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紫苑交響楽団 第12回定期演奏会

充実した響きが満載戻る


紫苑交響楽団 第12回定期演奏会
2008年9月28日(日) 14:00 長岡京記念文化会館

モーツァルト: 歌劇「劇場支配人」序曲 K.486
エルガー: エニグマ変奏曲(自作の主題による変奏曲)op.36
シューマン: 交響曲第2番ハ長調 op.61

(アンコール)エルガー: 行進曲「威風堂々」第4番

指揮: 森口真司

聴くたびに真摯で素晴らしい演奏を聴かせて下さる紫苑交響楽団、今回もまた、いやそれ以上、森口さんの指揮のもとでの素晴らしい演奏に感激しました。

今回のお目当ては、大好きなシューマンの交響曲第2番でしたが、しかしその前のエルガー「エニグマ」変奏曲にまず衝撃を受けるほどの感動。 力強さはもちろんのこと、美しくもあって、ファンタスティック。 充実した響きが満載された第8〜9変奏、言葉もありません。 第9変奏の最後ではあまりに美しい演奏に涙が出そうになって困りました。

そして休憩後、お待ちかねのシューマンの交響曲第2番。 こちらもまた覇気に満ちて輝かしくもあって、素晴らしい演奏に感動。 終楽章まで集中力が漲っていて、フィナーレのティムパニのキリっとした打音、堂々とした終結にシビレました。

大好きなシューマンの曲を見事に演奏してくださったこと、そしてまたエルガーをこのように感動を持って聴かせてくださったこと、単身赴任先へ向う前のひとときの時間、とても幸せな時間を過ごすことができました。 紫苑交響楽団、今回もまた素晴らしい演奏会でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

暑い夏もようやく終わったようで、涼しく、一気に秋の気配となりました。 熱い夏の時期、演奏会を敬遠していたわけではありませんが、3ヶ月ぶりの演奏会となりました。 そして今回もまた帰省時、単身赴任先に戻る前の演奏会参戦となります。 今回は奥さんとともに長岡天神の駅を降り立ちました。

ホールには約10分前に到着、いつもどおり階段を登って客席の後ろから入りましたが、かなりの人が入っていますね。 なんとか後ろから2列目、27列-7,8 を確保しました。 8割以上が埋まっているのではないでしょうか。

定刻をやや過ぎた頃、左右より整列入場が始まります。 対抗配置で 10-10-9-7-4 の編成のようです。 コンマスが登場すると拍手が起きました。 いい雰囲気の演奏会です。 一礼をしてチューニングを開始すると客席の照明が落ちます。 準備完了、指揮者の森口さんがゆっくりと歩いて登場されました。 森口さん、京都大学文学部を卒業後、東京芸術大学大学院の指揮科を修了されたという経歴を持っておられます。 どのような演奏が展開されるか、興味津々です。

モーツァルトの歌劇「劇場支配人」序曲、きちっとした演奏はオペラ・セリエのような堂々とした感じを受けました。

厚みのある響きによる開始。 たっぷりとさせていますが、要所をキリっと締め上げながら進めてゆきます。 オケは、中音弦の落ち着いた響きに、高音弦のチャーミングな響きがうまく乗っていますし、これにトランペットの響きもブレンドされていて、とてもいい感じです。 そして木管楽器、丁寧に彩りを添え、古典派の王道を進んでいるような印象を持ちました。 森口さん、要所でぐいっと力を込めて恰幅の良さを感じさせます。 そしてプレストになり、機動的なオケの演奏がより力強いエンディングを形成して幕。 ちょっと馴染みのなかった曲ですが、聴き応えのある演奏に拍手を贈りました。

オケの全員がいったん退場。 しばらくステージには誰も居ない状態となってから、再び整列入場となりました。 今度は 12-12-9-7-6 の編成。 もちろん対抗配置ですね。

エルガーのエニグマ変奏曲、衝撃を受けるほどの感動をしました。 エルガーをこのような感動を持って聴いたことは始めてではないでしょうか。 力強さはもちろんのこと、美しくもあって、ファンタスティック。 充実した響きが満載された第8〜9変奏、言葉もありません。 第9変奏の最後では、あまりに美しくも力強い演奏に涙が出そうになって困りました。

