BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
吹田市交響楽団 第65回定期演奏会

意欲的な演奏会戻る


吹田市交響楽団 第65回定期演奏会
2008年5月6日(祝・火) 14:00 吹田市文化会館メイシアター・大ホール

メンデルスゾーン: 序曲「美しいメルジーネの物語」 (*)
シベリウス: 交響曲第7番ハ長調 op.105 (*)
プロコフィエフ: 交響曲第5番変ロ長調 op.100
(アンコール)プロコフィエフ: 歌劇「3つのオレンジへの恋」より「行進曲」

指揮: 米山 信(*)、新谷 武

すっきりと明快に纏めたシベリウスの交響曲第7番、パワフルでリッチなサウンドで邁進したプロコフィエフの交響曲第5番、それぞれの指揮者のカラーがよく出た意欲的な演奏会でした。

副指揮者の新谷さん、わずか3ヶ月前の前回演奏会ではチェリビダッケばりの遅いテンポで歌い上げたチャイコフスキーの交響曲第5番を披露してくださいましたが、今回はパワフルでリッチなサウンドで迫力満点でした。 朗々と吹く金管、明快な打楽器、すきっとした木管も見事でしたが、分奏の良い弦楽器が全体を支え、一丸となって瞬発力のある音楽で会場内を惹きつけていました。 中でも7本揃えたコントラバスに8本のチェロ、底流をゴウゴウと流れていたのが素晴らしく、強く印象に残りました。

常任指揮者で芸術監督の米山さん、難解なシベリウスの交響曲第7番を明快に振り、躍動感を持った音楽として分かりやすく伝えてくれました。 米山さんの振りはいつもながらの省エネ指揮法で縦振りが基本。 聞き手の自分もその縦振りに知らずに合わせ、首でリズムを取りながら聴き進めていました。 そして次第に熱気も増し、中盤以降は弦と管の呼応したクライマックス。 熱さも十二分に出ていて痺れました。

そしてこれらに先立って演奏されたメンデルスゾーンの序曲「美しいメルジーネの物語」、こちらも米山さんの指揮。 耳馴染みのない曲ですが、古典派とロマン派の中間、橋渡しのような印象を持ちました。 淡々としていながらも美しい旋律が出て、クライマックスも落ち着きがありました。 トランペットが抑制されつつも主張した響きを出していて印象的でした。

アンコールはプロコフィエフの「3つのオレンジへの恋」から行進曲、こちらも新谷さんによる豪快な演奏で締めくくり。 充実した演奏会でお腹いっぱいになりました。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

ゴールデン・ウィークの最終日、快晴です。 単身赴任となって早々の帰省を待っていたかのような吹響の定期演奏会。 3ヶ月前に演奏会をやったところなのに、しかも今回はシベリウスの交響曲第7番とプロコフィエフの交響曲第5番という凄いプログラムですから聞き逃せません。 開場して間もなない5分後位にはホールに入っていました。 そしていつもの2階席、中央通路後ろの そ-31 を確保しました。

予鈴のブザーが鳴りました。 1階席はよく見えませんが6割程度でしょうか。 少々淋しい感じがしないではありません。 もっと入ってもいいのにな。 定刻となり、ステージが照明で照らし出されると整列入場が始まります。 11-9-7-8-7 の通常配置で着席。 コンマスが立ち上がってチューニングを行うと準備完了です。 指揮者の米山さんが登場されて、指揮台に登壇して一礼。 くるりと振り返って、さあ始まります。

メンデルスゾーンの序曲「美しいメルジーネの物語」、耳馴染みのない曲ですが、古典派とロマン派の中間、橋渡しのような印象を持ちました。 淡々としていながらも美しい旋律が出て、クライマックスも落ち着きがありました。 トランペットが抑制されつつも主張した響きを出していて印象的でした。

