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モーニングフィルハーモニー管弦楽団 第4回演奏会

押し出しの強い響きによる意欲的な演奏戻る


モーニングフィルハーモニー管弦楽団 第4回演奏会
2011年9月25日(日) 20:00 杉並公会堂・大ホール

マーラー: 交響曲第6番

指揮:小柳英之


押し出しの強い響きによる意欲的な演奏、重層感のある見事な演奏でした。 これをプロ並みの4回程度の合奏で演りとげるとは見事なものです。 熱い演奏でした。

午前中に演奏会を行っているのでモーニングフィルという名前だそうですが、今回はなんと20時からの演奏会とのこと。 お昼に行っていたすみだトリフォニーからいったん田端に戻り、腹ごしらえと休憩をとってから杉並公会堂へと向かいました。 聴くのにも体力が必要ですものね。

その腹ごしらえは正解。 熱い演奏が展開されていて、低弦はゴリゴリと鳴り、突き抜けるラッパの響き、常に前向きで挑戦的な演奏。 やはり少々疲れましたが、心地よい疲労でした。 細かな所までは判りませんが、今回もほとんどノーミスだったのではないでしょうか。 そして今回もまた、もうちょっとコクやタメが欲しい、などと思える部分はありましたけど、熱気と気迫は素晴らしいものがありますね。

次回はクリスマス(12/25)にマーラーの第1番と第4番を採りあげるべく準備を進めておられるようです。 次回も期待。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

開演20分前、杉並公会堂に到着。 すでに数人のお客さんが待ってますが、列など作らず、適当に集まっているという感じ。 そんなに多くのお客さんではありませんが、いつも来ている、といったコアな方ばかりとお見受けしました。 しばらくして、お待たせしました、と係りの方が出てこられて立入禁止のベルトを除けると、皆さん階段をぞろぞろと登って大ホールへ。

前回は、脱兎のごとくホール内に入ったのですけれど、2回目なのでちょっと余裕を持って歩きます。 すると、遅れて出て来られた係りの方が、A4用紙1枚にワープロで書いた出演者紹介のペーパーを配り始めましたので、1枚頂きました。 こんなのあったのですね。 前回も貰っておくべきだったな、と少々後悔しながら2階席に入ります。 ペーパーを貰っていたので、ちょっと出遅れた感もあって、最前列のお気に入りの席は埋まってました。 ぐるっとホールを見渡し、中央通路後ろの席へ。 C4-19番、2階席のほぼ真ん中あたりに落ち着きました。

ステージ狭しと椅子が並んでいて、コントラバス、打楽器、ハープ奏者の方々がチューニングや準備運動をされてましたが、暫くして楽屋へと入ります。 客席は徐々に埋まってゆき、といっても1階席は見えませんが、2階席は3割程度でしょうかね、この時間でよく入ったな、という感じ。 しばらくすると定刻を告げるチャイムが鳴って整列入場が始まります。 開場から10分かかってません、テンポ速いですね。 オケの編成は、対抗配置で 15-15-10-10-9 でしょうか、とにかくステージ上は人であふれてます。 コンマスの登場。 一礼をしてチューニングを始めると照明が落ちました。 ステージ上の人並みを掻き分けるようにし、指揮者の小柳さんが登場。 客席を見て一礼ののち、オケへ振返っていきなり始まります。

第1楽章、強靭で押し出しの強いコントラバスの響き、駆り立てられるようにぐぃぐぃと、ああっ目が眩みそうな感じで始まって、いきなり圧倒されました。 ダブル・ティムパニも見事に揃っていて、視覚的にも釘付け状態。 金管が鋭く立ち上がり、木管も負けじとストレートに響かせ、そこにパーカッションが派手に鳴って押し寄せてきます。 若さで膨ちきれそうなのを、小柳さんが的確に捌いて、前に前にと進めてゆく感じかしら。 低弦がゴリゴリと鳴ってカッコいいですが、深遠さはあまり感じず、少々練り込み不足な感じもしないではありません。 楽器の数が少なくなると、慎重さが見えてくるのか、少々隙間も出たように感じましたが、でも練習回数を考えると、見事としか言いようありませんね。 そして再び力を増して活気づくと、よりタイトになってズンズンと進めてカッコよくて、迫力も満点。 木管のベルアップ、狭いからでしょうね、斜めに振り上げていたのが印象的でした。 ホルンの斉奏を始めとしてパワフルな演奏。 タテノリのリズムでテンポよくぐぃぐぃと盛り上げていったのを、小柳さんが左手の拳で止め、残響が流れて怒涛の楽章をあっという間に終えました。