主題、大きく指揮棒を振ってしっとりとした音楽の開始。 木管は暖かく、弦は素敵な響きでしんみりともさせ、素晴らしい演奏の開始から身を委ねます。 第1変奏も続けて演奏されます。 明るさを垣間見せつつ、力を入れてゆきますが、実にスムーズに力感を持たせ、そして自然に減衰。 巧いなぁ。
第2変奏、瑞々しいヴァイオリンの響きに、低弦がからんで、響きの綾を楽しみました。 
第3変奏、軽やかなファゴットそして木管アンサンブルによる緻密で愛らしい音楽、ティムパニの力強い打音がアクセントになっていましたね。
第4変奏、森口さん気合のこもった振りから力の入った演奏。 大きく∞字に振ってパワフル、迫力満点でした。 カッコ良かったなぁ。
第5変奏、中音弦の厚い響きが素敵に進みます。 木管などの軽やかさを交えながら、重厚な音楽としました。 第6変奏も続いて演奏、木管のチャーミングな響きは暖かく、ヴィオラの豊かな響きもとても素晴らしかったですね。
第7変奏、ティムパニの連打による力強い開始。 低音金管楽器群には艶とスピード感があって、キビキビとしてカッコ良い音楽でした。
第8変奏、のびやかなクラリネット、しっとりとしたヴァイオリン、フルートやオーボエなどの木管もじつにチャーミング。 オケが素敵に響いてきて、美しい音楽にうっとり。 言葉もありません。 第9変奏も続けて演奏、ヴァイオリンの綺麗な響き、ゆったりとして柔らか、想いがたっぷりと詰まった音楽にのみ込まれてゆきました。 自然に音量があがっていった盛り上がりに涙が出そうになりました。 とても素晴らしい演奏でした。
第10変奏、チャーミングな弦楽器と暖かなフルートの掛け合い、中音弦もまた柔らかく絡み、低音弦のピチカートともども心地よい演奏が素敵。
第11変奏、一転してスピード感あふれる音楽が一気にぐいぐいと力を増して金管ファンファーレ。 熱くそして厚い響きで圧倒。
第12変奏、チェロのソロが暖かく、ヴィオラがしっとり、憂色を含んだ響きでしみじみとした気分に。 弦のアンサンブルが次第に熱さを秘めてきて、そしてまた自然に減衰。 第13変奏も続いて演奏、クラリネットとヴィオラかしら、明るさを見せますが、ここまたしっとり感が漂っていますね。 金管そして打楽器が加わって徐々に大きな音楽に。 やはりすぐにクラリネットとヴィオラが再現され、しっとりと纏めました。
第14変奏、徐々に力を増した音楽がパワフルに。 金管の艶のある響きがオケ全体にブレンドされて届きます。 輝かしさにウェット感が漂っているのがエルガーらしさでしょうね。 ティムパニがタイトで潔く決め、熱い想いがいっぱい詰まった音楽が迸り出る堂々として感動的なエンディング。 圧倒的ともいえるフィナーレに会場より大きな拍手が沸き起こりました。
この曲をこれほどまで感動を持って聴いたのは始めてではないでしょうか。 感激しました。 素晴らしい演奏でした。

15分間の休憩だったでしょうか。 客席を抜け出し、ロビーにて外の景色を見ながらコーヒーを頂いて休憩しました。
定刻、整列入場が始まります。 12-12-9-8-6 の編成でしょうか、もちろん対抗配置。 コンマスによるチューニングとともに客席の照明が落ちました。 準備完了。 森口さんがゆっくりと歩いて登場、いよいよ大好きなシューマンの交響曲第2番が始まります。

シューマンの交響曲第2番、この演奏もまた覇気に満ちて輝かしくもあって、とても素晴らしい演奏でした。 終楽章まで集中力が漲っていて、ストイックに決めたフィナーレではティムパニのキリっとした打音に心揺さぶられ、堂々とした終結にシビレました。

第1楽章、厳かな序奏の開始、若干トランペットが手探りなような感じも受けましたけれど、落ち着いてきちっと決めて弦楽器に引き継ぎます。 主部、付点付きのリズムをその字のとおり打ち付けるように決めて進めます。 低弦がきちっとブレンドされ、ストイックな盛り上がりにも粘り気を感じます。 推進力、パワーも素晴らしいですが、左右に振り分けられた弦楽器の分奏もまた見事。 理想的な演奏にのめり込むように聴いていました。 そして力強くも潔い終結には、思わず客席より拍手も沸きましたね、それも納得です。

第2楽章、森口さん、前の楽章では相当力をいれていたのでしょうね、ハンカチで汗を拭ってから始まります。 緻密な弦の響きを導き出して進めますが、力がこもっていますね。 質実とした木管と弦楽器が呼応して絡み合って進む、これまた素晴らしい演奏。 演奏全体にタメや奥行きが感じられるとともに、伸びやかさもあります。 中音弦がしっかりしているからでしょうか。 いったん落ち着かせた音楽をまたたぎるように燃えさせて終了。 個人的には、フィナーレではもうちょっとコントラバスを荒っぽくして欲しかったところですけれど、良識的にはやりすぎな感が出ると思うので、単なる個人的な希望ということで記しておきます。

第3楽章、この楽章の始まりでもまた汗を拭って一息ついた森口さん、ゆったりとして少々うねるような感じで想い込めて進めます。 オーボエの音色が素敵でした。 慈しむような感じでしょうか。 木管楽器が憂色の響きですね。 そしてまた弦楽アンサンブルが素晴らしい。 しっとりとした艶を感じさせるとともに、各弦楽パートの分奏が見事に絡んでいましたね。 そして低弦が密やかな感じを漂わせつつ、そっとこの楽章を終えました。

第4楽章、ぐいっと力をこめた開始、堂々とし、華やかさも感じさせる響きです。 覇気ある弦楽アンサンブルにクラリネットのソロが見事に入ると、曲の中に没入してしまいました。 とにかく巧いオケですね。 何より森口さんの指揮に素晴らしくよく反応しています。 しみじみさせたと思いきや、さっと翻ってストイックに決めます。 しかもオケ全体が伸び縮みするような感じ、実によく纏まっています。 金管と弦楽器が呼応しつつ進んでゆき、そしてぐっと絞り込んだあとまた堂々とした響き、最後はティムパニのハリのある強打で最高潮。 シビレました。

聴くたびに真摯で素晴らしい演奏を聴かせて下さる紫苑交響楽団、今回もまた、いやそれ以上に素晴らしい演奏に度肝を抜かれました。

アンコールはエルガーの威風堂々第4番。 ここでもまた華やかでパワフルな演奏で会場を魅了、演奏終了後も熱い拍手は鳴り止みませんでした。
単身赴任先へ向う前のひとときの時間、とても幸せな時間を過ごすことができました。 ありがとうございました。 そして皆さんお疲れさまでした。