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奈良女子大学管弦楽団 第46回定期演奏会

姉さんに導かれたオケが一丸となったフレッシュな演奏戻る


日時:2016年12月24日(土) 13:30開演(12:30開場)
場所:奈良県文化会館・国際ホール

曲目:フンパーディンク/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲
   ベートーヴェン/交響曲第1番
   ブラームス/交響曲第1番
(アンコール)クリスマス音楽メドレー

指揮:木下麻由加(客演)


木下麻由加姉さんに導かれたオケが一丸となったフレッシュな演奏を楽しみました。 麻由加姉さんは淡々と振って見栄をきったりすることはなく、どの曲も端正なつくりながらもオケの持つ力を十二分に引き出していましたね。 またオケもそれに見事に応えて、各パートの纏まりもよく腰の据わったサウンドながらドライブ感も自然と出てきた感じ。 いい演奏会でした。

個人的にはベートーヴェンの交響曲第1番、オケの明るい響きを基調とした真摯な演奏を1番に取りたいですね。 落ち着いた腰の据わったサウンドですが、各パートの分離が良くて軽快でしなやかな演奏。 華美にならない管打楽器は響きは良く、弦との会話も見事。 自分たちのサイズで演奏された自分たちの音楽と、29歳の青年ベートーヴェンの若々しい息吹が見事にマッチした素晴らしい演奏に感じ入りました。

メインのブラームスも同様な演奏で、なかでも終楽章での自然な盛り上がりが素晴らしかった。 麻由加姉さんが一時指揮棒を左手に持って右腕を軽く動かす程度に振り、オケに全幅の信頼を寄せて熟成させた音楽をまた指揮棒を持ってパワフルでキレのある演奏としてフィナーレへといざなったのにも唸りました。 端正に吹いたホルンなど素晴らしかったけれど、オケの響きとの相性ではベートーヴェンですよね。 こちらも素晴らしい演奏でしたけれど。

これに先立つフンパーディンクは、メルヘンティックな雰囲気に満ちた佳演でした。 艶やかで快活な響きの金管、常に柔らかな打音としたティムパニ、時に大きくうねるようにパワフルになった弦楽アンサンブルなど終始明るい響きが印象的。 行進曲となってリズミカルに動いた麻由加姉さんにもよく付いてよかったですよ。

いずれの曲もどこかを強調するのではなく真摯に曲に向き合った演奏も好印象ですが、オケの良いところをうまく引き出した木下麻由加さんの手腕を評価したいですね。 昨年の定期演奏会でもこの両者の相性の良さを感じましたけど、今回はさらに進化したみたい。
蛇足ながら昨年末には京都フィロムジカでブラームスの交響曲第4番を指揮されたのを聴き、こちらの相性にはちょっと疑問符が付きましたけど、奈良女オケとはとてもいいコンビですね。 姉さんのカッコ良さに皆さん憧れを持たれているのでしょうか。 このまま暫く同じコンビとなって姉さんお得意のニールセンの交響曲なども聴きたいものです。

この演奏会が今年の聴き納め、いい演奏に巡り合えて幸せでした。 皆さんよいお年を!


以下、未稿