暖かな木管の響き、ヴィオラも響いて始まりましたが、ちょっとまだ手探りな感じかしら。 弦楽器が加わってゆっくりと進みます。 米山さん、一歩前に出て芯のある響きを導き出して整えます。 トランペットが抑制かけていい響きでブレンドされてますね。 低弦が柔らかく響き、ティムパニがドコドコっと打ってクライマックスを形成しますが、落ち着いた響きで統一されています。 古典派のしっかりとした構成感にロマン派の叙情的な流れ、この中間をいっている感じかな。 米山さん、いつもの縦振りでゆったりと上下に振幅つけて進めます。 トランペットのファンファーレにホルンが呼応し、米山さんここでも一歩前に出てましたね。 管楽器を柔らかくブレンド、エンディングはゆったりとさせて、柔らかなピチカートで閉じました。 耳馴染みのない曲でしたが、終始トランペットが抑制をかけつつも主張した響きを出していたのが印象に残りました。

管楽器奏者を一部入れ替え、また増強もされたでしょうか。 全員が揃うとコンマスが立ってチューニングを実施。 準備完了で、米山さんが出てこれらました。 始まります。

シベリウスの交響曲第7番、難解なこの曲を明快に振り、躍動感を持った音楽として分かりやすく伝えてくれました。 米山さんの振りはいつもながらの省エネ指揮法で縦振りが基本。 聞き手の自分もその縦振りに知らずに合わせ、首でリズムを取りながら聴き進めていました。 そして次第に熱気が増し、中盤以降は弦と管の呼応したクライマックス。 熱さも十二分に出ていて痺れました。

ティムパニと低弦の厳かな響きによって始まりました。 やや音量は大き目だったかしら。 木管と弦楽器が呼応し、適度の粘り気を持って進みます。 中音弦のアンサンブルも丁寧で、厳かな雰囲気がよく出ていますね。 いい感じです。
トロンボーンのファンファーレ、これが素敵で明るさを導き出しました。 ティムパニの深く張りのある打音。 木管、そして低弦、明るい響きでの呼応も決まっています。 そしてまたティムパニの深い打音。 静謐というよりも躍動感を感じますね。 この曲の良さを明快にして伝えてくれているようにも思えました。
今度は渦巻くような弦楽アンサンブルになります。 ここに低いティムパニの打音、これらの上でトロンボーン、トランペット、ホルンが秘めたような熱い響きで吹いて素晴らしい。 弦楽器にもそれが伝播したように充実した盛り上がり。 痺れました。
フルートと弦楽器の受け渡しが美しく、米山さんのいつもの上下動に皆さんうまく乗っているみたい。 聴いている当方も気付けば同じように首を動かして聴いていましたものね。 判りやすい棒です。
徐々に力を増してゆき、またもや金管ファンファーレ。 トロンボーンがここでもいい艶を出していました。 輝かしい響き、米山さんが更に大きく上下動をして力を増したと思ったら、横に振って粘りも持たせます。 この間、弦楽アンサンブルは常に透明感の高い響きで満たされていました。 オケ一丸となったフィナーレを展開し、最後はふわっとした着地を見事に決めました。
小さな声でブラボーがかかりましたが、これもまたいい感じのブラボーでしたね。

15分間の休憩。 珍しくトイレ休憩に出たら、知っている団員さんとバッタリ。 しばし音楽とは全く関係ない歓談をしていたら予鈴となりました。 席に戻るとすぐに定刻で、整列入場が始まります。 今度は 11-8-7-8-7 の通常配置。 コンマスのチューニングが終わると、指揮者の新谷さんがゆっくりと歩いて登場します。 まずはオケ全員を立たせてから、客席に向って礼をし、登壇。 さあ始まります。

プロコフィエフの交響曲第5番、指揮者の新谷さん、わずか3ヶ月前の前回演奏会ではチェリビダッケばりの遅いテンポで歌い上げたチャイコフスキーの交響曲第5番を披露してくださいましたが、今回はパワフルでリッチなサウンドで迫力満点でした。 朗々と吹く金管、明快な打楽器、すきっとした木管も見事でしたが、分奏の良い弦楽器が全体を支え、一丸となって瞬発力のある音楽で会場内を惹きつけていました。 中でも7本揃えたコントラバスに8本のチェロ、底流をゴウゴウと流れていたのが素晴らしく、強く印象に残りました。

