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豊中市民管弦楽団 第49回定期演奏会

谷野さんの指揮のもと着実に進化戻る


日時:2013年11月17日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:いたみホール

曲目:ワーグナー/歌劇「タンホイザー」序曲
   ウェーバー/クラリネット協奏曲第1番ヘ短調 作品73
(アンコール)シュライナー/Immer Kleiner(どんどん小さく)
   シューマン/交響曲第4番ニ短調
(アンコール)ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

独奏:近藤久美(cl)

指揮:谷野里香


シューマンの交響曲第4番、大好きな曲だけにハードルも高いのですけれど、充実した響きに感動しました。 第4楽章、まだ終わらないでくれ、と念じつつ最後の1音まで堪能させてもらいました。

惜しむらくは客席からのブラボーが早かったこと。 どの曲も太い声でブラボ・ブラビと叫ぶ御仁がいらして、気持ちは分からないでもないですが、音楽の終わりを知っているから素早くブラボと叫ぶのは間違い。 声が音楽の余韻を掻き消していることにもっと想像を巡らせて欲しいものです。

と、オーケストラには関係ない話を書きましたけれど、第1楽章の序奏部より谷野さんが両腕を拡げて大きく掬い上げるように始めた落着いた響き。 ファゴットのしっとりとした響きが絡み、熟成された音楽の始まり。 素晴らしい演奏になるな、と直感したとおりの素晴らしい演奏でした。 コントラバスは4本のみでしたが、一体となった響きは時にパワフルとなって見事な存在感。 木管楽器も見事でしたね。 僅かなフレーズでも身体を揺らながらイントネーションをつける熱演。 谷野さんらしくきちんと整理された音楽に、オケの面々の想いが熱くのった演奏にしばし心奪われました。

これに先立って演奏された「タンホイザー」序曲は、精密機械のように組み立てられた演奏と感じました。 パワフルな面ももちろんあるのですが、最初の曲ということもあってか、きちんと整理されているのが前面に立ってしまったようですね。 曲の構造がよく判ったという点では面白かったな。

近藤久美さんをソリストにしたウェーバーのクラリネット協奏曲では、オケの響きに深みとコクが出てきました。 近藤さんのソロは凛とした清潔感のある響きで、オケとうまく対峙していたように感じました。 まだお若いので深い陰影という面では少々物足りなさを感じましたけれど、時おり楽器を見て首をかしげておられたようなので楽器の不調だったのかもしれませんね。 第3楽章では輝くようなノリノリのソロとして活気ついたオケとの会話もよく駆け抜けました。 蛇足ですが、このブラボも早くて少々興ざめ。

でもアンコールでまた楽しめました。 オケのメンバーが増員されるので何をするのかな、と思って見ていると・・・クラリネットを分解しながら吹く曲なのですね。 おじさんが出て来たので、譜面でもめくるのかな、と思っていたら譜面を指さしたあと、近藤さんより渡されたベルを持って楽屋に引っ込みました。 次に出てくると下菅、その次は上管が持ち帰られて、最後はマウスピースでビロビロと吹いておしまい。 初めて見ました(聴きました)。 終演後の近藤さんのにこやかな笑顔も素敵でしたね。

思い起こすと豊中市民管弦楽団を最初に聴いたのは2001年4月15日の第24回定期演奏会でした。 途中単身赴任で聴けなかったり、都合が悪くてここ2回ほど聴けていませんでしたが、谷野さんの指揮のもと着実に進化しているようです。 素晴らしい演奏を有難うございました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

奈良から伊丹まで1時間半でしょうか、バタバタとしていて12時過ぎに家を出たのでホールに到着は開演10分前。 慌てて2階席を目指し、中央通路より後ろ3列目 28-26 に陣取りました。 2階席は3割程度の入りだったでしょうか。 もっと余裕を持って来ないといけませんね。

