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オーケストラ・アンサンブル・フォルツァ オータムコンサート2017

フォルツァらしい意欲的な試みが面白かった戻る


日時:2017年11月19日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:門真市民文化会館・ルミエールホール

曲目:フンパーディンク/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲
   プロコフィエフ/交響的物語「ピーターと狼」Op.67*
   ストラヴィンスキー/交響曲ハ調

指揮:大塚洋平、周藤 英*


キレッキレのストラヴィンスキーがカッコ良くて、ストラヴィンスキーってやっぱ凄いなぁ、と実感した演奏会でした。 そして今回、前半は物語をテーマにした子供向けのプログラムとされていて未就学のお子さんの声もしていましたが、後半はそんなお子さんも訳も分からずストラヴィンスキーに圧倒されてしまったのか、それとも疲れて眠ってしまったのか・・・ 「混沌としながらも調和のあるプログラム」と書かれていましたが、そのプログラムは縦書きで曲目解説がされていたり、演奏する曲の指揮者の名前で抜けていたり(これは単純なミスかも)、そんなこんなフォルツァらしい意欲的な試みが面白かったですね。 肝心な演奏がいずれの曲も素晴らしかったのは勿の論でした。

オーケストラの編成は 13-13-10-8-6 の通常配置。 今回は団員でかつ打楽器奏者の山田りささんの解説で進行しました。

冒頭の「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲。 指揮者は大塚洋平さん。 明るめの色調でたっぷりとした開始、軽く弾けるようなスッテプを挟んで丁寧に進めてゆきます。 子供向けを意識しているのでしょうか、終始ロマンたっぷりでメルヘンチックな音楽の仕上げが心地よかったですね。 なお司会の山田さんもシンバルで参加されていました。

プロコフィエフの「ピーターと狼」、山田さんのナレーションで曲が進行しました。 話し言葉の部分を関西弁にしたり、狩人のメロディをトランペットとトロンボーンで「あずさ2号」とするなどのお遊びも入れながらの愉快なステージ。 ここでの指揮者は、周藤 英さん。 やはりここでの音楽も明るめの音色で、抑揚を巧くつけながらの聴かせ上手な演奏を展開してゆきました。 各パートもまたそれに良く応えて、伸びやかな木管、艶やかなストリングスに弾力あるピチカート。 狼が登場して狩人の鉄砲の音など緊張感を持たせた臨場感たっぷりの演奏とし、聞き応え充分でした。 そしてリズミカルに進めた終結はスピード感をもった潔い幕切れ。 月並みですがいい演奏でした。

ところで蛇足ですが、明石家さんまがナレーションした「ピーターと狼」がお気に入りでよく聴いています。 だから関西弁ナレーションでは驚きませんでしたけれど、「カモ」が登場していましたが、「アヒル」じゃないのですかね。 ここでは子供向けとして「カモ」? カモならば、狼が来たら空に飛んで逃げられると思うのですけど・・・ちょっと気になりました。

さて後半は子供向けなのにストラヴィンスキー。 新古典主義時代の簡潔な中にも鋭く感性を刺激する響きがカッコ良く。 ストラヴィンスキーってやっぱ凄いなぁ、と実感させた演奏でした。 ここでの指揮者は冒頭と同じく大塚洋平さん。

大塚さんは両足を踏ん張って立ち、上体全体を揺り動かして堂々たる響きをオケより導き出していました。 低弦がズンズンと芯となって響いてきましたが、各パートの音キレが良く、リズミカルで聴き応えのあった第1楽章。 おだやかな弦楽アンサンブルに静謐なオーボエが絡んで始まった第2楽章。 弦のトップ奏者による四重奏など複雑さの中に懐かしさのようなものも感じました。 断片的な旋律をパッチワークさせた複雑な音楽ながらも琴線に触れるような音楽とした第3楽章。 各パートがよく纏まっていて管から弦への連携も見事でした。 終楽章は音の饗宴。 躍動感をもってぐぃぐぃと進めたかと思うと、シンコペーションさせたり、複雑な動きながらも掛け合いもきちんと決め、あれよあれよと進めた統率のとれた音楽。 ただただ凄いなぁと感心しているうちに終わってしまいました。 フォルツァらしい前向きで意欲的な演奏を堪能しました。

これだけの演奏をされた後なのでアンコールはなし。 当然でしょう。 皆さんお疲れさまでした。


以下、未稿