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オーケストラ千里山 第20回演奏会

最後まで統率された重厚感のある響き戻る


日時:2013年6月9日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:いたみホール・大ホール

ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調 Op.92
ラヴェル/古風なメヌエット
レスピーギ/ローマの松

(アンコール)サン=サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール

指揮:安野英之(客演)


カラフルで豪華絢爛ながらも常に角の取れた柔らかな響き、重厚かつ落ち着いた「ローマの松」が素晴らしい演奏でした。 輝くような「ボルゲーゼ荘の松」の開始から惹き込まれましたが、「ジャニコロの松」での透明感のある響きが静寂を造りだして素敵な時間が流れていたのが印象に残りました。 そして全体を締めくくる「アッピア街道の松」の終結部は自然と盛り上がってゆきましたが、最後まで統率された重厚感のある響きが支配、シンバルも渋い響きで艶ののった金管ともどもで熟成された音楽をすっと離した幕切れも上品。 一気呵成に攻めるのではなく、じっくりと腰を据えて頑張ってきた(これからも頑張る)オケ千らしい「ローマの松」であったように思いました。

これに先立って、というより冒頭にはベートーヴェンの交響曲第7番。 メイン2曲構成という珍しいプログラムでしたが、こちらはチェロ奏者でもある安野さんらしいとも言える弦楽アンサンブルの妙が光った演奏でした。 第1楽章冒頭より聴きなれた音楽であるはずなのに、各弦パートの響きが響き合い混ざり合った奥行きをもった旋律、これが進んでゆくのハッとしました。 第2楽章では冒頭より深い響きのヴィオラによる葬送行進曲、対向配置に据えられた弦楽アンサンブルがしっかりと機能。 安心感があります。 終楽章では「のだめ」のドラマを見ていた人には面白味は少なかったかもしれませんが沈着冷静、唸りを上げた8本の低弦によるフィナーレも充実した響きとして纏めていました。 弦楽アンサンブルを堪能しました。

メイン2曲に挟まれた小品「古風なメヌエット」はややソリッドに感じた弦楽器の響きより、クラリネットのまろやかな響きに魅了されました。 オーボエの甘い響きも良かったですけれど、常に沈着冷静に曲を進めた安野さん、落ち着いた時間が流れていました。

しかしアンコールではそれまでの抑制が解かれたようで自由闊達、伸び伸びとした「バッカーナル」によって元気よく締めくくって、会場は大いに盛り上がりました。 この曲もメインプログラムとして時間かけて練習されるならば、また勢いだけでない一味違った良さも出てくるのだろうと思った次第。 とにかく皆さんお疲れさまでした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

急用があって午前中に難波まで一往復して戻ってきて、朝食兼昼食をかきこんで出発。 疲れたので電車の中で少々寝てしまいました。 ギリギリに到着かな、と思っていましたが、難波・梅田(大阪駅)での乗り継ぎはぴったし、なんとか開演15分前にホールに入ることが出来ました。 いつもどおり2階席へ行きましたが、けっこう入ってますね。 最終的に後ろから2列目に陣取っての鑑賞としました。 最終的には2階席も7割近く入っていたのではないでしょうか。 ステージを見ると、オケは対向配置になっていてコントラバスがなんと8本。 自由入場でメンバーの方が三々五々入ってきて練習を始めると次第にホールは練習音で賑やか、そしてこちらの期待度も高まります。

定刻、オケ編成は 15-14-13-10-8 のようです。 パンフレットを見ると第1曲目がベートーヴェンの交響曲第7番、締めが「ローマの松」というのに驚きましたが、ベートーヴェンを15型の大型オケで演るのにも少々吃驚ですね。 何しろ弦楽奏者の半分程がエキストラで、コントラバスに至っては6名がエキストラ、最近主流のコンパクトにまとめたベートーヴェン演奏ならエキストラ無しで演っても不思議ではないと思うけど、などと考えているうちにコンミスが立ち上がってチューニング開始。 客席が暗転して準備完了。 安野さんがにこやかに登場します。 いよいよ始まります。

