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京都フィロムジカ管弦楽団 第43回定期演奏会

知られざる名曲にターゲットを絞った尖った演奏会戻る


日時:2018年6月24日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:京都府長岡京記念文化会館

曲目:メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」
   別宮貞雄/第3交響曲「春」
   ラフ/交響曲第3番「森にて」

指揮:中村晃之


フィロムジカらしい知られざる名曲にターゲットを絞ったとても尖った演奏会でした。 そして指揮者の中村晃之さんも、かぶとやま交響楽団を指揮されていた時からだから10年ぶり、久しぶりにサウスポーでキレキレッの指揮姿に接することができました。 最近は東京で活動されているみたいですね。 どの曲も両者ががっぷりと組んで、響きを深めに取りながらもキレとスピード感に満ちた演奏には気迫がありました。

冒頭のメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」、チラシにわざわざ「ヘブリディーズ諸島(フィンガルの洞窟)」と書くこだわりが演奏にも垣間見えたようです。 響きを深く、テンポをちょっと遅めにとった開始より、くぐもった印象を覚えたのですけれど、キレがあってもたれません。 速度を上げたクライマックスでは、まるで機械仕掛けの人形のようにカクカクと動く中村さんに率いられて、深い響きだけど重量感なくスパスパと進んでゆくのですね。 これはちょっとない経験でした。 さすが中村&京都フィロムジカ、と妙に納得した演奏でした。

いったん全員が退場したのち、ステージ上にはチェレスタとハープ奏者も加わって別宮貞雄の第3交響曲「春」。 第1・2番の交響曲は単身赴任時代に図書館で借りたNAXOS盤で聴いてましたが、第3番は初めて聴く曲です。 かつて聴いていた事実はあっても印象は残ってないので、ほぼまっさらな気持ちでしたが、聴きやすい曲だな、というのだけは共通かもしれません。 プログラムにも書かれているように、別宮が「書きたいものを素直に書こうとした作品」だったそうで、第1楽章「春の訪れ(あっという間に春はやってくる)」、第2楽章「花は咲き、蝶は舞い…(そして鳥がさえずる。深い山の中の自然の美しさ)」、第3楽章「人は踊る(人々は浮かれ出す)」との標題をそのまま聴きやすい音楽に乗せたような作品。

これを中村&京都フィロムジカのコンビが基本インテンポ(だと思う)でキビキビと進めてゆきます。 のびやかな木管とストリングスが際立った第1楽章、チェレスタとハープの響きを絡ませて森の中を美しく描写した第2楽章、終楽章は音の饗宴ですが中村さんの本領発揮。 整然とキビキビとした音楽が流れ出ては繋がって響き合って聴き応え十分。 響きに厚みはありますが音量ではなくスピードとキレで勝負といった感じ。 最後は中村さんの左アッパーパンチで終了。 尖った響きでしたが親しみやすい音楽でした。

休憩後はスイスの作曲家ラフの交響曲第3番「森にて」、2017年8月オーケストラ・ソノリテ(指揮:ゲオルギ・バブアゼ)で第5番「レノーレ」を聴いて以来のラフの交響曲体験。 もちろん「森にて」は初めてです。 パンフレットによると大きく3部に分かれるとのこと。 そしてそれぞれ昼間(第1部)、夕暮れ時(第2部)、夜(第3部)であるのだとか。 しかし第2部は緩徐楽章と舞曲になっていて、今回の演奏ではここを分けていたので4楽章構成としての演奏となっていました。

明るく快活な第1楽章、各パート集中力を高く保っていて聴きやすい感じ。 編成が大きくないオケながら(たぶん 10-8-6-7-6 の通常配置)金管のバランスも良く、さすが巧いオケだな、と。 第2楽章、ゆったりと夕暮れの雰囲気、クラリネットの哀愁の響きに魅了、中低弦の響きも深くとって軽薄に流れません。 第3楽章へ弦と管が呼応する舞曲でチャイコフスキーみたいでしたね。 そして終楽章、低弦より中音弦、高音弦へと響きが回ったのちホルンの旋律が魅力的。 この後、スピードあげてゆきますが、中村さんらしく緻密なキレの良い動きでリード。 気迫のある音楽でした。 ただどこか淡々とした感じに思えて聴きやすいのだけれど、色々とあって疲れていたこともありましたが、少々睡魔にも襲われてしまいました(すみません)。

知られざる名曲、かつては興味深々で聴いていたのですけどね、寄る年波なんでしょうか。 オケの皆さんはレベルの高い演奏を展開されていたのですが、聴き手としての集中力に限界を感じてちょっと残念でした(ごめんなさい)。 でもこのような知られざる名曲というチャレンジャブルな企画は大賛成です。 ありがとうございました。 またチャレンジさせてください。


以下、未稿