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同志社女子大学オペラクラス 第28回公演「フィガロの結婚」

一所懸命やりきった爽快感を感じた戻る


日時:2014年2月21日(土) 14:00開演(13:30開場)
場所:同志社女子大学京田辺キャンパス・新島記念講堂

曲目:モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」全4幕(イタリア語上演)

演出・音楽指導:井上敏典
音楽指導:井原秀人
衣装:岸井克己

アルマヴィーア伯爵:青木耕平
フィガロ:井原秀人
ドン・バルトロ:雁木 悟
ドン・バジリオ:谷浩一郎
ドン・クルツィオ:平松実留
アントニオ:佐藤彰宏

<4回生オペラクラス配役>
伯爵夫人:津島凪子(2幕前半)
      井関日和(2幕後半)
      上野説子(3幕)
      中元瑠璃(4幕)
スザンナ:松田淑佳(1幕前半・3幕前半)
      灰谷今日子(1幕後半)
      中田圭依(2幕前半)
      隠地奈保(2幕後半)
      横山綾香(3幕後半)
      鈴木 萌(4幕)
ケルビーノ:辻 朋華(1幕)
       松永麻美(2幕)
       吉永有希(3・4幕)
マルチェリーナ:橋本仁子(1・2幕)
         梶原 遥(3・4幕)
バルバリーナ:金治久美子

花娘・村娘:3年次オペラクラス
      浦山慶子、横井優夏
村の若者:大阪音楽大学在学生卒業生有志

管弦楽:同志社女子大学音楽学科管弦楽団

指揮・チェンバロ:瀬山智博


昨年に続いての原語上演、オーケストラの演奏も瀬山さんがチェンバロを前に弾き振りとしてパンチの効いた伴奏で、序曲や幕切れなど捲くし立てるように進めていました。 時流に沿えば、日本語上演の時代ではないのでしょうけれど、昨年に続いてまだ違和感を拭えないのが正直なところでした。

かつての日本語上演、伴奏も歌に合わせて伸び縮みさせていたころの上演に懐かしさを感じました。 演出も坂口さんの時代の方が、舞台をもっと立体的に使っていたのではなかったかな。 アリアを歌うとき、重唱でもメインで歌うときには必ず舞台前方に立ち、中央付近ににじり寄ってくるのは、学芸会のお披露目みたいにも思えてしまって・・・、せっかくのオペラクラスの方々の熱演・熱唱も小さく纏まってしまったのではないか。

アンケートにこのような感想を第3幕のあとに書いたものの、第4幕での熱演を見て出すのを辞め、持ち帰ってきました。 オペラクラスの方々の熱演・熱唱は毎年変わらず、カーテンコールまで一所懸命で目頭の熱くなるものを感じます。 今回は第4幕がとても充実していましたね。 冒頭のバルバリーナ、小さい方なのに声の響きに奥行きもあって声量も充分、一気に惹かれました。 バルバリーナ、第3幕よりケラケラと笑っては走り回る役どころですけれど、伸びやかな演技も良かったように感じました。

そして第4幕のスザンナの朗々として柔らかくもよく透る声が素晴しかったですね。 うっとりと聴き惚れました。 重唱となっても、しっかりと声が聴こえて男声陣とも渡り合って存在感も充分でしたね。 伯爵夫人もまた柔らかな声、童顔でスザンナにも見えてしまうのはストーリーに合わせた人選だったのかな、と思ってしまったり。とにかく男声陣、オーケストラも含めて第4幕がとても見応え聴き応えがありました。 そして感動のカーテンコール。 関係者ではありませんが、毎回ここで目頭が熱くなるものを感じます(なのでアンケートは出せなかった)。

第1幕前半と第3幕後半のスザンナは可憐な声で透明感ありましたし、第1幕後半のスザンナもよく透る声質で器用な感じを持ちました。 ケルビーノは艶のある声に奥行きがあってとても良かったですね。 マルチェリーナは若い女性には難しい役どころながら声量もあって堂々と渡り合っていて見事でした。

第2幕前半の伯爵夫人は凜として声に奥行きも感じられて伯爵とも堂々と渡り合っていましたね。 ケルビーノは柔らかな声質が特徴、やや感情込めたビブラートが印象に残りました。 2幕前半のスザンナは快活な雰囲気出してよく透る声でした。 後半の伯爵夫人も凜としていて落ち着いた演技で男声陣と渡り合って見事。 後半のスザンナの声はよく透ってましたね、マルチェリーナとともに熱く盛り上がったフィナーレでも存在感ありました。

第3幕、まろやかで良く伸びる伯爵夫人の歌はドラマティック、対するスザンナは堅めの声質で対応させていたのかもしれませんね。 ケルビーノも柔らかな声質であったようです。 マルチェリーナは深い声でとても落ち着いていましたね。 花娘は清々しい声が響きあってとても素敵。 そして第1幕ではちょっと雑然とした感じにも思えた合唱でしたけれど、この幕のフィナーレは柔らかでかつ押し出しもあって良かった。

そんなことを思い出しながらカーテンコールを眺めていました。 今回もちょっと斜めに見てしまった感も多いにありますけれど(すみません)、一列に並ばれた皆さんのお顔を見ると、各場面で歌われていた場面を思い起こします。 いつも感じますが、一所懸命やりきった爽快感を感じた幕切れでした。 一流の男声陣と渡り合った貴重な経験をされたと思います。 出演された皆さんの今後のご活躍を期待します。



以下、未稿