BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
豊中市民管弦楽団 第39回定期演奏会

丹念に仕上げられかつ迫力・覇気ある演奏戻る


豊中市民管弦楽団 第39回定期演奏会
2008年11月23日(日) 14:00 高槻現代劇場・大ホール

グリーグ: 組曲「十字軍の兵士シグール」 op.56
シベリウス: 組曲「カレリア」 op.11
ニールセン: 交響曲第3番ニ短調 op.27

(アンコール)グリーグ: 組曲「ホルベアの時代」より第2曲「サラバンド」

独唱: 林ゆうこ(S)、工藤和也(Br)

指揮: 谷野里香

谷野里香さんの意図が行き渡り、丹念に仕上げられ、かつ迫力・覇気ある演奏に大いに感じ入りました。

中でも、シベリウスのカレリア組曲、柔らかさを基調にしながらも覇気を感じる演奏は絶品でした。 間奏曲での肩の力を抜いた盛り上がりに秘められた熱さ、行進曲のフィナーレでのトロンボーン、チューバの柔らかな響きと軽やかなトランペット、ソフトな音圧で押し寄せてきて、幸せな気分になりました。 この曲をこんな風に聴いたのは初めてではないでしょうか。 素晴らしい時間でした。

また冒頭に演奏されたグリーグの組曲「十字軍の兵士シグール」、初めて耳にした曲だと思いますが、親しみやすいメロディが満載ですね。 楽器の響きの角をとったまろやかな演奏は谷野さんらしいところ。 またオケの分奏もよく、高音弦と低音弦による左右の響き、そして中央から届けられる管楽器の響きでのステレオ効果もあり、曲の面白さをよく表現していたと思います。 パンフレットに書かれてあったように、戻ったらCDでまた聴いてみたい、と思えた演奏でした。

そしてメインのニールセンの交響曲第3番、シンフォニストであるニールセンらしく金管楽器が活躍していますが、ここでも谷野さんの意図は行き渡っていて、強靭で熱い音楽としつつも、丁寧に響きを重ね、耳当たり柔らかさを失うことがありません。 見得を切ることなどもなく、音楽への奉仕者としてしっかりとこの曲の良さを伝えていたように思いました。 また第2楽章、2階席よりバリトンとソプラノのヴォカリーズが流れてきたのもじつに素晴らしい演出でしたね。 行ったことはありませんが茫洋とした北欧の風景を眺めるような心境になりました。

場内には就学前の小さなお子さん連れも多くいらっしゃいましたが、上質な響きによる演奏に子供たちが騒ぐこともありません。 素晴らしい演奏会でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

一人での演奏会参戦となりました。 鶴橋で近鉄からJRに乗換えましたが、いったん大阪駅の改札を出て、また入場。 こうすると数十円ですが運賃が安くなるんですよね。
高槻現代劇場の大ホールは久しぶりです。 中ホールはとても綺麗なのに、大ホールの2階は古めかしいまま取り残されているはずですが、到着してみると、なんと2階席は閉鎖。 古くても、汚くてても、最前列は足元広くていいのにな、などと思いつつ、仕方ないので1階の後ろから6列目、左ブロックの通路側 と-10 に落ち着きました。

定刻を告げるブザーが鳴ります。 客席の照明が落ち、ステージが照らしだされると整列入場の始まり。 よく見えませんが 11-8-7-8-6 の編成でしょう。 通常配置で席につきます。 全員が揃って準備完了。 いつものポニーテールにした谷野さんが静々と登場。 しばらく伺えなかった豊中市民管の演奏会ですが、いつもどおりで変わってませんね。 客席に一礼をして始まります。

グリーグの組曲「十字軍の兵士シグール」、初めて耳にした曲だと思いますが、親しみやすいメロディが満載ですね。 楽器の響きの角をとったまろやかな演奏は谷野さんらしいところ。 またオケの分奏もよく、高音弦と低音弦による左右の響き、そして中央から届けられる管楽器の響きでのステレオ効果もあり、曲の面白さをよく表現していたと思います。 パンフレットに書かれてあったように、戻ったらCDでまた聴いてみたい、と思えた演奏でした。

第1曲、前奏曲「王の館にて」、柔らかな木管と弦楽器のピチカートが素敵に響いた開始。 高音弦は爽やかに鳴り、低音弦がそれに被さるように鳴るのはペールギュントみたい。 そして音量が上がって金管が柔らかな響きを聴かせた全奏。 分かりやすくていい曲ですね。 すっと退き、木管のソロ、優しく絡んで会場を惹きつけていました。 谷野さんの丁寧なリード、曲の良さを伝えています。 オケも分奏がしっかりとしていて、左(高音弦)、右(低音弦)、中央(管打楽器)のステレオ効果もあって楽しく聞けました。 たっぷりと響かせてこの曲を終了。

