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天理シティーオーケストラ 第15回定期演奏会

客席の雰囲気が良く、気持ちの良い演奏会戻る


日時:2015年6月28日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:天理市民会館やまのべホール

曲目:フンパーディンク/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲
   ヴァンハル/コントラバス協奏曲
   ブラームス/交響曲第4番
(アンコール)J.シュトラウス2世&ヨーゼフ・シュトラウス/ピチカート・ポルカ
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

独奏:村田和幸(cb)

指揮:安野英之(常任)


いつもながら気持ちの良い演奏会でした。 いきなりアンコール曲の話になりますが、このオケお馴染みのアンコール曲・ラデツキー行進曲。 客席からの手拍子は、安野さんの指示が無くとも、弱く打つ、強く打つというのを客席の皆さんが安野さんの指揮する後ろ姿に合せて演奏(?)、ご常連さんが多いとはいえ、お客さんの質が高いのがとても印象的です。 そして客席には今回も楽器を持った制服姿の高校生も多くいらして、会場係をされていた先輩で大学生になったお兄さんを見つけて「久しぶり」などとの会話もあって、皆さんアットホーム。 この演奏会を楽しみにし、このオーケストラや音楽を愛しているのが今回もよく伝わってきました。

そんな暖かな雰囲気によく似合った「ヘンゼルとグレーテル」序曲。 ホルンの響きもまろやかに、木管楽器の歌も柔らかで、まさしく木の響き。 弦楽器は 8-8-6-6-4 の対向配置とし、中音弦がよく届きますね。 活気を持って軽やかに進みますが、トランペットも控え目ながら艶を感じさせる響き。 アンサンブルにややほころびを感じさせた場面もあったかもしれませんが、よく歌って楽しい演奏。 これが何より良かったですね。 縦の線を揃えることに終始したミスの無い演奏では、この楽しさは出なかったと思いました。 ほっこりとした気分で楽しませてもらいました。

日本センチュリー交響楽団の首席コントラバス奏者の村田和幸を迎えたヴァンハルのコントラバス協奏曲。 以前、クーセヴィツキーのコントラバス協奏曲を聴いたことがありますが、その時も感じたのですが、ちょっと不思議な雰囲気ですね。 α波が出ているのでしょうか、気持ち良くなって眠くなってしまうみたい。 周りでも目を閉じていらっしゃる方が多かったのですが、かなりな熱演であっただけに、本当に不思議。

第1楽章、バロック音楽のような序奏から始まって、とても親しみやすい感じ。 ソロも親しみやすい旋律を技巧を駆使しながら進めます。 圧巻はカデンツァ、伸びやかさに跳躍もあって客席を惹きこんでいました。
第2楽章、ゆったりとした序奏よりしっとりとしたソロが歌います。 オケもぴったりと付けて思索的なソロが続きました。 止まりそうになるほどゆったり、しみじみとした感じ。 カデンツァもまた深い響きが特徴的。 このあたりα波がけっこう出ていたようですね。
第3楽章、軽快な序奏に続いて軽やかなソロ、装飾音を混ぜながら軽やかに駆けてゆきました。 低い音の深みに軽やかさが同居。 クレバーな音楽ですね。 最後はオケともども華やかになってフィニッシュ。 とても親しみやすい曲・演奏でした。

惜しむらくは、座席が後ろから4〜5列目だったこと。 天井に近いせいか空調音も聴こえていて、ニュアンスをもっと聴きとるためには前の方の席へと移動すべきだった(クーセヴィツキーの時には前から3列目に走って移動したことを失念していました)。 するともっと華やかさが聴き取れたかもしれません。 失策、残念でした。

15分の休憩のあと、メインのブラームスの交響曲第4番。 虚飾を排し、音楽そのものに語らせるような演奏でした。 冒頭こそ、ヴァイオリンの少なさより(8-8-6-6-4の対向配置)清新な感じで、もうちょっとオケに厚みが欲しいように感じましたけれど、聴き進めていると、淡々としながらもきちっと要所が抑えられたオーソドックスな演奏に納得。 どの楽器、どこかのフレーズを際立たせたり煽ったりすることなく、バランスよく等価に鳴らせていた集中力の高い演奏に感じ入りました。

第1楽章、ふわっと振って透明感ある響きでの始まり。 ヴァイオリンの響きがやや薄く感じられましたが、中低弦がしっかりと鳴って曲を支えています。 フレーズは短めに切って進めて、ため息をつくような郷愁もなくて、清新な感じ。 安野さん、コンパクトに振って進め、淡々と曲を見せているような感じです。 見ていると2ndに回った栄島さんはいつもながら大きな動作ですが、ヴィオラ奏者の方も気合い十分で演奏されているのが印象に残りました。 あとティムパニ奏者の女性も最後まで潔くかつ丁寧に叩いておられたのが良かったですね。

第2楽章、ホルンそしてフルートの張りのある響き、木管楽器は艶のある響きで静かながらも熱い音楽です。 弦楽アンサンブルも小さく纏まっていながらもよく歌っていましたし、その裏で鳴るファゴットも絡んで素敵な響きでした。 ここでも淡々と振って進める安野さん。 バランス良く落ち着いて進めていて、ここでのティムパニもまた控え目だったのも納得です。

第3楽章、安野さんの軽いハナ息より力感のある開始。 ティムパニがここでは重く強い打音。 安野さんも軽くジャンプするなどタイトで熱っぽい演奏ながら、オケのサイズを超えて吠えることなく、コンパクトに凝縮させた音楽に好感を持ちました。 時に背伸びをし、オケのサイズ以上の音楽でハッタリをかましてウケる・・・そのようなことありません。 身の丈を知って最善、できればその上を尽くす、これがアマオケの身上でしょう。

第4楽章、ほんの少しのインターヴァルをとって深味のある響きで始まりました。 ヴァイオリンは第1楽章とは違い、弓を強く押し付けて弾いていたみたい。 中音弦、とくにここでもヴィオラがよく響いていたように感じました。 トロンボーンのコラールはちょっと控え目で素朴な味わい。 安野さん、ここでも丁寧に、じっくりと曲と向き合って進めていました。 手中にあるオケをバランスよく等価に鳴らし、曲そのものに語らせているような印象です。 ブラームスのシンフォニーはこうあるべき、そんなことを感じた集中力の高い演奏に大きな拍手を贈りました。 いい演奏でした。

そしてアンコール1曲目、これまでのちょっと硬い雰囲気より、楽しさを前面に出したピチカート・ポルカの演奏。 単にピチカートとといっても、楽器はもちろん、弾き方によっても音色を変えた演奏を楽しませてもらいました。

そして終演後、今回もまた指揮者の安野さんがアンケート箱を持って回られて「ありがとうございます」、そしてお客さんとも会話をされていて、いつものことながら天理のオケは客席の雰囲気が良く、気持ちの良い演奏会でした。 ありがとうございました。


以下、未稿