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大阪市民管弦楽団 第79回定期演奏会

隅々まで磨き込んだような新世界交響曲戻る


日時:2014年3月9日(日) 15:00開演(14:00開場)
場所:ザ・シンフォニーホール

曲目:ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 第1幕への前奏曲
   R.シュトラウス/四つの最後の歌 -*
   ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調「新世界より」
(アンコール)ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調「新世界より」第2楽章冒頭

独唱:津幡泰子(S) -*

指揮:藏野雅彦


ステージ上に対向配置にてコントラバス8本、チェロ12本が並ぶという物凄い編成にまず驚かされましたが、響きの角が綺麗に取れた弦の響きが素晴らしい演奏会でした。 中でも新世界交響曲の第2楽章冒頭、ビロードのような柔らかな響きの序奏部分にぐっと惹き込まれました。 そしてお馴染みのコールアングレも落ち着いた響き、しみじみとさせる演奏が実に素晴らしく、感動。 そしてアンコールでの再演、集中力が切れることなど無く、ここでもまた素晴らしい演奏に接することができ、感激。 その感激を持ったまま会場を後にしました。

指揮者の藏野さん、すきっとした指揮・的確な指示でオーケストラをコントロールしていて見ていていつもながら気持ちがいいですね。 オーケストラもそれによく応えていて見事でした。

「ニュルンベルグのマイスタージンガー」 第1幕への前奏曲では、冒頭こそやや硬さがあって響きが溶け合っていないように感じた部分もありましたけれど、次第にこなれてきました。 人数の多さで押し切るのではなく、きちっと制御されて刺激的な響きを抑え込んでいましたね。 その中で朗々と吹くトランペットのメロディが浮かぶように聴こえてくるなど、配慮の行き届いた演奏は藏野さんの手腕にもよるところ大であると感じたしだいです。

さらにオーケストラの響きが溶け合ってうねるように聴こえたのが「四つの最後の歌」。 濃厚で官能的な響きながら死に直面する陰影感をもったオケの響きが素敵でした。 ホルンのソロも柔らかな響きで良かったですね。 惜しむらくは津幡さんの声が2階席までは届き難かったことかな。 情感たっぷりに歌っているのが垣間見えますけれど、オケの響きとも同質であってオケの音量が上ると何を歌っているのか聞き取れない感じ。 そもそもそういう曲であるようにも思いますけれど。 とにかくオケでは、ソロ・ヴァイオリン、そして4曲目のピッコロの響きに至るまで同質な芳醇な響きで調和されていて見事でした。

25分間のちょっと長い休憩を挟んでメインの新世界交響曲。 前半プログラムは先にも書いたとおり 12-11-10-12-8 の対向配置でしたが、後半も対向配置で 13-11-10-12-8 とほぼ同じ編成のままスタート。 藏野さん、じっくりと丁寧に進める部分とタイトに締める部分でメリハリを付けて盛り上げてゆくスタイル。 細部まで見事にコントロールしていて、巨大オケのパワフルさを前面に出すことのない見事な演奏でした。 第2楽章は冒頭で書いたとおり、コールアングレの鼻濁音のような柔らかな響きが素敵、また慈しむように絡むクラリネットなどの木管アンサンブルも見事でした。 弦を1プルトとして、しっかりと音楽を止め、しみじみとさせながらもたっぷりと見せ場を作る集中力の高さもありました。 終楽章もまた集中力高く、よく統率された響きで自然と音楽を高揚。 底力のある響きで充実のフィナーレ。 

新世界交響曲、耳馴染みの多いある種手垢のついたような曲ながら、一か所も惰性で流すことなく隅々まで磨き込んだような演奏として、新鮮に響いてくる場面もあり、素晴らしい演奏でした。 皆さんお疲れさまでした。


i以下、未稿