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天理シティオーケストラ 第17回定期演奏会

美音と質実とした響き戻る


日時:2017年7月2日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:天理市民会館やまのべホール

曲目:ベートーヴェン/「レオノーレ」序曲第3番
   メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 -*
(アンコール)ベートーヴェン/ロマンス第2番
   シューマン/交響曲第3番「ライン」
(アンコール)ブラームス(シュメリンク編)/ハンガリー舞曲第5番
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

独奏:金関 環(vn) -*

指揮:安野英之(常任)


金関さんの美音と安野さんによる質実としたシューマンの響きに大満足した演奏会でした。 今回もまたとても聴きごたえありました。

2004年3月このオケを始めて聴いた第3回定期演奏会でチャイコフスキーの協奏曲を弾かれていたのが金関さん。 その時も美音に唸らされましたが、今回もまたその美しい響きに魅了されました。 メンデルスゾーンの協奏曲も良かったけれど、アンコール曲のベートーヴェンのロマンス第2番が金関さんの特質により似合っていたのではないでしょうか。 伸びやかさと繊細さを併せ持ち、とくに高音域での濡れたような響きはもうなんとも言えない魅力でした。 少々長いアンコール曲でしたが、たっぷりと楽しませて頂きました。

メンデンルスゾーンの協奏曲は、第1楽章こそフレーズを早めに切ってやや小ぶりで硬いかなぁ(と生意気にも)思って聴いていましたが、第2楽章となって軟らかくゆったりとした呼吸のソロにのめり込みました。 美しい響きを満喫。 伴奏もまたたっぷりとした響きでゆったりとした盛り上がり。 安野さん、ソロとオケの間に立って両者ともにしっくりとくる音楽造りに徹しておられたのがよかったですね。 そして圧巻は第3楽章、金関さんの艶やさの中にしっかりとした芯をもった響き、軽快に旋律を滑らせてゆき舌をまきました。 巧い。 オケもどんどんと興にも乗ってきたのでしょうね、フィナーレに向けて熱気もはらんできて、エキサイティングなエンディグを形成した素晴らしい演奏に会場より大きな拍手が沸き上がりました。

メイン・プログラムのシューマンの「ライン」。 明るく響かせながらもシューマンらしいくぐもった弦の響き、これがとても素晴らしい演奏でした。 よく言われる説に、シューマンは作曲が下手で楽器の重ね過ぎによる不明瞭な響きとなってしまう、というのがありますけれど、そのくぐもったような響きこそシューマンらしさだと思っています。 個人的な感想ですが、管楽器奏者出身の指揮者の場合はオーケストレーションを少々いじって明瞭な響きを求める向きがありますが、安野さんは優秀なチェロ奏者でもあることより、きちんと纏めた弦楽アンサンブルを駆使され、たっぷりとして聴きごたえのある音楽を楽しませてもらいました。 こちらもまた素晴らしい演奏に唸りました。

第1楽章の冒頭、勢いつけてフレーズを早めに切り上げて進め、この楽章の終盤は押し寄せてくるような弦アンサンブルの響き、要所をしっかりと締めて堂々たる演奏として聴きごたえ十分。 第2楽章もまた充実した弦の響き、これをふっと抜いたようなアクセントもつけてましたね。 やや混とんとしたようなシューマンの響きも太い筆でなぞるようにもして聴かせ上手。 のめり込みました。 ホルンが全編にわたってタイトな響きで存在感満点で曲を引き締めていました。 また木管楽器も好演。 第1楽章冒頭のクラリネットや終楽章でのフルートも素敵でしたが、木管楽器チームが全編に渡って曲を彩っていたのが素敵でした。 フィナーレはオケの響きが混然一体となりましたが、最後の最後まできちんとした同じ色彩感で纏め上げた安野さん、派手さはないけれどその手腕の光った演奏に唸りました。 いい演奏でした。

冒頭の「レオノーレ」序曲第3番も落ち着いた音色で纏め上げた演奏でした。 各パートがよくまとまった真摯な演奏でしたけど、まだ少々エンジンが温まっていなかったような感じだったかな。 小ぶりなオケ、弦楽器が 8-7-6-5-4 の編成での対向配置でしたので、余計にそう感じたのかもしれません。 ここでもフルートの艶やかな響き、そして裏で吹いていたファゴットも素敵でした。

アンコールのハンガリー舞曲第5番で会場に勢いつけて、最後はお馴染みのラデツキー行進曲での〆。 ほぼ満員となった会場からの手拍子とともに陽気なお開きとなりました。 ホールから出るお客さんもとても満足そうな明るい表情で会場をあとにされていました。 またそんな中、今回もまた指揮者の安野さんみずからアンケート回収箱を持ってのお客さんをお見送り。 いつもながら頭が下がります。 みなさんお疲れさまでした。


以下、未稿