ベートーヴェンの交響曲第7番。 チェロ奏者でもある安野さんらしいとも言える弦楽アンサンブルの妙が光った演奏でした。 第1楽章冒頭より聴きなれた音楽であるはずなのに、各弦パートの響きが響き合い混ざり合った奥行きをもった旋律、これが進んでゆくのハッとしました。 第2楽章では、冒頭より深い響きのヴィオラによる葬送行進曲、対向配置に据えられた弦楽アンサンブルがしっかりと機能。 安心感があります。 終楽章では「のだめ」のドラマを見ていた人には面白味は少なかったかもしれませんが終始沈着冷静、唸りを上げた8本の低弦によるフィナーレも充実した響きとして纏めていました。 弦楽アンサンブルを堪能しました。

第1楽章、安野さんがふわっと振って出てきたのが、深みをもった弾力ある響き。 凛としたオーボエで応えたあと、弦楽アンサンブルの豊かな響きに驚きました。 各弦パートの響きが響き合い混ざり合って、奥行きをもった旋律が進みます。 聴きなれた音楽であるはずなのに、耳から鱗が落ちるよう。 ティムパニも重く打つ響きが前に出ないのが似合ってます。 最近の傾向ですと室内楽的にソリッドに響く弦楽器にタイトなティムパニでしょうが、オーソドックスながら決して重く引きずることのない豊かな響きに魅了されました。

第2楽章、ここもふわっと振ってゆったりとした葬送行進曲、柔らかな弦楽アンサンブル、なかでも深い響きのヴィオラにぐっと来ます。 が、遅れてきた人が楽章間にどっと入ってきましたが、その人たちが席に落ち着く前に始まったものだから、少々落ち着かず残念。 安野さんコントラバスの方を向いて音量を上げます。 淡々と腕を上下に振っているだけの指揮のようですが、これで的確にオケをコントロール。 対向配置に据えられた弦楽アンサンブルをしっかりと機能させていました。 ふわっと着地してこの楽章を閉じます。

第3楽章、軽やかな開始、走りながらも落着いている感じ。 音量も自然にコントロールされているようで淡々と進みます。 トリオも変なクセをつけずに丁寧に進めた感じ。 安野さんここでも腕を上下に振って軽やかにまた走らせます。 終結部はちょっと締めてから、また軽やかに旋律を走らせてピタっと着地。 間合いを一呼吸とってアタッカで続けます。

第4楽章、的確にコントロールされた弦楽アンサンブル、金管も音量上げますが打楽器のように短く吹いて進みます。 音量を上げると安野さんの動きは逆に小さくなってオケの手綱を絞っているみたい。 安心感があります。「のだめ」のドラマを見ていた人には面白味は少なかったかもしれませんが終始沈着冷静。 唸りを上げた8本の低弦によるフィナーレ、ホルンはきちっと響きを溜めて突出せず、充実した響きとして纏めていました。 コントラバス8本の15型とちょっと懐疑的に思っていましたが、素晴らしい弦楽アンサンブルを堪能しました。

20分間の休憩、この間にちょっと編成替えがあったみたい、自由入場で揃った弦楽編成は 13-15-13-10-8 のようで第2ヴァイオリンが増えました。 コンマスも変わってチューニングを実施。 安野さんの登場で後半の開始です。

「古風なメヌエット」はややソリッドに感じた弦楽器の響きで開始。 ここでは何よりクラリネットのまろやかな響きに魅了されました。 これに続くオーボエの甘い響きも良かったですね。 金管ではミュートをかけたトランペットもチャーミング。 ここでも常に沈着冷静に曲を進めた安野さん、全奏になると深いコクのある響きを弦アンサンブルから醸し出し、静かな落ち着いた時間を演出していました。 最後は、上にすっと伸ばした左手、これを更に上にかざして響きを放して止めました。

