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ハーモニックソアラ高槻 第3回定期演奏会

ケレン味の良さもまた清々しい戻る


ハーモニックソアラ高槻 第3回定期演奏会
2008年4月6日(日) 14:00 高槻現代劇場・中ホール

ベートーヴェン: コリオラン序曲
モーツァルト: 交響曲第40番ト短調 K.550
ベートーヴェン: 交響曲第8番ヘ長調 op.93

指揮: 森 香織

森香織さんの指揮のもと、切れの良い整った響き、どの楽器の音もよく聞こえてくるバランスの良い演奏で耳を奪われました。

冒頭のベートーヴェンのコリオラン序曲。 決して大きくない編成(8-7-5-5-2)のこのオケから密度の高い強靭な響きを醸し出してきたのに驚きました。 このような小編成なのに底鳴りがするようようにも感じるのですね。 無理に大きな音を出し、豪快に演奏する指揮者もいますが、全くもってそのようなことはなく、充実した響き、といっても過言ではありません。 この曲を存分に堪能しました。

つづくモーツァルトの交響曲第40番、こちらも集中力を高く保った密度の濃い演奏でした。 先でも思ったのですが、バランス良く響かせていて、どの楽器もよく聞こえています。 でもモーツァルトの場合、それらが整然と一気に流れて続けてくると・・少々単調にも思えてくるものですね。 もっと研ぎ澄まして現代音楽風でストイックな演奏になったらまた別なのでしょうけれど・・ 少々ゴシック建築風な堅牢な感じもして、すみません、巧い演奏でしたけれど個人的には少々飽きてしまった感もありました。 これも巧いオケならではなので、許してください。

しかしメインのベートーヴェンの交響曲第8番。 やはり森さんの今回のアプローチはベートーヴェンに似合ってましたね。 構成感をしっかりと持った演奏、瞬発力、緻密さ、そしてに先にも書きましたがバランス感覚の良さが光った素晴らしい演奏でした。 第1楽章を聴いたとき、「アポロ的」という言葉も浮かんできました。 明るい感じもしましたものね。 そして終楽章、緊張と緩和もきちんと制御、計算されているような感じ。 これも繰り返しになりますが、無理に大きな音を出して豪快に演奏するのとは全く違いますね。 ここでも 7-7-5-5-2 の編成とは思えない重厚感に溢れた演奏は見事の一言。 それを実現したオケの皆さんにも大きな拍手を贈りました。

相当練習を積まれたのでしょうね、アンコールなしでお開き。 そのケレン味の良さもまた清々しい演奏会でした。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

かつてはアマオケ不在の地だった北摂地区、その高槻に居を定めたハーモニックソアラ高槻の定期演奏会もこの地で2回目。 指揮者はこれまでの関谷弘志さんに代わって新進の女性指揮者・森香織さんとなりましたが、今回もベートーヴェンの交響曲が採り上げられます。 第1回定期では5番と7番、第2回定期では2番、この間に開催された高槻のアマオケフェスティヴァルでは第3番も演奏されていて、今回は第8番。 着々と全曲制覇を狙われているようですね(来春の高槻のアマオケフェスでは合同ながら第9をやるそうです)。

それはともかく、会場の高槻現代劇場には開演20分前に到着。 地下の中ホールに入り、せ-12を確保しました。 後ろから5列目、左ブロックながら中央通路よりです。 いつもこのあたりが定席って感じですね。 定刻のブザー、ほぼ6割の入りでしょうか、その客席の照明が落ち、ステージが照らし出されると、左右の楽屋より整列入場が始まります。 8-7-5-5-2の通常配置。 コンミスによるチューニングを終えると、黒のパンツスーツにポニーテール姿の森さんが登場しました。 森さんも高槻市出身だそうですね。 期待が膨らみます。 いよいよ始まります。

