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天理シティーオーケストラ 第18回定期演奏会

充実した響きに彩られた演奏会戻る


日時:2018年7月1日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:天理市民会館・やまのべホール

曲目:ベートーヴェン/献堂式序曲
   ベートーヴェン/交響曲第4番
   シューマン/交響曲第1番「春」
(アンコール)ブラームス/ハンガリー舞曲第1番
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

指揮:安野英之(常任指揮者)


小さな弦楽編成(8-8-5-5-3での対向配置)ながら充実した響きに彩られた演奏会に満足しました。

個人的にはベートーヴェンの第4番の交響曲が出色。 冒頭の厳かな開始より重心を低めにとって進み、ファゴットが良い音色で絡んでいました。 そして渋い響きのピチカートのあと勢いをつけた主部、キビキビキとした動きで要所でのチカラの入れ加減もよかったですね。 そしてファゴット、ここでも素敵に絡んできてわくわく感倍増。
第2楽章はしっとりと緻密に絡む弦楽器と木管楽器が素敵。 じっくりと曲に対峙している安定感があるんですが、中音域を担うヴィオラが雄弁だったのが印象に残りました。 第3楽章、弦と管楽器が呼応していていい感じ。 ここでもヴィオラとファゴットがいい仕事してました。 あとストローク小さく地味に打っていたティムパニも巧かったなぁ。
そして終楽章、冷静な安野さんの指揮できちんと計算された熱さなんですが、十分にエキサイティング。 コトンラバスが3本なのに迫力もありました。 大好きなのですこの曲。 カルロス・クライバーの演奏で随分とこの曲への世間の見方も変わったと思うのですけど、のだめによる第7番みたにメジャーにならないのが不思議ですね。 緊張感が持続されたパワフルな演奏として締めくくられました。 好きな曲だけにちょっとハードル高めに聴いてしまうのですけれど、構成感と躍動感が見事にマッチして堪能しました。

メインのシューマンの交響曲「春」。 明るい響きを基調とした演奏でした。 ここでもヴィオラが雄弁で、冒頭よりこんなキザミを入れているんや、などの発見もあってわくわくしながら聴いていました。 なおこの曲はコンマスが栄嶋さんに交代ていました。
第1楽章冒頭のトランペットのファンファーレ、やや硬めの響きながら明るい開始、このあとヴィオラがグイグイと弾いていたのに驚きました。 フルートによる小鳥の綺麗な囀りを聴かせたあとも、ヴィオラと第2ヴァイオリンが雄弁で、さらにオケが走り始めると3本のコントラバスがスクエアに響いて躍動的。 終盤さらに輝きを増して力強い幕切れ。 カッコ良い音楽造りでした。
第2楽章、大きな呼吸でもって進めて、ゆったりと歌うチェロがよかったですね。 ここでも弦楽器がそれぞれの持ち場をしっかりと守って端正な曲造り。 第3楽章は弦と管楽器が呼応しあってのリタルダンド。 そしてアタッカで終楽章へとなだれこんで明るく楽しい音楽。 のびやかなホルン、堂々としたトロンボーンも素敵でした。 安野さん、ここでもにこやかな表情ながら沈着冷静に曲を進め、しっかりとした着地を決めて全曲を締めました。 この曲を初めて聴いたのはクラシック音楽に興味を持って間のない中学生の頃、TVのN響アワーでしたが、そのとき「こんな曲があるんや」とわくわくして聴いていました。 以来、この曲が好きで色々な演奏で聴いて自分なりのイメージがついてしまいましたが、何だか今回は初心に戻ったような感じ、わくわくしながら聴かせてもらいました。 楽しかったです。

冒頭に演奏されたベートーヴェンの献堂式序曲、威厳をもった演奏ながら明るい響きが印象に残りました。 弾力を持った響きをスパっと切って上々の滑り出し。 安野さん、細部までバランスに配慮しておられた様子。 軽やかなトランペット、ストローク短く打つティムパニ。 明るい響きながらも威厳をもって進めてゆき、ベートーヴェンらしくちょっと背筋を伸ばして聴くような感じ。 スピードアップしてからも安野さんがしっかりと手綱を引いた緻密なアンアンブル。 第2ヴァイオリンの栄嶋さんとヴィオラの上田さんが大きく動いて曲を躍動させていたみたい。 堂々とした終結でした。

アンコールでは安野さんがこれまでしっかりと握っていた手綱を緩め、大振りでオケの自由度に任せて演奏させるいつものスタイル。ちょっと違うオーケストラ演奏を味あわせていただき、いつもの会場と一体となったラデツキーマーチで締め。 楽しませていただきました。


以下、未稿