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関西医科学生交響楽団 第15回定期演奏会

統一された響きが見事戻る


関西医科学生交響楽団 第15回定期演奏会
2008年3月23日(日) 14:00 吹田市文化会館メイシアター・大ホール

ドヴォルザーク: 序曲「謝肉祭」
スメタナ: 連作交響詩「我が祖国」
(アンコール)ドヴォルザーク: スラヴ舞曲第2番

指揮: 江田 司

堂々として落ち着いた音色の中にも躍動感をもった「我が祖国」、江田司さんの指揮のもと統一された響きが見事でした。

分奏のしっかりとした弦楽器、抑制のよく聴いた管打楽器、ほんと、巧いオーケストラですね。 毎回エントリーされる、悪い言葉で言うと寄せ集めなんですが、個々人のポテンシャルの高さが合奏能力にもよく現れていて、集中力の高さもまた印象的でした。

江田さん、構成感をしっかりと持って振っているのですが、単に縦の線を合わせるのではなく、オケの中から湧き上がるものを巧みにリードしているようです。 オケもそれをしっかりと応えて見事。 決して感興に任せることなく、深みのある堂々とした演奏が展開されましたが、時に縦ノリのリズムで推進力を持たせてワクワクもさせてくれました。

なおこれに先立って演奏された序曲「謝肉祭」、瑞々しい音色で勢い良く進みつつも、こちらも落ち着いた演奏だったとの印象を持ちました。 ここからオケのポテンシャルの高さを示していたようです。 厚みのある響きで堂々とした演奏でした。

しかしながら今回のメインは連作交響詩「我が祖国」の全曲。 初めて実演で全曲を聴くという機会に恵まれました。 前半3曲と後半3曲の間に休憩を挟んだことも良かったように思います。 聞き手としても集中力を維持できましたね。 素晴らしい体験ができた演奏会でした。 ありがとうございました。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

仕事も一段落、前日に続いての演奏会参戦になります。
関西医科学生交響楽団はその名のとおり、関西にある大学の医学部の学生が年に1回エントリ形式で集まり、この時期に定期演奏会を開催されています。 今年は全曲が演奏されることが珍しいスメタナの「我が祖国」が聴けるとあって、メイシアターへと足を運んだ次第です。

開演35分前にホールに到着。 開場は30分前なのにすでに入場が始まっていました。 満員なので早まったのかな、とホールに入ってみると・・・けっこう空きがありますね。 いつもの2階席、そ-31を陣取りますが、2階席はガラガラって感じ。 とにかくゆったりと座って開演を待ちます。

開演10分前にアナウンス、1階席はほぼ5割の入りでしょうか、珍しいプログラムだからかな・・いいプログラムと思うのだけれど。 コントラバス、ティムパニ、トランペットの方々が出て来られて練習を始めます。 パラパラっと集まってくる自由入場形式。 通常配置で10-11-7-9-6の編成で揃いました。 ハープは中央、第2ヴァイオリンとヴィオラの間に配置されているのが目を引きますね。

定刻を示すブザーが鳴ると、練習音も収まって静かになります。 客席の照明が落ち、ステージが照らされるとコンマスが拍手で登場。 チューニングを行って準備完了となります。 指揮者の江田さんの登場。 まずオケ・メンバーを立たせてから中央へと歩みを進め、礼をし、さぁ始まります。

ドヴォルザークの序曲「謝肉祭」、瑞々しい音色で勢い良く進みつつも、落ち着いて堂々とした演奏でした。 冒頭こそ少々ダンゴっぽくも聴こえましたが、中盤の落ち着き、終盤では漲る力を秘めた厚みのある響きで堂々と締めくくりました。

