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カンマーフィルハーモニー神戸 第3回定期演奏会

スピード感のある歯切れのいい演奏戻る


日時:2014年11月16日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:伊丹アイフォニックホール

曲目:モーツァルト/歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲 K621
   ハイドン/チェロ協奏曲 二長調 Hob VIIb 2
(アンコール)J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番より「アルマンド」
   ベートーヴェン/交響曲第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」
(アンコール)シューベルト/ロザムンデ間奏曲第3番

独奏:花崎 薫(vc)

指揮:花崎 薫


小規模編成で少数精鋭のメンバーにて、現代に生きる新しい古典演奏することを目的に立ち上げられたアンサンブル。 元新日本フィル首席チェリストで現在は大阪フィルのトップ・チェロ奏者である花崎薫さんの指揮のもと、スピード感のある歯切れのいい演奏を目指されています。 バロック・ティムパニの利用や「皇帝ティートの慈悲」序曲ではナチュラル・トランペット2本を交えての演奏、弦楽器は6型でコントラバス2本、確かにスピード感や歯切れの良さを重視した演奏でした。 ただオーケストラの音がすべて出ている、というか、とにかく音が大きくて元気よく、ワッ〜と出ている感じ。 ナチュラル・トランペットとバロック・ティムパニを加えていますが、他はモダン楽器で弦楽器もピリオド奏法ではなかったと思います。 とにかく音量が大きくてちょっと取りとめのない感じがしました。

2曲目のハイドンのチェロ協奏曲は、花崎さんの振り弾き。 結果的にこれが一番良かったように思いました。 花崎さんのソロは、オケ奏者にありがちな杓子定規な感じではなく、ソリストとしての華を感じさせるもので、明朗かつ奥行きもしっかりとあって、さすがと思わせました。 正面を向いた花崎さんが、コンマスとアイコンタクトを取り、そのコンマスを軸にしたオーケストラ。 やはり弦楽器6型でコントラバス2本の編成でしたが、やはり少々音は大き目なものの、先ほどとは違って伸びやかな表情がよく出ていました。 確かに少数精鋭、特に弦楽アンサンブルの精度が高いオケですね。 花崎さんの薫陶によるものと推察します。 アンコールも良かったですね、ちょっとミスタッチもあったようですが、やわらかく深みのある音色ながら、しっかりとした主張があったように感じました。

休憩を挟んで、ベートーヴェンの英雄交響曲。 冒頭、花崎さんのハナ息よりまさに歯切れ良くスピード感のある演奏が展開。 スキッと纏めつつも躍動的、メリハリを付けて進みます。 オケの音量はやはり大き目でした。 花崎さんの指揮は初めてみますが、基本的に縦振りですね。 ほとんど横には振らない。 そして指揮棒の振りが大きくなると音量が大きくなり、小さくなると音量が下がる。 実に分かりやすいのですけれど、すべての繰り返しを実行されていたと思いますが、同じ音量で同じように繰り返されてました。 繰り返しを実行する/しないは指揮者の主張と思うのでそのことは言及しませんが、せっかくのスピード感ある演奏が冗長で退屈に思えてしまいました。 いつまでたっても終わらない・・・そんな印象を持ちました。

しかしオーケストラは各パートともよく纏まっていて巧かったですね。 特に弦楽アンサンブル。 先にも書いたように花崎さんの薫陶でしょう。 英雄ではコントバスを3本に増強したこともあってピチカートもより深い響きとなり、何より各パートがよく纏まって明快、よく主張し合い響き合ってました。 そして木管楽器のアンサンブルも明快。 みな凛とした響きで自信を持って主張しつつもとてもよく纏まっていました。 金管打楽器も堂々としていて、パワフルなホルンは巧かったし、トランペットとティムパニは勘所良くスピード感もあって良かったと思います。

惜しむらくは、これらの各パートが等価で鳴っていたように思えたこと。 ソロや主旋律にスポットライトを当てて浮き上がらせるように・・・というのがあまり感じられませんでした。 皆さん巧くて、せっかく皆さんが一所懸命演っているのにもかかわらず、結果として聴き疲れする音楽になってしまい、熱演だけど感動しない、そんな感じを持ってしまいました。 楽器を演奏されている方には、また違った面が感じられたと思いますけれど、お気楽に音楽を聴いているだけの当方としては、頑張っているのに付き合わされている感じがして、あまり楽しめなかったのが正直なところ・・・ 偉そうにすみません。 繰り返しになりますが、オーケストラはとても巧かったことは間違いありません。 いつもはこんな風には書かないのですが、せっかくのオケがちょっと勿体なく感じたのでこのように書いてしまいました。 お気を悪くされた方がいらっしゃたらごめんなさい。


以下、未稿