BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
甲南大学OB交響楽団 第3回演奏会

熱気あふれた演奏に圧倒戻る


日時:2014年9月23日(火・祝) 14:00開演(13:30開場)
場所:神戸市立灘区民ホール・マリーホール

曲目:ニールセン/交響曲第1番 ト短調 -*
   ブラームス/交響曲第1番 ハ短調

指揮:松下正彦(-*)、岸本竜太郎


交響曲第1番のプログラム、気合いの入った筋肉質なニールセン、明るく若々しい響きで彩られたブラームスといった感じだったでしょうか。 どちらもよく纏まったオケの響きが特徴でした。 惜しむらくはホールが小さく(ブラームスではステージ上がオケ団員で埋め尽くされている過密状態で)直接音が多く聴こえすぎた点でしょうか。 このため迫力十分でしたけれど、やや刺激的に聴こえたきらいもありました。 ですが、いずれも熱気あふれた演奏に圧倒されました。

自由入場でステージ上に集まったメンバー、弦楽器は 10-8-7-5-6 の通常配置。 客席の照明が落ち、コンマスによるチューニングを終えたあと、指揮者なしでの演奏開始。 校歌なのでしょうね。 OB交響楽団、客席も同窓会の雰囲気が漂っていましたが、演奏はいずれもとてもしっかりとしたものでした。

ニールセンの交響曲第1番、カッコ良い曲をそのままカッコ良く指揮されていたのは松下正彦さん。 右手で掴み、左手で掴み、かがみこんで爆発させる・・・1989-1990年のシーズンで学生指揮をされていた方でしたが、この曲の特徴を実によく掴んでおられた開始。 低弦もゴリゴリと響いてきて、ブロムシュテッドによる演奏も彷彿とさせる納得の演奏でした。 ホールが小さいのでやや刺激的に響くものの、一気にこの曲の世界に惹きこまれました。 とてもいい開始でした。

第2楽章では指揮棒を置いて静謐な音楽に想いを乗せた開始。 これも良かったですよ。 そしてしだいに熱くなったアンサンブルですが、ここでは直接音が多いから雄大に響かせる場面でちょっと損をしていたかもしれません。 軽やかさを失わず、よくタメも効かせてコントロールされた第3楽章。 鋭利な響きでソリッドに開始した終楽章もまたカッコ良かったですね。 当方も少々直接音に疲れたのか、もうちょっと低弦が響いて巻き込むような感じが欲しいなどと(生意気にも)思った次第ですが、纏まり感があってクールな演奏には違いありません。 フィニッシュの残響も響いた筋肉質なニールセンでした。

15分間の休憩、やはり自由入場にて集まったオケメンバーは 12-10-8-7-6 に拡大されてステージ上は過密状態となってしまいました。 指揮者は岸本竜太郎さん、とても若い方で2009-2010年のシーズンで学生指揮をされていた方だそうです。 まだ20歳台なのですね。

ブラームスの交響曲第1番、キレの良い上半身の動きよりフレッシュで若々しい響きが推進力を持って進みました。 岸本さんの指揮は下半身をほとんど動かさず、素早い腕の動きで切返されてスパスパっと進むのですが、第1楽章冒頭よりちょっと固めのティムパニのとともに増強されたオケの響きが引き締まって強靭。 各パートともの纏まりよく、響きが折り重なったクライマックスなど聴き応えのある音楽としていました。

第2、3楽章も明るい木管楽器のソロが巧かったですね。 瑞々しくて翳りのない音楽となっていて、人生黄昏時を迎えた当方にはちょっとまぶしい感じもしましたけれど、このような若々しく突き進む屈託のなさもまた良いものでしょう。 しかし、終楽章はこのフレッシュな響きに想いがのった素晴らしい演奏でした。 指揮者の方の思い入れが出ていたのでしょうね。 ホルン・ソロの押出しの強い響き、中低弦の奮闘などの好演もあって、早いテンポ・見通しの良い音楽としつつも感動もより深くなりました。 フィナーレは、凄い勢いで進んで一気呵成。 あまりに早いテンポだったせいか、出を間違った弦もあったように聴こえましたが、フィニッシュを見事に決めた素晴らしい幕切れ。 感動的でした。 会場から大きな拍手、当方も大きな拍手を送りました。

やる気が前面に出た演奏は聴いて気持ちの良いものです。 残念ながらここ数年残現役の甲南大学交響楽団を聴く機会がありませんでしたが、その伝統はOB交響楽団にもきちんと引き継がれているようでした。 皆さんお疲れさまでした。


以下、未稿