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ブルーメン・フィルハーモニー管弦楽団 第36回定期演奏会

美しくも力強い弦アンサンブル戻る


ブルーメン・フィルハーモニー管弦楽団 第36回定期演奏会
2011年9月25日(日) 13:15 すみだトリフォニーホール

ブラームス: ハイドンの主題による変奏曲
ブルックナー: 交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」

指揮:ゲルハルト・ボッセ


ゲルハルト・ボッセ教授、杖をついて登場。 しかも後ろに介助者とおぼしき女性(奥さまとのこと)とともに出てこられたのに驚きましたが、繰り出されてきた音楽にまた驚かされました。 枯れた音楽とはまったく無縁。 若々しく、瑞々しい音楽に心を大きく揺さぶられました。 すごい爺さんです。

そして、そのボッセ教授の少ない動きによく反応し、各パートがよく纏まって深みのある響きを醸し出した弦楽アンサンブル、引き締まってパワフルながら突出することのない管打楽器群、真摯な演奏を展開したオーケストラもまた素晴らしかったですね。 終演後、割れんばかりの拍手に包まれたのも大いに納得。 素晴らしい演奏会でした。

個人的にはやはりロマンティックの終楽章、押し出しの強い響きがよく制御されたクライマックスも見事でしたが、その合い間に届けられる木管の響き、それに柔らかなピチカートが絡み、美しくも力強い弦アンサンブルを特筆しておきたいですね。 そして最後の最後まで集中力が切れることがなく、3階席の上から見ているとよく分かるのですが、最後までオーケストラの各パートがよく纏まった動きをしていて、それを見ているだけでも気持ち良く、音楽に酔い、痺れました。

演奏に参加された皆さん、お疲れさまでした。 そして素晴らしい演奏を有難うございました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

ゲルハルト・ボッセ教授の指揮による演奏会はこれで3度目。 最初は、2003年7月7日(月) 京都大学交響楽団 第173回定期演奏会、次は2010年3月21日(日) 紫苑交響楽団 第15回定期演奏会、ともにメインプログラムはブラームスの交響曲第2番でした。 いずれも若々しい音楽に感銘を受けましたが、今回はブルックナーのロマンティクです。 期待に胸を膨らませ、すみだトリフォニーへと向かいました。

開場15分前に到着。 前回は道を間違えて、とんでもない方向へ歩いてゆき、汗だくでホールを探し当てましたが、今回は学習したのですいすいと到着です。 列に並んで待つこと10分、5分ほど早めの開場となり(有難い)、さっそく3階席まで登り、最前列の中央1列20番に陣取りました。 目の前のバーがちょっと邪魔ですけれど、座高が高いので(苦笑)それほど苦ではありません。 ロビーコンサートが始まりましたが、大人しく席についたままチラシなど眺めながら開演を待ちます。 開演15分前、コントラバスの女性奏者の方が出てこられてチューニングを開始すると、他のコントラバス奏者の方全員、そしてティムパニ奏者の殻も出てこられて入念にウォーミングアップ。 オーケストラの編成は、座席を数えると、14-12-10-8-6 の通常配置のようです。 期待が高まります。

ロビーコンサートが終わったのでしょうね、お客さんが席に戻ってこられました。 ステージ上で練習されていた方もいったん楽屋に戻ります。 1階席は8割近く入っているでしょうか。 いよいよ定刻、管楽器奏者の方より順序正しく整列入場。 先ほどまで練習されていたコントラバス軍団が最後に席について準備が整うと、コンマスの登場、大きな拍手が贈られます。 軽く会釈をしてからチューニングを開始。 ホールの照明が落ちました。 さあて準備完了。 ボッセ教授の登場を待ちますが、なかなか出てこられません。 ジリジリとした緊張が漂い始めた頃、杖をついてゆっくりと登場したボッセ教授に目がテンに・・・しかも後ろには年配の女性の方が付き添っておられたのにも驚きました。 指揮台の手すりにつかまって、なんとか登壇。 大きな拍手が贈られますが、大丈夫かな、という不安もよぎります。 ホールを見渡したボッセ教授、これまたゆっくりと椅子に腰掛けられます。 両手を肩の高さまで持ち上げられて、始まりました。

