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吹田市交響楽団 第80回定期演奏会

期待を裏切らない演奏に満足戻る


日時:2016年1月24日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:吹田市文化会館メイシアター・大ホール

曲目:モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
   ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 -(*)
(アンコール)ヘンデル(ハルヴォルセン編曲)/パッサカリア
   ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」(1947年版) -(**)
(アンコール)「ペトルーシュカ」(1947年版)より「ロシアの踊り」再演

独奏:馬渕清香(vn -*)、池村佳子(vc -*)、大奥由紀子(p -**)

指揮:米山 信(常任指揮者兼音楽監督)、新谷 武(-**)


アマオケを15年以上聴き続けてきましたが、ブラームスのドッペルとペトルーシュカはプロオケも含めて初めて実演に接する曲。 大いに楽しみにして伺いましたが、よく演ったなぁ〜と、期待を裏切らない演奏に満足しました。

「フィガロの結婚」序曲、中低弦の厚い響きを基調としながらも快活さを十分に持った演奏会ピースとしての演奏。 ブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲では柔らかで息のあったソリストとオケによる実演で室内楽的な面白い曲であることが感じられて楽しみました。

そして難曲「ペトルーシュカ」、冒頭こそ堅さを感じましたが「ロシアの踊り」あたりからこなれてきて、ここで流れをぐっと引き寄せたあと第4部は一気呵成に流れに乗って演奏しきった感じ。 十分に引きつけて粘り気を持たせたオケ響き、たっぶりとした大きな音楽としてとても聴き応えありました。 満足しました。

ここ1年、予定が合わずこのオケに伺う機会を得ませんでしたが、次回定演ではこれまた難曲のシベリウスの交響曲第6番を演奏されるとのこと。 更なる楽しみも増えました(予定が入らない事を祈ります)。 とにかく皆さんお疲れさまでした。


簡単に演奏会を振り返ってみます。

いつもどおり2階席中央通路後ろの足元の広い席に陣取りました。 天井が近いせいもありますが、数10年に一度の寒波で凍える外界とは別世界で熱気に包まれて、セーターも脱いでの観戦となりました。
定刻、左右より整列入場されて弦楽器は 14-13-9-8-4 の編成だったでしょうか、通常配置。 コンマスによるチューニングを終え、指揮者の米山さんがゆっくりと歩いて登場してモーツァルトの「フィガロの結婚」序曲が始まります。

中低弦の厚い響きを基調としながらも快活さを十分に持った演奏でした。 いつも同女のオペラ公演でのオケピットで演奏されるのを耳にしているので、最初こそ重厚さにちょっと違和感を持ちましたが、演奏会ピースとして頭を切り替えて聴くと、とてもよく纏まった演奏として楽しめました。 木管アンサンブルと弦の響きのトーンがよく合ってましたし、ホルンとトランペットも全体の響きにきちんと溶け合っていたのが見事でした。 オケピットでの演奏で聴くと、オケの楽器の数も違いますが、けっこう甲高い響きでラッパが主張して耳につくのですけどね。

終演後、オケのメンバーがさっそく出てきて座席を移動させたりひな壇を用意して準備完了。 13-12-9-8-7 の編成になったでしょうか(老眼も進んでいるので見誤りがあると思いますが)。 真っ赤のドレスの馬渕清香さん、濃いブルーのドレスの池村佳子が登場されて、いよいよブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲が始まります。

第1楽章、明るく勢いのあるオケの響きでの開始。 チェロがややくすんだブラームスらしい響きを持った独奏で会場を支配しました。 艶やなか響きのヴァイオリンも加わり、慎重につけるオケとともに曲を進めます。 オケは中低弦の響きが芯になっていて堂々たる伴奏です。 そのせいかソロがやや繊細に感じたのですが、真摯に曲に向き合い、また美感も持たせた演奏としてオケと対峙する感じだったかしら。 要所をしっかりと押さえたオケの安定感のある堂々たる演奏でこの楽章を締めました。

第2楽章、伸びやかなホルンの響きで開始。 憧憬を感じさせる響きをもってヴァイオリンとチェロのソロが絡みます。 とても柔らかな響き。 CDなどで聴いているとけっこう退屈してしまうのですけれど、実演ではソロがそっと語りかけあい、オケとも絡んだ会話となっていて、これを楽しみました。 前の楽章では重厚だったオケの響きもこの楽章では柔らかな響きとし、最後も十分に伸ばしてそっと着地。 すばらしかった。

