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紫苑交響楽団 第22回定期演奏会

ベートーヴェンの交響曲第7番、これほどまでに感動的な演奏は初めて戻る


日時:2013年9月8日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:高槻現代劇場・大ホール

曲目:ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「うわごと」
   R.シュトラウス/交響詩「ドンファン」
   ベートーヴェン/交響曲第7番

(アンコール)
   R.シュトラウス/「薔薇の騎士」より「ワルツ」

指揮:森口真司


「のだめ」ブーム以降あまたベートーヴェンの交響曲第7番を聴かされてきましたが、これほどまでに感動的な演奏だったのは初めて。 終楽章のフィナーレにさしかかるあたりより微動だにできず、音楽の奔流にのまれただただ身を任せるのみといった感じ。 すべてを耳と目に集中させていないと勿体ない、そんな感じでした。 素晴らしい演奏に、会場からは割れんばかりの熱い拍手とブラボーに包まれました。
これに先駆けて演奏された「ドンファン」もまた見事な演奏。 絢爛たるオーケストレーションを確実に支えているのは弦楽器アンサンブルで、やはり弦楽器がしっかりとしていないと音楽の出来はこうまで違うものかと、舌を巻いた次第。 もちろん管楽器、打楽器もしっかりとし、巧いだけでなく音色に統一感があったのが何より感動をより深くさせたと考えます。
冒頭に演奏されたワルツ「うわごと」からしてきっちりと制御されたオーケストレーション。 キレの良い筋肉質の音楽ながら、粘りのある響きに余裕をも感じさせた演奏でした。
このオケを始めて聴いた2005-6年頃は要員減に悩み、ヴァイオリンは1名のみの状況もあったと記憶していますが、高槻に拠点を移したことも転機となり、素晴らしいオケに成長されました。 感慨深いものがあります。 強いて言わせていただくなら、あのベートーヴェンのあとにアンコールは不要では、と思ったことです。 とにかく皆さんお疲れさまでした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

いつもは開演15分前に入る感じですが、今回は乗り継ぎも良かったこともあり、35分前にホールに到着。 さっそく2階最前列へ。 長年使用されたであろう設備の古さ、最近のホールに慣れている身には懐かしくもあります(同行者に不評でしたが)。 枚方市民会館や豊中市民会館も同様ですけれど。 開演5分前のブザー、これも最近ではあまり聞かなくなりましたね。 そして定刻、団員の方が左右より整列入場します。 通常配置で 12-11-9-8-6 でしょうか。 コンミスが拍手で登場、チューニングして準備完了。 指揮者の森口さんが自信に満ちた表情で登場するとようやく客席の照明が落ちました。 いよいよ始まります。

ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「うわごと」。 ハプスブルグ家の王女が病気で危篤になったとき、悲しみに包まれたウィーンを描いた作品らしいですが、冒頭よりヴィオラそしてヴァイオリンともにきちっと制御されていながらも粘り気を持った響き、続くコントラバスにも芯を感じさせる充実した弦楽アンサンブルが印象的。 凛としたフルートを挟んで豊穣な響きながらキレのあるワルツですが、これが時として迫力ともなる筋肉質のワルツとなって進みます。 後半も森口さんのキレのよい棒で、要所をバシバシと決めつつ進めて、最後も両手をすっと挙げて止めると、残響がホールに残る見事な幕切れ。 キレの良い筋肉質の音楽ながらも粘り気のある響きに余裕をも感じさせた演奏でした。

管打楽器メンバーを増強、落着いたところでコンミスが立ちあがってチューニングを実施。 準備が整うと指揮者の森口さんがゆっくりと歩いて登場します。 指揮台の手前で客席を向いて一礼して登壇。 始まります。

リヒャルト・シュトラウスの「ドンファン」もまた見事な演奏でした。 絢爛たるオーケストレーションを確実に支えているのは弦楽器アンサンブルで、やはり弦楽器がしっかりとしていないと音楽の出来はこうまで違うものかと、舌を巻いた次第です。 もちろん管楽器、打楽器もしっかりとしていて、単に個人が巧いだけでなくオケの音色に統一感があったのが何より感動をより深くさせたのだと考えます。 素晴らしい。