ブラームスのハイドンの主題による変奏曲。 見た目とは180度異なる、若々しく瑞々しい響き。 ブルーメンとはドイツ語で花という意味ですが、まさに花のように美しく伸びやかな演奏でした。 すべての楽器がひとつに纏まって響いてきました。 しかし、すごい爺さんですね。

テーマ、明るい木管の旋律、柔らかな中低弦の響きが絡んで冒頭より惹き込まれます。 若々しい響きが抑揚をうまくつけて花のように美しく伸びやかに進みます。
第1変奏、しなやかで強靭なヴァイオリン、ここでも伸びやかな演奏が展開。 ホルンの力強くもまろやかな響き、太い打音のティムパニも素適でした。
第2変奏、力強くも透き通った響き。 低弦が見事にブレンドされています。 ボッセ教授の小さな動き、ほとんど背中しか見えませんが、よくもまぁこんな生気ある音楽が出てくるものです。
第3変奏、明るくストレートな響きには若さが漲ってます。 しかも落ち着きもあって、若いオケメンバーがボッセ教授の手のひらの上でのびのびと演奏している感じ。
第4変奏、物憂げな音楽となってテンポをやや落としますが、息吹を秘めた響きに魅力を感じます。 そして各パート、よくまとまって分離がいいのも魅力的です。
第5変奏、活気ある音楽となって、各パートがよく纏まって機能的な感じなのですが、奥行きも感じさせます。 刺激的な響きが耳に刺さるようなことはありません。 安心感があります。
第6変奏、ホルンの柔らかな響きに余裕を感じました。 巧いなぁ。 弦楽アンサンブルにも力が漲った演奏を展開。 残響を残すキレの良さで終了。 カッコ良い演奏でもありました。
第7変奏、明るく伸びやかですが、フレーズを短く切って引きずりません。 若さを感じる演奏ですが、クラリネット奏者の方や、弦楽奏者の方も身体を揺らせて気持ちが籠もっています。 低弦と高弦のかけあいも素晴らしかったですね。
第8変奏、緻密でどこか慎重な感じもしますが活力のある演奏に惹きつけられました。
フィナーレ、低弦が伸びやかながら芯のある響き、素晴らしい開始でした。 そして音量が上がっても伸びやかな音楽のまま。 オーボエの美しい音色や、柔らかな弦楽器なども特徴的ですが、オーケストラ全体がひとつの楽器となって届けられます。 響きの纏まり感に聞き惚れました。

大きな拍手のなか、見た目はヨボヨボで、ゆっくりと立ち上がって、慎重に指揮台を降ります。 客席に向かって軽く会釈をすると、更に大きな拍手でホールが包まれました。 ゆっくりと一人で歩いて舞台袖にひっこんだあと、また袖に出てきて大きな拍手。 最初に出てこられたときより、元気になっている感じですね。 ほんと凄い爺さんです。

20分の休憩。 席でじっとして開演を待ちます。 ステージにはまたもやコントラバス軍団とティムパニ奏者が出てきてチューニングと準備運動。 そろそろ時間となって彼らが引っ込むと、チャイムが鳴りました。 整列入場、先と同じ編成でしょうか。 コンマスが立ちあがってチューニングを開始すると、照明が落ちます。 チューニングの響きも大きくなるとともにこちらの期待も高まります。 準備完了。 ボッセ教授の登場ですが、先ほどよりも若干足取りが確かでしょうか、それとも見慣れたせいでしょうか。 とにかくゆっくりと指揮台に登壇。 ホールを見渡してから、指揮台のイスに身を沈めました。

