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紫苑交響楽団 創団10周年記念 第15回定期演奏会

若々しく瑞々しい音楽に感動戻る


紫苑交響楽団 創団10周年記念 第15回定期演奏会
2010年3月21日(日) 15:00 ザ・シンフォニーホール

ウェーバー: 歌劇「オベロン」序曲
ベートーヴェン: 交響曲第1番
ブラームス: 交響曲第2番

指揮:ゲルハルト・ボッセ


ぐいぐいと力を増していっても、響きの奥行きが増してゆき、畳み掛けるようでいても、更に深い呼吸となる。 紫苑交響楽団のすべての音が渾然一体となって響いたブラームスの交響曲第2番、フィナーレに感動しました。

ゲルハルト・ボッセさん、黒の詰襟の服を着て、まるで老牧師のようないでたち。 首を前に突き出し、腕をゆっくりと左右に振り、その振った腕の勢いで、えっちらおっちらと前に進んで指揮台へとたどりつきます。 しかし、出てくるのは枯れた音楽とはまったく無縁の響き。 オーソドックスでありながらも、どの曲もじつに若々しく、瑞々しい音楽です。 心を揺さぶられました。

若々しさ・清々しさをたっぷりと味あわせてくれたのが冒頭の「オベロン」序曲。 清らかなヴァイオリンの響きはもちろんのこと、7本もあるコントラバスの響きのなんと円やかなこと。 決して芯のない無気力な響きではありません。 どの楽器も、出す響きの角を綺麗にとったような感じ。 こんなに清々しい「オベロン」序曲、耳から鱗が落ちるようでした。

ベートーヴェンの交響曲第1番もまた、冒頭の和音が綺麗。 しかも弾けるようでもあって、これが繰り返され、徐々に力・熱がこもってくるところのなんと自然なこと。 ボッセさんの指揮は、とくにヴァイオリン奏者の方への指示が中心のようですが、オケの方もよくこれに応えていました。 ボッセさんの指示が出ると、前屈みになり、くらいついてゆくような場面もよく見かけました。 構成感のしっかりとした若々しい音楽がよかったですね。

そしてメインのブラームスの交響曲第2番は響きの質が異なりました。 重厚感のある響き、しかも、深い息遣いの感じられる演奏が冒頭より展開。 しかしここでも音楽の流れはまったく自然で、奇を衒ったところは皆無。 動きの少ないボッセさんの指揮ですけれど、かえってはその少ない動きから、オーケストラが集中力を高めていったのかもしれません。 常に前に進んでゆく音楽が素晴らしく、惹きこまれてゆきました。 そしてフィナーレでは、管楽器のソロや金管・打楽器の響きが突出することなく、全体の響きが見事に渾然一体。 機動力をもって駆け抜けた音楽に、いつまでも聴いていたい、そんな感動を覚えました。

最後に、同行した奥さん、クラシック音楽は不案内ですし、ブラームスの交響曲第2番も聴いたことがあるのかどうか定かではありませんが、このブラームスが聴けて良かった、と言っていたことを付け加えておきます。

皆さんお疲れさまでした、そして、素晴らしい演奏会をありがとうございました。