キレの良い開始。 瑞々しい音色ですね。 ぐいぐいと飛ばして進んでゆきます。 少々ダンゴっぽく聴こえたのはまだエンジンが温まっていないからでしょうか。 速度を落とし、しっとりとしたヴァイオリンの響き、オーボエもまたしっとりとしていましたね。 タンバリンが入って明るさを増しますが、落ち着いた響きの盛り上がり。 コールアングレ、フルート、そしてヴァイオリンのソロもまたもやしっとりとした感じで、じ〜んときました。 これをさっと翻します。 第1ヴァイオリン奏者の方の譜面をめくる動作の素早さ、気合を感じました。 落ち着きの中にも漲る力を秘め、またぐいぐいっと進めます。 主題を戻し、厚みのある響き。 トランペットの落ち着いた音色が素敵でした。 そして堂々としたエンディングを形成して終結。 聴き応えありました。

ステージは暗転となり、いったん全員が退場します。 そして暗転のままメンバーが再度登場。 12-10-7-10-7の編成となって揃うとステージが明るくなりました。 コンマスが立ち上がってチューニングを実施。 指揮者の江田さんがゆっくりと歩いて登場します。 途中に休憩を挟んで前半3曲と後半3曲に分けての演奏となります。 さぁ、始まります。

堂々として落ち着いた音色の中にも躍動感をもった「我が祖国」、江田司さんの指揮のもと統一された響きが見事でした。 分奏のしっかりとした弦楽器、抑制のよく聴いた管打楽器、ほんと、巧いオーケストラですね。 毎回エントリーされる、悪い言葉で言うと寄せ集めなんですが、個々人のポテンシャルの高さが合奏能力にもよく現れていて、集中力の高さもまた印象的でした。

「高い城」、江田さん、左手に指揮棒を持ち、右拳をグーにして目の前に座るハープ奏者に指示します。 落ち着いた綺麗な響きが会場を包みます。 江田さんはうつむいてこれを聴いていましたが、両手を上下に動かし、ホルンの柔らかな響きを導き出し、フルート、トランペットの音量は少々大きかったかもしれませんが、丁寧に進めて弦のサンサンブルへ。 熟成されたようなハーモニーがとても素晴らしい。 トランペットが少々つまづきかけましたが、江田さん、大きく丸く振って整え、トランペットも艶やかさを取り戻し、たっぷりとして自然と湧き上がってくるような響きに感動しました。 曲想が変わっても低弦がしっかりとし、落ち着いたファンファーレ、行進曲も縦ノリのリズムながらもしっとりと。 シンバルの一撃が見事に決まり、落ち着きの中にもしっかりとした躍動感が感じられる情感のある演奏ですね。 その落ち着きをもってこの楽章を終わりました。

「モルダウ」、素晴らしいアンサンブルでの開始となりました。 ハープ、フルート、ヴァイオリンのピチカート、クラリネットなどなど・・・詩情溢れる演奏は、すっきりとしていて聴き惚れました。 金管が豊穣の響き、トランペットがここでも健闘してましたね。 深みを感じさせる弦の響きが軽やかなステップを踏むようで、そして進むうちに艶やかで清涼な流れとなってゆきます。 トライアングルの音色も綺麗だったし、木管も瑞々しくてね。 そして終盤、大太鼓がドロドロっと響き、内包されたパワーを感じさせた盛り上がりも見事。 終結部は落ち着いたテンポ、たっぷりとさせた響きに軽やかなトランペットを絡めての盛り上がり。 しっかりとした着地を決めました。

「シャールカ」、弾力のある開始、艶を持ちつつも力のあるヴァイオリンの響きに、締まった金管と打楽器もまたよく揃い、呼応しながらリズミカルに進んでワクワクとします。 クラリネットの深い音色、チェロのアンサンブルもまたいい響きでした。 弦の分奏がここでも素晴らしく、低弦が息づいています。 もちろん管楽器と打楽器も頑張っていますよ。 特に妖艶で不安げな様子も活写する木管が巧かったなぁ。 そしてスピード感のある全奏となり、トロンボーンとチューバの音色に艶をパワーがあって素敵。 筋肉質の音楽で駆け込んだ終結は見事でした。

