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アンサンブル・フリー 第26回演奏会

人間の感情に焦点を当てた意欲的な演奏会戻る


日時:2017年11月12日(日) 13:30開演(13:00開場)
場所:神戸文化ホール・大ホール

曲目:辻田絢菜/Collectionism Z/”QUN” for orchestra [2017年改訂版] (委嘱作品/関西初演)*
   ブラームス/交響曲第3番ヘ長調
   R.シュトラウス/家庭交響曲
(アンコール)ブラームス、管弦楽編曲:浦部 雪/ピアノ独奏曲「6つの小品:op.118より「ロマンス」

独奏:上水樽力(p,チェレスタ)*

指揮:浅野亮介


大編成のオーケストラでもって人間の感情に焦点を当てた意欲的な演奏会を楽しみました。

冒頭の現代音楽、辻田絢菜さんの「QUN」、胸がキュンとするの「QUN」。 これを音楽としたとのことで、終始美しい響きの饗宴。 チェレスタの煌びやかな響きが散りばめられた「QUN」から、コントラバス10本に低音金管楽器のブラス、マリンバやホイッスルも入っての盛大な「QUN」が寄せては返す。 機動力のあるオケは、盛り上がっても美しい響きをきちんと演出していて巧かったのも印象的でした。 現代音楽にしては打楽器が少なかったでしょうか。 オーケストラを見事にドライブしてゆくさまざまな感情表現に大いなる才能を感じました。 そして終演後に登壇された辻田さん、赤いフリフリのワンピースを着た妙齢の可愛らしいお嬢さん。 「QUN」と題された曲を書こうと思われたのも判るような気がしました。 大いなる才能に大きな拍手を贈りました。

続くブラームスの交響曲第3番、弦楽器の編成が 16-17-12-10-10 での対向配置のままでの2管編成。 終始弦楽器の分厚い響きによる濃厚な演奏となりました。 指揮者の浅野さん、先ほどの「QUN」では両手を左右同じように動か徒手体操みたいな動きでしたが、この曲では体幹もくねくねとさせてのタコ踊りスタイル。 感情表現を身体全体で表しているようでした。 第3楽章でのホルンソロも野太く丸くたっぷりとした響き、アタッカではいった終楽章での突き抜けるラッパ、そして轟音たなびかせて一気に進むオーケストラなどなど、大時代的なロマン溢れた演奏でしたが、演歌っぽく臭くならなかったのはオケメンバーが若いからでしょうね。 面白いブラームスを楽しませていただきました。

20分間の休憩のあとメインのR.シュトラウスの家庭交響曲。 管楽器が4管編成となってホルン10名、トランペット6名の大編成、ステージいっぱいの奏者によるカラフルかつ艶やかな演奏となりました。 ここではオーケストラが艶っぽい響きをうまく演出してR.シュトラウスらしさも良く出ていたように思います。 終演後、カーテンコールで出てこられた浅野さん、やや上気したような満足そうな表情でいらしたので、指揮者としても満足された演奏だったようにお見受けしました。 甘く響く木管や弦楽器のソロが随所にあり、終楽章でのパワフルに響くホルンの斉奏、畳みかけるように入ってきた弦楽アンサンブル、
そしてソリッドなティムパニ、オケが一丸としったますます音楽を大きくしてゆく。 絢爛たるR.シュトラウスの世界でした。 オーケストラは指揮者の意図をよく理解して表現していたように感じる一体感を強く感じた演奏でした。

アンコールはしなくても良いのに、と思っていましたが、美しい音楽が流れ出てきて何の曲かな・・・とロビーで確かめるとブラームスのピアノ曲の編曲だったのですね。 こちらにも少々驚かされました。 意欲的な演奏会でした。 素晴らしい演奏を有難うございました。


以下、未稿