ベートーヴェンのコリオラン序曲。 決して大きくない編成のこのオケから密度の高い強靭な響きを醸し出してきて驚きました。

素早い動きから、引き締まってかつ深みのある響き。 これに少々驚きました。 気迫のこもった演奏です。 森さん指揮棒を持たずに振ってらっしゃいます。 ぐっとスピードを落とし、響きを内包させるように溜め込み、今度は底鳴りがするような重厚な響きで堂々と曲を進めます。 小さな編成のこのオケからこのような響きが出てくるとは・・ここでもまた驚きました。 単に音が大きいのではないのですね。 緻密な響きで密度が濃いのです。 これは相当に練習を積まれたのではないか、と思いました。
その森さん、両足を肩幅と同じ間隔に広げて、しっかりと立ってらっしゃいます。 身体の重心もおへそのあたりにあるのでしょうね、華奢な体形なのにどっしりと構えていて、キレの良い上半身の動き、それが曲にもよく現れている感じです。 そしてまたキレのよい冒頭の旋律が戻ってきて、集中力を更に高めたピチカート、静かに曲を閉じました。 充実した響き、といって良いと思います。 この曲を存分に堪能しました。

ステージは暗転、メンバーが少し刈り込まれて 7-6-5-5-2の編成になりました。 コンミスによるチューニングのあと、森さんが出てこられました。 この曲でも指揮棒なしですね。 さぁ始まります。

モーツァルトの交響曲第40番、こちらも集中力を高く保った密度の濃い演奏でした。 先でも思ったのですが、バランス良く響かせていて、どの楽器もよく聞こえています。 でもモーツァルトの場合、それらが整然と一気に流れて続けてくると・・少々単調にも思えてくるものですね。 もっと研ぎ澄まして現代音楽風でストイックな演奏になったらまた別なのでしょうけれど・・ 少々ゴシック建築風な堅牢な感じもして、すみません、巧い演奏でしたけれど個人的には少々飽きてしまった感もありました。 これも巧いオケならではなので、許してください。

第1楽章、ゆっくりと振って慎重な開始。 右手を斜めに構えてヴィオラから引き締まった深い響きを導き出します。 管楽器のバランスもとても良い感じ。 すべての音が綺麗に響いてブレンドされているようですね。 お馴染みの旋律も、どことなく深遠な響きに聴こえるでしょうか。 かといっても重くはなく、軽やかで緻密な感じなのはこれまでどおりで進みます。 とにかくこの演奏もとてもよく考えらた演奏といった感じがします。 そしてしっかりと地に足が着いているような感じ。 堂々と進めて、落ち着いた響きで着地を決め、この楽章を終えます。

第2楽章、右手をゆっくりと動かして始まりました。 珍しくちょっと緩い感じかな、と思っていたらぐっと引き絞り、キレよく切り返し、メリハリのついた音楽とします。 弦楽アンサンブル、木管楽器の囀りもきちんと制御して配置されているといった感じ。 もうちょっと自由度が欲しい、というのは欲張りかしら。 たっぷりと響かせる場面もちゃんと制御されていて、事前によく考えられたとおり緻密に進んでゆくようです。 弦楽アンサンブルがビシっと決まっているからこと出来ることなのですね。 この楽章もまた落ち着いた響きで終結しました。

第3楽章、素早く下ろした右腕をさっと引き上げ、深みと艶のある響きを導き出します。 弦の分奏がまたまた素晴らしく、木管もよく聞こえてきて、整理されてよく纏まった音楽。 う〜ん、巧いけど、少々杓子定規な感じも受けるのは、なんで。 森さんはオケを緻密にリードし、バランスの良い纏まりのあるサウンドにしています。 ここではホルンがちょっと苦しかったりもしましたが、それがかえって暖かみにも感じたりして・・このあたり多分に個人的な嗜好の問題があるのでしょうね。 正直ちょっと聴き飽きてきた感じもしてました、すみません。

第4楽章、ちょっと腰をかがめて慎重にスタートします。 そして鋭く、力を込め、キレのよいサウンドで進めてゆきます。 オケのすべての楽器が均質・均等に鳴っている感じ。 綺麗に揃って、一糸乱れずに進んでゆくのは壮観。 集中力の高い演奏が展開されています。 しかし、こちらの集中力は逆に途切れてきて・・巧い演奏をなんとなく聴き流すような感じになってしまい、そこに一歩踏み込めず、って感じ。 すみません。 煽るようなことは全くなく、最後まできちんと制御された音楽が繰り出されてきているのですけどね。 そして最後は森さんの右腕が小さく回って全曲を纏めました。

