BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
枚方フィルハーモニー管弦楽団 第86回定期演奏会

音楽を演奏すること聴くことの醍醐味戻る


日時:2017年10月8日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:枚方市市民会館・大ホール

曲目:サン=サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」より「バッカナール」
   ビゼー/「アルルの女」
      第1組曲より「前奏曲」
      第2組曲より「パストラール」「間奏曲」「メヌエット」
             「ファランドール」
   フランク/交響曲 ニ短調(*)
(アンコール)ビゼー/「カルメン」より「間奏曲」

指揮:寺坂隆夫、生島 靖(*)


いつものことながら健全なアマチュアリズムに彩られた演奏会を楽しみました。 またこの演奏会に集う方々も演奏会を楽しむ良識に満ちていたことにも感じ入りました。

演奏会が始まる前、休憩時間には小さな子供が叫んでいたり、正直かなり騒々しくて心配していましたが、いざ演奏が始まると子どもたちは大人しくしていますし、また子どもがちょっとグズりそうになると慌ててお母さんが外に飛び出したり、お父さんが子どもの手を引いて外に導いたり…、当たり前とはいえ、先日の兵庫での演奏会の時とは大違い。
子どもは大人しくしていないものだから…、かえって親御さんが可哀そうにも思えたり。 ここには一所懸命音楽をする人と、音楽を心から楽しもうとする人が集っている幸せな空間。 そんな空間を共有できて幸せな時間となりました。

さて肝心の演奏ですが冒頭の「バッカナール」。 酒宴での踊りの曲、エキゾティックかつエロティックなメロディ満載な曲ですが、寺坂さんと枚方フィルにかかると健全な曲になるのが面白かったですね。 打点を明確にして進め、要所をきちんと決めて、最後はギアを一段上げてのフィナーレ!! 拍手喝采でした。

有名な「アルルの女」もケレン味なく真っ向勝負といった感じ。 ややぶっきらぼうやなって思えるほど気合いを入れて始まった「前奏曲」、柔らかな木管アンサンブルが心地良かったですね。 でもアルトサックスが入るとその音の大きさ、他の木管の囁きが埋もれてしまうような感じとなってしまいました(少々残念)。
「パストラール」ここでも恰幅の良さとメリハリをつけた音楽運び。 木管アンサンブルになると少々スピードを落として丹念に演奏されましたが、サックスとピッコロの音量が大きくて目立ってました。 判りやすい演出でしょうね。
「間奏曲」深い響きの弦楽アンサンブル、しっとりとして良かったですね。 ここでのサックスは控えめだったかな。 そして全員でのひたむきな演奏で音楽が熱くなりました。
「メヌエット」フルートとハープによる演奏は圧巻でした。 今回の演奏会を通しても、いちばん良いところ持っていかれたような感じ。 会場全体がこの二人に聴き入ってトリップしていました。
「ファランドール」ここまでくるとガンガン行くしかない…そんな感じかな。 少々硬めの音色で大いに盛り上げての着地。 ここでも拍手喝采。 楽しめました。

さて後半うって変わって地味な、というか暗いイメージのフランクの交響曲ニ短調。 個人的にこの曲との出会いが良くなくて… 良いイメージがあまり沸かない難曲。 ですが、生島さんと枚方フィルの演奏は丹念に旋律を繋いでゆく誠実な演奏に救われ、最後まで楽しませてもらいました。
第1楽章、中低弦の落ち着いた音色を軸にして、たっぷりとじっくりと向き合って曲を進めてゆきました。 粘り気は少なめで自然な高揚感。 寄せては返す旋律を全員一丸となって生島さんのリードのもとに進めていたのに好感が持てました。
第2楽章、端正なコールアングレ、からむホルンが最初は調子よくなかったけど、あとではしっかり挽回。 明るい色調としてここでも誠実な音楽造り、丹念に音を紡いで進めてゆきました。
第3楽章、深みのある弦アンサブルでの上々の滑り出し。 端正ながらも覇気をしっかりと持った演奏で盛り上げます。 変な色がついていなくて、清々しさを感じさせる演奏。 要所を決めると「やったねっ!」的な明るい盛り上がりが気持ちよかった。 全休符、しっかりと止めつつ曲と真正面に向き合い、旋律を融合・展開してフィナーレへと向かいます。 そして明るくケンレ味なくスパッと切って落としての着地。 ややあっけなくも感じましたが、見栄を切らない誠実さと解釈しました。

前半プログラムと違って大きな見せ場もない曲もしっかりと聴かせていただいたあと。 前半の「アルルの女」の「メヌエット」における生島さんのエピソートでくすっと笑わせてもらったあと、よく似たフルートとハープの曲でアンコール。 素敵な時間を堪能させていただいてのお開きとなりました。

1年ぶりの枚方フィルの演奏会、今回もまた音楽を演奏すること聴くことの醍醐味を感じさせていただいた演奏会でした。 ありがとうございました。


以下、未稿