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紫苑交響楽団 第30回記念定期演奏会

気持ちのよく乗ったマーラーの第九戻る


日時:2017年9月3日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:長岡京記念文化会館

曲目:ドヴォルザーク/スラヴ舞曲 第6番、第15番、第5番、第12番
   マーラー/交響曲第9番

指揮:森口真司


森口真司さんの指揮のもと、各パートがよく纏まって気持ちのよく乗ったマーラーの第九に感激しました。

開演25分前、いつもよりちょっと早めに会場に着いたつもりでしたが、めぼしい席が埋まっていたので、ステージに向かって右側サイドの一番前のブロックに腰を据えての鑑賞となりました。 この席ですと、指揮者の森口さんの動作や表情もよく見るかとができたのも大きかったと思いますが、オケは森口さんの指揮に見事に応えていて素晴らしい演奏を展開していたのがよく判りました。

オーケストラの編成は 13-13-12-10-8 でヴァイオリンを左右に振分けながらも、チェロとコントラバスを舞台右側に配置。 当方の席からはヴィオラがよく見えたのですけれど、このヴィオラのパートと、当方の位置からは背中向きになっていたましたが第2ヴァイオリン。 この2つのパートがとても良い仕事をしていたのが強く印象に残りました。 もちろん良く纏まって芯となって響く低音弦や、同じく良く纏まって透明感を損なわない第1ヴァイオリンが曲を綺麗に形造っていましたけれど、こららの中音弦での内声部、時にメロディラインを豊かに弾いてこそオケとしての陰影のついた充実した響きとなり、雄弁な音楽になったのだと感じました。 そして弦楽器のソロパート、浮上して聴こえるのだけれどオケ全体の響きにとてもよくマッチして自然な流れのなかでの演奏にはハッとさせられるのものを感じました。

この曲はLP時代よりCDでもこれまで何種類も聴き、また実演にも何度も接してきましたが、演奏される方々を間近に感じつつ、最初から最後まで素適な時間を過ごすことができたのは稀有な機会でした。 大きく深い呼吸で進めた第1楽章、重量感のあった第2楽章、張りのある響きで見事な着地を決めた第3楽章より終楽章は森口さんらしい理知的な切り口。 客観的ながら豊穣な響きを荘厳なものに変え、それが間遠く消えていったあとの静寂もまた音楽でしたね。 素晴らしい幕切れでした。

なおこれに先立って演奏されたドヴォルザークのスラヴ舞曲。 冒頭の第6番より全開で少々荒っぽくも聴こえましたが、森口さんの理知的なドライブで筋肉質で都会的な演奏でした。
蛇足ながらかつてこのオケが出来て数年後、解散の危機を迎えていたころには拙文をパンフレットに載せていただいたこともありました。 そんな贔屓目など入る余地などないまったくない(というか反って恥ずかしい思い出)素晴らしい演奏会に立ち会うことができて幸せでした。


以下、未稿