森口さんの右腕が力強く小さく回されると、素早く引き締まった弦の響きが迸り出て、あれよあれよと進んでゆきます。 チェロとコントラバスはパワフル。 のっけからパンチを食らったみたい。 しかもコンミスのソロがまた濡れたように美しい。 また素早い音楽となりますが、各弦楽パートの纏まりが素晴らしく、一糸乱れない機能的でありながらも、大きく波打つ高音弦に安定した低弦が絡み、弦楽アンサンブルがしっかりと曲を支えて進みます。
オーボエ・ソロは落着いた響きで、変な色を添えず丹精のこもった旋律が届けられます。 時折からむ低弦のピチカートもまた深い響きで情感が籠っています。 ぐっと力を増し、ホルンの斉奏も力強いのですが渋い響きが横に拡がってゆく感じかな。 トランペットのファンファーレも前に突き出るのではなく横に拡がっていますし、ティムパニの打音もタイトながら重い響き。 オーケストラの音色が見事に統一されています。 これがさらに音量を増しても、音が濁ることもなく更にパワフルとなった音楽が実にカッコ良くもありました。
そんな音楽も最後までゆるぎなく、じっくりと進めたあと、最後は森口さんの左腕が回って腰がガクリと折れて止まります。 しばしの静寂もまた良かった。 すべてのパートが巧かったと思いますが、やはり弦楽アンサンブルが基本なのだと改めて気付いた次第。 充実した音楽に大満足しました。

20分間の休憩、客席でアンケートなど書いてじっと時間を過ごします。 周りを見ると2階席も半分近くの席が埋まっていたみたいで、1階席は見える範囲で8割くらいかな、なかなかの集客力です。 定刻となって、団員の方が左右より整列入場します。 通常配置で 12-11-11-9-6 と若干補強されたみたいです。 コンミスによるチューニングが行われて準備完了。 森口さんがゆっくりと歩いて登場されて、やはり指揮台の手前で客席を向いて一礼、登壇されて始まります。

「のだめ」ブーム以降あまたベートーヴェンの交響曲第7番を聴かされてきましたが、これほどまでに感動的な演奏だったのは初めて。 終楽章のフィナーレにさしかかるあたりより微動だにできず、音楽の奔流にのまれただただ身を任せるのみといった感じ。 すべてを耳と目に集中させていないと勿体ない、そんな感じでした。 素晴らしい演奏に、会場からは割れんばかりの熱い拍手とブラボーに包まれました。

第1楽章、張りのある一撃のあと、艶やかな木管の旋律、引き締まった弦楽アンサンブルが軽やかかつ重量感もある躍動的な旋律なって進みます。 しっかりとした森口さんの統制のもと、各パートがそれに見事に応えて、フレーズの最後まで曖昧になることのないゆるぎのない音楽。 それがまた見事に受け渡されてゆくと、まさにベートーヴェンらしい音楽になっていました。

第2楽章、葬送行進曲の重層的な響きが見事な開始。 ヴィオラ、チェロ、コントラバスと重厚な響き、第2ヴァイオリンが入って拡がりを持った上に、第1ヴァイオリンがしっとりと歌い出して美しさもありました。 管楽器が入り、音量を増しても、音色が変わらない、深い琥珀のような感じ。 素晴らしい。

第3楽章、凝縮した響きによる力強いスケルツォの開始、木管と弦楽器の受渡しも見事で、音色もまた同じ。 チェロ、コントラバス、そしてティムパニのタイトな響き芯になっています。 じっくりと響きを溜める部分もケレン味なくじっくりと弾かせてから、また走り始めます。 途中森口さんが踊るような場面もありましたけれど、若干単調に感じられた面はあったものの、右手をぐるりと廻して粘り気持たせて止めます。

第4楽章、止まったままの姿勢でしばし呼吸整えて、アタッカで熱い音楽が迸り出てきました。 音量も少々大きくなったみたい。 森口さんの唸り声も時おり聴こえましたが、森口さんは基本これまでと同じ動きながら振りは大きく動きも少々荒くなったかな。 かなり気迫のこもった指揮となりましたが、オケもそれに見事に応え、暴走したり緩んだりすることなく、しっかりとした音楽。 音楽に十分に気持ちを乗せて盛り上がっている感じ。 素晴らしい。 フィナーレにさしかかるあたりよりすべてを耳と目に集中させていないと勿体ない、そんな感じにもなって微動だにできず。 音楽の奔流にのまれただただ身を任せていました。

演奏終了後、割れんばかりの拍手とブラボーの連呼・・・すさまじい拍手に包まれていました。 今日はアンコールは無しがいいな、もしくは終楽章の再演でもと思っていたら、これまた大曲のR.シュトラウスの薔薇の騎士」より「ワルツ」。 聴き手として、ベートーヴェンでの感動からの切り替えに少々戸惑ったこともありますが、最初は柔らかな響きと思いつつも乗り切れず、全奏となったあたりより馴染んで来た感じ。 アンコール無くても良かったのでは・・・と生意気言ってすみません。 とにかく皆さんお疲れさま&素晴らしい演奏を有難うございました。