定刻となり左右よりオケ・メンバーが整列入場。 通常配置で 10-12-8-8-4 でしょうか。 コンミスによるチューニングが始まりました。 パンフレットによるとゲストコンサートミストレスとなっておりました。 準備完了。 長身スリムな谷野里香さんが登場し、指揮台の手前にて、にこやかな笑顔とともに左・中央・右と3方向に丁寧に頭を下げてから登壇します。 一つ括りにした髪、10年前に黒かったのにずいぶんと白くなったなぁ、との印象。 あえて染めないのは、年輪を意識されているのでしょうか。 勇気あるなぁ、とは同行者の意見。 とにかく始まります。

ワーグナー「タンホイザー」序曲、きちっと制御された精密機械のように組み立てられた演奏と感じました。 柔らかな響きでの始まりには威圧感なし。 丁寧に紡いでゆきます。 そして底鳴りのするオケの大きな響きもありましたが、きちっとしているからか威圧感はここでもあまり感じません。 コントラバスの響きもよく聴こえますし、ティムパニは終始重い打音なのですけれど。 ヴァイオリン・ソロは清澄な響き。 谷野さんの手中に綺麗に収まっているからかな。 その谷野さん、左手を使って音量をまた上げました。 少々ヴァイオリンの響きが薄いというか、ザラついた感じだから余計にそう思うのかもしれませんね。 最後までもちろんパワフルな面ももちろんあるのですが、きちんと整理されていた、との印象。 最初の曲ということもあるでしょうね。 曲の構造がよく判ったという点では面白く感じた演奏でもありました。

オケメンバーが一部退席、手際よく第1ヴァイオリンの席を後ろに下げてソリストのスペースを確保しました。 9-9-6-5-3 の編成になったようです。 チューニングを終えて準備完了。 紫というかガーネットのような色相の綺麗なロングドレス、裾を引きずりながらソリスト近藤久美さんが登場。 裾を踏まないように、足元に注意しながら指揮台の後ろに回り込んだ谷野さんとともに礼をし、いよいよ始まります。

ウェーバーのクラリネット協奏曲、先ほどまで精密機械のようなっだオケの響が生き生きとして深みとコクが出てきました。 そして近藤さんのソロは凛とした清潔感のある響き。 オケとうまく対峙して吹き切りました。

第1楽章、コントラバスの響きが印象的な序奏、先ほどのまでのオケの響きとは違って生き生きとた感じで堂々としています。 クラリネットのソロは凛とした響きで、やや憂いを帯びた感じだったでしょうか。 音量は十分、オケと対峙しつつ曲が進みます。 劇的な感じもよく出ていました。 オケも間奏部分では音量を上げていますが、ソロが加わってもオケの音量は目立って下がることなく、堂々と渡り合ったのと、そっとこの楽章を止めました。

第2楽章に入る前、布を通してクラリネットの清掃してから始まります。 柔らかな弦楽器の伴奏にのってクラリネットも柔らかに歌い出します。 凛とした響きで落ち着いて歌い継いでゆく感じ。 ホルンとの響きも絡んでしっとりと歌います。 ホルン大健闘。 やや陰影に乏しく感じたのはまだお若いからでしょうか。 楽器の調子もイマイチだったのかもしれませんが・・・時折楽器を見て首をかしげておられたようですし。

第3楽章、輝くようなノリノリのソロとし、活気ついたオケとの会話。 ティムパニは先の細いマレットに持ち替え、軽快に走るオケとソロとの掛け合いが気持ちいい。 一転しっとりと吹いたあと、主題を戻してまた活気つき、技巧的なパッセージを織り交ぜながら颯爽と駆け抜けました。 間髪を入れずにブラボー、熱演でしたけれど、ちょっと早いのではないの・・・と少々同行者は不満だったようです。

アンコール、普通ならソロの曲になると思いますが、オケのメンバーが増員されるので何をするのかな、と思って見ていると・・・オーケストラをバックに軽快なメロディを吹きながら、クラリネットを分解しながら吹く曲なのですね。
途中、おじさんが出て来たので、譜面でもめくるのかな、と思っていたら譜面を指さしたあと、近藤さんより渡されたベルを持って楽屋に引っ込みました。 次に出てくると下菅、その次は上管が持ち帰られ、右手をベル(持ち帰られましたが)の置いて管を塞ぎながら吹いていて、最後はマウスピースだけでビロビロと吹いておしまい。 面白い。 初めて見ました(聴きました)。 終演後の近藤さんのにこやかな笑顔も素敵でした。

