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関西シティフィルハーモニー交響楽団 第53回定期演奏会

深みを持った弦の響きの美しさ、押し出しの強さ、キレの良さ戻る


関西シティフィルハーモニー交響楽団 第53回定期演奏会
2012年9月16日(日) 14:30開演 ザ・シンフォニーホール

ラフマニノフ:交響的舞曲
チャイコフスキー:交響曲第5番
(アンコール)ハチャトゥリアン:「仮面舞踏会」よりワルツ

指揮:ヤニック・パジェ


関西シティフィル、いつ行ったかなぁと記録を漁ってみたら 2001年3月31日の第32回定期演奏会(ズラタン・スルジッチ指揮、マーラー/交響曲第5番)だから、10年以上のご無沙汰となりました。 このオケの飛躍の基礎を築いたスルジッチさんは帰国され、代わってゲオルギ・バブアゼさんを常任指揮者に迎えられてから更に弦の響きが美しくなった、とのこと。 この耳で聴いてきました。

結論から言って、そのとおり。 深みを持った弦の響きの美しさ、押し出しの強さ、キレの良さ、それでいて響きの角が綺麗に取れた音離れの良さ、これがアマオケかと惚れ惚れとする響きを堪能しました。 各弦楽パートのまとまりの良さ、そしてそのパートが重なって織り成す響きが醸し出す豊穣さは、3週連続日曜日にはシンフォニーホールという類稀な経験をして聴いた今月の3つのアマオケでは一番と感じました。 冒頭のラフマニノフの交響的舞曲から、この弦の響きの豊かさに圧倒されてしまいました。

弦楽器の編成は通常配置で 13-12-10-9-8 だったでしょうか(M-13という1階席の良い席ながら弦楽器後方がよく見えませんでした)。 交響的舞曲の冒頭、密やかなヴァイオリンの響きが綺麗だなと思っているとティムパニの重量感ある打音のあと低弦のズンズンと息づいた響きから、弦楽アンサンブルによるコクとツヤのある響きに躍動感まであって舌を巻きました。 サキソフォン、巧かったですね。 深みのある響きに陰影を感じさせ、これにファゴット、オーボエ、フルートなどもそっと絡んで、惚れ惚れとしてしまいました。 濃密なアンサブルに終始驚いてばかり。 めまぐるしくいフィナーレも迫力満点でした。 ドラの響きが消える前に盛大な拍手もいたし方ないところでしょう。

休憩を挟んでチャイコフスキーの交響曲第5番。 2曲プログラムというのも粋が良いですね。 こちらも想像通りの勢いある演奏でしたが、音量が上がったら響きの深さが増す、といった感じ。 余力があるからでしょう、学生オケでやりがちな音を前に飛ばすような勢いとは別物、でした。 第2楽章のホルンのソロも落ち着いた暖かな響きでゆったりと演奏、引き継ぐオーボエも凜とした響きながら落ち着いた深みのある表情、ヴィオラがしっとりとした響きで歌って見事でした。 終楽章のフィナーレ、行進曲となって進む所では、コントラバスが見事に揃ってリズミカルな土台。 第1ヴァイオリンが躍動感もって歌っていますが、第2ヴァイオリンの粘り、響きの内側を支えて奮闘されていて素晴らしかった。 ヴィオラも含めて中音弦が充実しているから、この響きが出せるのだな、と理解しました。 学生オケではイケイケドンドンになる大団円も大人の余裕を感じさせる幕切れとなりました。

指揮者のヤニック・パジェさん、先週の松岡さんとは正反対で、身体の軸になる部分はほとんど動かさず、上半身とくに腕、しかも肘から先を上下にバタつかせる指揮。 長身で腰高にも見えてどっしと構えた安定とは遠く、またお世辞にも指揮姿は流麗ではないですね。 音の強弱、音の出はなんとなく分かるものの、よくこれでオケは見事に揃った演奏が出来るなぁ、と感心したしだい(かえって集中力が高まるとの話もありますけど)。 アンコールの仮面舞踏会では、指揮台の上を動き回っていたので、意図があって立ちすくんでいたのでしょう。 とても巧いオケによる演奏なので、各所で舌を巻いたりしていましたが、体調不良とはいえ(月曜に日帰り手術、金曜には結膜下出血でやや偏頭痛あり)それを吹き飛ばすようなことはありませんでした。 よくコントロールされていて、イマイチのめり込めなかったのかもしれません(好きな曲じゃない、という理由も大きいですけれど)。

指揮法は先週聴いた松岡さんとは全く違いますが、その時も思った、よく揃った巧い演奏に留まらない何か、何だか分かりませんが、これを掴めない自分へのもどかしさであったようにも思います。 巧さに慣れて退屈したのかな・・・贅沢ですが。 ともかく、繰り返しになりますが、今月シンフォニーで3週連続で聴いた3つのアマオケの中では一番技量が高く響きの良いオケであったと思いました。 また体調を整えて、好きな曲でリベンジを図りたいと思います。 今回も当方のキャパがなくて上手く書けなくてごめんなさい。


以下、未稿