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第20回天理の第九演奏会

1年を締めくくる大満足の演奏会戻る


日時:2013年12月23日(祝・月) 14:00開演
場所:天理市民会館・やまのべホール

曲目: ◆第1部◆
   歌えバンバン(阪田寛夫:作詞、山本直純:作曲、安野英之:編曲)
   この星に生まれて(杉本竜一:作詞作曲、安野英之:編曲)
   気球に乗ってどこまでも(東龍男:作詞、平吉毅州:作曲、安野英之:編曲)
      指揮:安野英之  合唱:天理ピエーナ少年少女合唱団
               演奏:天理シティオーケストラ
   ホルスト/セントポール組曲 より 第1楽章
   オッフェンバック/喜歌劇「天国と地獄」より カンカン
      指揮:上田真紀郎 演奏:天理小学校オーケストラ
   J.シュトラウス/ラデツキー行進曲
      指揮:安野英之  演奏:天理シティオーケストラ
                  天理小学校オーケストラ 合同
    ◆第2部◆
   ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱つき」
(アンコール)エルガー/威風堂々(合唱付き、作詞:喜多園子)
(アンコール)ふるさと、蛍の光

独唱:日紫喜恵美(S)、小林久美子(A)、清水徹太郎(T)、大谷圭介(Br)

合唱:天理第九合唱団
演奏:天理第九管弦楽団

指揮:安野英之


第20回を迎えた天理の第九、天理の第九は縁あって2004年第11回を聴かせていただいてからなので期間としては10年となりますが、途中単身赴任となって聴けなかった時期も半分ほどあって、今年で5回目。 しかし今回はこれまでと大きく違って天理市の音楽パワーを結集した素晴らしい演奏会になりました。 少年少女合唱団に小学生のオーケストラ、普段聴くことのない演奏にも接することが出来たのもじつに楽しかった。 このような企画ならば、1年を締めくくるこの時期の恒例行事として今後も続けて欲しいと思った次第。 とにかく個人的にも今年1年を締めくくる演奏会でしたが、この予想外の展開には大いに満足、大いに楽しませていただき、会場を後にすることができました。

会場には立見のパイプ椅子まで出る超満員のなか、天理ピエーナ少年少女合唱団の柔らかですべすべした歌声が響いて始まりました。 「歌えバンバン」、安野英之さんの指揮による天理シティオーケストラも軽やかな響きで好演、トロンボーンの柔らかな吹奏にミュートを付けたホルンも決まっていました。
合唱団のコーチの女性が第1部の司会を担当、手慣れた司会だなと思っていたら来年大学を卒業されて音楽の先生になられるとのことでした。 それはともかくいつもはピアノ伴奏で歌っているけれど、お得意の2曲をオーケストラ伴奏にて、伸びやかに歌われた「この星に生まれて」、明るい声で「気球に乗ってどこまでも」を手拍子もつけて堂々と歌われました。 オーケストラも透明感ある響きで合唱を盛り立てていたのが良かったですね。

天理小学校オーケストラの弦楽器メンバーが登場、9-9-3-6-2 という編成にてホルストのセントポール組曲より第1楽章。 小学生の小柄な身体のためか切り返しが素早く、カチッカチッと曲が進みます。 おまけに真摯な眼差しでしょ。 指揮に併せて伸びやかになったり、凄いですね。 コントラバス2本、ヴィオラ3本なのに、それぞれの音がきちっと聴こえてきますし、全国大会で優勝する実力を味わいました。
管打楽器メンバーが登場して総勢71名の小学生オーケストラによるオッフェンバックの喜歌劇「天国と地獄」よりカンカン、ここでも真摯な音楽が素晴らしかった。 柔らかなトランペットやトロンボーンなど抑制も効いていて巧い。 ただ体力がまだ無いでしょうから、響きの底力をあまり感じないので、ちょっと言葉は悪いですがミニチュア版みたい。 でも録音で聴いたら分からなくなるんじゃないかな、大人の演奏と・・なんて感じました。
最後は天理シティオーケストラとの合同演奏、ステージが狭いので、チェロとチューバ以外は皆立って演奏されたラデツキー行進曲。 軽やかな響きに重厚感を織り込んでの演奏として第1部はお開き。 大いに楽しみました。

10分間の休憩のあと第2部はメインのベートーヴェンの第九。 オーケストラは対抗配置に変更されて 8-8-6-6-5 の編成。 コンマスは栄島さん。 安野さんの指揮はいつもながら明快、歌わせる部分とストイックに引き締める部分をほどよく調和させて曲を進めて行きます。 栄島さんも腰を浮かんばかりの大きな動きとなって表情を付けています。 見ているこちらにも気持ちが伝わってくるようです。 ティムパニが小さくコンパクトな振りながら輪郭をきちっと作っていたのが印象的。 また5本のコントラバスもキリっと締まって響いてくる音圧が心地良く、勢いに安定感が備わっていて良かったですね。

第4楽章、ここでもコントラバスの重い響きに迫力を感じた開始。 ソリストの方は4名とも粒が揃って声が前に届いてきますが、少々ストレートな感じだったかしら。 後半、前に前にって感じで競い合っていたみたい、もうちょっと包み込むような感じがあればなお良かったかな。 そして肝心の合唱団、いつもながらの壁のようにそびえ立った席から真摯で熱い声がビンビンと届けられました。 男声合唱も昨年よりは人数は少し増えたでしょうか、ミリオーネンも十分に力強く深みも感じましたしね、申し分ありません(視覚的にはもうちょっと人数欲しいところですが)。 金管ファンファーレ、合唱も大きく高らかに歌いあげたあと、オケが疾走、最後は安野さんの右腕がすっと上げて止めました。
ケレン味のない第九でした。

演奏会の締めは、第20回記念でもあり合唱団の喜多園子さんが天理にちなだ歌詞を付けられたエルガーの威風堂々。 颯爽と演奏された前半にスローなテンポになる部分で高らかに歌いあげたあと大団円での締めくくり。 そして天理ピエーナ少年少女合唱団、天理小学校オーケストラも全員集まって、天理の第九の締めで恒例の「ふるさと」「蛍の光」を会場の全員で歌ってのお開き。 今年は例年以上に盛り沢山な内容でたっぷりと楽しませていただきました。 大満足の演奏会で、本年を締めることができました。 皆さん有難うございました。

蛇足ですが、本年は開演時間が例年より1時間早く2時開演となったため、終演後にホールの外に出てもまだ明るかったのも良かったです。



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