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セント・マーティン・オーケストラ 第11回定期演奏会

躍動感ともに深さと奥行きの感じられる素晴らしい演奏戻る


日時:2015年3月8日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:川西市みつなかホール

曲目:モーツァルト/「フィガロの結婚」序曲
   ミヨー/「プロヴァンス組曲」
   ドヴォルザーク/交響曲第8番
(アンコール)エルガー/朝の歌

指揮:河ア 聡


ドヴォルザークの交響曲第8番、躍動感ともに深さと奥行きの感じられる素晴らしい演奏に感動しました。 弦楽アンサンブルの精度は前2曲よりも上って透明感がありましたし、金管楽器はパワフルながら全体の響きに見事にマッチ。 そして木管楽器のまろやかでコクのあるソロがいずれも絶品でした。 タイトで小気味よいティムパニ、これらアンサンブルが混然一体、時に嬉しそうな表情を見せつつリードする河崎さんのもと、終始ワクワクしながら聴いていました。

冒頭の「フィガロの結婚」序曲、先日同志社女子大オペラクラス公演で聴いたのはとまったく別物のようなパワフルな演奏でした。 コントラバス4本、チェロ7本が快速で走っていたのがとても印象的。 パンフレットにも書いてありましたが、ちょっと違うよな、と個人的には思った異色の演奏でした。 速いのは好きなんですけれど。

続くミヨーの「プロヴァンス組曲」、こちらもやや無防備とも思えるほどに開放的にブラスが鳴っていた感じ。 小粋で洒脱な・・・とは違って堂々たる演奏。 ちょっと表現が違うかもしれませんが、不協和音も押しの一手では、横断歩道も皆で渡れば怖くない、なんて思って聴いていました。 後半ずいぶんと軽くなってきたと思ったので、ちょっと気合が入り過ぎていたのかもしれませんね。

そんなちょっと強引とも思えるほどに元気のよかった前2曲のあと、メインのドヴォルザークの交響曲第8番は別の次元の演奏でしたね。 一皮も二皮も剥けた素晴らしい演奏となっていました。 第1楽章の冒頭より、オケの響き、とくに弦楽器の透明感がぐんと上っていて惹き込まれました。 また対抗配置に据えられた各パートも有機的に絡んでいて、7本もあるチェロのまろやかな響き、柔らかなコントラバスとヴィオラのピチカートが印象的。 そしてフルートの美音に魅了されました。

第2楽章は大きく呼吸するような開始、音量もやや抑え気味だったでしょうか。 休止できちっと制御されたオケ、その間合いも絶妙でした。 曲の陰影をも映し出していて、ここでもオーボエがまた美音でしたね。 うっとり。

第3楽章、艶やかなヴァイオリンの旋律もここでもやや音量は抑え目だったでしょうか。 まろやかなながらしっかりと音圧あるホルンも見事。 そして終楽章での華やかなトランペット、艶を感じさせる洗練された響きで最高でした。 押し出しの強いホルンやトロンボーンとも相まって聴き応えが十分。 見事に制御された演奏、河崎さん、人差し指を口に当てて「しっ」とオケの音量を落としてから、ゆったりと進めたフィナーレは小気味よく畳み掛けました。

とてもよく考えられた河崎さんのリードと、曲に対する共感を持ったオケとが一体となった素晴らしい演奏でした。 前2曲とは練習量だけでなく曲・演奏への共感が大きかったのかな、と感じたしだいです。 意欲的な演奏をしているセントマーティンらしい演奏会であったと思いました。 次回演奏会は来年2月14日、合唱団ホール・バルティカとの演奏会、オルフのカルミナ・ブラーナと伊福部昭の「交響譚詩」「ラウダ・コンチェルタータ」ですね。 意欲的な演奏で期待できるプログラムです。 とにかく今回お疲れさまでした、そして、ありがとうございました。


以下、未稿