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近畿フィルハーモニー管弦楽団 第31回定期演奏会

ゴージャスな響きに迫力ある演奏会戻る


日時:2016年7月31日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:いずみホール

曲目:サン=サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」より「バッカナール」
   ボロディン/交響曲第2番 ロ短調
   サン=サーンス/交響曲第3番 ハ短調 作品78「オルガン付」
(アンコール)エルガー/行進曲「威風堂々」

指揮:岡田良機


弦アンサンブルのゴージャスな響きに、あでやかな木管、華やかな金管を添えた迫力ある演奏会でした。

今回は2階バルコニー席で、なんと最前列RA-1。 目の前にパイプ・オルガン、床下にはコントラバスが8本も居並ぶ席だったので、まるでオケの中で聴いているようでもあって、またオルガンのストップ操作なども確認できて面白く演奏を聴かせてもらいましたが、やや直接音が多く、少々聴き疲れしてしまったことも事実。 ちょっと元気良すぎた感じもありました。

LA-30で聴かれていた方の評をそのまま引用させていただくと「この比較的小さなホールでフルオーケストラを鳴らすと、ホールの音響のキャパを越えて、耳がキンキンしたりするのです」と音が飽和していたようでもあります。

ところで、RA-1からだと指揮者の岡田さんの動きや表情など手に取るように分かります。 岡田さんは立ち位置を変えず、淡々と拍をとられていて、左手は表情をなぞる程度のとても簡素な指揮。 オケを煽ったりすることはないけれど、音量を抑えるような仕草も皆無で、演出はオケの自由度に任せていたみたい。 このオケの各パートはよく纏まっていますし、またこのオケの団内指揮者も優秀な方ですから、オケの練習中に基本的な各曲の青写真は出来上がっていた感じでしょうか(想像ですが)。

オケの編成は 10-10-10-8-8 の通常配置、中低弦重視の構成になっていて、金管の咆哮などもビシッと決まって(ホルンも巧かったですね)、爆演好きの方にはたまらない演奏会だったと思います。 ただこのホールの響きを生かすには、先の方も言われていたようにちょっと音量が大きすぎたきらいはありますけれど。


簡単に演奏を振り返ってみたいと思います。

まずはサン=サーンスの「バッカナール」、きらびやかな木管、弦楽器なかでもヴァイオリンの艶やかな響きにはしっかりと芯もありました。 軽やかに打つティムパニもまた心地よかった明るい音楽で、このホールにはよく合っていたように感じました。

続くボロディンの交響曲第2番、重厚感のある響きによる開始より濃いぃ音楽でした。 金管楽器もまた重く迫力ある響きで堂々たる第1楽章。 明るい響きの第2楽章では直接音が多くて少々疲れましたが、第3楽章に入ってクラリネットの暖かい響き、ホルンの遥かな響きが素敵でしたね、各楽器にスポットライトが当たっているような巧いソロをまるでオケの中で聴いているみたいで面白かった。 アタッカで終楽章に突入、低音金管楽器が重厚、座席位置の関係もあって厚みのある中低弦が下から盛り上げていた感じ。 指揮者の岡田さん、淡々と振っているのだけれども響きは常にグラマラスでしたが、最後はコンパクトに纏めてのお開き。 これはちょっと意外でした。

15分の休憩を挟んでサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」、気付いたら目の前ちょっと下にオルガン奏者の方が座っていらっしゃいました。 先ほどのグラマラスな響きにオルガンも入ってゴージャスな演奏と予想しましたが、オルガンは近くだったせいか意外と大人しく感じました。 オケの方はより推進力を増してやる気満々の演奏となっていたようでした。

第1楽章、透明感の高いヴァイオリンの響きに凛とした木管、厳かな金管で上々の滑り出し。 オケ全体が引き締まって集中力の高い見事な演奏。 ティムパニは若い女性奏者よりおじさんに交代して軽やかにストローク短く打つも鋭い響きになったみたい。 前半中盤の盛り上がりは各パートの纏まった響きがぐいぃ〜っと湧きあがってきたクレッシェンドに感動。

後半となってオルガンのしっとりとした響きが流れ、弦楽器の瑞々しい響きも明るく美しい。 シンフォニーホールの2階正面最前列で聴いていると、床がドロドロドロッと響いてくるのだけれど、ここではオルガンの大きさの違いもあるせいか確かに床も響いているけれどそれほどでもない感じだったのが意外でした(こんなに至近距離なのに)。 オケでは第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンによるアンサンブルが素敵でした。 さらにオルガン、ヴィオラ、チェロがアンサンブルに加わって、うっとり。 素敵でした。

ところでオルガン奏者をよく見ていたら、演奏の合間に鍵盤下にあるスイッチを左から右に一つずつ押し進めていて(押したスイッチのランプが点灯して、ランプが順番に右に進んでゆきます)、オルガンの音色を変えるストップが順次切り替わってゆくのですね。 ストップ操作も事前に登録しておいてスイッチで切り替える電気制御になったとは聞いていましたが、実際に見たのは初めてかも。 面白いですね。

第2楽章、エネルギッシュな弦の響きに堅いティムパニの打音、ホルンの勇壮な響きも絡んでソリッドな音楽。 ピアノは、座席位置の関係か少々くぐもった音に聴こえてました。 木管もソリッドな響き、勇壮な低音金管楽器も各パートよく纏まった音楽を構成し、推進力を持って進んでゆき、そして徐々に静かになります。

オルガンの荘重な響き、ホルンの斉奏が迫力ある開始。 ここではキラキラッと輝くような4手のピアノを期待しましたが、やはりくぐもったような響きだったのは座席位置のせいでしょう。 トランペットが4本で華麗な響きで彷徨。 しかしシンバル、大太鼓などはやや控え目な演奏で好感が持てました。 めくるめくような感じで進みますが、オケの演奏の時にはオルガンは足で低音を補強していたりしたのですね、なるほど〜と、思いながら聴き進むうちにフィナーレ。 パワフルな金管に彩られてぐっと盛り上がったあと、岡田さんが大きく右腕を回して止めました。

パンフレットには余韻を楽しんで欲しい旨が書かれてありましたけれど、ほんの少しの間はあったものの耐えきれずブラボーと拍手。 もうちょっと余韻を楽しみたかったな・・・というのが本音でちょっと残念でしたが、まっそれだけ勢いのあった演奏だったということでしょう。 遅ればせながら大きな拍手を贈りました。

アンコールはオルガンも加わったエルガーの威風堂々でしっかりと締めてお開き。 最初は、ヴィオリンが10本づつなのにコントラバスが8本もあってどうかな、と思いましたけれど、このオケのヴァイオリンは雄弁で芯がありますね。 ゴージャスなサウンドで楽しませて頂きました。 とにかく皆さんお疲れさまでした。