小柳さん指揮台を降り、汗を拭ってから再登壇。 指揮棒を置いてアダージョとなります。 最近流行の曲順ですが、演奏する方としても負荷分散になるのではないかしら。

第2楽章、ヴァイオリンの豊かな響きがホールに流れ、木管もゆったりと丁寧に。 コントンラバスのピチカートは少々堅めでしっかりと支えている感じかな。 コールアングレが密やかながらもエキゾチック、フルートの落ち着いた音色、そしてホルンのソロは押しの強さに張りと深みがあって素晴らしかったですね。 やはりもう少しタメとかコクが欲しい気もしますけれど、逆にここまでよく仕上げたなぁ、とも。 弦楽アンサンブルがいい感じ、特に低弦の響きが押しが強く、お腹に響いてきます。 小柳さんの動きが大きくなって情感を込め、カウベルが鳴り響きます。 このあと落ち着いた雰囲気。 少々ここでも隙間を感じましたけれど、常に前向きで挑戦的な感じです。 安全運転で後ろ向きな印象は皆無、それがいいんです。 そして全奏となってタイトでパワフル。 しかもしだいに大きくなってゆくさまに聴き手ものめり込まざると得ません。 それが次第に落ち着いて、チェロの柔らかなピチカートで着地となりました。

ここでも小柳さんは指揮台を降りて汗を拭っている間に、トランペット、ファゴット、ピッコロなどの追加メンバーが加わります。 チューニングを実施して準備完了。 小柳さんが指揮棒を持って始まります。

第3楽章、さっと振ると、タイトなティムパニと低弦による強靭なリズム、嵐のような音楽が迸り出てきました。 しかし第1楽章とは違うのは、よく抑え込まれた響きであること。 深さも感じさせた素晴らしい演奏ですね。 めまぐるしく変化する楽器と旋律が見事に統率されています。 素晴らしい。 嵐が去り、可憐なオーボエ、高音弦にも透明感があって、いいですね。 そこに力強く割り込んでくる音楽のまた潔さ、爽やかさ。 対比がよく出てました。 また力増し、マリンバが際立ちますけれど、全体の響きの中にあって重層的な響きになってます。 ホルンのベルアップも壮観、喧騒の音楽であっても纏まり感があってとても見事。 終楽章のめまぐるしさも素晴らしかったのですが、この楽章が一番素晴らしかったのでは、と個人的に思ってます。 ヴァイオリンのソロも甘くいい感じでしたね。

やはり指揮台より降りて汗を拭った小柳さん。 一息ついて、いよいよ終楽章が始まります。

チェレスタ、ハープの響きから高音弦で拡大するオケの響き、ファンファーレが強烈に割り込んできます。 低弦がうごめくようでいい感じです。 集中力抜群。 要所を的確に決めながら、じっくりと、はやらず落ち着いた感じでクライマックスへと登り詰めます。 めまぐるしく変わる曲想も落ち着いて余裕を持って進め、雄大なクライマックスを形成していました。 トランペットが6本ありますが、順序よく吹いて、負荷分散がされているのだな、なんて見てました。 カウベルが鳴り、注目のハンマー振り下ろされると堅い響き。 勇壮な行進曲となりました。 タテノリで進みますが、やや息せききっているような感じかなぁ。 第2のハンマーのあと、主題を戻すと、やや淡々と進めていたでしょうか。 そしてまたクライマックス、バスドラ、ティムパニなどがぐっと惹き付けまし、金管の響きが縦横に広がって立体感あります。 トランペットは突き抜けて縦、ホルンは横に広がってます。 素晴らしいですね。 自信漲った演奏が展開されてゆき、そして打楽器奏者6人によるシンバルの花が咲きました。 壮観です。 オケが大きく波打つように主題をゆっくりと回想。 集中力が途切れません。 そしてそのまま引き絞ってゆき、最後は左袈裟懸けによる渾身の力を振り絞ったあと、深いピチカートで終結。 しばし深い静寂が流れた見事なエンディングでした。

会場より熱狂的ともいえる熱い拍手が贈られ、小柳さんもオケの皆さんも満足そうに見てとれました。 少々思うところはありましたけれど、僅か4回程度の合奏でここまで演るとは、やはり見事としか言いえませんね。 自信に満ち、熱気と気迫に富んだ素晴らしい演奏であったことも事実です。 そして次回はクリスマス(12/25)にマーラーの第1番と第4番を採りあげるべく準備を進めておられるようです。 次回も期待します。 とにかく皆さんお疲れさまでした。

蛇足。 荻窪駅のホームで帰りの電車を待っていると、短パンにサンダル履き、背中にテニスのラケットを入れるバックを担いだおじさんを見かけました。 この方、お昼のすみだトリフォニーでも見かけていて、アマオケのダブルヘッダーをされる方が他にも居たのだなぁ(物好きも他に居るんだなぁ)と感じた次第です。