15分の休憩。 パンフレットやチラシなど見ながら席で時間を過ごします。 落着いて見ると綺麗なホールですね。 座席のシートもいい感じ。 標準的ですが、もうちょっと足元が広いと、なんて欲張りたくなります。
そして定刻、オケの方が左右より整列入場し 11-12-8-8-4 の通常配置にて着席。 コンミスが立ちあがってチューニングをし、準備完了。 谷野さんが登場して、またも左・中央・右と丁寧に3方向に礼をし、登壇。 さぁ始まります。

シューマンの交響曲第4番、大好きな曲だけにハードルも高いのですけれど、充実した響きに感動しました。 第4楽章、まだ終わらないでくれ、と念じつつ最後の1音まで堪能させてもらいました。

第1楽章、谷野さんが両腕を拡げて大きく掬い上げるように始めた序奏、落着いた響き、ファゴットのしっとりとした響きが絡む熟成された音楽の始まり。 これは素晴らしい演奏になるな、と直感。 主題、コントラバスは4本のみなのに重量感のある響き、畳み掛け、えぐる力感、素晴らしい。 単にパワフルなのではなく、シューマンらしいくぐもった感じが良く出ていますし、またオーボエを始めとして木管が歌っています。 各パートがしっかりとしていて、かつ有機的に絡んで、本当に見事。 弦楽パートもくっきりと分かれて聴こえてくるので、対向配置で聴いてみたくもなったほど。 フィナーレはパワーアップして感動的。 惜しむらくは、アタッカでそのまま第2楽章に繋いで欲しかった。

第2楽章、アマチィアなので間合いをとって体制整えて始まりましたが、オーボエの物悲しい響きが見事。 チェロも素敵、ヴァイオリンがじわじわっと攻めてきて、明るさが増してきました。 ヴィオラが良かったですね。 ヴィオリンのソロも可憐。 しっとりとして曲想によくマッチしていました。

第3楽章、ここでは第2楽章終結部より谷野さんの手が上ったまましばし静止、オケの準備が整ったのち直ち、深みを持たせた強靭な響きで開始。 くすんだようでいて艶もあって最高。 ABAB形式のBの部分、柔らかな響きに大きな呼吸、ここのコントラバスも柔らかな響き。 そしてAに戻ってまた強靭な響きのコントラバスは大活躍、存在感ありました。 谷野さん潔く音楽を進めて終楽章に繋ぎます。 ここはもちろんアタッカ。

第4楽章、トロンボーンのコラール風の序奏、トランペットも渋い響きで盛り上げてからの強靭な主題の呈示。 跳躍するようでもいて、また粘り気もあり充実した響き。 木管楽器の皆さん、僅かなフレーズでも身体を揺らながらイントネーションをつける熱演。 オケのやる気もひしひしと伝わってきます。 谷野さん、盛り上げる前では大きな振りとしてオケを盛り立てますが、要所では返って小さく振ってオケの自主性に任せているのでしょうか。 きちんと整理されながらも、オケの面々の想いが熱くのった演奏となって心奪われました。 まだ終わらないでくれ、と念じつつ最後の1音まで堪能させてもらいました。 素晴らしい演奏でした。

惜しむらくは客席からのブラボーが早かったこと。 どの曲でも太い声でブラボ・ブラビと叫ぶ御仁がいらして、気持ちは分からないでもないですが、音楽の終わりを知っているから素早くブラボと叫ぶのは間違い。 その声が音楽の余韻を掻き消していることにもっと想像を巡らせて欲しいものです。

アンコールはワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、これは開放感もあってか華やかで恰幅の良い演奏とし、演奏会を締めくくりました。
思い起こすと豊中市民管弦楽団を最初に聴いたのは2001年4月15日の第24回定期演奏会でした。 途中単身赴任で聴けなかったり、都合が悪くてここ2回ほど聴けていませんでしたが、谷野さんの指揮のもと着実に進化しているようです。 皆さんお疲れさまでした。 素晴らしい演奏を有難うございました。