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紫苑交響楽団 第20回記念定期演奏会

明晰でパワフル、しなやか戻る


紫苑交響楽団 第20回記念定期演奏会
2012年9月2日(日) 15:00開演 ザ・シンフォニーホール

(オープニング)モーツァルト:行進曲 ニ長調 K.215 -*
モーツァルト:交響曲ニ長調〜セレナーデ第5番 K.204(213a)
マーラー:交響曲第7番「夜の歌」

指揮:森口真司 (-* 指揮者なし)


マーラーの交響曲第7番、好きな曲ながら滅多に演奏されることのない曲。 CDなどで耳にしている音楽が目の前で実演されるだけで、ただただ感激しがちではありましたが、そのようなバイアスを除いたとしても、明晰でパワフルかつしなやかな素晴らしい演奏に大きな拍手を贈りました。

第1楽章冒頭、弦楽器による序奏ははっきりした音形。 これが地響きとして感じながらテナーチューバの主題。 この響きもハッキリとしたもので、不安定で不気味な葬送のリズム・・・と当方の勝手なイメージとは少々違って驚きましたが、明晰でパワフルな第1主題が炸裂。 ぐいぐいとオケが筋肉質の音楽を進めてゆき惹き込まれました。 指揮者の森口さんも徒手体操よろしく、素早くキレのよい動きで若いメンバーの多いこのオケをリード。 第2主題をたっぷりとした歌わせ、オケも一丸となった見事な演奏でしたね。

終楽章まで緊張が切れることがなく、明晰でパワフルかつしなやかな素晴らしい演奏が展開されました。 捕らえどころのないこの曲ですが、実に分かり易く聴かせてもらった感じ、そんなですね。 濃密な時間となりました。

今回、珍しくK列、1階席中央通路後ろ2列目という前の方の席から聴いていて感じたのは、オケの全員が音楽をよく聴いている、ということですね。 弦楽器のメンバーであっても自分の出番ではないとき、たとえば木管楽器の旋律を聴いてらっしゃる(数を数えていることもあるでしょうが)。 そして自分の出番では音楽性を途切らせることなく旋律を送り出している。 パートリーダは当たり前ながら指揮者をよく見ているし、メンバーもリーダをよく見ている。 基本的なことかもしれませんが、これらがきちんと積み重なっているからこそ、このような濃密な時間になったと感じた次第です。 当たり前のことながら、これはこのオケの素晴らしさだと思います。

なおロンドン・オリンピックでの日本女性選手の活躍よろしく、このオケでも先のテナーチューバ、第1・3番ホルン、クラリネット、バス・クラリネット、フルートなど女性奏者の活躍も光っていたことを特筆しておきます。 もちろん男性奏者も見事で、全員一丸となった演奏は、ホルンや木管のベルアップも見事に揃っていることからも見て取れてました。 視覚効果も抜群。 目で見ても素晴らしい演奏でした。

これに先立って演奏された、モーツァルトの交響曲ニ長調。 こちらも森口さんの徒手体操のような指揮に見事に付いていった演奏でした。 が、マーラーでは交通整理が必要でしょうが、モーツァルトはもうちょっと自主性が出ないと、などと生意気にも思っってしまいました。 というのも、オープニングとして指揮者無しで演奏されたモールァルトの行進曲ニ長調が素晴らしい演奏でしたので・・・ 交響曲では同じフレーズが同じように繰り返されるので、少々飽きてしまいました。

それにしてもいきなり始まったモーツァルトの行進曲、何の曲か分かりませんでしたが、絶対にモーツァルトやなと思いました。 ふくよかでかつ端正、チャーミングさもよく出ていましたね。 弦楽器と管楽器が一つになって、金管がきちんと抑制かけていたのも見事でした。 いきなり良いもの聴かせてもらった、そんな感じでした。

とにかく第20回記念演奏会に参加された皆さん、素晴らしい演奏を有難うございました。


以下、未稿