第2曲、間奏曲「ボルグヒルの夢」、谷野さんが左手でそっと指示すると、ティムパニの低いロールで始まります。 高音弦も密やかに鳴ると、チェロが旋律を大きく浮き上がらせて、不安気な感じが続きます。 するとズンズンズン・・と徐々に力を増しティムパニとパーカッションの強打。 どんな夢を見ているのかな、なんてつい思ってしまう演奏に聞き入りました。

第3曲、式典行進曲、トランペットのファンファーレが鳴り響いての開始。 続いてチェロ2プルトによる素朴なメロディが奏でられます。 高音弦が優しく寄り添い、コントラバスのピチカートも心地よく、この旋律が管楽器に巡り、曲がしだいに大きくなると、艶やかなトランペットがまた登場。 いい音色ですね。 そして明るくたっぷりとした盛り上がりも、軽やかさがあって上品。 ここも谷野さんらしさが出ているところでしょう。 盛り上がりが収まると、弦の柔らかな演奏による平和で安楽な時間が流れてゆきます。 そして谷野さんが徐々に大きく振ってファンファーレ、そしてチェロ2プルトの演奏も再現、そして全奏へと繋がりますが、いずれも柔らかな響きで腰の据わった堂々とした演奏。 丁寧に響かせた終結部をもって全曲を閉じました。

初めて耳にした曲だと思いますが、曲の面白さをよく表現していたと思います。 また聴いてみたくなりました。

ステージが暗転、管楽器メンバーの入れ替えを行ったあと、コンマスが立ちあがりチューニングを実施。 準備が整うと、谷野さんがゆっくりと歩いて登場。 一礼をして始まります。

シベリウスのカレリア組曲、柔らかさを基調にしながらも覇気を感じる演奏は絶品でした。 間奏曲での肩の力を抜いた盛り上がりに秘められた熱さ、行進曲のフィナーレでのトロンボーン、チューバの柔らかな響きと軽やかなトランペット、ソフトな音圧で押し寄せてきて、幸せな気分になりました。 この曲をこんな風に聴いたのは初めてではないでしょうか。 素晴らしい時間でした。

第1曲、間奏曲、谷野さんが指揮棒を静かに縦に振り、弦のトレモロからホルンの響きをやわらかく導き出します。 充分に抑えを効かせた開始に、トランペットが力を巧く抜いた柔らかな響きが絶品。 素晴らしいですね。 谷野さん、いつもクールフェイスで静かに振り続けていますが、徐々に音楽を大きくして、全奏。 軽やかさと柔らかさを失いません。 そして自然にまた減衰、ホルンの柔らかな響きを伴って、そっと閉じました。

第2曲、バラード、クラリネットとファゴットが落ち着いた音色を聞かせて始まります。 谷野さんが指揮棒を短めに持ち、丁寧に表情付けを行っていました。 そして今度は大きく振って弦楽アンサンブルを導き出しますが、またそっと絞り込むようにして、ピチカートなど、旋律を緻密に絡ませてゆきます。 ここもまた谷野さんらしく丁寧で落ち着きを持った上質な音楽です。 このあとはただただ聴いて、響きの綾を楽しましていただきました。 素晴らしい時間でした。 コールアングレでしょうか、ひっそりとした旋律にチェロのピチカート、これも素晴らしい音色。 落ち着いた時の流れに身を委ねているうちに終わりました。

第3曲、行進曲風に、やや屈んでチェロの方を見た谷野さんが軽いハナ息でもって振り始めるた開始、締まった低弦に高音弦が滑るように絡んで流れるお馴染みの旋律。 第2ヴァイオリンが雄弁に絡んできて徐々に音量を増し、柔らかなトランペット、トライアングルは少々硬めの響き。 音量を更に増していってもまろやかな響きをまったく損なうことががありません。 しかも活気も存分にあって、トロンボーンやチューバの響きもほんと柔らか。 ソフトな音圧で押し寄せてきて、またトランペットの響きも全体の響きの中で歌っていますしね。 幸せな気分になりました。 いい音楽を聴いた。 それに尽きる演奏で、全曲の幕を閉じました。

ブラボーも出て、これはまったく掛け値なし。 素晴らしい時間を過ごせたことに感謝して、大きな熱い拍手を贈りました。

15分間の休み。 トイレ休憩に出たついで2階席が開放されていないか・・と見ましたが、残念、閉め切られたまま。 自席に戻ってアンケートを書いて時間を過ごします。
定刻、メンバーの方が登場して、今度は 11-8-8-8-6 の編成でしょうか、やはりよく見えませんが、一応記しておきます。 とにかく準備完了、谷野さんが登場し、いよいよお目当てが始まります。

