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天理シティーオーケストラ 第14回定期演奏会

ウィーンを意識された演奏会戻る


日時:2014年6月28日(土) 16:00開演(15:00開場)
場所:天理市民会館・やまのべホール

曲目:スッぺ/喜歌劇「軽騎兵」序曲
   ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ・マズルカ「とんぼ」
   ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「天体の音楽」
   J.シュトラウスII/ウィーンの森の物語
   ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」
(アンコール)ブラームス/ハンガリー舞曲第6番
(アンコール)平井康三郎/天理市歌
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

指揮:安野英之(常任)


当方の演奏会案内に以下のように書いたのが大当たりでした。
天理シティオケの定期演奏会はウィーンを意識された演奏会でしょうか。天理は奈良のウィーンと言っても過言ではないほど音楽が盛んな街です。
指揮者の安野さんのプレトークで、今回の演奏会は天理市制60周年、6にちなんで田園交響曲、そして天理はウィーンになりたいとの思いを語られていました。 当方も天理の音楽への取り組みは素晴しいと思っているので同感。

演奏内容も田園も良かったけれど、シュトラウス・ファミリーの音楽が出色。 素晴しく楽しい演奏で、「とんぼ」が始まった瞬間より、暖かな空気がゆらいで流れる音楽に魅了されました。 うっとり。 裏で吹くトランペット、弦楽アンサンブルがまた心地良かったですね。

この曲、小澤征爾さんがウィーンフィルのニューイヤーで振っておられましたが、精密機械みたいな演奏で、汗流して神経を集中させている顔の印象がありますけど・・・これは違うやろ、とずっと思っていました。 安野さんのシュトラウスはこの他の曲も同様ですけれど、演奏を楽しんでおられる様子。 練習では色々と指示されていたかもしれませんが、本番は要所を抑えつつも曲を愛でるように進めておられました。

「天体の音楽」が始まると、今度は明るい光が射し込んできたようでしたね。 そこにヴァイオリンの冷んやりとした響きが艶やかにまた輝いて、おおっこれはまさしく天体・・・ この曲はカラヤンのニューイヤーでのゴージャスな演奏が思い出されますけれど、7-7-5-4-4 の小編成の天理のオケもまた華やかな演奏としつつも、チェロ奏者でもある安野さんによるしっかりとした中音主導の弦楽アンサンブルによる小粋な音楽。 安野さんもそしてまた客席も音楽を楽しんでいました。

そんな小編成アンサンブルながらゴージャスな響きを醸し出したのが「ウィーンの森の物語」、弦楽パート間の受け渡しやかけあい、ましてツィター部分と弦楽トップ奏者が演奏するという小編成ならではの遊びも含め、これもとても気持ちの良い演奏。 思わず頬が緩んでしまうような音楽。 楽しませていただきました。 天理でも安野さん指揮によるニューイヤーコンサートを企画されたらいかがでしょうか。

休憩を挟んでのメインの田園交響楽。
プレトークでは第2楽章に思い入れがあるとのことで、テンポを遅めにとった慈しむような演奏としていましたね。 でも個人的には、終楽章。 深くてコクのあるヴィオラの響き、対抗配置で際立つ第2ヴァイオリンはやや音量少な目でしたけど、しっかりと対峙していました。 木管と弦アンサンブルの呼吸も合って、凝縮されたようなここの後半楽章が出色。
ゆったりとしていても説明調にならないのはここでも安野さんが音楽を楽しんでいるからでしょう。 エンディングでの厳かな盛り上がり方は自然への敬愛じゃないか、そんな風に感じました。
最後はふわっと力を抜いて締めたのは新ベーレンライター版の解釈でしょうね、でもちょっと客席は戸惑って反応イマイチ感はありましたけれど、当方は十二分に楽しませて頂きました。

アンコールは、6繋がりでハンガリー舞曲第6番、こちらは盛上がりましたね。 田園の終わり方で少々消化不良気味だった客席もこれで大満足。 弦楽アンサンブルによる天理市歌に続いて、お約束のラデツキー行進曲で賑々しくお開き。 会場を出ると小雨が振り出してきましたれど、ついラデツキー行進曲のメロディが口にのぼってきて、久しぶりに演奏会を楽ませていただきました。 ありがとうございました。



以下、未稿