巧い演奏でしたけど、モーツァルトが整然と一気に流れて続けてしまった感じで、ちょっと乗り切れませんでした。 ごめんなさい。

10分間の休憩、いつもながら席でじっとして感想文など書いて開演を待ちます。
定刻になって客席の照明が落ちて、ステージが照らされましたが・・誰も出てこない・・と思ったら整列入場が始まりました。 ちょっとせっかちなのかな。 それはどうでもいいことですが、今度の編成は 7-7-5-5-2のようです。 そうそうこの最後の2、コントラバス奏者は男女2名なのですが、このうちお兄さんの方は演奏中ずっと立ってられるのでした。
それもともかく、コンミスによるチューニングを終え、指揮者の森さんが登場します。 一礼をしたあと、指揮台に登壇する前、暫しうつむいて集中力を高めてらっしゃいました。 そしてようやく登壇、さぁ始まります。

ベートーヴェンの交響曲第8番。 やはり森さんの今回のアプローチはベートーヴェンに似合ってましたね。 構成感をしっかりと持った演奏、瞬発力、緻密さ、そしてに先にも書きましたがバランス感覚の良さが光った素晴らしい演奏でした。 第1楽章を聴いたとき、「アポロ的」という言葉も浮かんできました。 明るい感じもしましたものね。 そして終楽章、緊張と緩和もきちんと制御、計算されているような感じ。 これも繰り返しになりますが、無理に大きな音を出して豪快に演奏するのとは全く違いますね。 ここでも 7-7-5-5-2 の編成とは思えない重厚感に溢れた演奏は見事の一言。 それを実現したオケの皆さんにも大きな拍手を贈りました。

第1楽章、素早い動きからインパクトのある開始、重厚ながらも溌剌とした音楽が流れ出てきます。 これまでどおり緻密なリードで曲を進めつつ、キレもよくて弾むようでもあります。 ティムパニの響きが深めなのは、すっきりと引き締まった弦の響きとの対比かしら。 とにかく明るい響きは「アポロ的」という言葉も浮かびました。 緻密さと重厚さが相俟っていて、素晴らしい響きですね。 整った響きながらも熱気をもった終結部、力強く進めたのを絞り、やや重厚な感じで止めました。

第2楽章、半身に構えての開始。 ここでも集中力は抜群で、引き締まった盛り上がり、研ぎ澄まされた響きが折り重なりあう演奏として進めてゆきます。 緻密な響きはここでも健在。 そしてそれらがきちんと制御されていて、盛り上がりをいくつも越えてゆきます。 中でも中低弦の響きがソリッドでいいですね。 キレの良さ、縦ノリのリズムで進めた演奏は、最後の最後だけちょっと伸ばすような感じで止めてこの楽章を終了しました。

第3楽章、森さんはハンカチを取り出し、汗を押さえるように拭き、呼吸を整えてのスタートとなりました。 軽いハナ息とともに丸く振ってたっぷりとした響きを導き出しました。 すっ〜と音量を下げたかなと思ったら、また音量を上げて今度はゆったりとしたテンポ。 そして冒頭の旋律、トランペットがここでも輝かしく吹いて魅了します。 ティムパニは深い打音でサポート。 しだいにまた集中力を高め、進めます。 中低弦のピチカートに木管が合ってなかったのかな、気のせいかもしれませんが、また冒頭の旋律に戻ると、ゆったり・たっぷりとした音楽。 トランペットの響き、ここでも素敵でしたね。 最後は柔らかな着地。

第4楽章、前屈みになった森さん、繊細な感じで振り始めて、少し止め、キレよく盛り上げて走らせます。 スピードを落とすとコントラバスをたっぷりと響かせ、またスピードを上げます。 分奏の良さ、引き締まった演奏、輝かしいトランペットに深い打音のティムパニ。 緊張と緩和を繰り返しているみたいです。 そしてその緩和の部分もまたきちんと制御されていて計算された緩和なのですね。 フルートの端正な響きも素敵、落ち着いてフィナーレに向って進みます。 ホルンとオケが呼応しあって、堂々としたフィナーレを形成。 ストイックにオケを締め上げたエンディグも集中力が高くて見事の一言。 ここでもまた堪能した気分です。 大きな拍手を贈りました。

森さんのキレの良い指揮はとてもよく考えられていて、オケにもそれがよく浸透していたようです。 そしてオケもまた、どの楽器をもバランスよく響かせる巧さがありました。 個人的に単調に整いすぎた感じのしたモーツァルトでしたが、ベートーヴェンでは両者の特質がとてもよく発揮できていたのではないでしょうか。

とにかく相当練習を積まれたのでしょう。 アンコールなしでお開きとなりましたが、そのケレン味の良さもまた清々しい演奏会でした。