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枚方フィルハーモニー管弦楽団 第84回定期演奏会

熱くもまた清々しさを感じさせた演奏戻る


日時:2016年10月30日(日) 14:00開演
場所:枚方市市民会館・大ホール

曲目:ボロディン/歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」(-*)
   ドヴォルザーク/チェコ組曲(-*)
   ドヴォルザーク/交響曲第7番
(アンコール)服部隆之/「真田丸」オープニングテーマ曲(-**)

独奏:板東潮子(-**,団員)

指揮:谷村 浩、生島 靖(-*)


爽やかな秋の一日、枚方市民会館前の広場では枚方市菊花展などが催され、ゆったりと秋の日を楽しむ市民の方が散見されましたが、市民会館の中では枚方フィルによる熱い演奏で満ち満ちていました。

いきなり「だんたん人の踊り」からの熱演でしたね。 最初の「だったん人の娘の踊り」こそエンジンを暖めているような感じでしたが、しだいにノリノリな感じになってきました。 圧巻はクラリネットの速いパッセージ。 すごい凄い気合い入ってましたね。
「チェコ組曲」は親しみやすいメロディが満載。 それを枚方フィルの朴訥としたサウンドで彩り、要所ではキレのよいアクセントをつけて、郷愁も覚えました。
そしてメインのドヴォルザークの交響曲第7番、まるで太い筆で描くように進められた演奏。 野太く堂々とした音楽に惚れ惚れとしていましたが、フィナーレでは、これでもか! といった感じで念を押すような堂々たる着地に唸りました。 自分たちの音楽はコレだと精一杯演奏される音楽に大いに感じ入りました。

そして今回、休憩時間にはハンドベルの演奏が披露されたり、アンコール曲が「真田丸」のオープニングテーマ曲だったり。 今回も熱くもまた清々しさを感じさせた演奏に大いに満足して会場をあとにしました。 皆さんお疲れさまでした、そしてありがとうございました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

爽やかな秋の一日、ちょっと早めに枚方市駅に到着。 会場の市民会館とは反対側の出口より出て「淀川資料館」を覗いてきました。 土木・利水関連の展示だけでなく生物や洪水など生活に関わる展示もあって興味深く拝見させてもらいました。 そしてまだちょっとだけ時間があったので、淀川の河川敷もほんの少し散策。 広い空を見上げてから市民会館へと向かいました。 でも、今度は会館前で枚方市菊花展が開催中。 丹精込めて育てられた菊の花や市民菊人形(我々の年代は「枚方菊人形」は秋の代名詞の一つですよね)もあったので、これらも楽しんでから、ようやく会場へと到着したしだいです。

いつもながらの2階席ですが、寄り道して着いた時間が遅かったこともあって前の方は多くのお客さんで埋まっていたので、後ろから2列目、ほぼ最上階に陣取ることにしました。 でも演奏会の途中でもどんどんお客さんが入ってきて、上の方も結構な人の数となっていましたね。 定刻となって左右より整列入場。 オケの編成は 10-10-10-8-4 の通常配置。 前2曲の指揮をとられる生島さんが登場されて始まります。

「だったん人の踊り」いきなりの熱演となりました。 まずは「だったん人の娘の踊り」でキレの良い開始より艶やかな木管楽器の響きで魅了します。 それに比して弦楽器はやや平板な響きだったかな。 まだエンジンを暖めている感じみたい。 キレよく止めて「だったん人の踊り」となって、これまた木管楽器の豊かな和音。 しっとり・ゆったり・うっとりとしました。 弦楽アンサンブルも艶が増してきましたね。 トロンボーンとチューバも粘り気のある響きで良かったですよ。 ティムパニがゆったりと大きく入ってきて、しっかりと地に足を着けた音楽が進みます。 スネア、軽快ながらもハリのある鋭い響き。 ヴィオラが力強く演奏していたのが印象に残りました。 そして次第にノリノリな感じになってきましたけど、生島さんがきちんと仕切ってテンポを動かさず暴走させません。 そんななかで圧巻はクラリネットの速いパッセージ、すごい凄い気合い入ってましたね。 惹きこまれました。 キレの良く鋭いスネア、太い響きの大太鼓。 音楽が自然と高揚してゆき、会場を巻き込む熱演となって全曲を閉じました。

