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紫苑交響楽団 第32回定期演奏会

このオケの響きがワンランク上がった戻る


日時:2018年9月2日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:京都府長岡京記念文化会館

曲目:ドヴォルザーク/序曲「謝肉祭」
   ストラヴィンスキー/「火の鳥」組曲(1919年版)
   メンデルスゾーン/交響曲第3番「スコットランド」
(アンコール)メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」より第1曲「スケルツォ」

指揮:森口真司


主席客演指揮者の森口さん(かつては音楽監督だったように記憶しています)が指揮すると、このオケの響きがワンランク上がるようです。 今回、ちょっと遅くホールに着いたこともあって最前列での鑑賞となりました。 森口さんの表情や動作を見ながら、間近でオケを聴いたこともあるでしょうが、縦横の線をきちんと揃えるだけでなく、細かなニュアンスにもオケが見事に反応していました。 また目の前のコントラバス奏者の方など、嬉しそうな表情でスィングするように演奏していたりもして、ノッているなぁ、とも感じました。 大活躍されていた管楽器や打楽器奏者の方が見えなかったのがちょっと残念でしたが、瑞々しくも強靭な響きに彩られた「火の鳥」、ダイナミックレンジを大きくとって濃密かつ躍動的な「スコットランド」。 とても満足した演奏会でした。

開演10分程に会場に到着、ほぼほぼめぼしい席は埋められていたので最前列に陣取ることにしました(1列-31)。 目の前はチェロの最後列プルト、コントラバスの後列がよく見える位置。 コンマスの表情や、指揮者もよく見えます。 管打楽器奏者の方は全く見えませんが、たまにはこんな席も面白いですね。 なおオケの弦楽器編成もよく見えてませんが、12-12-10-9-7 での通常配置でした。

ドヴォルザークの序曲「謝肉祭」。 森口さんに見事に統率されたオケが、曖昧さを持たず一気呵成に演じきった、そんな印象でした。 郷愁を感じさせるヴァイオリンや木管楽器のソロ、低弦のゆったりとした感じにもさせますが、基本は機動力を持ったキレの良い響きともうまく対峙させて、とても聴き応え十分な演奏でした。 この曲をこんなに面白く聴いたのは初めてじゃないかな、とも思いました。

ストラヴィンスキーの「火の鳥」、1919年版の組曲はよく耳にするのですが、森口さんの動き、とくに顔の表情とともに聴いていると、オケの反応の良さがよく分かりますね。 また聴いている位置関係からか高音弦こそやや薄く感じはしましたが、弦楽アンサンブルの音圧を感じ、また同時に潤いをも肌で十二分に感じとることができました。 巧いなぁ。 そして何よりスピード感を持った演奏で、大活躍されていた管楽器や打楽器奏者の方が全く見えなかったのがとても残念でしたが、キレだけでなく思いもちゃんと込められていて躍動的。 エンディングはもう沸き立つような熱演として幕となりました。

20分間の休憩をはさんでメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。 2管編成の曲なのでスピード感持ったキレの良い演奏で締めくくるか、と思いきや・・・ 濃密かつ躍動的な演奏に驚きました。 冒頭こそ若々しく力強い演奏やな、抒情的だけど熱気を秘めているな、などと思って聴いていましたが、大きく呼吸させて、ダイナミックレンジも大きくとり、畳みかけるような演奏となった第1楽章。 ロマン派でもまるで後期ロマン派みたいやな、と感じました。 第2楽章の全奏もまたキレ良く、リズム感持って推進。 活気あるチェロ、ノリノリな演奏でした。 第3楽章冒頭は大きく呼吸するようにゆったり歌った高音弦が見事。 そしてじっくりと力を溜め込んでピークを形成したあと、ケレン味のない演奏でした。 集中力を高めて入った終楽章(スコアの指示どおり4楽章切れめなく演奏されています)、弦楽アンサンブル厚い響き、姿は見えないけど突き抜けてくるトランペット。 わくわくさせる躍動感を持った演奏です。 そして終結部は重厚な響きをじっくりと構え、慌てず騒がずたっぷりとある種豪華絢爛な着地としていました。

いずれの演奏でも森口さんは小気味よく棒を振り、顔の表情でニュアンスを伝える。 冷静に曲を進めてゆきます(興に乗って煽るようなことなど皆無)。 そしてオケが見事にそれを受け、咀嚼し、ダイナミズムを持った音楽とされている。 今回、これを間近に見ることができ、またいつもとはちょっと違って感じる部分があり面白かったですね。 とにかくいずれも熱演。 皆さんお疲れさまでした。


以下、未稿