第3楽章、軽やかなチェロのソロで開始、ヴァイオリンも艶やかで柔らかな響きで歌い返す優しい音楽。 オケの響きが徐々に力を増して勇壮に。 ソロも熱気を秘めた演奏を展開しますが、柔らかな響きはそのままに自然な流れ。 主題を戻し、漲った力はそのままにオケもピタリと付けてまるで室内楽のような楽しさで全曲を堂々と締めて熱い拍手が沸き起こりました。

CDなどでこの曲を聴いていても、いまいちちぐはぐな印象というか、面白味をあまり感じずにいたのですが(クレーメルとマイスキーの演奏も一種エキセントリックな演奏は楽しめても、曲としての面白味はいまいち感じませんでしたが)、今回の柔らかで息のあったソリストとオケによる初の実演体験、室内楽的な面白い曲であることが感じられて楽しめました。

アンコールは、ソリスト2名によってヘンデルのパッサカリア。 四次元三重奏団を組まれているとのこと。 それで協奏曲でも息がぴったりと合っていたのですね。 あとで調べてみるとかなりの難曲とのことでしたが、伸びやかで軽やかに歌う演奏を楽しみました。

15分の休憩。 この間にピアノを指揮台の真正面(ピアニストと指揮者が面と向かう位置関係)に置かれました。 オケのメンバーが登場、編成は 14-13-10-8-7 みたい。 メンバーが着席しても、なんとなくステージや客席がどよめいている感じなのは、とにかく難曲ですからね、意気込みと不安が入り混じっているからかな、などと思ったしだい。 コンマスによるチューニングを終え、指揮者の新谷さんがいつもどおりの表情で登場。 客席に深々とお辞儀してから登壇、いよいよペトルーシュカが始まります。 聴く当方も期待に不安が入り混じった気分、固唾を飲んで指揮棒を見つめました。

指揮棒が動いて、フルートがお馴染みのメロディを奏でます。 やや緊張した雰囲気ながら離陸は成功。 ただしチェロの演奏は緊張に押されたのか音量が小さめでバランスが悪い。 全奏となっても堅さのためかやや絶叫調な印象。 クラリネットのソロ、緊張気味ながらクリア。 新谷さんもいつもよりも丁寧に振っているみたい。 タンバリンやトライアングルも音が小さめで皆さん慎重に曲を進めているようでしたが「ロシアの踊り」あたりからこなれてきて、ここで流れをぐっと引き寄せてあとは流れに乗ったみたい。

太鼓の連打、ここではまだちょっと大人しめだったかな(後になるほど豪快に打っていたようです)。 第2部、木管楽器のソロも堅さが取れて、フルートやクラリネットがいい音を聴かせていましたね。 各パートがよく揃っていますし、また新谷さんの的確な指示で、オケ全体の会話も見事に決まってノッてきた印象。 太鼓の連打も豪快になりました。

第3部、オケの響きにコクも感じられて土俗的な響きとした「ムーア人の部屋」、注目のトランペットによる「バレリーナの踊り」もクリアして見事でした。 オケは相変わらずよく纏まっていて、不協和音感もバッチリと決めて、流れに完全に乗って進んでいる、という感じ。 そして大太鼓の腹に響く音も素敵、そしてティムパニの連打も更に豪快に決めて第4部に突入。

十分に引きつけて粘り気を持たせたオケ響き、それでたっぶりとした大きな音楽。 新谷さんもここまで来ると、にこやかな表情でいつものややオーバーアクションで曲を盛り立てます。 見事な進行ですね。 タイトなホルンの響きも素晴らしい。 そしてオケの各パートの響きが重ねられた力強さに美しさがあります。 オケは流れに乗ってノリノリな感じ、聴いている当方もそんな流れに乗せてもらって安心して聴き進みました。 最後まで疲れを感じさせることなく、進行したのも見事でした。 そしてその流れが急にゆるやかになった静かなエンディング。

新谷さんの腕が下り、真っ先に拍手したのですが・・・パラパラと拍手が続いたものの、新谷さんがその場で固まって振返らないので、少々不安になって拍手をやめてしまいました。 はにかんだように振り返った新谷さんに、会場より軽い笑いととともに拍手が再開。 ちょっと不気味なエンディングですものね。 仕方ないか。

第80回の定演なのでいつもよりも難しい曲に挑戦された演奏会とされたとのこと。 そのためアンコール曲は用意されていないが、拍手が止まないので「ロシアの踊り」を再演。 本番での緊張感を潜り抜けた余裕を感じさせる演奏として幕。
ここ1年、予定が合わずこのオケに伺う機会を得ませんでしたが、大変満足できた演奏会でした。 次回定演ではこれまた難曲のシベリウスの交響曲第6番を演奏されるとのこと。 更なる楽しみも増えました(予定が入らない事を祈ります)。
とにかく皆さんお疲れさまでした。