BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
紫苑交響楽団 第24回定期演奏会

1音たりとも無駄にしない意気込みを感じた演奏会戻る


日時:2014年9月28日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:京都府長岡京記念文化会館

曲目:ブラームス/大学祝典序曲
   ヒンデミット/管弦楽組曲「至高の幻想」
   ブラームス/交響曲第4番

指揮:森口真司(音楽監督)


しっかりとした構成感を持ち、1音たりとも無駄にしない意気込みを感じた演奏会でした。 理知的な響きで堂々と進められたブラームス、落着いた響きで神経質さは微塵もなく端正に演奏されたヒンデミットに浸りました。 何より弦楽アンサンブルが巧いのが素晴らしいかったですね。 やはり弦楽器がしっかりとしていないと音楽の芯のところで感動は深くならない、と思いました。 もちろん木管アンサンブルも素敵でしたけれど。

ヒンデミットの「至高の幻想」は、1938年に作曲されたバレエ音楽からの組曲とのこと。 初めて聴く曲ゆえにプログラムの記載を事前に読み込み、また演奏中も時に確認しながら聴き進めましたけれど、難解な感じがしなかったのはプログラムのお蔭でしょう。 とても分かりやすく書かれていて助かりました。 肝心の演奏はじつに真摯に展開されてゆきましたけれど、それでいてまったく神経質な響きにはならない。 起伏もあって、音量が上がっても熱気に流されない、上がった音量であっても角の取れたまろやかな響きであったことも印象に残りました。 これがこのオーケストラの巧い所でしょう。 もうちょっと聴きこんで味わえるまでになりたいと思えた曲でした。

ブラームスの2曲はともに耳馴染みのある曲。 所謂名曲。 返ってこのような曲のほうが演奏し難いとは思うのですが、引き締まった響きでともによく纏まっていました。 鳴らすべきところは十分に鳴らしつつも、やはりここでも端正に纏めた素晴らしい演奏。 虚飾を排しつつも、慈しむようなタメを作り、急緩もつけていました。 インテンポの無機質な音楽ではなく1音1音には意味があり、それを大切に、丁寧に紡いで進めていったのは音楽監督である森口さんの意図するところ。 それにオーケストラ、特に弦楽アンサンブルが見事に応えていました。

大学祝典序曲、柔らかくて弾力をもった開始より端正な音楽造り。 トランペット、そしてブラスアンサンブルが入ったのち、右腕を大きくグルグルと回し、まるでネジを巻くかのようにオケに力を込めていったのが印象的でしたけれど、音楽は決して派手にはなりません。 しっかりとした構成感を持ったままの盛り上がり。 オーボエ奏者の方が感情込めて吹いてらして、ときにベルアップのように身体を大きく揺らしていたのも印象に残りました。 いずれも誇り高く気高い大学校歌、じつに理知的な演奏となっていて見事でした。

交響曲第4番、 句読点をしっかりと押さえ、場面転換でのキレの良さを感じさせつつも、じっくりとブラームスに向き合った真摯な演奏でした。 最後の交響曲のため、ブラームスの最晩年を思ってしまい、何となく人生の黄昏時もイメージしてしまうのですけれど、ブラームス50歳を少し過ぎた頃の作品。 第3楽章など壮年期の力強い響きでしょう、座席も強靭なオケの響きに共振していたのに驚きましたけれど、やはりここでも音量は上がっても刺激的な響きとはなっていませんでした。 そして、テンポを僅かに落としたてタメを作ったり、やはりそここに考え抜かれた世界を垣間見ることが出来ました。 よく知っている曲だけれども、こうやって1音1音を丁寧に響かせているのを追いかけてゆくのが面白く感じられました。 素晴しい演奏であったと思います。

ここでは特に弦楽アンサンブルの素晴らしさを特筆しておきたいですね。 各パートが1枚岩のように纏まっていて、どのセクションを見ていてもプルトの前から後ろまで弓の動きが綺麗に揃ってました。 オケによっては後ろに行くにつれて弓の動きが小さくなるとか、逆にエキストラの猛者が入って大きな動きで揃っていないようなことにも出くわしたりしますけれど・・・ このオケにもエキストラさんが入っていらっしゃるようですが、見事な弦楽アンサンブルに舌を巻きました。 当方がこのオケを聞き始めた頃、メンバー減少で解散の危機に直面していた頃で、ヴァイオリンは1名しか居なかった、そんな状況であったと記憶していますけれど、それも遠い過去のことになってしまいました。 とにかく弦楽器がしっかりとしていないと、感動も大きくならないことを改めて感じた次第です。

そして今回はアンコール無し。 こんな素晴らしい演奏の後には、何も無いほうが感動がかえって持続できて賛成です。 皆さんお疲れさまでした。


以下、未稿