第1楽章、やや大きめな音によるトレモロ、ホルンもはっきりとした音による開始。 木管の響きもやや堅めのカッチリとした感じですね。 これに透明感のある高音弦が入り、どんどんと音量を上げていって全奏となって炸裂。 これは素晴らしい。 押し出しのある強い響きながらも輝かしくまたまろやか。 ホールが響きで満たされたのが、今度はすっと退き、広々とした明るい響きです。 各パートがよく纏まっているのが見て取れますね。 清々しい。 そしてまたクライマックスへと登りつめてゆきますが、ボッセ教授の最小限の動きから、最大限の響き、それも生き生きとした音楽です。 冒頭こそ自分の持つイメージとは違った感じでしたが、その後は流れる音楽に安心して身を任ね、聴き進めました。 終結部も中低弦の纏まりがよく、タイトなホルン、ぱっと弾けるような着地も見事でした。

第2楽章、透明ながらも深みを感じさせる序奏、そしてチェロの旋律が深く響いてきました。 やや明るめの音色でストレートに音量を上げ、管楽器が演奏するなか、高音弦の透明感のある深い響きが重なって素晴らしいアンサンブル。 瑞々しくって、わくわくしてきました。 CDなどでは、さらっと聴き流してしまうのでしょうが、繰り出されてくる旋律にいちいち惹きつけれてゆきます。 力を増してゆき、強い響きになっても、どこかしらふわっと浮いているようなトーンがまた見事としか言いようありません。 後半、ヴィオラがよく頑張っていましたね。 ボッセ教授、弦に強く弾くよう指示をしたクライマックス、これを越え、ひるがえって落ち着いたピチカートのあと、柔らかなティムパニの一打でふわっと着地しました。

コンマスが立ち上がってチューニングを行って第3楽章となります。 抑制された弦のトレモロ、ホルンに輝かしいトランペット、そしてティムパニのロールで徐々に音量を上げて、パワフルで輝かしい響きがホールに満たされます。 コントラバスの力強い演奏が魅力的ですね。 勇壮な狩の音楽が休止。 残響が残って、伸びやかながらも落ち着いたスケルツォ、ここからまた各楽器の掛け合いも見事。 またクライマックスを形成します。 キレやタメも十分に効いていますね。 そして休止。 残響のあと、慈しむようなトリオですが、ここの若々しい響き、とくに木管アンサンブルがまた落ち着いた良い音色で魅了されました。 そしてクライマックスへとまたまた登りつめますが、徐々に音量は上がっているのでしょうか。 でも音量が上がっても聴き疲れしないのはリズミカルであるのと、先にも書いたようにキレやタメが効いているからでしょう。 最後もまたぐいぐいと登っていったあと、ボッセ教授がふわっと右手を挙げて開放。 残響がまたホールに流れました。

終楽章、低弦のタイトな響きにのせた落ち着いた音色のホルンや木管が呼応、真摯な響きが音量を徐々に増します。 緊張感を持った素晴らしい響きです。 ティムパニの一打はカッコ良く打ち上げて、さらに力が増しますと、煌びやかなトランペットのファンファーレが放射されます。 これがまたオケ全体の響きによくマッチしていましたね。 素晴らしい。 統一された響きの洪水に痺れました。 そしてクライマックスを越えると、透明感のある高音弦、深い旋律を聴かせる中音弦、そして豊かな低弦によるピチカートなど、美しくも力強い弦アンサンブル。 弦のアンサンブルの巧さがあってのブルックナーであることを再認識。 押し出しの強い響きもよく制御されたクライマックスが見事でしたが、このたゆたうような弦アンサンブルに木管の囀り、美しい音楽に酔いました。 そして最後まで集中力が切れず、上からみていると動きがよく揃っているのが手に取るように判り、清々しくも感じます。 そして最後にはオーケストラが強靭な響きへと変化、ホールに響きが満たされたあと、雄大にな音楽としてのフィナーレ。 深い感動が残りました。

一瞬我を忘れたように静まったホールが徐々に目覚め、熱い拍手に包まれたのもまた素晴らしかったですね。 ボッセ教授、オケを立たせてから、ゆっくりと立ち上がり、指揮台を慎重に降りて客席を見ますと、割れんばかりの拍手に包まれていました。 オーケストラの方々もポーカーフェイスながら充実した表情が見てとれた演奏会でした。 演奏に参加された皆さん、お疲れさまでした。 そして素晴らしい演奏を有難うございました。