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枚方フィルハーモニー管弦楽団 第67回定期演奏会

奏でられた音楽の感動戻る


枚方フィルハーモニー管弦楽団 第67回定期演奏会
2008年5月25日(日) 14:00 枚方市民会館・大ホール

(追悼演奏)モーツァルト: ディヴェルティメント K.136 より第2楽章
フンパーディンク: 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲 (*)
グラズノフ: 交響詩「ステンカラージン」op.13 (*)
メンデルスゾーン: 交響曲第3番イ短調 op.56
(アンコール)J.シュトラウス: アンネン・ポルカ

指揮: 谷村 浩(*)、寺坂隆夫

スコットランド交響曲。 この曲をこんなに感激しながら聴いたことはなかったように思います。

構成感をしっかりと持ちつつも、木管を始め各声部がロマンティックによく歌っていたのが印象的。 メンデルスゾーンが古典派からロマン派の橋渡しであったことを実証するような演奏でした。 第1楽章の主題を繰り返したあたりからワクワクしながら聴いていました。
途中、客席が騒がしくなるというオケとは関係のないアクシデントもありましたけれど(2階席では空き缶も転がりましたが)困難に出会っても心を一つにした演奏に聞き手も惹き込まれました。 2階席から見ているので、オケのそのような高い集中力が垣間見え、こちらの感動もより深くなったのかもしれませんが、最後まで演奏しきったときの感激もまたひとしおでした。

なお前半プログラムは、今回初めて定期演奏会の指揮台に立った谷村さん。 大手電器メーカーに勤務されているとか。 フンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲、そしてグラズノフの交響詩「ステンカラージン」をしっかりと誠実に指揮されていました。
フンパーディンクでは慎重に進めていたせいか、かえって手探りな感じに思えた部分もありましたけれど、グラズノフでは大きな身体を利用した動きから金管をしっかりと鳴らし、打楽器を強打させたりもしてスペクタクルな演奏として聴き応えがありましたね。

でもこの日の収穫はやっぱりスコットランド交響曲。

場内が騒がしくなっても、演奏にたとえキズがあったとしても、奏でられた音楽の感動が少しも損なわれない素晴らしい演奏。 大きな拍手を贈りました。 技術はもちろん大切だけれども、演奏にかける気持ちが伝わってくる枚方フィルの演奏、今回もそれがよく分かった演奏会でした。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

明け方には凄い雨が降っていましたが、お昼には回復。 京阪特急を利用して枚方市駅に降り立つと薄日も差してきました。 何度も書きますが、京阪特急というと京橋の次は京都の七条という感覚が未だに抜けませんねぇ。 それはともかく、特急を利用すると開場時間ちょうどにホールに到着できるのが便利です。 歩道橋を渡ってホールの方を見ると、長蛇の列が動き出していました。 さっそく列の後ろに並んでホールに入ります。

このところ開場直後に2階席が開放されているのが嬉しいですね(ありがとうございます)。 さっそく階段を登って2階席、最前列のA-35に陣取りました。 1階席は最終的には9割位の方が入られたでしょうか、2階席はお子さん連れが多く、かなりリラックスしたムードが漂っています。

開演5分前のブザー、アナウンスのあと整列入場が始まりました。 12-10-9-7-5 の通常配置で弦楽奏者のみ登場し席に着きます。 そしてアナウンスにあったように、昨年亡くなられた団員の方への追悼演奏が始まります。 故人がお好きだったというモーツァルトのディヴェルティメントK.136より第2楽章。 暖かな響きで大きくゆったりと丁寧に歌わせる枚方フィルらしい心に染み入る演奏でした。 想いをはせながら演奏されていたことでしょう。 聴きながらご冥福をお祈りしました。

演奏が終わると管打楽器のメンバーが登場。 全員が揃うとコンマスが立ち上がってチューニングを指示します。 準備完了で、指揮者の登場。 指揮者は今回初めて定期演奏会の指揮台に立たれる谷村さん。 大手電器メーカーに勤務されているとか。 大柄な体を大きく曲げて深々とした礼をして始まります。

フンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲、ホルンによる長閑な感じのファンファーレ。 弦が柔らかく絡んで慎重に進めてゆきます。 木管も柔らかな響きですが、少々手探りな感じもしました。 シンバルやタンバリンが入って軽快に進むとそれも改善。 軽快で軽やかに進んでゆきました。 でも各声部の絡みなど何となく掴みどころがないような感じかな、何となく併せて進んでいるような感じだったかな。 谷村さん、左手を高く突き上げて力を入れます。 シンバルが刺激的な響きで鳴ります。 このあと抑制をかけて主題を戻し、そっと終了。 ここでのトランペットの響きが良かったですね。

管楽器を増強します。 コンマスがまた立ち上がってチューニングを行って、準備完了。 谷村さんが登場し、始まります。

グラズノフの交響詩「ステンカラージン」、コントラバスの方を向き、低い唸るような響きを導き出します。 トロンボーン、ホルンと集中力を保った落ち着いた響き。 深くハリのあるティムパニの打音が推進力を導き出しています。 先ほどと違って力が入っても高い集中力が感じられますね。 シンバルが強烈に響き渡ります。 色彩感といった点ではちょっと乏しい感じかな、木管も端正な感じですし。 でも淡色系ながらも誠実な曲の進め方に好感が持てます。 音量が増してもしっかりとした展開ながらスペクタクルも感じさせていい感じ。 小さく振って、更に集中力を高め、打楽器群がタイトに演奏。 そしてまた金管楽器のファンファーレ、これもまた落ち着いています。 銅鑼の入った終結部、落ち着いた音色のまま音圧を上げた盛り上がり、シンバルの強奏で止めました。

フンパーディンクでは慎重に進めていたせいか、かえって手探りな感じに思えた部分もありましたけれど、グラズノフでは大きな身体を利用した動きから金管をしっかりと鳴らし、打楽器を強打させたりもしてスペクタクルな演奏として聴き応えがありました。

15分間の休み、1階席は9割程度の入り、2階席も前方を中心に2割くらい入っているでしょうか。 年配の方と、小さなお子さん連れが多く、気軽に音楽を楽しみに来ているといった雰囲気ですね。 クラシック音楽に権威と静寂を求める方には向かないところでしょうけれど。 なんだか少々眠くなってきたので、目をつぶって休息を取りました。
定刻、オケ・メンバーが登場し、11-10-10-8-5 の通常配置となりました。 全員が揃うと、コンミスが立ち上がってチューニングを指示。 準備完了です。 指揮者の寺坂さんが登場。 まずオケの全員を立たせてから客席に一礼。 指揮台に登壇し、いよいよ始まります。

スコットランド交響曲。 この曲をこんなに感激しながら聴いたことはなかったように思います。
構成感をしっかりと持ちつつも、木管を始め各声部がロマンティックによく歌っていたのが印象的。 メンデルスゾーンが古典派からロマン派の橋渡しであったことを実証するような演奏でした。 第1楽章の主題を繰り返したあたりからワクワクしながら聴いていました。
途中、客席が騒がしくなるというオケとは関係のないアクシデントもありましたけれど(2階席では空き缶も転がりましたが)困難に出会っても心を一つにした演奏に聞き手も惹き込まれました。 2階席から見ているので、オケのそのような高い集中力が垣間見え、こちらの感動もより深くなったのかもしれませんが、最後まで演奏しきったときの感激もまたひとしおでした。

