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奈良女子大学管弦楽団 第44回定期演奏会

じっくりと腰の据わったアンサンブルに生命感戻る


日時:2014年12月14日(日) 13:30開演(12:30開場)
場所:奈良県文化会館 国際ホール

曲目:シベリウス/交響詩フィンランディア
   シベリウス/交響曲第7番 ハ長調
   ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調
(アンコール)マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲

指揮:柴 愛


長年常任監督を務められた牧村さんが退任、これまでも奈良女オケのステージにも立たれていた柴 愛さんがタクトを取られての定期演奏会。 新鋭女性指揮者と女子大オケのコラボは大満足の演奏会となりました。

何より素晴らしかったのが弦楽アンサンブル。 各パートの纏まりがよく、そして柴さんのリードのもとに生気あるアンサンブルが展開されていました。 冒頭のフィンランディアよりまずはお手並み拝見、と聴き進めましたが、奥行きのある響きに艶も乗せた響き。 粘りもあって、聴き応え十分な演奏でした。 冒頭よりこんなに充実した演奏が聴けるとは、失礼ながら思ってもみませんでした。

そして個人的に一番興味あったのがシベリウスの交響曲第7番。 この難解な曲を、柴さんが各弦楽パートを紡ぐように響きを重ねて進め、聴きやすく纏めていたのに驚きました。 トロンボーンなど金管楽器も腰の据わった堂々として柔らかい響き、ティムパニは先ほどのフィンランディアでは強打でしたが、こちらも響きをたっぷりととった打音として素晴らしかったですね。 柴さん、動きを大きくたっぷりとした腕の振りで、オケを的確に進めてゆきました。 じっくりと腰の据わったアンサンブルには生命感が宿っていて、ピチカートなどぞくぞくっとする感じ。 緊張感を保ちつつ練り上げたフィナーレも見事でした。

15分の休憩のあとメインはベートーヴェンの交響曲第7番。 「のだめ」以降お馴染みの曲となりましたが、こちらも圧巻のフィナーレ。 フィナーレまでは、しっかりとしたアンサンブルながら明るさを基調とし、爽やかさの漂う演奏としていましたが、最後、柴さんに力が入りました。 ボクシングみたいにフック、アッパーなどパンチを繰り出し、ぐいぐいと盛り上げて進めていったのが印象的でした。 オケもまたそれよく応え、きちっとよく纏まった演奏での締めくくりました。

個人的な印象としては、演奏の出来としてはシベリウスの第7番の方が良かったと思いますが、さすがに有名曲。 ベートーヴェンの第7番終演後の拍手はとても熱いものがありました。 とにかくどの曲もよく訓練された音楽ながら、しっかりとした主張も感じられて素晴らしかったと思いました。

次回スプコンはまた違う女性指揮者による演奏会となるようですが、これまでの常任指揮者とは違う様々な解釈・アプローチ・訓練を得て、更なる発展を期待します。 お疲れさまでした。


以下、未稿