第1楽章、フルートとファゴットそしてクラリネットの明るい響きによる開始。 弦楽器が加わって、新谷さんが精力的に曲をリードします。 低弦の響きに芯の強さがあり、金管も引き締まっています。 少々手探りな感じがしないではありませんが、筋肉質の演奏で進みます。 思索的な弦のフレーズが繰り返されながら進み、新谷さんは小さく振って集中力を高めます。 シンバルの一撃、ここから熱い音楽が迸り出てきました。 そして熱いファンファーレ、大太鼓の腹に響く打音、重量感のある弦が素晴らしいですね。 銅鑼が打たれ、ゆったりとして恰幅の良い音楽。 終結部はぐっと力を増したオケの響きを右腕をぐるりと廻してキレよく止めます。 残響がホールに残った力強い幕切れでした。

第2楽章、ヴァイオリンの方を向き、深みのあるアンサンブルを導き出しました。 木管が歌い、そして駆けてゆきます。 ピアノ、打楽器、金管が入って、ここでも引き締まった筋肉質の響き。 ゴウゴウと鳴るコントラバス、精力的な中音弦、弦楽器の分奏が素晴らしいなぁ。 派手な金管に負けていません。
明るい木管アンサンブルが主役となって歌います。 これに惹きつけますしたが、スネアがキレよく入って来るとまた小走りに。 そしてまた目まぐるしく主役を入れ替えながら曲を進めます。 ここでも弦楽器が安定しているのが素晴らしくて、目まぐるしくでも息せき切るようなことは皆無。 しっかりと管楽器・打楽器を支えて見事でした。
弦のピチカートにトランペットがタイトに吹いて絡み、それが次第にまたスピードアップ。 新谷さん、ここもぐっと引き締めた音楽で見事に統率。 そして最後、ここも右腕をぐるりと廻して切りました。 またもや残響が残ります。 素晴らしい演奏に気分がかなり高揚してしまいました。

第3楽章、上下にゆったりと振り、張りのある弦の響きです。 思索的なクラリネットとフルートの響きが絡み、ピッコロもまた神秘的な響きでしたね。 そうそう、低弦のピチカートが鐘の響きのようでもありました。
スネアが入ってリズミカルに。 力を増しますが、やはり瞑想的です。 歩みは遅いけれど、響きの密度が濃くて、引き締まってて重厚感のあるハガネのような感じかな(うまく表現できません、すみません)。
ティムパニが入り、金管とともに湧き上がるような強い響き。 そこに銅鑼も打たれてピークを形成します。 そこからゆったりとしたリズムで減衰、また盛り返そうしたりもしますが、ピアノも入って響きは次第に浄化。 そして最後は静かに終わります。

第4楽章、木管楽器、ホルン、弦楽器などここも瞑想的な感じをさせつつものどかな音楽として進めます。 ヴィオラが速い動きで入ってきました。 クラリネットが軽快に吹いてオケが走ります。 素早い弦の動き、スネアがそれをまたせかせるように打ちます。 新谷さんの腕の動きも徐々に大きくなってきました。 低音金管楽器・打楽器がノリノリな感じで力演を展開。 そしてクラリネットがまたもや滑るように軽快に吹きます。 ウッドブロックなどパーカッションも加わって統率された演奏は瞬発力も十二分。 あれよあれよといった感じで聴くのがやっとといった感じの素晴らしい演奏です。 そして力強くノリノリで進んでいったフィナーレ、これを新谷さんが右腕で左から右に払うように切って捨てて止めました。 そしてまたもや残響。 大きなブラボーがかかりました。
パワフルでリッチなサウンドで迫力満点、そして統率良く纏まった音楽に感動しました。

アンコールはプロコフィエフの「3つのオレンジへの恋」から行進曲、こちらも新谷さんによる豪快な演奏、タイトで堂々とした演奏でした。 充実した演奏内容にお腹いっぱいになって帰路につくことが出来ました。 皆さんお疲れさまでした。