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西播磨交響楽団 第19回定期演奏会

ケレン味のない演奏・雰囲気の良い演奏会戻る


日時:2015年1月10日(土) 14:00開演(13:30開場)
場所:たつの市総合文化会館・アクアホール

曲目:第1部 映画&TVの中のクラシック音楽
      L.アンダーソン/舞踏会の美女
      L.アンダーソン/タイプライター
      L.アンダーソン/ブルータンゴ
      シベリウス/交響詩「フィンランディア」
      カバレフスキー/組曲「道化師」より「ギャロップ」
      デュカス/交響詩「魔法使いの弟子」
   第2部 ニューイヤーコンサート
      J.シュトラウス2世/喜歌劇「こうもり」序曲
      J.シュトラウス2世/常動曲
      J.シュトラウス2世/ポルカ「雷鳴と電光」
      J.シュトラウス2世/ピチカートポルカ
      J.シュトラウス2世/トリッチ・トラッチポルカ
      J.シュトラウス2世/アンネンポルカ
      J.シュトラウス2世/ワルツ「南国のバラ」
(アンコール)J.シュトラウス2世/美しく青きドナウ
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

指揮:原田芳彰


青春18きっぷを使って遠出をした甲斐がありました。 よく訓練されたオーケストラを、よく考えられた指揮がドライブして、良い雰囲気を醸し出していました。 お客さんもとても暖かい雰囲気で、アンコール演奏を終えて舞台が暗転しても拍手が鳴り止まず、指揮者の方が出てきて一段と大きな拍手でやっとお開き。 素適な演奏会で2015年を始めることが出来ました。

JR竜野駅より歩いて揖保川沿い、たつの市総合文化会館アクアホールに行きました。 ここは町村合併される前の旧揖保川町の庁舎の脇にあるようですね。 ホールに入ると500席ほどのとても綺麗なホール。 2階席も80席ほどあるので最前列を確保しました。 最前列でなくても席間が広くとってあって楽ちん、最前列は広々としていいホールですね。

ステージを見るとコントラバス4本が正面奥・向かって右側半分に並んでいました。 ウィーンフィルのニューイヤーが開催されるムジークフェライン流ですね。 オーケストラも弦楽器が 10-7-6-8-4 の対向配置となっていました。 なかなかに本格的です。 お客さんが続々と入って、1階席はほぼ満席。 2階席も最終的には7割ほど入ったようです。

第1部は「映画&TVの中のクラシック音楽」、耳馴染みのあるライト・クラシックスの演奏をお気軽に・・・でしょうか、。 白いジャケット姿で出て来られた指揮者の原田さんの出で立ちもその趣向なのでしょうけれど、とてもしっかりとした演奏内容に失礼ながら驚きました。 小ホールということもあって、やや直接音が多くあることより全般的に煌びやかな音色になっていますが、艶やかでたっぷりとしたヴァイオリンの響きなどたいしたもの。 横一列に並んだコントラバスと前列のトロンボーンが協調しあっていい感じでした。

タイプライターの演奏前には、指揮者の原田さんが無言でタイプライター奏者を立たせ、無言でにこやかに楽器紹介。 最近、演奏会でよく喋く指揮者もいらしてそれも良いのですけれど、ジャスチャーや表情などで客席に伝えるのもちょっと気取った感じで良いものですね。 もちろん肝心の演奏も、抑制を巧く効かせつつも小気味良く進め、きちんとした奥行き、時に推し出しの強さも持たせた演奏に感心しました。

オーケストラも原田さんの指揮によく合わせていて見事。 よく訓練されているように感じましたが、ブルータンゴでは 1st.ヴァイオリン末席の年配で白髪の男性奏者の方が、投げ出した左足でリズムをとりながらの演奏は雰囲気あって、見ていても楽しくなりました。 サックスの音を効果的に使われていたように、判りやすさを前面に出しつつも、各楽器にスポットライトを当てながら進める音楽。 耳に馴染んだ曲ながら発見があって大いに楽しめました。

そして強靭な響きでタイトにぐいぐいと盛り上げたフィンランディア、各パートの纏まりが良くリズム感を持って見事に進めた魔法使いの弟子、ここでもタイトな響きのホルン、コントラファゴットの響き、終わりにはヴィオラのソロなど色々な楽器の活躍があって第1部を存分に楽しませていただきました。

20分間の休憩、指揮者の原田さんは今度は黒の燕尾服に着替えての登場です。 第2部は「ニューイヤーコンサート」と題してウィンナ・ワルツ、舞踏会の指揮者然としての登場ですね。

第2部、ここでも御馴染みの曲をきっちりと演奏されてゆくわけですが、第1部で感じたのと同じく、判りやすさを前面に出しつつも各楽器やパートにスポットライトを当てながら音楽を進めてゆきました。 しかもこれが見事に手中に入っている感じ。 もちろんウィットにも富んでいて、常動曲の最後、指揮をしながら道路標識の「とまれ」の逆三角形のマークを描いた紙を客席にゆっくりと持ち上げて示し、客席ににやりと笑いかけてのストップ。 見事でした。 くすっと笑わせてもらいました。 これらも含め、原田さんのスコアの読みの深さあってのことと類推した次第です。

オーケストラの皆さん、曲が終るたびに狭いステージの中でシフトを素早く替えて、次々と演奏を展開されてゆきます。 そしてどの曲もしっかりとした演奏で応えていたのが印象的。 原田さんの意図が見事に音になって出てきて、とても安心して聴いていられましたし、このフレーズはこの楽器が演奏しているんやな、などなど色々な発見を楽しみながら聴かせてもらいました。 時に早いフレーズになって弦楽器が揃っていない点もあったように思いましたけれど、それとて一所懸命。 おざなりな演奏だと感じたところは一箇所もありませんでした。 それでいて堅苦しさなど感じさせない上質な演奏です。

最後のアンコール曲、ラデツキーマーチは客席と一緒になって手拍子で盛り上がるのが常ですけれども、これとて原田さんはにこやかな笑みを浮かべながらも客席にしっかりとした指揮を繰り返して進めます。 最後なので過度に盛り上げるように客席やブラスを煽って盛大に・・・そんなこと無くしっかりとした音楽をしっかりと楽しむ、そんな感じ。 指揮者ともどもケレン味のない演奏会を客席もしっかりと楽しませて頂きました。 清々しい気分。 良い演奏会で2015年を始めることが出来ました。 皆さん有難うございました。


以下、未稿