第1楽章、寺坂さんが軽く前屈みになり、すっと振り始めて、整った響きによる開始です。 落ち着いていて集中力もありますね。 丁寧に振って膨らみを持たせて、瑞々しいヴァイオリンの旋律をゆったりと歌わせて、こちらはそれにうっとり。 寺坂さん、端正な縦振りです。 オケも緊張感を持たせつつも歌い繋いでゆき、落ち着いた表情。 フルートが綺麗な音色でしたね。 膝でリズムをとった寺坂さん、ぐいっぐいっと引っ張って高揚感を持たせます。 古典派のきちっとした構成感を土台に、オケの各声部が絡みあって歌っている素晴らしい演奏。 しばし聞き惚れました。 多少のミスはあったでしょうし、弓を落とすというトラブルもありましたけどね。 クラリネットの思い入れの深い旋律から熱さもまた高まります。 しだいに密度の濃い演奏を展開。 最後はそれをしなるように減衰させて、集中力を保ったままの終結。 後半、素晴らしい演奏に聞き入っていました。

第2楽章、寺坂さんの挙がった手は降りず、呼吸を置いてから、軽やかに歌いだしました。 クラリネットの暖かさと爽やかさを併せ持った音がよく伸びてとても素敵。 フルート、オーボエ、そして弦楽器も軽快に進みます。 金管、トランペットなども抑制がしっかりと効いてます。 低弦が力のこもった響き、これに続いて可憐に歌うオーボエとフルート、端正なファゴット、そして高音弦には透明感が感じられます。 客席がちょっと騒がしくもなるトラブルもありましたが、逆にオケは集中力を高めて対応していましたね。 こちらもより集中して演奏を追います。 軽やかなトランペット、ティムパニの響きも軽やかに弾んで、弾力を持ってこの楽章を終えました。

第3楽章、ここでも寺坂さんの手は降りず、ヴァイオリンの方を向き、呼吸を整えてからしっとりした響きを導き出します。 落ち着いて濡れたような響き、少々揃っていない部分もありましたが、すぐに挽回してゆったりと歌います。 瑞々しいピチカート、粘るように弾く第1ヴァイオリン、美しい旋律に涙が出そうになりました。 金管が厳かに吹き、ゆっくりと歩むように木管、ティムパニが入って熱くなりますが、各声部が絡んで歌い上げる演奏。 思いのたっぷりと乗った演奏がいいですね。 でも時に合わなくなりそうにもなったりもするんですが、気持ちがよく伝わってくる演奏が素晴らしいのです。 2階席では子供の声や、空き缶まで転がったりもしましたが、こちらも集中力を高めて問題ありません。 抑制を効かせたトランペットのファンファーレ、旋律を戻して美しい音楽を丁寧に奏で、最後はクラリネットの美しい演奏とともにそっと閉じました。 

第4楽章、ずしっとした響きに、軽くインパクトを覚えた開始。 軽やかに進めつつも、集中力を高め、暖かな響きに力がこもった演奏ですね。 金管の響き、また木管の旋律も暖かみのある響きで、弦楽器ともとてもよく溶け合っていました。 寺坂さん、コントラバスの方を向き、左手を上下に振って力を要求。 コントラバスの首席の方もリズムを首を振って取った演奏をしていて熱く応えています。 ホルンの斉奏、寺坂さん、グーにした拳で力を込めると、オケの響きに粘り気が出て素晴らしいですね。 ぐっともりあがったあと、クラリネットの落ち着いた音色、ファゴットが柔らかく絡みます。 左手をくるりと回す寺坂さん、ホルンが柔らかく吹き、ティムパニの低いロールから徐々に高らかに、ゆったりとして暖かく落ち着いた響きを使って誠実になぞるように盛り上げてゆきます。 ホルンも端正なファンファーレ、そして堂々とした演奏とし、高らかに歌い上げて全曲を閉じました。

場内が騒がしくなっても、演奏にたとえキズがあったとしても、奏でられた音楽の感動が少しも損なわれない素晴らしい演奏に大きな拍手を贈りました。

アンコールもありましたが、スコットランドに感激しててあまりよく覚えていません。 明るく楽しい演奏だったと思います。 演奏するための技術はもちろん大切だけれども、演奏にかける気持ちが伝わってくる枚方フィルの演奏にはいつも何かしら新たな感動を貰っています。 今回はトラブルがありましたが、また新たな感動が得られた演奏会でした。 皆さん、お疲れさまでした。