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関西大学OB交響楽団 第2回演奏会

引き継がれる関西大学交響楽団のDNA戻る


日時:2018年4月15日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:豊中市立文化芸術センター・大ホール

曲目:モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
   ボロディン/歌劇「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊り」
   ドヴォルザーク/交響曲第8番 ト長調 作品88
(アンコール)エルガー/エニグマ変奏曲より「ニムロッド」

指揮:深谷武生


10年ちょっと前、いつも聴かせてもらっていた関西大学交響楽団。 単身赴任してから、また帰任してからも日程など合わず、とんとご無沙汰してしまっていましたが、今回OB交響楽団を聴かせてもらって、毎年人が入れ替わる学生オケなのに脈々と引き継がれるDNAを感じてオケ関係者ではありませんが懐かしくまた嬉しく感じました。

関西大学交響楽団のDNAは、個人的には前向きでやる気に満ちた演奏、でしょうか。 プロ指揮者によるメイン曲の演奏の前、学生指揮者2名で演奏される2曲。 せっかくのプロ指揮者を呼んでいるのに勿体ない、という意見を耳にしたこともありますが、学生指揮者による演奏もまた前述した前向きでやる気に満ち、個人的には大いに魅力を感じて聴かせてもらっていたことを思い出します。 巧い下手では簡単には割り切れない演奏の魅力、それを教えてもらったオケの一つでありました。

さて前置きが長くなりましたが、OB交響楽団、指揮者に文学部卒業ながらプロのホルン奏者・指揮者として活躍されている深谷武生さんを迎えての演奏。 いずれも明るめの響きを基調にした音楽が推進力を持って演奏されていました。

冒頭の「魔笛」序曲、明るい音色でたっぷりと響かせた上々の滑り出し。 指揮棒を持たない深谷さんが両手で大きくゆっくり掬い取るようにリード、ここに弦楽アンサンブルが入ってきて覇気が入ります。 コントラバスの響きが芯となって届き、煌びやかな金管、フルート、オーボエも綺麗に響かせた推進力のある音楽で嬉しくなります。 いったん止めて、今度は渋い響きのファンファーレ、厳かに響かせたあとは、更に推進力を増します。 迫力も伴った小気味よくノリの良い音楽。 力強い幕切れは「やったぜ」とった感じだったでしょうか。

「ダッタン人の踊り」、こちらも明るい音色でストレート&タイトに盛り上がりました。 エキゾティックな開始、オーボエとコールアングレのしっとりとした響きが印象的でした。 弦のアンサンブルも艶やかに入ってきたあと力を込めてストレートに走って、パーカッションの迫力ある押し出しのある響き。 覇気を感じました。 いったん静まってから、また畳みかけるように盛り上がります。 前に前にと進みながらも、深谷さんしっかりと手綱を握って暴走はさせません。 最後は更に音の密度を上げて、アクセルを踏みこみます。 演奏している者も聴いている者も楽しくなるような音楽づくりとなっていた幕切れでした。 盛り上がりましたね。

休憩をはさんでメインのドヴォルザークの交響曲第8番、こちらも曲に真正面から向き合ったストレートな音楽造りながら、特に後半2楽章は端正にまとまった演奏となっていました。 指揮者の深谷さん、「魔笛」では指揮棒を持たず、「ダッタン人の踊り」では指揮棒を持っての登場でしたが、この曲はまた指揮棒を持たず暖かな響きを導き出しての開始となりました。 明るく軽快な木管に、カラフルな金管を絡め、前に前にと進んでゆきます。 弦楽アンサンブルもたっぷりと響かせて起伏を作り、しっかりと届けよう、そんな印象を持ちました。

第2楽章、じっくりと腰の据わったサウンドながら、キレ味は良く、メリハリも効かせていました。 ソロヴァイオリンの濡れた響きもよかったですね。 第3楽章、しっとりした弦のアンサンブル、淡々と吹く木管と、ここにきて端正な音楽造りになったかな。 余計な情感を挟まないで終楽章へと繋ぎます。 煌めく金管ファンファーレで入った終楽章は上々の滑り出し。 チェロ、ヴィオラがじっくりと曲を作り、コントラバスがスクエアに弾いて曲の芯がビシッと決まっていました。 メリハリをつけ金管と、たっぷりとした弦のアンサンブルも熱気を孕んできましたが、曲にきちんと向かっていて、スピードアップしても腰の据わったサウンドのまま全曲を閉じました。 アッチェランドかけて暴走気味に駆け抜けるか、との予想に反し、端正に纏めた感じ。 OBとしての見識でしょうか。

アンコールの「ニムロッド」は濃密な響きがとても魅力的でしたね。 濃やかな音楽が会場を満たし、演奏会の有終の美にふさわしかった。 満足を胸に会場を後にすることができました。 皆さんありがとういございました。


以下、未稿