暗転してオケメンバーのシフトと追加、ホルンはステージ上に7人が一列に並びました。 その横にはトランペットが3本、10人が並んでいます。 ステージが明るくなってコンマスによるチューニングをして準備完了。 安野さんの登場により始まります。

カラフルで豪華絢爛ながらも常に角の取れた柔らかな響き、重厚かつ落ち着いた「ローマの松」は素晴らしい演奏でした。 輝くような「ボルゲーゼ荘の松」の開始から惹き込まれましたが、「ジャニコロの松」での透明感のある響きが静寂を造りだして素敵な時間が流れていたのが印象に残りました。 そして全体を締めくくる「アッピア街道の松」の終結部は自然と盛り上がってゆきましたが、最後まで統率された重厚感のある響きが支配、シンバルも渋い響きで艶ののった金管ともどもで熟成された音楽をすっと離した幕切れも上品。 一気呵成に攻めるのではなく、じっくりと腰を据えて頑張ってきた(これからも頑張る)オケ千らしい「ローマの松」であったように思いました。

ボルゲーゼ荘の松、柔らかくもキラキラと輝くような素晴らしい開始。 音の洪水ながらも、響きの角がきれいに落ちているので騒々しくは感じません。 ここでも安野さん、沈着冷静に落着いてオケをリード。 金管楽器も先の曲まではちょっと不安定に思えたりもしましたがここでは好演、全体のリズム感も良くて、あれよあれよと思う間に終わっていました。

カタコンブ付近の松、深い低減の響きがゆったりと、祈りの音楽ですが、暗くなりすぎずにしっとりとした感じ。 バンダのトランペットが上手かったですね。 それにホルンとトロンボーンも厳かで纏まり良かったのも印象的。 荘厳な弦の響きにトロンボーンの響きが加わって増した音量は、しだいに神秘的な響きとして下げて消えてゆきました。 見事でした。

ジャニコロの松、瑞々しいピアノの響きに惹きつけられたあと、味わい深いクラリネットのソロにまた魅了されました。 チェロのアンサンブルが柔らかく流れ、しっとりとしたチェレスタ、そしてハープ。 じっくりと曲が進んで、またもやクラリネットの響き。 静寂な時の流れの中でナイチンゲールの鳴き声がホール内に響くと別世界が開けたみたい。 透明感のある響きが静寂を造りだした素敵な時間でした。

アッピア街道の松、ずん・ずん・・と低弦が響くなか、舞台中央の左右袖より金管のバンダ部隊が登場。 向かって右側にトランペット3本、左側にはトランペット2本とトロンボーン1本のようです。 コールアングレのエキゾティックな音色に魅了。 ホルンの柔らかな響き、ティムパニは静かながらも重たい響きで、じっくりと熟成させた音楽が進みます。 そしてシンバルの一撃、勢いはあるけどこれも渋い響きでオケ全体の響きのトーンによく合っていて感心しました。 重厚感のある音楽が更に進んで自然とオケは熱気を孕みます。 艶ののった金管ファンファーレで勇壮な音楽ですが、ここでもじっくりと響きを溜めこんだ感じすが、安野さん、これを右手をすっと上げてケレン味なく終了。 一気呵成に攻めるのではなく、じっくりと腰を据えて頑張ってきた(これからも頑張る)オケ千らしい「ローマの松」の幕切れであったように思いました。

アンコールは「バッカーナル」。 これまでの抑制が解かれたような自由闊達、伸び伸びとした「バッカーナル」でした。 少々荒々しいけれど元気よい演奏、演奏されている方も楽しそうでしたね。 これで締めくくったので、会場は大いに盛り上がっていました。 この曲もメインプログラムとして時間かけて練習されると、きっと勢いだけでない一味も二味も違った良さも出てのでしょうね。 とにかくいい演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。