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奈良女子大学管弦楽団 2013年スプリングコンサート

「春」イコール「新たな始まり」を予感させる戻る


日時:2013年4月21日(日) 13:30開演(12:30開場)
場所:奈良県橿原文化会館・大ホール

チャイコフスキー/3大バレエセレクション
   「眠れる森の美女」より 「ワルツ」「ばらのアダージョ」
   「白鳥の湖」より  「4羽の白鳥たちの踊り」「ハンガリーの踊り」「スペインの踊り」
   「くるみ割り人形」より 「行進曲」「トレパーク」「花のワルツ」
シューマン/交響曲第1番「春」

(アンコール)ショスタコーヴィッチ/組曲「モスクワ・チェリョムーシカ」より「モスクワを疾走」

指揮:牧村邦彦(常任)


前夜からの雨も上がって時折強い陽射しが眩しくもありましたが、まだまだ肌寒さが残っている奈良において、奈良女オケの皆さんによる元気あふれるスプリング・コンサートを楽しみました。

前半プログラムは、チャイコフスキーの3大バレエ音楽からの抜粋。 いきなり真っ暗な中から1曲目をスタートさせた演奏や、指揮者の牧村さんによるトークを交えたり、そして何より彼女たち団員による投票でセレクトされた曲であったこと。 そして演奏会の最後、コンミスが指揮台に登壇して「ありがとうございました」と頭を下げると、団員も一斉に「ありがとうございました」との唱和。 団員全員が頭を下げる光景は時々目にしますけれどちょっと驚きました。 「春」イコール「新たな始まり」それを予感させる趣向に溢れた演奏会でした。

オーケストラの編成はいつもどおり 10-10-8-6-4 の通常配置。 ストレートで元気なブラスによって始まった「ワルツ」、爽やかな弦楽アンサンブルを伴って少々律儀な演奏に聴こえましたし、続く「バラのアダージョ」は 10型のヴァイオリンではブラスに抑えられた感もあったのは、少々緊張が残っていたと解釈します。

「4羽の白鳥の踊り」は軽やかな弦も艶っぽく響き木管のケレン味のない響きでスッキリ爽やかで良かったですね。「ハンガリーの踊り」もキレ良く進めてますが中低弦の響きがここでもしっかりとしていて安定感ありました。「スペインの踊り」でのパーカッションは牧村さんのMCでハードル上げられましたがキッチリとクリア、タイトな金管もスマートに纏めていました。良かったですよ。

「行進曲」冒頭アレっと思いましたが気のせいかな、軽やかな金管と爽やかな高音弦を支えるコントラバスの頑張りが光ってました。 「トレパーク」はタイトで軽快に進めてましたが低音金管楽器も落ち着いていて、速度上がってもうるさく感じさせない上質な音楽。 「花のワルツ」は練習詰まれたのでしょうね、柔らかなホルンにフルートそしてクラリネットが素適。 落ち着いた色合いの音楽で、最後は牧村さんらしくカッコ良くストレートに押し切ってました。 どの曲も耳なじみある曲だけに、大変だったと思いますが、なかなかよく奮闘されていました。 大きな拍手を贈りました。

15分の休憩ののち、メイン・プログラムのシューマンの交響曲第1番「春」。 中学・高校時代から好きな曲だけにハードルも高くなりがちですが、よく頑張っていたと思います。 特筆したいのはコントラバス。 プログラムには謙遜して書かれていますけれど、常に安定した演奏ながら、時にはアグレッシヴに曲に向かって推進役となっていて気持ちよかったですね。 あと重い響きを出していたティムパニとか、フィナーレでカッコよく決めたトロンボーンも印象に残りました。

第1楽章冒頭こそファンファーレが少々隙間があったようですが、すぐさま弦楽器が力を込め、ティムパニの重い響き、全員が集中力を高めてよく纏まっていたように感じました。 低弦が躍動感あって素晴しかった。 そして堂々とこの楽章を終えたものだから拍手まで出てきましたが、それも納得ですね。
第2楽章、第3楽章とすっきりとしていましたね、明るめの響きながら情感も込めていましたが、少々シューマンらしい粘り気が欲しく思えたのは個人的な嗜好(ちょっと思い入れ強い曲なのですみません)。

力強く始まった終楽章、牧村さんはここまで終始色をつけずに的確に音楽を形造っているようだったのですが、個人的な嗜好では、もうちょっと閃きが欲しく感じた楽章でもありました。 そして逆にホルンソロとつづくフルートソロの小鳥のさえずりでテンポを落としていたのも少々気になったところ・・・ですが(オケの皆さんに配慮してテンポを落としたのかもしれませんが)、とにかく個人的な嗜好とはちょっと相容れない部分もあった楽章でした(すみません)が、オケは最後の力を振り絞ってカッコ良い終結(ここは納得)。 普通はこんなことは書かないのですけど、今後への期待も込めて思っていたことをちょっと書いてみました。

アンコールは、ゴキゲンな「モスクワを疾走」でソロやパートで起立して演奏するなど会場を盛り上げての幕引き。 元気あふれるスプリング・コンサート、「春」イコール「新たな始まり」を予感させた演奏会でした。


以下、未稿