20分間の休憩、この間にハープはステージから持ち出されました。 席でじっとして開演を待っていましたが、5分位前より自由入場形式でメンバーの方が集まってきました。 客席はというと、1階席は6割程度の入りかしら。 素晴らしい演奏なのに、残念ですね。 定刻となりました。 コンマスが立ち上がってチューニングを指示。 準備が整うと、指揮者の江田さんが登場して再開です。

「ボヘミヤの草原と森から」、大きく振りかぶり、大きくゆするような指揮で始まりました。 たっぷりとした響きです。 熱い響きのトランペット(トップ奏者の方入れ替わったかしら)、ヴィオラもよく聞こえてきます。 健闘してますね。 緻密な響きとなって、ヴァイオリンの旋律がヴィオラ、チェロ、コントラバスと巡り、ホルンの柔らかで雄大な響きへと。 落ち着いて聴こえるのもしっかりとした弦に乗っているからでしょうね。 管と弦が見事に協調・呼応しあっています。 ノリノリのリズムで盛り上がっても、落ち着いた低弦がゴウゴウと響いていてね、力のこもった終結としていました。

「ターボル」、低弦とティムパニ、ホルンの引き締まった響き、そして響きが湧き上がってくるような全奏です。 ティムパニのハリのある打音がカッコ良かったなぁ。 このあとも集中力抜群で、深みとハリのある響きで客席を惹きつけて離しません。 見事な合奏。 そしてここでも弦楽器の分奏の素晴らしさは変わらないのと、挟み込まれた木管の旋律の深さと柔らかさもまた印象的でした。 全奏で速度を上げ、集中力も満点。 重厚感にスピード感が合さってます。 音の洪水のようでもありますが、芯がビシッと通ってますので騒々しさはありません。 終結部も堂々と運めますが、艶も感じるほど。 江田さんの左腕でこの曲を止めました。

「ブラニーク」、そのままアタッカで突入します。 しだいに盛り上げてゆく熱気を孕んだ弦楽アンサンブル。 引き締まった低弦と高音弦が左右で響くステレオ効果も満点です。 オーボエ、クラリネットにホルンも絡んだアンサンブルが静かな和みの時間、そしてまた弦楽アンサンブルにもどって厳しい表情。 熱気がありますが、決して暴走しない巧さが心地良いですね。 深みと奥行きが感じられる演奏が素晴らしい。 江田さん、軽くジャンプもしていました。 トランペットの響きからまた緊張感を高めた全奏となります。 力強くてリズミカル。 ヴァイオリン奏者の方、速い動きながらも力をこめて弾いてらっしゃる感じ。 雄大な金管ファンファーレのあと、弦楽器が今度は伸縮するような感じでたっぷりと歌います。 フルート、ピッコロ、しだいに駆け足となって朗々としたトランペットのファンファーレが響きます。 爽やかな弦、ティムパニのロール、そして軽やかで壮麗となった演奏を江田さんの右腕が斜め上にすくい上げるように放出して全曲を締めました。

深みのある堂々とした演奏でした。 時に縦ノリのリズムで推進力を持たせてワクワクもさせてくれて、聴き応えのあった素晴らしい演奏に大きな拍手を贈りました。

アンコールもまたしっとりとした演奏で、各パートが浮かび上がってくるような感じでしたね。
指揮者の江田さん、構成感をしっかりと持って振っているのですが、単に縦の線を合わせるのではなく、オケの中から湧き上がるものを巧みにリードしているようです。 オケもそれをしっかりと応えて見事。

お客さんがちょっと少ないのが残念だったけれど、初めて実演で全曲を聴くという機会に恵まれました。 前半3曲と後半3曲の間に休憩を挟んだことも良かったように思います。 聞き手としても集中力を維持できましたしね。 素晴らしい体験ができた演奏会でした。 ありがとうございました。