏
情景・砂糖の山の魔法の城、たっぷりとした響きがゴージャス感を出しています。 落ち着いていても推進力が感じられるのは低弦の響きによるのでしょうか。
情景・クララと王子、明るいファンファーレ、軽快に響くトランペットが艶やかでした。
ディヴェルティスマン、スペインの踊り、中国の踊り、トレパーク、葦笛の踊りなどなど有名曲が並びますが、いずれも華やかで艶やかな演奏。 トレパークのホルンがカッコ良かったですね。 葦笛の踊りの3本のフルートもまた美しくかつ柔らかな響きがホント素敵でした。
花のワルツ、たっぷりとした響きがとても綺麗、木管、ホルン、ハープが華やかに響きます。 高谷さん、要所をバシッと決めて進める動きもまたカッコいいんですね。 音楽も熱くなります。 中低弦に力を込め、絢爛豪華な響きとしたのをスパッと止めると、残響が残りました。

第2幕の最後の2曲
パ・ド・ドゥ、たっぷりとさせた響き、チェロのアンサンブルが歌います。 ぐいぐいと力を込めてゆくストレートな盛り上がり。 低音金管楽器がいい音色を聴かせていました。 金平糖の踊りのチェレスタ、たっぷりととろけるような響き。 高谷さん、オケの響きをぐっと引き締め、潔く終了。
終幕のワルツとアポテオーズ、ゴージャスな響きをオケから放出させた開始。 底力を感じさせる響きをまた止め、コントラバスのピチカート、集中力の高い演奏を展開します。 そして力強く全曲を締めあげて、熱いブラボーがかかりました。

ロシアで勉強された高谷さんらしくスタイリッシュで要所をカッコ良く決め、スキッとさせつつも熱気を孕んだ演奏でしたね。 大きな拍手を贈りました。

そして演奏会の最後は恒例、出演者全員が出てきて「上を向いて歩こう」です。 高谷さんの指揮によるオーケストラ演奏に載せ、客席も共に歌ってのお開きとなりました。
この森之宮ピロティ、今年で閉鎖されるため、この会場での最後の公演になります。 今年もまた活気のある演奏の数々を楽しませていただきました。 ありがとうございました。