ニールセンの交響曲第3番、シンフォニストであるニールセンらしく金管楽器が活躍していますが、ここでも谷野さんの意図は行き渡っていて、強靭で熱い音楽としつつも、丁寧に響きを重ね、耳当たり柔らかさを失うことがありません。 見得を切ることなどもなく、音楽への奉仕者としてしっかりとこの曲の良さを伝えていたように思いました。 また第2楽章、2階席よりバリトンとソプラノのヴォカリーズが流れてきたのもじつに素晴らしい演出でしたね。 行ったことはありませんが茫洋とした北欧の風景を眺めるような心境になりました。

第1楽章、谷野さんがぐいっと力を込めて振ると、引き締まって打つような響きが繰り返されます。 そして、艶のある管楽器を伴った覇気ある全奏。 弦楽器もまた艶を増して更に熱っぽい演奏を展開。きちんと制御されているので堂々とした落ち着きを感じます。 縦に振って響きを収め、丁寧に進めてゆきますが、また拡がりを持った熱い演奏。 舞曲のような強靭さももって展開。 オケは奮闘していて、常に艶やかさや、しなやかさを失わず、各パートの纏まりもよく、また全奏でも拡散することなどありません。 聴かせどころでのチューバ、トロンボーンそしてトランペットが朗々と吹く盛り上がりもしっかりとコントロールされていて、覇気を持っていても見栄を切ることなどもありません。 きっちりと聴かせる谷野さんとオケの演奏に身を委ねていると、谷野さんの左腕が回って、この楽章を止めました。

第2楽章、ホルンの柔らかな響きによる開始。 弦楽アンサンブルが静かに絡んで厳かな感じ。 ティムパニの静かなロール、フルートそして木管楽器が歌い、そして弦楽アンサンブルは各パートの分離も良く、織りなされた響きを紡ぐ谷野さん。 ここも聞き入りました。 ティムパニ、そしてチューバとトロンボーンが厳かに吹いて頂点でしょうか、これを越えて爽やかな弦楽器が流れてゆくと、どこからかバリトンのヴォカリーズが流れ、続いてソプラノも絡んできて・・ 2階席が聴こえているようです。 だから締め切りだったのだと合点がいきました。 しかし頭上をヴォカリーズが流れるなんてちょっと不思議な感覚も覚えていい演出ですね。 行ったことはありませんが茫洋とした北欧の風景を眺めるような心境でした。 そして漂うような旋律が続いて、そっとこの楽章を終えました。

第3楽章、ホルンそしてオーボエ、漂いながらも少々力の入った感じから、力を入れた弦楽器の響き。 これを落ち着かせて木管の精緻な歌から徐々にまた力を増しますが、低弦がパワフル。 高音弦との対比、そして金管楽器が朗々と吹いて、シンフォニストでもあるニールセンの面白さをしっかりと伝えてくれています。 オケも各パートが自分の持ち場をしっかりと固めていて、真摯な演奏を展開。 管と弦の繋がりもスムーズですし、力は漲ってきても落ち着きが必ずあります。 安心して聴いていられますね。 そしてこの楽章もそっと終えます。

第4楽章、谷野さんがぐいっと振って、重量感のある響きがオケより湧き上がってきました。 ゆったりと歌うように進めます。 チューバ、バス・トロンボーンの柔らかで艶やかな響きがとても心地良いですね。 きっちりと響かせて誠実さを感じるアンサンブル。 ここでも見栄を切ることなどなく、要所を確認するように、響きを十二分に内包させて進めます。 雄大な盛り上がり、ティムパニのロール、低音金管楽器に重量感があり、トランペットも全体の響きにきちっと収まっています。 素晴らしいですね。 そしてピークを越えると丁寧な響きで、素直にこの曲の良さを伝えてくれているかのような演奏です。 左手でリズムとって、ホルンの拡がりのある響きを導き出し、トランペットが念を押すように、そして徐々に力を増します。 落ち着いた響きのティムパニのロール、そして大地にしっかりと根が生えたような堂々とした響きで全曲を閉じました。

強靭で熱い音楽としつつも、丁寧に響きを重ね、見得を切ることなどなく、音楽への奉仕者としてしっかりとこの曲の良さを伝えていたように思いました。 いい演奏でした。

アンコールは、やはり北欧音楽。 グリーグの「ホルベアの時代」から「サラバンド」。 谷野さん、ここでは指揮棒を持たず、袖まくりをしていましたが、ゆったりと素朴な味わいのある弦の響きを導き出していましたね。 間合いをしっかりととり、でも感情に流されることはなく、落ち着いた上質な演奏として纏めていたように思いました。

場内には就学前の小さなお子さん連れも多くいらっしゃいましたが、上質な響きによる演奏に子供たちが騒ぐこともありません。 谷野さんの意図が行き渡り、丹念に仕上げられ、かつ迫力・覇気ある演奏に大いに感じ入った素晴らしい演奏会でした。 奥さんにも「カレリア」を聴かせたかったですね。 それが残念でした。