「チェコ組曲」は親しみやすいメロディが満載、それを枚方フィルの朴訥としたサウンドが温かみに変えて郷愁を覚えました。 第1曲「前奏曲」、やわらかなホルンより始まってヴィオラの朴訥とした響きでしみじみと聴かせました。 第2曲「ポルカ」、しっとりとしたヴァイオリンにそっと低弦が寄り添って上々の滑り出し。 中間部は浮き立つような響きが印象的。 最後は哀愁の調べ、温かみのあるアンサンブルを楽しみました。 第3曲「メヌエット」、明るく伸びやかなクラリネットとファゴット、チャーミングな開始より、要所をキレのよいアクセントをつけて心温まるサウンド。 秋の日によく似合ってましたね。 第4曲「ロマンス」、フルートの端正な響き、コールアングレも感傷的な音楽で魅了、ふわっと着地を決めていました。 第5曲「フィナーレ(フリアント)」、徐々に力強くなってここでも太い響きで盛り上がります。 タイトなホルンも全体の響きによくマッチ、オケ全体が最後まで集中力を切らさず堂々と全曲を纏めました。

休憩時間、団員の方によるハンドベルの演奏が披露。 今年の初めにハンドベルを購入されたらしく、弦楽器、管楽器、指揮者など有志が集まって練習されたそうです。 冒頭こそやや手探り感があったようですけれど、全員が息を合せての演奏を楽しませて貰いました。 全員が協力して1つの演奏を完成させる、いつもアマオケらしい演奏を提供して下さる枚方フィルですが、こんな手作りの温かなプレゼントが出てくるとは思いませんでした。

ドヴォルザークの交響曲第7番、指揮者は谷村さん。 指揮棒を持たず長い両腕を同じように大きく振り、恰幅の良い音楽が始まりました。 ゆったりと進めて、まるで太い筆で描くように進めます。 谷村さん、要所で力を込めていますが決して煽ったりせず、堂々とした歩みは変わりませんね。 低弦やティムパニがそれに応えた強い響き、トロンボーンやホルンもバリバリと吹いて気持ちいいですね。 その大きな流れ、うねりに身を任せているうちに第1楽章が終了しました。
第2楽章、朴訥とした木管の響きに野太いピチカートで始まりました。 テンポを落としてゆったりとした響きです。 ここでも太い線で丹念に曲を描いて進めてゆきます。 胃もたれしたり足をひきずるようなことではなく、しっかりと自分の身体で消化された栄養(音楽)を力にてしっかりと自分の足で歩んでいる・・・堂々として枚方フィルらしい音楽性でしょうね、いいですね。
第3楽章、艶やかな弦の響きに明るい木管。 ここも落ち着いてぐいぃと力こめて、ホルンがバリバリっと鳴なるなど堂々とした音楽でした。 決してスタイリッシュで流麗な音楽ではないけれど、しっかりとした音楽造りに好感が持てます。
第4楽章、ゆったりと深く太い響きで曲を進めるのは同じですが、終楽章なので余計に力入ったかもしれませんね。 指揮者の谷村さん、時に片手で歌わせようとしたり、パンチを繰り出す場面もありますが、基本は左右の腕を同じように大きく振って堂々と曲を仕切って、パワフルな響きをオケより導き出して進めます。 そんな野太く堂々とした音楽に惚れ惚れとして聴いたフィナーレでは、これでもか! といった感じで更に念を押すような堂々たる着地に唸りました。

自分たちの音楽はコレだと精一杯演奏される音楽に大いに感じ入りました。 客演指揮の先生に導かれ、縦線横線をきちんと合わせ(合せようとする)技術一辺倒な演奏に陥りがちなアマオケの中にあって、自分達の音楽はコレ、って主張するような演奏はなかなか無いように思います。 枚方フィルのカラーですね。 そして聴き手としても、音楽を聴くことの原点にいつも立ち戻させてもらえるような気がします。 このオケの温かな雰囲気がたまらなく好きです。

カーテンコールでは、上着を脱いでワイシャツ姿になって登場した谷村さん。 熱演でお疲れのようでしたが、アンコールはなんと「真田丸」オープニングテーマ曲。 ソリストには前2曲でコンミスを務められた板東潮子さん。 演奏会が始まる前、会場前で「市民菊人形」による「真田丸」も見てきましたが、いつも楽しみにTVで見ている音楽を生で鑑賞できるなんて、素晴らしいサービスですね。 そして演奏もまた、しっかりとしたタメ、そしてコクも感じさせる堂々たるヴァイオリンの響きで会場を魅了。 耳馴染みの曲なのでちょっと線が細く描かれるかなと勝手に思ってましたけど、見事にTV番組を彷彿とさせる堂々とした演奏に感激しました。 会場からも大きな拍手が沸き起こりました。 今回も熱くもまた清々しさを感じさせた演奏に大いに満足して会場をあとにしました。 皆さんお疲れさまでした、そしてありがとうございました。